公式様、ゴッデス関連の情報待ってます。
やりました。大勝利です。
過保護気味だった待機命令も終わり、遂に出撃したボクは、初陣でゴッデス部隊に相応しい戦果を上げることができた。
結局、バックアップに付いていたリリーバイスの手を煩わせる事もなく、ひとりで状況終了した。ミクちゃんこと脳内Siriのチカラもあったから2人かな?
シェルターに避難していた人は全員無事であり、ボクの事を見るなり囲まれて胴上げされそうになった。
ニケを胴上げなんて、確実に腰をやられるぞ…と思っていたら案の定、最初に持ち上げようとした男性が、腰を抑えて
…ちょっとだけ傷ついたけど。
それをどう勘違いしたのか、リリーバイスに高い高いされた。あの小さい子に良くやるやつだ。
リリーバイスの中のボク、幼すぎないか?リリーバイスよりチビとは言っても、それほど変わらないのだけど…
まぁ周りからどういった印象を持たれようと、今回の戦果は悪くない。今後は、積極的に任務で使ってもらえるだろう。有能な兵士を遊ばせておく余裕はないからね。
ボクの目標の根幹にもなっている、’ゴッデスを助ける'の第一歩になるはずだ。
リリーバイスの死因をボクは知らないが、予想ではラプチャーにやられたのでは無く、チカラの使いすぎによる寿命だと思っている。ゲームとしてプレイしていた時も、この眼でその力を見ている今も、最強はリリーバイスだ。戦闘で不覚を取るとは思えない。
ただリリーバイスのボディは短期決戦を想定して作られているため、寿命が少し短いのだ。戦闘での負担が減れば、きっと長生き出来るよね?
これからはなるべく、ボクが最前線で戦って、リリーバイスには指揮官のガード+最終手段として控えていて貰おう。暫くは戦闘経験を積みたいからという理由で認めてくれるだろう。それが通じなくなったあとのこじ付けも、また考えとかないとな…
ーーーーーーーーー
ここは軍務の資料室。初陣を白星で飾ってから、連日、任務に参加したが、以前としてボク達は連勝記録を伸ばしている。問題があるとすれば、リリーバイスが出る幕もなく戦闘を終えているため、リリーバイスが少し退屈そうにしている事くらいだ。今日は特に出撃予定も無い、オフの日だ。と言っても、緊急入電が入ってしまえばその限りでは無いけども。
ボクは出撃のない日は、日課の訓練を終えた後、この世界の歴史についての資料を読む事にしている。
ゲームとしてのNIKKEの記憶があるといっても、ニケになった時、この世界での記憶を失っているし、ゲームの記憶も、原作のちしかんの時代ならともかく、ゴッデスの時代の情報は空白の期間の方が長い。
いつ・どこで、何が起こったのかを覚えて、最新の情報をアップデートし続けないと、原作知識は何の役にも立たないのだ。人間の時のボクがまさしくそうで、情報を得る機会もチカラもなかった。それらを持ち得る現在、情報を使える状態にしないのは怠惰というものだ。
資料室に通ってしばらく経つが、既にここにある資料の大半に目を通した。
大きなイベントの時系列をまとめると、直近の重大イベントはドロシーの部隊合流だろう。先日、仲の良いニケ開発技術局の人に、3人目の適合者が見つかった事を教えてもらったので間も無くである。
この開発者の人とは、ボクが愛用している冷却装置を開発してもらった時に仲良くなった。今のボクは常に発熱して、エネルギーを無駄遣いする事で内部エネルギーの安定を図っているため、この装置がなければかなりの頻度で冷却水に浸からなければならない。というか実際そうしていて、それを見るに見兼ねて作ってくれたのだ。
おかげさまで行動時間が爆増した、頭が上がらないな。
正直なところ、最初はマッドサイエンティストだど思っていたんだよ。だってニケって人間の脳を使う以上、人体実験の賜物でしょ?ボクの起動の時も、ミクちゃんが爆発するって言ってるのに有無を言わさない感じだったしね。
でも話してみれば、気の良い人たちだった。人を殺すための兵器を作るより、人類を守る為のニケを作る事に誇りを持っており、ボクが自爆した時も、しつこく謝られたのが記憶に新しい。そんな人たちだから信頼できるし、守らねばと思う。
話しが逸れてしまったので元に戻そう。えっと、この世界の歴史の話だったね。
時系列を纏める過程で、いくつか違和感というか、辻褄が合わない点を見つけた。
その筆頭が三大企業とアーク、そしてラプチャーの襲来時期である。
論理的に考えれば、ラプチャーが侵略を開始、それを踏まえて三大企業がアークを建設というのが一番納得できるシナリオだ。
しかし、実際はラプチャーの侵略開始時点で、アークはある程度完成の目処が立っていたのだ。記録によるとアークは数十年前には着工しているとあった。この記録が正しければ、人類はラプチャーの侵略前からそれに備えていた事になる。
災害に備えて、準備する事は珍しいことではない。昔から人類は、地震や台風、干害などの災害に備えて、倒れない建物を作ったり、水を貯めたりしてきた。
しかし、何者かの侵略に備えて、国家レベルの費用を投じるのは明らかに異常だ。
さらにラプチャーについても、謎がある。
特におかしいのが侵略初期だ。
最初、ラプチャーがラプチャーと呼ばれるようになる前、その目撃情報は極めて局所的なものだった。そのせいで、当時は都市伝説のように扱われて居た地域もあったようだ。当時の報道記録が残っている。
公的文書には、ラプチャーに対して当時の銃火器は有効打にならず、ゴッデス部隊が参戦するまで人類は全く勝てなかったと、歯が立たなかったとある。それは原作と同じではあるが、そんな状態で、何故人類は滅びなかったのか?
極論、ゴッデスが、リリーバイスが生まれる前に総攻撃を受けていれば、もう勝敗が決していても不思議ではない。まるでラプチャーは人類が反撃するのを待っていたようにも思える。まるで人類が
そして人類が事前に、何かを察知していたのは間違いないだろう。混乱を避ける為、情報を秘匿することもあり得るだろうが、人類も一枚岩ではないのかもしれない。
ボクの考えすぎならいいんだけど、前だけでなく、後も気にしなくてはならないとは…少し、先が思いやられる。
いろんな事を思案していると、資料室のドアが勢いよく開かれた。
「ターリアいるな?」
入ってきたのは我らがゴッデスの指揮官だった。
「指揮官、出撃ですか?」
「そうだ、5分後に航空機で出撃する。ブリーフィングは移動中に行うからそのつもりでいてくれ」
「了解しました。残念ですね、指揮官には久々の休みだったのに」
「全くだ。哀れに思うなら、さっさと終わらせる事に協力してくれ」
「しょうがないなぁ」
ーーーーーーーーーーーー
今日はビックイベントがあります。ドロシー様の起動です。リリーバイスとボクも立ち会うことになりました。
あとで聞いた話によると、ボクの起動実験の時リリーバイスが居たのは、万が一ボクが暴走した時の保険代わりだったみたい。リリーバイスに介錯されてた可能性も微レ存だったわけか。彼女の手を汚す事にならなくてよかった。
さて、ボクの中のミクちゃんによると、ドロシーの設計は、何も問題はないとの事。
理想は、ボクと同様、頭の中にミクちゃん的なセーフティリミッターを設ける事だ。それができれば、もしもの時には無理やり出力を上げる事ができるようになる。
…いや、それは良くないな。そんな時が来たなら死ぬのはボクだけで良い。
それに、ミクちゃんは偶然の産物であり、再現性はない。将来的にNIMPHの解析が進めば可能かもしれないけど、それはちしかん達のいる100年後の時代でも出来てなかったことだ。どっちみち、ないものねだりという訳だね。
「それでは、フェアリーテイルモデル02,ドロシーを起動します。ゴッデス部隊のお二人は、念のため準備をお願いします」
「はい」
遂にこの時がきた。ドロシーに万が一がないように、何度も設計図やシミュレーションに関与してきた。やれることは全部やった、後、ボクに出来る事はお祈りするくらいだ。
技術者が仰々しい操作パネルを操作し、最後にレバーを引くと、ベッドに寝かされたニケに命が宿り、目を開いた後ゆっくりと起き上がった。
「どうやら、無事にニケになれたようですね」
立ち上がって、純白の衣装を整える。そんな所作すら美しく、ゴッデス部隊の一部からお嬢様と呼ばれているのも納得だった。本人は、そう呼ばれるのを嫌っている様子だったが。
確か有名な政治家の娘なんだっけ、気安い関係に憧れていたりするのだろうか。
「起動成功、異常無し」という技術者の言葉を聞いて、ボクは胸を撫で下ろした。
よかった。ドロシーは大丈夫…
フっと身体の力が抜けて、倒れそうになったところを、指揮官に支えられた。
「おっと、どうしたターリア。大丈夫か?」
「ごめんなさい、ちょっと安心したら力抜けちゃって」
「あまり寄り掛かられると重いんだが」
…その一言がなかったら、素敵だったのに。
「ちょっと、指揮官!デリカシーなさすぎじゃないですか?」
「ぐふっ…リリーバイス、直ぐに手を出すのは止めろって言っているだろう。ああ、骨が折れた、コレは休暇が必要だな」
「あら、なら早くこの戦争を終わらせないとダメですね」
いつもの夫婦漫才を眺めているとドロシーが部屋から出てきた。いつの間にか、起動後のチェックが終わったらしい。
「何やら騒がしいので来てみれば…どなたですか?」
「あ、もういいの?私たちはゴッデス。アナタが所属する予定の部隊よ」
「…あなた達があのゴッデスですか?本当に?」
「そう。全戦全勝の最強部隊、かっこいいでしょ?」
「そうは見えませんね、熟年夫婦とその子どもに見えます」
「本当にそうだよね。ボクは仲良くていいと思うけど…え、子どもって言った?」
「はい、言いました」
悪びれもなく答えるドロシーは、本当にそう思っているのか、皮肉を言われているのか判断が難しいかった。そんなにボクは子どもっぽいのか?まぁ、成人してるようには見えないか。よし、ボクが立派な大人だってところをみせてやる。
「コホン!自己紹介がまだでした、ボ…私はターリア。フェアリーテイルモデル1番で、ゴッデス部隊に所属しています。一応あなたの先輩です。そしてこちらは同じくゴッデス所属のリリーバイス、そして指揮官です」
ボクが紹介すると二人が、手を振って応える。ドロシーは少し面食らった様子だったが、直ぐに持ち直して自己紹介をはじめた。
慣れた様子でスカートの裾を持ち上げ、カーテシーを行うドロシーは、とても絵になった。
「失礼しました、ターリア。私はフェアリーテイルモデル2番、ドロシーです。以後お見知り置きを」
なんだかこう丁寧に挨拶を返してくれると、認めてもらえたみたいで嬉しい。
ドロシーは一見、取っ付きにくい性格だが、多分、人付き合いが嫌いなタイプではない。彼女が何を好み、大切にしているのかを知っていれば仲良くなるのは簡単だ。そもそも、人の内面をある程度知っていれば、仲良くなれないことなどない。
改めてまじまじと顔を見ると…リリーバイスも美人だけど、ドロシーはまた違った系統の美しさだよね。何というか品がある。こんな事を言うとリリーバイスに「私は下品って事?」なんて詰められそうだ。
それにしても、ピンク色の髪で、こんなに清楚なキャラクターがかつて居ただろうか。…パンツは見えてるけどね。
軽く顔合わせを済ますと、指揮官とリリーバイスがドロシーをテストすると言い出した。
「本気?そんなのいらないと思うけど。それに事前にシミュレーションしてるんだから二度手間じゃない?」
「そうですね、私もそう思います。それに、いくら初対面とはいえ、あからさまに実力を疑われることは少し不愉快です」
「仲間が死ぬのはつらいでしょ?」
「だから、すぐに死にそうな者は最初から仲間にしない、と?」
「まぁ…冷たく聞こえるかもしれないけど、そういうことね」
「どうする?テストが嫌なら受けなくてもいい。その代わり、合流もなかったことになるけど」
「え、嘘でしょ。ボク、ドロシーが合流するのをずっと待ってたのに!」
「…いいでしょう」
ーー1時間後
「終わりました」
テストを終えたドロシーが、シミュレーションルームから出てきたのに、二人は反応を返さない。ただ目を丸くして、立ち尽くすばかりだ。
「…テストの結果がかんばしくありませんでしたか?十分な結果かと思いましたが、お二人の基準に合わないのであれば…」
「いや〜ドロシー君!ゴッデス部隊へようこそ‼︎」
「わあ、すごいわね。この記録はどういう事?本当に初めて?」
「だから言ったでしょ、テストなんていらないって」
「歓迎会をしよう。飲み会だ、飲み会!ちょうど会食費として支給されてるのに、2人では使わせてもらえない予算があってな。しかも期限は明日まで!」
「やっと3人で飲み会が…!」
「…よろしくお願いします」
さっきまで、少し気を張っていた二人はどこへいったのやら。二人ともすっかり歓迎モードになったみたいだ。ドロシーも変わり身の早さに戸惑っている。
「…ん?ちょっと待って。2人じゃ使えない予算って、ボクを連れていけばいいじゃん!なんでそんなギリギリまで使わなかったんだよ!」
「何でってお前。飲み屋に子ども連れでは行きづらいだろう。周りの目もある」
「ターリア、お酒は大人になってからよ」
「だから、ボクは!子どもじゃないって‼︎飲み会、絶対ボクも連れてってよ⁉︎」