魔法世界の実力者になりたくて!   作:Assassss

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高評価ありがとうございます。

前編のようなものです。

タイトルの要約: アウラ、良ボスになれ。


アウラ、フリーレンと戦え。ただし相手が負けそうなら油断しろ。天秤には必ず妨害可能なモーションをつけろ。ゾンビ兵の連携技に命名しろ。状況や思考は逐一言葉にしろ。自慢の技なら解説しろ。敵がエリア外に追い込

グラナト領の地下牢から脱獄したフリーレンは、アウラを倒すために街のはずれに向かっていた。シュタルクとフェルンは、和睦を装って来た魔族の相手に向かった。

フリーレンは、80年前の勇者ヒンメルとの旅の時にもアウラと対決している。その際は撃退止まりであったため、フリーレンは今回こそは確実に仕留める心づもりだ。

街のはずれ、遠方に領が見える荒野にアウラはいた。

 

「久しぶりだね、アウラ。」

「……そうね!80年振りね!」

「この先の街に」

「この先の街には何としてでも行かせてもらうわ!あの街にはきっと何万の人間が居るのでしょうね!ああ、たくさんの人間を蹂躙するのが今から楽しみで楽しみで仕方ないわ!一体彼らはどんなゲシュライ(悲鳴)を響かせるのかしら!?……えーと……さ、さあ、この私の服従させる魔法(アゼリューゼ)でお前を操り人形にしてあげる!でもその前に、行きなさい!我が不死の軍勢たちよ!」

「……よく喋るね。」

 

前に会ったときも格段に口数が多いアウラに違和感を持ちつつも、フリーレンは不死の軍勢の攻撃への対処をする。

不死の軍勢はことごとくが首なしである。アウラの服従させる魔法(アゼリューゼ)は、強い意志がある人間に対しては効果が軽減される場合がある。そのため、アウラは頭部を切除することで判断力どころか意思そのものを消すという何とも惨い処置をしていた。無論、意思がないせいでもとより動きは精彩を欠いたものにはなる。しかし軍の一員として役立つ程度の動きはできるのだ。

戦い慣れしたフリーレンにとっても脅威となる軍勢であったが、彼女はその軍に攻撃せずに回避に専念してアウラを見ていた。

 

「前会ったときと比べて全然攻撃してこないわねフリーレン!前はもっとガンガン吹き飛ばしていたじゃない!あと時と同じことをされていたら即服従させる魔法(アゼリューゼ)していたけれど、そんな風に舐めた真似をしてくれるならあなたの魔力をじわじわ削ってから確実な服従させる魔法(アゼリューゼ)をしてやるわ!」

「……本当によく喋るね、アウラ。前の時は、あの後にヒンメルに怒られたからね。」

「あのヒンメルは確かに脅威だったわ。まさかあんなスピードで服従させる魔法(アゼリューゼ)を妨害するなんて力技をしてくるなんてね。でもね、ヒンメルはもういないじゃない!あのパーティの1/4の戦力であるあなた一人が、そのうえいない人間の言葉に縛られるあなたが、私に勝てるわけないじゃない!」

「……」

 

フリーレンは、かつての仲間を軽視する発言に静かに激昂した。もともとフリーレンは、寿命が短い人間であるヒンメルのことを知ろうとしなかったことを後悔し、より人間のことを知ろうと旅をしたという経緯がある。なので、アウラの発言はフリーレンの過去の過ちを想起させる地雷であったのだ。

フリーレンは、不死の兵の前で魔法を使った。すると、影響を受けた兵の身体からアウラの魔力が抜け、途端に力が抜け死体らしく倒れこんだのだった。吹き飛ばしたりせずにわざわざ解放するための魔法は、相応に魔力消費コストが大きい。かつて戦った者たちへの敬意をもっての行動だった。

 

「驚いたわね。まさかこの私の服従させる魔法(アゼリューゼ)を解除するなんて!誇りなさいフリーレン、服従させる魔法(アゼリューゼ)を解除できたのはあなたが初めてよ!この服従させる魔法(アゼリューゼ)は、魂に作用する魔法。解除するためには、私の魔力によって捉えられた魂を解き放つ必要がある。目に見えない魂に作用する魔法はとても習得が難しいと言えるわ。フリーレン、あなたは私の次くらいに高みに居る魔法使いかもね!」

「…………」

「でも、そんな高度な魔法、果たしてあと何発撃てるのかしら?高度な魔法には相応の魔力消費がついてまわるものよ。その魔力消費で私の軍勢をすべて解除するなんて、あなたの保有魔力からして不可能!私だって全体の半分くらい解除したところで魔力が尽きる消費だったわね!」

 

本来ならばフリーレンは、作戦上いかに自分の魔力消費を抑えつつアウラに服従させる魔法(アゼリューゼ)を使わせるかを考えなければならなかった。フリーレンは日頃から魔力を制限している。そうして魔族に自分の魔力量を誤認させ、油断したところを仕留めるというのがフリーレンの上等戦術だった。特に対アウラの場合、アウラがフリーレンの偽装した残魔力量から服従させる魔法(アゼリューゼ)をする判断をすれば、それで勝負が決するという状況だった。

しかし、フリーレンは今、別のことを考えていた。

 

(明らかにアウラの様子がおかしい。なんでこうもペラペラしゃべる?言葉だけだと気分が高揚しているように見受けられるけど、顔は全然楽しくなさそうだ。)

 

アウラは先ほどから大仰と言っていいほど喋る。発言内容にはアウラ自身の戦闘スタイルの情報などもあり、明らかにアウラは言わない方が良いことを言っている。このように口が軽くなる状況というのは、本人が勝ちを確信しているなど、油断や気分の高揚などが考えられるだろう。しかしアウラの顔は、それとはむしろ反対に何か苦しそうだった。時々頬がピクピク痙攣し、こめかみには常に皺が寄り、釣り上げようとしたらしい口角はすぐに下がってしまう。

 

(何かに操られている……?いやでも、操られているとしたら、その操っている『誰か』は何が目的なんだ?操られているとしたら方法はおそらく天秤で逆に服従させられたとかだけど、アウラより魔力を持っている存在なんてそうはいない。それに、そんな存在にとってアウラがこうすることによるメリットなんて何もないはずだけど……。ダメだ、戦いながらだと考えがまとまらない。)

 

フリーレンは不死の兵の攻撃を避け、アウラの服従させる魔法(アゼリューゼ)を解除を続けていた。それと並行しての考察は、さすがに難しいものであった。

 

「フリーレン、どう?私の不死の軍勢は強いでしょ?彼は判断力を失った代わりに、私の魔力が通っている。つまりそれは、生きてた頃よりも強い力を出せるってことなのよ!そしてあなたは、律儀に私の服従させる魔法(アゼリューゼ)を解除し続けている。これはつまり、兵に接近されたら必ず魔力を消費せざるを得ないっていうことよ!不死の兵の攻撃を貰ったら、あなたと言えど大ダメージなんだからね!」

(……アウラのことを考えるのは後にしよう。早く私に服従させる魔法(アゼリューゼ)を使わせないと。いや、もうしばらく様子見するべきかな。なんか勝手に情報をペラペラしゃべってくれるし。)

「次は不死の兵たちの面白い芸を見せてあげるわ!食らいなさい!不死兵奥義その1!三重の剣波(シエトウェール)!!!」

 

そういうと、剣を持っていた三人の兵がフリーレンに襲い掛かった。今までより一段高いレベルの動きをして、フリーレンに三方向から時間さを持って襲い掛かった。もしフリーレンが解除魔法で対応しようとした場合、確実に一人は解除できずにフリーレンは攻撃を食らっていただろう。だが、フリーレンは冷静に耐物理攻撃用の防御魔法を展開することでしのぎ、そののちに服従させる魔法(アゼリューゼ)を解除した。

 

「……今の動き、なんでか知らないけどずいぶん練習したみたいだね、アウラ。」

「今の技を凌ぐなんて、やるわねフリーレン。でも、私の不死兵奥義はまだあと47も残されているのよ!」

「……はあ。なにそれ。シュタルクでもそんなネーミングセンスはしてないよ。」

「……っ。うるさい、そんな顔をして、私を馬鹿にしているつもり!?」

「さっきから自分の情報をペラペラ喋ってるし、どう考えても馬鹿だよね。」

「う、うるさい!私だって、私だってこんな……!」

「……なんなの?」

「……うう……お前だけでも、お前だけでも殺してやるわ!不死兵奥義その2!肉の弾流(フォティゾーエ)!!!」

 

アウラがそう言うと、不死の兵たちが次々とフリーレンに襲い掛かった。動きは大して技巧のあるものではなかったが、全員が捨て身で襲い掛かってくるので物量がある攻撃だった。

フリーレンは、防御をあきらめ回避に専念することを選択した。しかしその中には、魔法を使う兵や矢を放つ兵もおり、その対処には防御魔法を使わざるを得なかった。それがフリーレンの残魔力量を削っていく。

アウラは、まるで後のことなど考えずに不死の兵を消費していった。肉の弾流(フォティゾーエ)と称する捨て身攻撃では、肉体の損耗が激しく、しばらくすると倒れ伏す兵が現れた。普段のアウラならばこのような使い捨てのやり方はしない。

その倒れる兵を見て、フリーレンは歯噛みした。彼らを弔ってやれなかった。倒れた兵は、他の動き回る不死の兵になんの遠慮もなく踏みつけられているのだ。最後までアウラに立ち向かったであろう英霊にしてよい扱いではなかった。

 

「……お前たち魔族は、死者への態度というものをまるで理解していないようだね。死者は踏みつけるものじゃなく、弔うものだ。」

「?なによそれ。なんで死んだ人間のことをいちいち気にかけるの?そもそもが寿命が短くてすぐ死ぬ生き物なのに。」

「……本心か。やっぱりお前たちはどうしようもないバケモノだ。遠慮なく殺せる。」

「……ふ、フン!やってみなさいよ!」

 

アウラは攻撃を続けた。未だ不死の兵の数には余裕がある。

 

(……どうしようか。アウラが天秤を使う気配がない。頭から抜けているのか?さっきから変な連携攻撃を主体にしたり、数に物を言わせた攻撃をしたり。このままいくと私の魔力量が心配になってくるし、少し挑発をしてみるか。あと、魔力制限をもっと強くして、限りがある魔力をドンドン減らしている演出をしないと。)

「……天秤を使わないのは、私のことを舐めてるの?このままだと私、解除魔法の達人になりそうだよ。それともヒンメルにやられたときのことがトラウマなのかな?」

「ふん!そんな安い挑発には乗らないわ。私が天秤を見せた途端に魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)を撃つつもりなんでしょ?」

「まあね。」

(実際は作戦抜きでもやりたくないけどね。多分撃ったら何人か確実に傷つけてしまう。……いや、それはともかく、私の魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)を警戒しているのか?ならもう少し魔力を消費し続けて魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)を撃つ余裕がないことと思わせないと。)

 

その後もフリーレンはしばらく戦っていたが、やはりアウラは服従させる魔法(アゼリューゼ)を使うことは無かった。フリーレンは魔力以外のところでも少しずつ疲弊していく。

 

「……あっ」

 

二人の不死兵の攻撃を避けたところ、互いに攻撃する形となり、二人は見るも無残な姿になってしまった。戦闘序盤ならばフリーレンはこのようなことにも配慮できたが、戦闘が長引いた疲労が出た形となった。

 

「……ごめん。」

 

フリーレンは思わず口に出した。

 

「フフフ、疲れてきたんじゃない?フリーレン。私はここから一歩も動かずに魔法制御をしているから体力は有り余っているけど、あなたは動き回る必要があるわよね。その意味わかんない縛りのせいで。……あああ、もう!本当に意味不明だわ!なんなのよ、これは!」

「……今度は何?私が死者に敬意を払ってることがそんなに変?」

「それもあるけれど……それだけじゃなくて!あああ、もう嫌!……うっ!」

 

アウラは言葉を途中で不自然に止め、胸をあたりを押さえた。

 

(……アウラの中に魔力の乱れが感じられた。やはり今のアウラは誰かに服従している状態だ。で、今の発言は命令の範囲外だったということか。おそらく今のがアウラの本心……じゃあ、あの情報ペラペラしゃべっているのが命令ということか。)

「……さ、さあこんなのはどうかしら!?不死兵奥義その17!交差する剣と光(シアテアンリッシュ)!」

 

14歳程度の少年が考えるようなネーミングセンスの技名を叫びながら、引き続きフリーレンを攻撃するアウラ。フリーレンの頭の中に、一人の男が思い浮かぶ。

 

(……シャドウ。あの男ならば、このアウラを服従させることも十分可能。)

 

シャドウは今まで、フリーレン達の前に現れては何かしらのメッセージを残していった。フリーレンは、今回もそうなのかと考えた。

 

(……でも、アウラを服従させられる手合いは、魔族にも人間にも、少ないけどいる。今はまだ予想の範疇を出ないか。何より、アウラにこうもペラペラ喋らせる理由がない……はず。まあもともと何考えてるのか分からない男だけど。とりあえず探ってみるか。)

 

「……さっきから見ていて確信したよ。アウラ、お前は服従の天秤で魔力量が負けた誰かに操られている。そうだね?」

「うっ……あ、いや、え!そ、そんなわけないじゃない!私は相手の魔力量を見誤るようなヘマはしないわ!」

「それにしては前の時よりもやたらよく喋ってるよね?まるで喋ることを強制されているかのようだ。」

「……そ、それはお前に情報を……あ、いや、違う、えーと、そう!私が負けるはずないんだから、これから死にゆく哀れなエルフと言葉で戯れるのも一興だと思ったのよ!」

「私に服従させる魔法(アゼリューゼ)を即座に使ってこないあたり、ずいぶんお喋りが楽しいみたいだね。」

「はぁ!?そんなわけないじゃ……うっ……い、いや、負け戦のエルフの負け惜しみは聞いてて楽しいわ!……私が勝ってるなんてどんな皮肉なの……いや今は、ふ、不死兵奥義その26!鎧の槌(パンツェシュラガー)!!!」

 

明らかに本心ではないことを口にするアウラ。それ以降もアウラの攻撃は続いた。天秤は使われなかった。フリーレンの魔力は事実削られ続けており、少しずつ焦りが生まれる。

 

(……私の残魔力量で、この人たちを全て解放することは結構難しい。仮にできたとしても、そこで服従させる魔法(アゼリューゼ)をされたらおしまいだ。このままだと、この英霊たちを巻き込んで攻撃せざるを得なくなる。このままの戦い方じゃダメだ、いつ服従させる魔法(アゼリューゼ)をしてくれるかが予想できない。……もう少し残魔力量を少なく見せてみるか。)

 

フリーレンは、不死の兵をさらに解放していった。それ相応の魔力消費があったが、フリーレンはそれ以上に体外に放出される魔力を制限した。また、息をわざと上げてみせるという慣れない演技も始めた。そしてフリーレンはまるで独り言のように、けれどもアウラに何とか聞こえるような声量で言った。

 

「……予想より数が多いね。そろそろ魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)を撃つのも不安。さてどうしたものか……」

「わざわざ自分より強い敵にノコノコ向かってくるなんて愚かね!」

「……聞かれたか。自分より強いっていうのは、立ち向かわない理由にはならないよ。」

 

フリーレンはわざとそう言ったが、実際のところ、多いには多いが、作戦さえ決まれば大して障害になるものではなかった。

 

「……その解放の魔法、戦闘序盤よりも魔力消費量が増えているわね。」

(……うん?)

 

アウラは攻撃の手を控えめにして考え始めた。

 

「見た限りでは、効果範囲も解除人数も変化なかった。……いや、そもそも今まで使用してきた魔法の量に比べて、体外に放出される魔法の減少量が少なすぎる……魔力消費量が変動する?いや、そんなわけない。」

(…………少し露骨すぎた?まあ、魔力制限にさえ気づかれなければ問題ない。)

「フリーレン、お前……」

 

アウラは仇を見るような顔でフリーレンに向かって叫んだ。

 

 

 

 

「お前、お前も、体外に放出される魔力量を制限して魔族を欺いているのね……!?」




技名の読みはドイツ語に機械翻訳したものを無理やりカタカナにしました。
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