後編のようなものです。アウラ第二形態。
なんか普通のバトルものっぽくなっちゃった。
(……まずい)
フリーレンの魔力偽装作戦が見破られた。今まで戦ってきた中で見破った魔族は魔王しかいなかった。フリーレンは常日頃から体外に放出される魔力を制限しているため、むしろ制限しない方が不自然と言えるまでに魔力放出に揺らぎが無い。それを見破るというのは、魔力が自身の身分そのものを表す魔族にとって極めて難しいことであったはずなのだ。
今までに無い状況ではあったが、フリーレンはひとまず冷静に惚けて見せる。
「……そんなわけないじゃん。制限しているなら、体外に放出される魔力が揺らぐことは知っているでしょ?魔力に敏感な魔族、つまりお前は簡単に見破れるだろう?」
「……ア、アイ……いや、過去にそういうことをしている魔法使いを見たことがあるわ。本当に人間なんでそんなことをするのか、バカバカしいったらありゃしない。けど、危ない所だったわ。不用意に
「……だからしていないって。」
「放出量から読み取れる残魔力量は、今さっき撃った解除魔法の減り具合からして、20人分の解除分くらいに見えるわよ?とりあえず20……念のため30人くらい差し向けてみればわかることね!」
「………………多分お前を操っている奴が、私と同じことをしていたのか。……この欺き方、同じ魔族に二度は通用しないことと、もし魔族に知れ渡ったらもう使えないことが良く分かった。今ここで、アウラ、お前を何としてでも仕留めないとだめだ。」
「そ、そうよ……あ、いやそうじゃないわよ!…………あああもう!なんで、なんでこんなことを私が!口が思い通りに動かないって本当にやりずやりずらい!」
「(もう隠さなくてよくなったのかな)……アウラ、今までお前は、その天秤でずっと同じこと……いや、もっとずっとひどいことを他者に向けてやってきたんだよ。」
「うるさい!知ったことじゃないわ!魔力を制限している奴は総じて頭がおかしい!本当に目障り!お前だけでもさっさと死ね!
「……!」
フリーレンは少し驚いた。アウラが不死兵と
フリーレンは、その一撃を一般防御魔法で冷静に防いだ。
(……まあ、
「……な、何よその目は!私は七崩賢アウラ!500年以上生きた大魔法使い!私を超えるやつは……私より魔力が強い奴だけなの!魔力が無い奴に負けたりするなんて絶対に嫌!フリーレン、バレているんだから、あなたはもう魔力量を偽装する必要ないでしょ?」
「別に偽装を止めるつもりなんてないよ。残りの魔力量をお前に教えるメリットなんて無いし、そもそも私はもうこの状態の方が自然なんだ。」
「……あああああ!このまま戦い続けていると、本当に頭がおかしくなりそう!この、喰らえ!
アウラは次に、炎を広範囲に広げる魔法でフリーレンを攻撃した。しかしこれもフリーレンは冷静に最適な防御魔法で防ぐ。一般防御魔法でも防げた攻撃だが、フリーレンが使った防御魔法は、対炎攻撃に特化した魔力消費がより少ないものだった。
「……アウラ、私を舐めないで欲しいな。私は、現代の魔法使いより一般防御魔法の扱いに劣るけど、大抵の魔法使いよりもたくさんの魔法を知っている。特に炎による魔法攻撃なんて、カビが生えるほどに使い古された魔法だ。だから、対応が
「……う、うるさい!たまには自分で直接攻撃したくなったのよ!その耳障りな声を発する喉を焼いてやるわ!
次は雷による攻撃魔法だった。しかしこれも古来より使い古されたタイプの魔法だったので、フリーレンにとって効率的に防御することは難しくなかった。その後もアウラの稚拙ともいえる攻撃は続く。
(……さっきからいろいろな攻撃魔法を使っているけど、どれもこれもが練度が低い。まるで子供の癇癪だ。必要以上にイライラしてるんだな。さて、この状態でどうやってアウラを倒すか。最低でも、私の魔力量がアウラを上回るように立ち回らないといけない。私の残魔力量はまだ大丈夫だし、見た感じ向こうの方が消費速度が速い。……でも、時間をかけてたら逃げられた、なんてこともありうるから早く仕留めたい。適度に攻撃をいなしつつ、隙を見て
「……あっそうだ!……くそ、こう言うのはしばらく黙っているべきなのに……フリーレン。本当にその戦い方でいいのかしら?もっと周りをよく見てみなさい。」
「……?…………あっ!」
フリーレンは周りの状況を理解して、唇を噛んだ。アウラの魔法により、かつての英雄たちの遺体が損壊していたのだ。アウラの攻撃は派手なものが多かったために、フリーレンは周りがよく見えていなかった。
「アハハハハ!ざまあないわねフリーレン!何かを守りながら戦うなんて本当に難儀ね!そんなバカみたいなことするからそうなるんだわ!倒れた兵の中には、お前が使った魔法で倒れた者もいるんじゃない?」
「……下品な喜び方だね。七崩賢なんて名前を冠するなら、魔法や魔力で上回ることを目指すプライドくらい無いの?」
「だ、黙れ!もう私は七崩賢なんて名乗……いや、七崩賢なんでどうでもいい!ほらフリーレン、お前たち人間の習性は存分に利用してやるわ!
「……くっ」
アウラは、フリーレンに向かってではなく、不死兵に向かって炎を放った。フリーレンは防御魔法を使って遺体の損壊を防ぐが、魔法が広範囲なせいで魔力消費量が増えてしまう。
「……やった!よし、このままお前の魔力を浪費させてやるわ!」
そうしてアウラは、範囲に焦点を当てた魔法を使い続けた。全ての遺体を守ろうとしているせいで、魔力消費速度はフリーレンが上となってしまっている。
このような戦いの流れになり、フリーレンはあることを考えざるを得なくなった。
(もう、遺体の損壊を無視でアウラに
遺体を守ろうとしてアウラを逃した、などということがあってはならない。彼ら英霊も、天国で許してくれるだろうとフリーレンは考えた。彼らが許してくれるというならば、それ以外の問題は、フリーレンにとって悔しいこと以外にはないのだ。
フリーレンは、
「……へぇ!ついに守ることを諦めるんだ!これであなたも人殺しね!」
「何言ってるの。殺したのはお前だ。」
「あら、知らないの?
「……魔族にしてはよく回る口だ。そして、人間のことをよく理解した言葉だよ、本当に。」
フリーレンは、魔力の充填速度を上げた。
「だからこそ、その害しか出さない口を永久に閉ざさせる。」
アウラは防御魔法を展開する。そしてその前に不死兵を配置した。アウラに届く攻撃は威力はある程度殺されたものになってしまうだろうことから、この一撃は大したダメージにならないことをフリーレンは予測した。だが、フリーレンは魔力の充填を止めなかった。
そして。
「
放たれた魔法は、左腕を吹き飛ばすという大ダメージをアウラに与えた。
「……フェルン!?」
フリーレンは魔法を撃っていなかった。別の方角から飛来した
少しすると、フェルンとシュタルクが、魔法で加速しながらフリーレンのもとに駆け付けた。
「フリーレン様、大丈夫ですか?……大丈夫そうですね、よかったです。」
「いやあ、助かったよ、フェルン。あんな遠くから
「……しかし、左腕の方に着弾地点がずれてしまったようですね。全身を消し飛ばすつもりだったのですが。」
「おう、大丈夫かフリーレン?遠くで派手な魔法が見えていたから駆け付けたんだ。」
「……シュタルク、元気そうな声をしているけど、なんか傷の量がすごいよ?本当に来て大丈夫?」
「フェルンが治療してくれたんだ。なんだっけ、最近研究した魔力譲渡技術、だったっけ?それを応用したってフェルンが言ってたぜ。」
「はい。シャドウが残した魔族に用いられていた技術です。」
「あー、あれか。確かに治療に使えるんじゃないかとは話したけど、まさかシュタルクがその傷でそんなに動けるなんてね。すごい効果だ。」
「うん。なんか不自然に元気なんだよな。これが魔力の効果なのか。」
「シュタルク様。今のシュタルク様の身体は、エネルギーはありますがそれ以外は怪我の身体のままです。失った血液や筋肉の損傷は治癒されていないことを忘れないでください。」
「ああ、分かった。……で、あれがアウラか。それで……」
シュタルクは周囲を見渡した。
「周りにいるのが、操っている遺体だな。首をはねたうえで自分の周りに寄せ集めて壁にしているのか。ひどいことしやがる……!」
「フリーレン様。私は地上から
「うん、いいよ。シュタルクは攪乱よろしくね。隙をうまく作ってほしい。……なんだ、二人とも連携も結構出来るんだね。」
「おう。過去の英雄たちはこれ以上傷をつけさせないぜ。」
一気に劣勢となったアウラ。先ほどまでの余裕は消え去った。
「……な、何よ。多勢に無勢じゃない……。ここは逃亡を……うっ!いや、ここは、えーと……そうだ!
アウラは
「……
「フフフこれでお前もこの首なし共と同じ操り人形に……くっ!」
フェルンの
しかも、アウラの
「……フリーレン様。今の
「そうだね。なんでか分からないけど、アウラの様子がおかしいんだ。私の魔力偽装は見抜いてくるし、なんか発言がいちいち大仰だし。多分、別の誰かに
「……それが誰なのか、フリーレンは心当たりは無いのか?」
「複数あるけど、正直絞り切れないな。アウラをああさせるメリットが分からないんだ。」
「……そうか。とりあえず、アウラをさっさと殺そう。」
そうして、フリーレン、フェルン、シュタルクはアウラを追い詰めていった。フェルンが地上からアウラを狙い続けることで
アウラの魔力と体力はみるみる削れていった。戦いが長引くことで、アウラの集中力が切れ始め、また焦りが大きくなることにより、隙が大きくなっていく。そこをフリーレンとフェルンに攻撃され、さらにアウラの傷は増える。
アウラは3人がかりの飽和攻撃に碌に対応することも出来ず、距離を詰められていった。最終的に手の届くところまで接近され、シュタルクに強烈な一撃を貰い、アウラは膝をついた。
「……あ、あり得ない。この私が、結局……!」
「なんか個々の動きが結構とろかったぞ。過去の英雄ならもっとできると思うんだけどな。
「いや、多分首が無いせいだよ。意思を無くすために首なしにしているけれど、それはつまりどう行動するべきかをいちいち指示しなきゃいけないってことだからね。生前より動きが悪くなるのは当然だよ。」
「……アウラ、お前、この亡くなった人たちを操っておいて罪悪感とかないのかよ?」
「はあ?罪悪感?……たまに人間がその言葉を使っているのを見かけるけど、まったくもって意味が分からないわ。」
「……お前にも友人や兄弟とかいないのか?身近な人間……いや、身近な魔族がああいう風に操られたら嫌だろ?」
「身近な魔族って何よ?なんで自分以外の人間が死んだことにいちいち嫌悪感を感じるの?」
「け、嫌悪感って、そうじゃなくて……」
「……シュタルク。地下牢でも言ったけど、魔族は人間の言葉を真似ているだけのバケモノだ。そんな問答しても無意味だよ。」
「やってみなきゃわかんねえだろ。少なくとも全然通じないわけじゃないんだからさ。」
「……まあ、頑張ってみればいいんじゃないかな。もうアウラはほとんど魔法を使えなさそうだし、不死兵は遠ざけたし。不意を突かれることもないと思うからね。」
その後もシュタルクはアウラに、死んだ人間を首なしの兵として扱うことがどれほど罪深いかを説明していたが、一向にアウラは理解しなかった。
(…………まあ、あれが普通の反応なのか。)
フリーレンはアウラを見張りつつ、前にヒンメルに怒られたことを思い出していた。
『フリーレン。遺体をあんなふうに扱うのはダメだ。』
『……いや、それよりもアウラを退ける方が大事じゃないの?死んだ人よりも今生きている人を守る方が大事でしょ。』
『確かに生きている人を守る方が大切かもしれない。でも、あんなふうに雑に扱うのはダメだ。フリーレン、君は優先順位以前に気にもしていなかっただろう?』
『……そうかもしれないけど、なんで?』
『……人間は、生きていく中で色々な思い出や意味を、色々な形で遺していく。その中でも遺体は特別に重要な意味を持つ。……他の人が彼に触れ合うのに最も近しいもので、この体を通じて彼を知っていくものだからね。つまり、遺体はその人が遺すもので最も重要なつながりだ。だから……彼らに敬意を持つなら、僕らは彼らの遺体を丁重に扱わなければいけない。』
『……そうかもね。次からはもっと丁寧に扱うよ。』
『……フリーレン、君は頭でわかっていても、心で分かってはいないようだね。そのままだと、君はきっと後悔することをしてしまうと思う。』
『そんなこと言われても……』
『そうだね……僕たちと一緒に旅を続けていれば、いずれ分かってくれると僕は信じてるよ。』
そんなことを思い出しながら、フリーレンは遺体の一つを見つめていた。首飾りがある遺体であった。
(……ヒンメルの言うとおりだったね。初めて後悔したときはヒンメルが死んだときだったけど。遺体を損壊させてしまったときにあんな気持ちになるなんてね。ああいう遺体の一つにも……人生があるっていうことなんだろう。)
「……さっきからうるさいわね。何度も言ってるでしょ。なんで死んだ奴のことをいちいち考えなきゃいけないのよ。」
「……フ、フリーレン。マジで話が通じねえよぉ……」
「正直私も、言葉があるからちょっとは分かりあえると期待していました。まさかここまで話が通じないとは思いませんでした、フリーレン様。」
「……わかったでしょ。さあ、これ以上は時間の無駄だ。どうせ誰に操られたかは口を割らないだろうし。」
「そ、それは、s、いや……うっ……いや、アイツの名前は……」
フリーレンはアウラに杖を向け、
アウラは
「じゃあね、アウラ。お前の有害で誰の心にも遺らない魔族生がようやく終わる。」
「終わりにはまだ早い。操りの主を知りたいのだろう?」
フェルンとフリーレンは、その声を聞くや否や反射的に神経を尖らせた。声の発信源を探す数瞬ののちに、フリーレンはアウラの背後にあの男がいることに気が付いた。
「……やっぱりお前だったのか。シャドウ……!」
・ヒンメルに怒られた
原作ではヒンメルが険しい表情でフリーレンを見ている画しかなかったので、回想会話は筆者が想像で書きました。正直ヒンメルの発言は重要度高いものが多いのでうまくシミュレートできてるか自信ないけど、悩んでも仕方ないのでこのままいきます。違和感あったらすまん。
・アウラ
言いたいことが言えない、または口が勝手に動くため、原作よりイライラしている。あと、アンケートの結果生存が決定しました。
・サブタイトル
アウラ、フリーレンと戦え。ただし相手が負けそうなら油断しろ。天秤には必ず妨害可能なモーションをつけろ。ゾンビ兵の連携技に命名しろ。状況や思考は逐一言葉にしろ。自慢の技なら解説しろ。敵がエリア外に追い込まれそうなら仕切りなおせ。敵からの距離は常に近すぎず遠すぎずにしろ。自分が負けそうなら悔しがれ。発言は大きな声ではっきりしろ。自分の感情は分かりやすく表現しろ。連携技中にフリーレンの背後に回って攻撃する場合は初見殺しにするな。同じ攻撃は連発するな。敵が攻撃の対処方法や隙を見つけられないようならそれとなくヒントを出せ。第二形態を用意しろ。回復魔法には回数制限をつけろ。シャドウのことは聞かれてもいないものとして扱え。残魔力量と残体力をほのめかす発言を定期的にしろ。逃亡するな。敵のすごいと思った点は称賛しつつ解説しろ。敵の会話中は行動するな。状態異常攻撃は一種類に絞れ。悪役っぽい台詞を心がけろ。天秤は後半戦で使え。
アウラの出番は終わりですが、このイベントはここが折り返し地点です。