【呪術廻戦外伝】特別1級呪術師 禪院将宗 作:まぜこみごはん
なんで番外編をやろうと思ったのかなんですけど、なんか書いてみたいなっておもったからなんですよね(理由になってない)
それではどうぞ
イケメン、お酒を奴と飲む。
これは俺が教師になるかなり前の話の出来事である。
なんかナレーションが世にも奇〇な物語みたいな感じになってしまっているが、番組に直接そのまま出してもいいかもしれないとは思っているよ。
この日は直接俺に仕事の依頼があり、1級案件の仕事を回されてきたので、難なく任務は成功をしたのだが、体力的につらいところだ。
最近は呪霊案件が絶え間なく押し寄せてくる、本当に面倒くさい。
呪霊がいなくなってくれればいいのに、とも考えたことはあったが考えても仕方ないことだから、そのことで脳を使うのが嫌になってきている。
そんな俺は、行けつけの会員制のBarに通っている。
ここは落ち着いて飲めるし、ストレスもない空間だ。店内も狭いし、マスタ―も変に絡んでこないし、ただただお酒を堪能できる。
『はぁぁぁ……禪院家の奴らの視線といい、最近の呪霊案件といい…だるいったらありゃしない。クソッいつものイケメンフェイスが崩れてしまうじゃないかまったく』
こうなったらいっそのこと遠くにでもいって、バカンスにでもいってやろうか。とも考えたが禪院家の目があるとなると難しい話だ。
酒で酔いも回ってきているせいなのか、愚痴も少し多くなってきた、今日くらいはハメを外しても罰は当たらないかと思っている。
そんなところに一人の男が入ってきた、なんだか趣味の悪い宗教のトップが着てそうな羽織をきている。ここは高級Barではないはずだが、とも思ったが顔を見たら理由がわかったというか、なんというか。
わからないほうがよかったか。
『……お前、ここにいてもいいの? 夏油』
『ハハッ良くないね、ただたまには私だって酒を飲みたい時だってあるんだよ」
夏油傑
特級呪術師の一人であり、100人以上を超える一般人を殺した最悪の呪詛師……と簡単に説明したはいいが、会いたくないランキング上位に入ってくるのがこの男だ。
まさかこんな男と同じ席で酒を飲むことになるとは、つくづく厄日である。
『お前のことを血眼になって探している奴だっているのに呑気な話だなおい、つくづく今日は運が悪いよ俺は』
『ハハ、君も結構飲んでいるようだね。私のことを捕まえないのかい?』
『俺は別にお前のことを探してるわけじゃないからな、興味ないね』
『君もなかなかいうようになったね』
俺と夏油はそう、主に歌姫さんと仕事をしているときに、高専の連中とついでに知り合うようになってから、家入さん、夏油傑、五条悟ともつるむようになり、年齢も同い年であったことから、まぁそこそこ話すような仲ではあった。
友達という枠になるのかは知らないが、別に嫌いな関係ではなかった、ただそれだけだ。
『君がここに通っていることを知ってね、話したくなって来てみたんだよ。まさかちょうど君がいるとは思わなかったけどね』
『嘘をつけ嘘を。いること知っててきただろお前』
『あ、バレた?』
『あ、バレたじゃないんだよ』
この男と絡むと、五条よりもある意味厄介だから気がおかしくなるんだよな。
『で? 本題は?』
『本題はとは?』
『話があってきたんだろ、さっさと話せ。禪院家のイケメンこと禪院将宗は、今は気が短いんだ』
『あ、そのノリまだやってたのね。変わらないね~君も』
なんだとこら、とイラつき、夏油の方を向くと、どうやら表情からして何かを決めてきたのだろう。
こいつのことだからロクなことではないだろうが、まぁ話くらいは聞いてやる。
『……12月24日、私は百鬼夜行を起こす。これから高専にいって宣戦布告するつもりだ』
『…………お前、カップルに恨みある?』
なるほど、とうとう夏油傑という男は、呪術界と戦争をする気らしい。なんというかこの男らしいというかなんというか、その目には覚悟が伝わってくるし、止めてもおそらくはというか、無駄だろう。
『ハハハ、ないよ。私は猿が嫌いなだけだ』
『まぁなんというか夏油傑らしいわ。それで、俺に味方になれって感じ?』
『なってくれるのかい?』
『冗談じゃねぇよ、そんな面倒なことするわけないだろうが』
『アハハ、だよね』
おちゃらけた空気も昔から変わってはいないが、やはり夏油は俺が知っている夏油とは違う。
あの時からか、俺は現場に居合わせわけではないが、星漿体の死亡、禪院甚爾との戦いでの敗北、そして灰原の死亡、元々夏油傑が犯行を起こった村では、村民による呪術師に対する差別的なことが起きていたらしいし……色々なことが重なりすぎた結果、こいつは、俺ら呪術師が進んできた道を途中に進路変更をして、違う道を走った。
同情するわけではないが、そうなってもおかしくはないとは思う。
中でも灰原はいい人間だった、本当に灰原は――――。
酒を飲んでいるせいか塩らしい顔になってしまった、危ない危ない。
イケメンフェイスを保たなくてはならないのに。
『そもそも勝てる保証あるのか?それ?』
『成功率はせいぜい3割、呪術連も出てくれば2割にも満たないだろうね。ただ、勝てる方法を見つけたんだ、もし成功すれば私の勝利といってもいいぐらいにね』
『……そうかい、自信ありげなわけだ』
『ああもちろん自信はあるさ』
『あ―……お前と戦いたくないから、依頼があってもお前から離れたところでせっせと呪霊狩りでもしてるよ。』
『私も君とは衝突はしたくないね、いまだにどんな術式があるのかすべてを把握していないし、未だに隠しているのかい、それ?』
『バッカ、俺の術式は安売りしてるわけじゃないのさ。俺が最高にカッコいい場面で使いたいの、わかれバカ、前髪バカ。』
夏油は『いやわからないよ……酔ってるよね君?』と反応を見せるも、少し無言の時間は続き、沈黙の時間も嫌なので、夏油がいいたいことはまだ終わっていないだろうから、本当の本心を聞いてみることにするか。
『それで、なんか頼みでもあるんだろう。おかしな計画始める前に』
『君って変に勘が鋭いときあるよね、そうだね…あるかな。私が万が一失敗した時だ、私には大切な娘たちがいてね、美々子と菜々子というんだが、もし私の身に何かあったら、君が面倒を見てくれとはいわない、ただ気にかけてほしいんだ』
『えっお前子持ちだったの?』
『あ、いや実の父親じゃないんだが。例の村で保護した女の子二人でね、彼女たちには今回の作戦を手伝ってもらうけど、比較的安全なところで作業はさせるつもりだ。死ぬことはまずないだろうからね。』
『五条や家入さんには頼まないのか?』
『ハハッ堂々とこれから高専にいって宣戦布告するんだ、そんなこといえるわけがないだろう? いえないさ……』
まったくこいつは……笑っている表情も、何もかも昔高専に通っていた頃のお前そっくりじゃないか。
将宗はその姿を見て長く深く、大きなため息を吐いて頭をかきながら、こちらも夏油傑が覚悟を決めたように、俺も覚悟は決めた。
『……お前本当…、いやなんでもない。わーたわーた、禪院家のイケメンこと、禪院将宗が、その女の子たちの面倒でもなんでも見てやるよ。女性には優しく、女性を守るのが、この禪院将宗だからなー。』
『………本当君は頼もしいね、昔からそうだ君は。さて、私はそろそろいくよ。外で待たせているからね。』
『おい、夏油』
『ん……なんだい?』
『死ぬなよ』
『……プ、ハハハハ! 君がいうセリフかいそれは? 君からそんなこといわれるなんて、私も最後にいい経験ができたかもしれないね。 会えてよかったよ、将宗』
そんな言葉を吐きながら店を後にしやがった、酒も一滴も飲まずに。
相変わらず昔からムカつくやつだ、本当に――――。
『バカだよ、お前は……』
酒をまた一杯のみ、それが最後の出会いになることは、俺は薄々わかってはいた。
書いてて、ちょっと泣きそうになってしまった。
夏油傑との過去編です。