「はじめまして指揮官。本日から、指揮下に入りますフェアリーテイルモデル01,ターリアです。よろしくお願いします」
「あぁ、こちらこそよろしく頼む」
「えっと、他に挨拶させて頂く方はいらっしゃいませんか?」
ボクはリリーバイスに連れられて、指揮官との顔合わせに来ていた。今日から、憧れのゴッデスの一員…上手く言葉にできないが込み上げてくる何かがある。
ただ、この部屋には他に人が居なかった。ゴッデスの主要なキャラクターは覚えているが、それを支える人たちも沢山いると思っていたから、ボクは戸惑った。
「「居ないな(わ)」」
「じゃあ本当にボク達3人だけなの⁉︎」
「そうだ、数日前に出来たばかりの部隊だからな」
数日前…時系列的に、ボクが助けられた時が初めての出撃だったのか?
「ボクっ娘なの、可愛いね。私には自然体で接してくれて構わないよ」
リリーバイスに茶化されて、少し頬が赤く染まる。
一人称がボクであることについては、理由がある。気づいたらボクと言っていたのが1番の理由だ。そして前世では俺、そしてニケになる前は私といっていた事には気づいたが、ニケになってからは何となく違和感があるため、そのままにしているのだ。
「リリーバイス、茶化さないで。ボクは子どもじゃない」
「んー?私と仲良くしてくれないの?同じ部隊の仲間じゃない」
リリーバイスがボクの頭を撫でながら、耳元で囁く。
折角同じ部隊になったんだ、適度な距離を保って、ボクは頼りになる戦友を目指すぞ!戦友…戦友に…あわわ、声が良過ぎる、良い匂いもする…アタマがふわふわしてするんじゃぁ。
「し、自然体で仲良くしましゅ…」
「ふふっ,ありがとう!」
出会ってからそんなに経ってないのに、すっかり懐柔されてしまった気がする。
全部前世の記憶がわるい。
ーーーーーーーーーー
「ターリア、体調はどう?」
ゴッデスに配属されてから数週間、リリーバイスは良く調子を尋ねてくる。
何もしてないんだから、調子なんて悪くなりようがない。
「いつもそれ聞いてくるよね、ボクはニケなんだから病気になんてならないでしょ。それにボクだけずっと待機だし」
寂しかったの?とリリーバイスはいつもの様に揶揄ってくる。そういう役目はボクじゃ無いので、是非スノーホワイトにしてあげて欲しい。そしてそれを近くで眺めさせてほしい。まだ居ないからしょうがないけどさ。
それに指揮官とリリーバイスは、あれからいくつか出撃命令を受けているが、ボクはずっと待機を命じられていたのだ。
少しくらい、いじけても許されるんじゃ無いだろうか。
現在のボクのスペックは、リリーバイスの半分といったところだ。リミッターを解除して全力を出せば、リリーバイスと同等のパフォーマンスを出せるが、5秒後には木っ端微塵になる。
色々と検証した結果、ある程度の時間なら50%の出力で戦闘行為が可能である事が判明した。だから、リリーバイスの半分なのだ。
でもリリーバイスの半分って、十分お化けだからね?多分だけど、他のゴッデスと同じくらいの能力はあると思うよ。
戦闘スタイルをどうするかは悩み中だ。一応銃火器は一通り使える様にしたけど、特にどれが使いやすいとかは無かった。ゴッデスにいない武器種はショットガンだけど、スノーホワイトの武器はオールインのセブンスドワーフだし、紅蓮もロケラン扱いだったり、アサルトライフル扱いだったりしてたし、そんなに気しなくてもいいか。
紅蓮と言えば、彼女みたいな近接戦闘も試してみたいけど、ニケ用のブレードはまだ存在しないみたい。だからといって誰かさんみたいに素手で戦うつもりはないから、それはまだお預けかな。いや、素手ってなんだよ。ホント意味わかんない。
何を言いたいかっていうと、ボクはいつでも準備できてるってこと!
「ニケになるっていうのは簡単な事じゃないんだよ?自ら志願した人でも、ニケのボディに適合出来ないとこも多い。まして、瀕死の状態からニケにされて、正常に起動したケースはアナタが初めてなの。だから慎重になっているんだよ」
リリーバイスが世界初のニケ適合者だったから、ボクは2人目の適合者だ。運用に慎重になるのも頷ける。貴重なサンプルを失うのは勿体無いからね。起動した時に、故意的とはいえ、一部爆発してしまったことが裏目に出ていたのか…
でもドロシーの為に仕方がない事だったし、あれ以外の選択肢は無かった。今、ボクが生きている対価として、甘んじて受け入れよう。
そういえば量産型が出てくるのはどのタイミングなんだろう。設定では適性が低かったら量産型にされて記憶消去をされるみたいな話だった気がするけど、明言はされてなかったか?
普通に考えると、
ニケの第一世代がフェアリーテイルモデルで、第二世代がシンデレラ、原作の時間軸だと第九世代だったけど…シンデレラと合流しようとした段階で、量産型ニケはもういた気がするんだよね。なら、やはりその間か。
量産型ニケについては、不遇な描写が多かったが、色々な面で彼女らの存在は必要不可欠だ。量産型ニケの生産を止める事はできない。
無論ボクは全力で彼女たちを守ってみせる。それが贖罪になるのかはわからないが。
「ーーターリア、聞いてる?」
「あ、ごめん。考え事してた」
「もう!だから開発局から、やっとアナタの出撃許可が下りたの。次の作戦からは一緒に来てもらうから準備しておいてね」
「ホント⁉︎わかった!期待しててね、リリーバイス!」
ついに、ボクも出撃する時が来た。
そして迎えた、出撃の日。作戦内容と作戦地域のマップは頭に叩き込んだし、イメトレも何度も繰り返した。大丈夫、ボクならやれる。
「心配しないで、私がいるんだから万が一も有り得ないよ」
「俺もな」
少し表情が固いボクを気遣ってか、隣に座っているリリーバイスと指揮官が声を掛けてくれる。
今日の任務は殲滅戦だ。
先日、割と大きめの街がラプチャーに占拠された。住人はシェルターに逃げ込めたが、いつまでも隠れ続けることは不可能だ。
したがって、街を我が物顔で闊歩するラプチャーを殲滅し、シェルターに取り残された人を救い出す。
「別に心配なんてしてない!待ちに待ったボクの初陣なんだから」
殲滅といっても、シェルターや街への被害は最小限にする必要があるため、小回りの効くゴッデスに作戦指令が下った。
報告によるとその数は30体ほど、まだこの時代ではラプチャーの分類が進んでいないが、その規模ならロード級が最低一体はいるだろう。
リリーバイスがいる以上、敗北は無い。でもそれは何もしなくて良い理由にはならない。これからの戦いのために経験値を積んでおかないと!
さて、初陣だよ。
戦闘行為を開始する為、出力制限5段階に変更
戦闘可能時間算出…完了
2820秒間の戦闘行為が可能です
実行しますか?ーー
ーーもちろん、さぁ行こう!
頭の中の声の事は、ミクちゃんと呼ぶことにした。名前の由来はみんなが想像している通り、型番01繋がりだ。
作戦地域上空に到着した後、空挺降下を行った。
「リリーバイス、約束通り、最初はボクひとりで戦わせてね。自分の力がどれくらい通用するのか試したいんだ」
初陣である事も考慮し、リリーバイスのサポートを行う予定だったけど、無理を通させてもらった。このくらいひとりで片付けれないと、先が思いやられるのだ。
ゴッデスを救うなんて大それた目標を掲げる為には、それ相応のチカラを示さなければ。
「…わかってる、少しでも危なくなったらすぐ割り込むからね」
「ありがとう」
「…エンカウンター!」
これって戦闘描写する方がいいんですかねぇ…