【呪術廻戦外伝】特別1級呪術師 禪院将宗 作:まぜこみごはん
やってまいりました、修行回!
長らくお待たせいたしました、過去編を長期でやるつもりはなかったんですが、深く書いていけば将宗の人間性?も見えてくると思いまして、急遽長編にいたしました。
それではどうぞ
『はぁ……はぁ……はぁ』
私こと禪院将宗 無事瀕死。
禪院甚爾との修行は始まった。
まず始まったのは体力トレーニング、俺はひ弱な体、かつ体力が壊滅的にないため、裏山の登山ルートを必死に走っている。
もちろん死にそうだ、最初のトレーニングで山を走らされるとは思っていなかった。
正直もう限界だし、帰りたい。
だが走るのをやめれば、後ろにいる甚爾から蹴りを入れられる。
そもそも俺は走っているはずなのに、徒歩感覚で俺の後ろにいるのがおかしいんだ、この筋肉オバケめ。
『お前なぁ……いくらなんでも体力なさすぎんだろうが、クソが』
『す……すいま……せんッ…はぁ……はぁ』
すいません、俺は謝ることしかできない。
『おら止まってるぞ脚』
『いったぁい!!』
マジで走ってるときに蹴りだけはやめて、まじで脚死んじゃう。
こうした日々が数か月も続いた。
マジで走ってばっかり、走って止まれば蹴りを入れられ、その場で倒れれば投げ飛ばされ、こっそり水を飲んだら頭をぶっ叩かれ、本当に地獄だった。
筋肉痛も酷かったし、なんなら気絶もした、あの筋肉オバケに起こされたけど。
だけどだんだん効果が現れてきた。
日に日に体が筋肉質になってきた、風呂で鏡を見た時に、自分の体には驚いたものだ、脚に筋肉がつき、体つきも以前の自分とは違かった、ちょっと自信が出てきた。
山登りにも慣れてきて、走っていてもそこまで疲れなくなってきた。
その様子を察したのか、次のトレーニングメニューを甚爾に追加された。
『うおおおおおおおおおおお』
腕立て伏せ、腹筋、共に1000回ずつ、キャラ崩壊してないかって? 当たり前だろ、1000回だぞ、キャラも変わるに決まってんだろうが。
本当に頭が狂っていた、どうかしているあの筋肉オバケ。
マジであの時は死を覚悟した、マジで1000回達成するのに最初は丸々2日かかった。
それをまずは30分でできるようにしろ、できたら次だだって? 頭おかしいぜ本当。
これもマジで達成するのに時間がかかった。
本当半年かかったと思う、何度も体が悲鳴を上げたが、そこはもう根性しかない、やらなきゃ筋肉オバケに殺されるからだ。
その様子を欠伸しながら、競馬の新聞読んでいる姿にもさらに腹が立つがな!
ともわれ俺は30分で1000回を達成することができた。
マジで体つきが変わった、ガチガチの筋肉、肩回りも変わったし、腹筋も綺麗についた。
飯も食えといっていたからたくさん栄養をとって、ガタイもよくなってきたんだ。
『ふぁあああ……たくっ遅すぎんだよテメェは、どんだけかかってんだ』
『アンタみたいにバケモノじゃないんで、俺』
『何かいったか?』
月日を共にしていくことで、俺は反抗心を持つようになった。
禪院家で唯一こんな態度をとっているのはこの人だけだった、体は変わっても精神はなかなか変わらない、いまだに禪院家の人間とすれ違うたびに、体が怯えてしまう。
『なんでもないですよ……次はどんなトレーニングをするんですか』
『チックソ餓鬼が、せかすなよ。体力・筋力トレーニングときたら次は…実践だろジャ〇プ読んだことねぇのか?』
『いや知らないですよ』
何、わかるだろ?みたいな顔をしてるんだ、腹立つ。
ここにきてからそんな娯楽めいたものは見たことがないというのに。
『お前呪力があんのに、呪力が使わねぇんだろ?』
『………だったらなんですか?』
『何度聞いても笑えるぜ、そんなことがあるなんてよ、聞いたことがねぇ。不器用ってレベルじゃねぇぞ、ハハハハッ!』
『喧嘩売ってるんですか?』
『喧嘩? 喧嘩にならねぇよ、よえェからな、お前』
クソ、何も言い返せない。
呪力が使えたら真っ先にコイツに向かってやろうと、心に決めた。
『……今テメェに必要なのは、クク、そうだな。喧嘩できるぐれェの力をつけるこった、だったらやることは一つだろ?』
途端に拳を構える。
それを見た将宗は目を見開いた途端に腹部に衝撃が走る。
おそらくは拳の一撃だろう、その一撃が腹部に入った。
見えなかったんだ、攻撃か。
攻撃の軌道も、筋肉オバケの体も動いた動作もない、一瞬で俺の身に近づいて一撃を入れたんだ。
まさに怪物だ。
それだけはいえる、目の前に立っている男は禪院家の中で落ちこぼれといわれているが、決してそうではない。
禪院家の中でも―――――――まさに、最強の男だ。
『オェエエエエエ!!』
胃に入っていたものがすべて吐いたんじゃないか、って思うぐらいには吐いた。
殴られた衝撃で身が吹っ飛び、体は悲鳴を上げている。
俺は簡単に立ち上がれなかった、いくら体力を積んでも、筋肉をつけても、決してたどりつけない領域がアイツだ。
だが俺は気を失わなかった、おそらくだがこれでも加減はしたのだろう、加減してこれなら、本気になられていたら俺は殺されていた。
『……いき……なり…なにするんですかッ!』
『あ?だから実践っていっただろうが、聞いてんのかお前。これからはお前をただ殴る、ただ蹴る、ただ潰す、これから毎日だ。シンプルだろ?』
『死ぬわァ!!』
必死に珍しく声を大きくしていった。本当にこの筋肉オバケ、人に何かを教える才能も欠片もないぞ?
『チッうるせぇな……。だったら俺に一撃入れりゃ、このトレーニングは終わりだ。テメェが気絶したらその日はトレーニング終了、それでいいだろ? めんどくせェ……』
はぁと大きくため息をついて、どうでもよさそうに妥協案を投げかけてきた。
いや妥協案でもないぞ、俺がコイツに一撃入れる? 無理だろ。
『それとも……坊ちゃんには早かったか?』
『ああ?』
いい加減に腹立たしいのが顔にも出てきた。
最初の頃の俺が嘘みたいに態度が変わってしまった、人って成長するんだな…。
一撃は入れられて体は悲鳴を上げているが、まだ動けないわけじゃない。
『やってやりますよ! 覚悟しろおらああああああああ、うおおおおおおお』
元気いっぱいに走る俺、カッコよくね? って今の俺ならいうだろうな。
――――――――――――――
『いやーやれるんじゃないか、って時期が俺にもありました』
始まってから、これも半年が経っちゃいました。
結果的にいうと、まだアイツに一撃は入れられていない。
ボロボロの服、ボロボロな体、俺は地面に寝転がっている。
この情けない姿をみればわかるだろう?
いやなんていうか、あれはもう規格外だ。
ある日には殴りかかればいつのまにか後ろにいて蹴られて吹っ飛ばされるわ、ある日には新聞読みながら、俺の攻撃を片手で止められるわ、ある日には女性を返信しているであろう姿が見えて、その隙を狙い俺の全力回転蹴りをまるで子供と遊んでいるように、片手で脚を掴まれて、川まで投げ飛ばされるわ。
ついでにその時は風邪もひいたからな! 風邪ひいて体調悪くても、殴られ、殴られ、殴られ、蹴られ、殴られ、ビンタされ、殴られ、輪ゴムで撃たれ、殴られ、蹴られ。
どんな攻撃も通じなかった、地獄まさに地獄。
『弱すぎんだよテメェは、ちったァ、考えて動け』
相変わらず、俺の視線をうつさず、携帯を動かしている。
腹立たしい男だ、本当に。
『あなたが強すぎるんですよ…結構よくなってきたと思いますけど』
『バカかテメェ、あれで俺に一撃入れるなんざ、夢の話だぜ』
『うるさいなぁ…わかってますよそんなこと。どうせ俺は弱いですよ~禪院家の恥ですよ~』
『ハァ……めんどくせェ、テメェのそのマイナス思考どうにかなんねェのか?イラついて仕方ねェよ』
『仕方ないじゃないですか、俺に良いところなんてないですよ』
そういって将宗はイジケてしまった。
その姿をみて尚更面倒くさそうな表情をしている甚爾は、このままではコイツ俺以
上に腐りきった人間になるとみて、察したのだろう。
『良いところ……ねェ。確かにテメェはよえェし、メンタルもゴミ、根性は多少あるがまだまだだな。しいて褒める場所……顔か? 野郎の面なんざ興味ねェし、俺には負けるが、そこそこ整ってんじゃねェのかお前。』
『顔?』
そんなこと初めていわれた。
あまり自分の顔を直視したことがなく、いつも下を向いているため注目してみたことがなかった。
『初めていわれましたそんなこと……』
『まぁ後は自分で考えろ、今日のトレーニングは特別に終わってやる、数日は休みにしてやるよ。女との約束があるからな、テメェに構ってる暇はねェぜ、じゃあな』
そんなこといいながら、瞬時に姿が消えた。
本当あの人、人間離れしすぎだろ。
『はぁ……』
もうアンタに攻撃する気力も残ってなかったら助かった。
でもそれにしても顔か……。
―――――――――――――――――――――
『顔……』
俺は風呂場で鏡を見ていた。こんなにマジマジと自分をみたのは初めてかもしれない。
顔がいい
なんて言葉は初めていわれたので、実感がわかなかった。
俺は顔がいいんだろうか? 基準がわからない、なんだかその言葉が引っかかってしまいその日は寝れなかった。
『顔……』
俺は屋敷を歩いていた。
ずっとその言葉が引っかかっていて、俺はそれしか頭に入らなかった。
集中のすべてをそこに注ぎ込んでいた、風呂に入る時も、トイレに入る時も、飯を食べる時も、何かをする動作の時でさえも。
その言葉の一言で、俺を襲っていたのだ。
『ククク、見つけたぞ貴様、あの時はよくも私に恥をかかせてくれたな』
禪院家の人間、池で襲った時の5人組の連中だ。
俺はソイツらの存在はいるのには気づいていたが、俺の頭の中は『顔がいい』という言葉に浸食されていた。
そのせいか俺は怯えなかったし、簡単にいえばボーとしていた。
決して無視をしていたわけではない、
『貴様! この私を無視するとは…この!』
手を振り上げようとしてきた、その時には禪院将宗の姿はおらず、5人組の後ろにいて、そのまままるで通り過ぎるように歩いていく。
『顔………』
と小さな声で何かに囚われているように、通り過ぎる姿。そして通り過ぎた時には、禪院家の5人組の衣服が瞬時に破かれ、周りの屋敷の連中も驚きの姿に変え、『なんでぇぇどうなってんの!?』『こっこれは違うんだ』『私を誰だと思っている!? おい私は変態じゃない、やめろぉ離せ!』という声が響き渡っていたが、禪院将宗は気が付いていない。
顔
顔
顔
顔
顔顔顔顔顔顔顔
――――――――――――――――――――
『なんやァ、ワレェ。養子の分際でこんなところ歩いてんとちゃうぞコラ』
禪院家の当主の息子、禪院直哉とばったり出会った、俺と直哉ちゃんは同年代だったからか、関わりも多かったが、俺は直哉ちゃんにいつもボコボコにされていた。
そんな俺が、前までの俺なら怯えて土下座して話しているのに、この日だけは違っていた。もしかしたら直哉ちゃんなら答えを知っているかもしれないと
『なぁ直哉ちゃん』
『ハァ!? ちゃん付けするんとちゃうぞ、潰されたいんかお前?』
『顔がいいってどう思う?』
『なんやいきなり、そらお前、イケメンってことやろ』
『!?』
衝撃が走った。
イケメン……
イケメン……
イケメン!
ずっと脳内にグルグルとしていた言葉が解放されたかのように、明るい光が灯された。
天使のキュ―ピートが俺を楽園へと連れていく光景が目に焼き付いてしまう。
その瞬間に涙が止まらなくなり、クッと唇を噛んでいた。
『ありがとう直哉ちゃん……本当にありがとう』
『なんやお前気色悪……』
この日だけはイジメる気力もなくなった直哉は、泣いてる将宗をみて、初めてドン引きしてしまった。
しかしそんなことは知りもしない俺は答えを直哉ちゃんにもらった。
――――――――――――――――――――
『そろそろ当ててくれよ、まぁ当てられねェけどな』
この日も実践トレーニング。
奴のニヤついた面はいつも通りでムカつくが。
山奥の訓練も慣れてきて、ここにいることが落ち着いてくる、それも相まって、俺のコンディションは最高潮だ。
『アンタのおかげで俺は気が付いたことがある、甚爾さん』
いつもならいきなり攻撃してくるのに、この日だけは違っていたため甚爾は違和感を持つ。
『なんだ、珍しいな。 いつもならくってかかって、地面に伏せてるのによ、まっいいだろ、聞いてやる』
『俺には良いところなんて一つもないと思っていた、これまで過去を考えても腐った人生しか送ってなかったからな。だがクッ……ハハハハ、こんなに簡単にいいところなんて見つかるじゃないか』
『テメェまだ餓鬼だろ、何人生語ってんだ? はえェんだよ』
思わずツッコミを入れてしまった甚爾。
しかし様子がおかしい、なんなんだこの違和感は。
『甚爾さんのおかげだ、ありがとう、感謝する――――、あの時良いところはないか?と聞いてきましたね、ありましたよ俺にも』
『………なんだ?』
『俺の良いところは』
信じられないことが起こった。
甚爾の腹部に拳が入った。
俺の目を疑いたくなった、奴の姿が見えなかった。スピード勝負で負けることはねェと、力で負けることはねェとそう思っていた。
その衝撃で吹っ飛びはしなかったが、腹部にいいのが入りやがった、俺にいてェと思わせるほどの威力、このクソガキ……。
しかも食らったところは、俺が最初に実戦トレーニングの際に殴った場所。
ありえねェ、と純粋にそう思った甚爾は後ろにいる、禪院将宗をみて笑みを浮かべてしまう、ありえねェことが起きると笑いも起こるものだ。
『俺は、イケメンだ!!!』
そう宣言した男禪院将宗は、下を向くのではなく、前を向き、禪院甚爾を見つめ、禪院家のイケメンこと禪院将宗が降臨した。
はい、満足しましたかでしょうか。
私は満足しました(多分誤字いっぱい)