エードはもちろん、ココアソーダプリドレのことが好きになる素敵なイベントでした。未読の方は是非!
先日の武器庫防衛をはじめとしたそれまでの戦果が認められて、移動式の拠点が与えられた。Red ashの時に出てきた飛空艇だ。指揮官曰く最新の技術が詰め込まれた超高機能移動要塞なんだって。わー!やったね!!
…と言ってもそれは建前で、別にゴッデス専用機ではない。単に使い勝手の良い部隊を、効率よく運用するための配置換えだ。上層部はゴッデスをこれまで以上に酷使するつもりらしい。飛空艇の外観は、ゲームに出てきたものと一緒だと思う。イベント中、遺失物を探し回ったから良く覚えている。
この飛空艇は拠点として、長くお世話になる筈だから大事に使わないとね。
ここが拠点になったという事は、レッドフードの合流が近いと考えていいだろう。きっと賑やかになるんだろうな…
引越しするにあたって、部屋割りを決めることになった。言い出しっぺはリリーバイス。
「ボク1番狭い部屋でいいよ。落ち着くんだよね、特に荷物もないから広くてももったいないし」
ニケになってから、ボクらはお世話になる基地で一人部屋を貰っていた。普通なら五人程度で相部屋であることを思うと、それはありがたいことなのだが、ボクには無用なお世話だった。ボクは特に私物がないため部屋が淋しいことになるのだ。別にミニマミストではないんだけどね。ドロシーやラプンツェルの華やかな部屋を見せてもらってから、余計に物の無さが気になるようになった。ボクの部屋は、最初からある備え付けのベットと鏡、あとは小さいハンガーラックくらいしか無いから、本当にただ寝るための部屋となっている。
物が多いとその分掃除も大変だから、無理に増やそうとは思っていない。リリーバイスみたいに部屋が散らかるのは嫌だしね。彼女の部屋が汚いのは、ちょっと解釈違いだったので定期的に片付けてあげている。それに甘えてか掃除のたびに、酷くなっている気もしているんだけど…
「居室は全部同じ間取りだ」
「…まるで電車で席を譲ろうとしたら断られたみたいな…なんともいえない気持ちです」
「それなら適当で良いのでは?なぜ態々…」
「くじ引きってなんだか楽しくない?」
それはわかる。リリーバイスに心の中で賛同しつつも、特に意味のないくじを引いて部屋の振り分けが決定した。空の上での生活を、なんだかんだ楽しみにしていたんだけど、今日は飛ばないらしい。飛行艇だからって四六時中飛んでいるわけではないと、考えればすぐわかる事だけど少し残念だ。
その夜、スノーホワイトの歓迎会を兼ねたささやかな決起集会を行うことになり、少しお酒を飲んだ。
「んん…なんか暑い…」
少し寝苦しさを感じて、夜中、風の音で目を覚ました。部屋は依然として暗いまま、夜はまだ明けないようだ。早起きにしてはやり過ぎだしまだ起きる気にはなれなかった。体勢変えれば夢の中に戻れると思い、寝返りを試みるも上手くできない。なんか重い…?それにしても風が強いな。
辛うじて顔の向きだけを変えて、目を開くと、リリーバイスのご尊顔がすぐ目の前にあった。半酩酊状態だった意識はすっかり覚醒したが、思考が纏まる事はなく頭が真っ白になる。
「???」
なんで?リリーバイスがここにいるの?あ、まつ毛なっが。顔が良すぎる…じゃなくて、ここボクの部屋だよね?ボクのベットだよね??
今ボクは仰向けに寝転がっていて、天井を見上げている。そしてそのボクを抱き枕のようにしてリリーバイスが眠っていた。寝返りが打てなかったのは彼女の腕と足が絡みついていたからだ。そんな状況を理解して、再び頭が真っ白…いやピンク色に染まる。
ちょっと待って、密着しすぎ…ッ!色々と柔らかい感触がぁ…そしてさっきから聴こえていたのは風じゃなくて、リリスの寝息だったことに気づく。
「…んぅ」
「!!」
びっくりした。目を覚ましたのかと思った。こんな状況で目覚められたら通報案件だ。リリーバイスの布団に入り込んだ変態として、お縄につくことに…いや待てよ…本当にそうか?
ボクは女の子でニケだ、別に問題はないのではないだろうか。それにここはボクの部屋…だよな。なら恐らくリリーバイスが間違えて布団に入ってきた以上、不可抗力という奴なのでは…?せっかくなんだからこの状況を楽しんでも…
…いやいやダメだよ!と脳内で天使と悪魔が言い争っている。ボクは悶々としていると、いつの間にか眠りに落ちていた。
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鳥の囀りに目を覚ました時は、リリーバイスは居なかった。あまりにリアルな感触だった。思い出して顔が紅くなる。
「ボクはなんて夢をみてるんだ…顔見れなくなったらどうしよ」
そんなことを考えながら着替えていると、リリーバイスが部屋に入ってきた。
「もう起きてたんだ」
「う、うん。こんな早くからどうしたの?」
どうしよう…本当に顔が見れない。こんな不純なボクでごめんね…
「ちょっとおかわり貰おうと思って」
「おかわり…?」
リリーバイスはそういうと、ボクに抱きついてきた。さっきのは予知夢だった…⁉︎
あれ、この感触…夢と一緒……あれぇ?
「う〜ん。良く眠れた気がする」
窓から差し込む朝の陽光に目を覚ましたリリーバイスは、身体を起こしひとつ大きく伸びをする。ふと違和感を覚えて傍に目を向けると、彼女が可愛いがっている妹が抱きつきながら眠っていた。妹といっても彼女は姉と呼んでくれないのだが。周りをみると飾り気のない、がしかし整頓された部屋だった。ここは未だ夢の中にいる彼女、ターリアの部屋であると確信した。
昨日の記憶が徐々戻ってくる。昨日はお酒を飲んで、そのあと自分の部屋に戻る途中、何となくターリアの部屋に入った。そしてあまりにも気持ちよさそうに眠るターリアに、魔が差してベットに潜り込んだのだ。すぐ起きると思っていたのだが、ターリアもアルコールのせいか熟睡しており、むにゃむにゃと寝言を発するのみで目を覚ます気配はなかった。そうしている内に自身も眠くなってそのまま眠ってしまったのだ。
リリーバイスはターリアを起こさないようにベットを抜け、掛け布団をかけ直して静かに部屋を出る。その表情はいつも以上に晴れやかなものだった。
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スノーホワイトが合流してから少しして、ゴッデス部隊宛てに荷物が届いた。しかし配達員の姿はなく、ただひとつ大きな箱が作戦室に置かれている。昨日までこんなものはなかったはずだ、昨夜は酒も飲んでいないから間違いない。
「この箱は何だ…?」
「え?指揮官が頼んだものでは?」
「人でも入ってそうな箱ですね」
「…開けてみましょうか?」
「ダメだ、爆発物が入っていたらどうする」
この場に心当たりのあるものは居ないようだ。不審な箱を開けようとするドロシーを制止する。
「爆発物でも、危ないのは指揮官だけですよ」
「…じゃあ、私の前に誰か立っていてくれ」
私がそう指示すると、リリスがため息を吐きながら、何か言いたげな目でこちらを睨んでくる。
「何だ、その顔は。命を大切にするのが間違っているのか?」
「間違ってはいませんけど…本当に情けないですね」
「死んだら頼りようもないだろう」
「そうだ、ラプンツェルに頼もう。何とかフィールドとか言うのも展開してくれ」
「…わかりました」
「そういえば、ちびっ子二人はどこだ?」
ここにいない二人を思い出して、所在を訊ねた。もしかしたらどちらかが頼んだ荷物なのかも知れない。しかしスノーホワイトが頼んだ荷物なら工房へ直接運ばれるだろうし、ターリアが何か頼んだとすれば、誰かしらかに情報を共有しているだろう。もっともあのミニマリストがこのような大きい荷物を頼むとも思えないが。どちらにせよやはり不審な荷物であることには違いない。
「その呼び方、怒られますよ。スノーホワイトは緊急で対応しなければならない問題があるそうで、工房にいます。ターリアは…寝坊です」
「スノーホワイトはともかく、アイツは何をやってんだ…」
「やれやれ、じゃあ開けますよ?」
問答を繰り返している間に、鋼鉄製の箱のフタが開いた。なんとも言えない沈黙がながれる。指揮官が箱を覗き込もうとすると、箱の中から人が登場した。
「サ、サプラーイ…あだっ…!ううっ…足痺れた…!ニ、ニケになっても足は痺れるんだな。知らなかったよ」
「…どちら様でしょうか?」
「ちょっと待ってくれ、足を伸ばしてから…ふぅ。あ、治ってきた」
「指揮官、この人…」
「今日来ることになっていた新人のようだな」
「おう、お前らがあのゴッデスか?アタシはレッドフード!よろしくな‼︎」
昔の歌が好きな好きなやつはいないか?というレッドフードの問いかけに答える者はいなかった。マイペース過ぎる新人に、面食らっているのだ。沈黙を否と受け取ったレッドフードは、話を進める。
「好きじゃないって?じゃあ、こっち来なよ。聴かせてやるから、聴いたらすぐハマるぞ?」
「どちら様…ですか?」
話についていけないラプンツェルが、再度戸惑いの声を上げた。
「ん?レッドフードだって言ったろ?今日からゴッデスに合流するんだ。フェアリーテイルモデル5番だったかな…?」
「…どうして、箱に入っていたのか教えていただけますか?」
「そりゃあお前、普通に登場したらつまらないじゃん。だからサプライズを用意したんだけど…お前ら時間をかけすぎだぞ。慎重なのもいいが中で縮こまってるやつの事も考えてくれよ」
「普通は…そこまで考えたりしないかと」
「おお!ここがお前たちが暮らしてる場所?飛行艇か、景色良さそうだな〜」
レッドフードは勢いよく箱から飛び出して、周囲を見渡した。
「ちょっと息苦しいからさ、窓開けてもいいか?」
「ダメではないでしょうか…飛行艇ですので」
「そうなのか?じゃあ、あたしの部屋はどこだ?せっかくなら外の景色が見える場所だといいな」
少しの問答ではっきりした。また個性の強い奴がやってきたらしい。また賑やかになりそうだ。
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おはようございます、ターリアです。ゴッデス部隊に新人がやってくる、ということで昨日、夜遅くまで作業をしていたスノーホワイトに付き合って話をしていたら、すっかり寝過ごしてしまいました。
大急ぎで身支度を済ませて、作戦室に入ると見慣れない…正確にはこの目では見慣れないですが、赤色に映える長髪が視界に入りました。
ボクとした事が、レッドフードの合流エピソードを見逃してしまったようだ。寝過ごしたって言ってもまだ10時だぞ?レッドフード早起きすぎ…
作戦室ではいつも通り指揮官とリリーバイスが仕事に追われていた。寝坊したといっても、ゴッデスのニケは任務が無ければする事はないのでサボりではない。リリーバイスが指揮官を手伝っているのは、完全なる善意だ。部隊長としての仕事も多少はあるだろうが、割合としては少ない。
ボクはする事がなければ手伝うようにしているが、基本的には自由な時間を過ごしている。スノーホワイトや技術局の人たちと兵器開発をしたり、ラプチャーの論文を書いたり、自主訓練を行なったり…意外にやりたい事が多いのだ。
実際、今もラプンツェルは祈りを捧げているし、ドロシーは我関せずといった顔で優雅にティータイムを過ごしている。ゴッデスでは見慣れた光景だ。だがレッドフードからすると珍しかったのか、ドロシーが絡まれていた。
ドロシーはズケズケと距離を詰めてくるレッドフードとどう接していいのか、距離感を測っている感じだ。これまで出会ってこなかったタイプの人種だからだろうか?語弊を恐れずにいうならお嬢様とヤンキーだもんね。創作物の中では良くある組み合わせだが、実際のところ、普通に生きていたら出会うのは稀だろうし、大袈裟に言えば未知との遭遇って奴だ。
「…!ターリア、おはようございます。良く眠れましたか?」
「うん、お陰様で」
ドロシーがボクに気づいて朝の挨拶を交わすと、振り返ったレッドフードと目が合う。少しタイミングがズレたが、これが彼女とのファーストコンタクトだ。
時に人は、第一印象でこれからの付き合い方を決めるといわれている。差し当たって、ボクはレッドフードとどんな関係を築けたらベストかを予め考えていた。
レッドフードは物怖じしないフランクな性格をしていて、仲間思いのいい奴だ。放っておいても、みんなと仲良くなっていくだろう。ボクも仲良くなりたいのは言うまでもないが、ただひとつスノーホワイトと同じポジションに収まるのは避けたいと思っている。やっぱりファンとしては、スノーホワイトとレッドフードの関係性は唯一のものがいいからね。
なんでこんな心配をするのかって?わかるよ、ボクも不思議に思っているからね。これは大変遺憾なのだが、何故かボクはスノーホワイトと並んで子ども扱いを受けることが多い。スノーホワイトは、みんなの妹!って感じのキャラだからわかるよ?実際に1番年下だろうしね。でもボクはそうじゃないでしょ?おっちょこちょいとか、そそっかしいとかならまだわかる。でもそんなことはないし、戦闘ではそれなりに頼りになるはずだしで、全く思い当たる節がない。我、フェアリーテイルモデルの1番ぞ?
「初めまして、レッドフード!ボクはターリア、困ったことがあったらボクに何でも聞いて!先輩として助けてあげる」
そういうわけで、レッドフードには頼りになる先輩として慕われる路線でいくことにした。これなら既存のカップリングはそのままに、特等席でスノーホワイトとレッドフードの尊みを享受できる。まさしく一石二鳥だ。ボクは意気揚々と自分の胸を叩いた。
「先輩ねぇ…なら早速教えて欲しいんだけど、いいか?」
「もちろん!何かな?」
「例えばの話なんだけどさ。部隊の先輩が寝坊して、ボタンを掛け違えてる時は教えてやった方がいいかな?」
「へ?」
トボケたトーンで話すレッドフードの視線を追って、視線を落とすとボクの服のボタンがひとつズレていることに気付いた。
「そ、そういう時は、教えてあげた方がいいんじゃない…かな…///」
「やっぱりそうか。教えてくれてありがとな、《先輩》」
レッドフードは上擦った声を必死に隠し、急いで服を整えるボクを見て、意味深に先輩と呼んだのだった。
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さて、第一歩から躓くどころか、派手に転んでひっくり返ったがそんな事でへこたれるボクじゃない。マリー・アントワネットも言ってたしね。『第一印象がダメなら、巻き返せばいいじゃない!』って…え、なんか違う?まあ、ボクの頭の中ントワネットはそういってるから。
「スノーホワイトにはまだ会ってないんだよね」
「あぁ、アタシの前に合流したやつだろ?」
「うん。スノーホワイトの武器は世界一なんだ、レッドフードも作ってもらうといいよ」
「ふーん」
ボクはレッドフードをスノーホワイトと会わせるために、船内を案内をしていた。頭の中はまだ見ぬ二人の掛け合いでいっぱいだ。取り留めない話をしながら歩いていると、すぐにスノーホワイトの部屋に到着した。
声をかけると、ちょうど作業に区切りがついたという事で、部屋にお邪魔した。
「もしかしてそちらの方がレッドフードですか?」
スノーホワイトはレッドフードを見るなり、礼儀正しく自己紹介を行った。
「スノーホワイトなんて、名前からして冷たいヤツかと思ってたのに、全然そんなことないな!」
リリーバイスも同じことを言っていた。流行ってるのか?それを言ったらレッドフードだって赤ずきんとはかけ離れてるけど…そういえばボクにもモチーフとかあるのかな?あまり詳しくないのでわからないが、一応フェリーテイルモデルなら、何かのおとぎ話が由来になっていると思う。まあ他のゴッデスを見るに、ストーリーや性格とは関係ないだろうから気にするほどのことでもないか。
「アタシはレッドフード。フェアリーテイルモデル5番だ…でもおかしくないか?普通レッドは1番だろ〜」
「そういえばドロシーが2番、ラプンツェルが3番なら1番は誰なんだ?やっぱりリリーバイス?」
「1番なら目の前にいますが」
「ま、まさか…!」
きたっ!先輩の威厳を見せるチャンスが!いいパスをくれたスノーホワイトに感謝しつつ、ボクは高らかに名乗り出た。
「フフン、何を隠そうこのボクが1番だ!」
「なん…だと…ッ」
「逆にそれ以外ないでしょう。ターリアを何だと思っていたんですか?あとリリスお姉ちゃんは強いていうなら0番ですよ」
なんだととはなんだ。やっぱり第一印象で失敗したのが尾を引いているのか、レッドフードは、信じられないといった様子で目を丸くしていた、失礼な奴め。
まあ、揶揄い上手というか、茶化すのが好きというか…それは彼女の良いところでもあると思うので文句はない。
ただ、ボクが舐められてるだけでは無いと信じたい…違うよね?その点スノーホワイトはなんて良い子なんだろう。この二人があんなに仲良くなるというのだから、人の相性というのはわからないものだ。
「そうだな…番号でいえば7番くらい?」
「おい、ボクは先輩だって言ってんだろ!」
「あはは…悪かったって、そうカッカするなよ」
「してないが!?」
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次の話、箇条書きで5行くらいしか書けてない…ボソッ