魔法世界の実力者になりたくて!   作:Assassss

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とばっちり、大迷惑

今回のことで確信した。シャドウは疫病神だ。

夜の森で突然襲撃された私たちは、このレヴォルテとソリテールという魔族を相手に戦闘を始めた。できるだけ分断されたくなかったけれど、霧を出す魔法を使う魔族がおり、しばらく動き回っているうちに私は他の3人とはぐれてしまった。

今は、どこに潜んでいるかもわからない他の魔族を警戒しながら、このソリテールという魔族を相手にしている。悪いことに、この魔族は明らかに手練れだ。魔力量だけ見てもアウラ以上だと思う。そしてこの魔族が今まで無名だったということは……今まで遭遇してきた人間を例外なく全員殺してきたということ。死臭がすさまじいから、よくわかる。

ここで殺しておきたい……ところだが、私が全力を出してようやく渡り合えているのが現状だ。しかも相手は私、いや人類の魔法技術をよく調べているらしく、人間の防御魔法を使ったりしてきた。いつ他の魔族に奇襲されるかもわからないこの状況で、このままいけばジリ貧だ。

 

「一番興味があるのはシャドウだけれど、あなたもなかなか興味深いわ、フリーレン。あなたも魔力を制限しているのね?それでアウラを欺く予定だったのかしら?」

「……まあそうだ。なんで分かった?」

「シャドウが同じことをしていたのよ。そうでなければ今まで彼が見つからないわけがないわ。」

 

……どうもこの先、私の放出魔力の偽装が魔族に通じなくなる気がする。筋違いな話なのは分かるけれど、なんとなくシャドウのせいだと言いたくなった。このソリテールという魔族は他の魔族に言いふらしてはいないだろうか。

 

「もうバレているのだから、放出を抑える必要はないじゃないの、フリーレン。他の魔族にも教えておいたし。」

 

……こいつ。

…………いや、確証はない話だ。魔族は個人主義者。それを言いふらしても、ソリテールに利益があるわけではないはず。

 

「人生の大半をつぎ込んで培った技術が無駄になると分かったら、とても悲しいものね。これは魔族(私達)にもわかる感情よ。共感ができてうれしいわ、フリーレン。最近は私も感じるの。」

「……魔族に共感されても私は何も嬉しくないんだけど。」

「ねえフリーレン。いい加減教えてよ。シャドウとはどういう関係なの?事の次第では逃がしてあげても構わないわよ?」

「またその話?何度も言っているでしょ。出回っている話がすべてだよ。」

「本当に?一番接触されているあなたがそれを言うの?」

「……」

 

このソリテールという魔族は、先ほどからシャドウの情報を聞き出そうとする。鬱陶しいことこの上ない。でも客観的に見ると、接触回数が突出して多い私たちがシャドウとのつながりを疑われるのはおかしくない。だからこそ、今回の襲撃は本当にとばっちりだ。

 

「例えば、シャドウはどんな攻撃魔法を使ったの?私、アウラの戦いの跡地に行ったんだけど、一目見て緻密な魔力制御によるものだと分かったわ。かなり魔力を物質的に扱う魔法が多いんじゃなかったかしら。例えば、こんな感じの魔法とか?」

 

私は嫌な予感がして咄嗟に防御魔法を張った。直後、魔力による衝撃波のようなものがソリテールから放たれた。今の会話が無かったら、私はソリテールが何をするか予測できず、ソリテールの攻撃を食らっていただろう。そして、確かにあのシャドウが使った魔法に似ていた。魔力制御に大きな差はあるが、ひたすらに大きな魔力をぶつけるというシンプルな攻撃。そして威力も高く、周囲の木々は簡単になぎ倒された。

 

「……確かにおおよそはそうだ。あの戦場の跡からそこまで推測できるのか。お前はやっぱり大魔族と呼ぶべき魔法の高みにいる。ここで殺しておかないといけない。」

「面白いわ。どうやるの?」

「……!」

 

直後、私の背後から水の槍のような魔法が飛んできた。おそらくは潜伏していた魔族によるもの。これこそが、魔族側の数的アドバンテージの厄介さだ。この暗くて霧の濃い森の中、魔族を探知することは難しい。この霧自体に探知の妨害をする魔法が組み込まれている。……ただ、思っていたよりも魔法が飛んでこないあたり、位置取りや連携ができていないのかもしれない。

私は、ソリテールから絶対に目を離さないようにしつつ、魔法が飛んできた方向に魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)を撃った。少しすると、その方向から魔力が放出されたのを感じた。どうやら命中してくれたらしい。

 

「今のは興味深い技だったわ、フリーレン。場所を当てたのは魔力探知によるものかしら?……いや、この霧の中だもの。おそらくは勘ね。すごいわ。勇者一行に居ただけあってそんな芸当が可能なのね。」

「……この霧、お前はあんまり有効に活用できていないね。本来は魔力探知に優れるような霧だ。でも多分、手下の魔族とうまく連携できてないでしょ。強い魔力を辿って、何とか追いついた魔族がとりあえず攻撃した、みたいな感じだった。」

 

私とソリテールはかなり激しく動き回っており、機動力が無い者は追いつくことが難しいだろう。

 

「そうね。でもこれであなた達は逃げ出しづらくなるわ。」

「……お前たちもでしょ。これだけ派手に魔力をまき散らしていたら、他の冒険者が来るかもしれない。これまで無名を保ってきたお前なら、人間が集まるようなリスクがある戦いはしないはず。」

「いいのよ。もう私たちは逃げられないわ。」

「……なんで?この有利な状況下で?」

「あなた達から逃げられないんじゃない、魔族(私達)はシャドウから逃げられないの。」

「……?」

 

そうすると、ソリテールは現在の魔族が置かれた状況を話し出した。北部を中心に魔族はシャドウに攻撃されており、対抗できる見通しが全く立たない。このまま殺されるならば、いっそ魔族側から仕掛けようということで、今回私達を襲撃している、という経緯を私に話した。

……魔族が絶滅するのは長年の私の悲願で、魔力制限がバレるのもあまり問題ではなくなるが、それ以前にここで死んでは元も子もない。

 

「……そう。そのまま絶滅してくれるなら、私の魔力制限を言いふらしたことは許してあげる。」

「ひどいわ、フリーレン。私はもっと魔法の発展をこの目で見たいのよ。シャドウによりもたらされる世界を。フリーレンは、あの魔法術式で改造された魔族を見たのでしょう?あれに使われる技術の、社会への破壊性は、フリーレン、あなたにもわかるでしょう?」

「……あれも知っているのか。確かに私もあの技術の応用は恐ろしくもあり、楽しみでもある。」

「それだけじゃない。シャドウはまだまだこの世界を一変させる技術を持っている。そう思わない?ぜひ直に戦ったあなたの感想を知りたいわ。おそらく、強大な魔力を精密に制御できる何かを持っている。そう思わない?」

 

……まあ、確かにそうだ。シャドウの魔力制御は私の知る誰よりも精密だった。杖も使わずに。何か術式による補助をしていてもおかしくはない。むしろあれを術式無しでやっているのだとしたら……いや、シャドウならやりかねないと思う私がいた。

 

「……そうだね。でも、私はどうやってそれを実現しているかなんて知らないし、見当もつかない。私に構うのはお門違いだよ。」

「いいえ。あなたには、シャドウが認める『何か』がある。あなたは、私の突出した接触回数に関しての質問に何一つ答えていないもの。心当たりがあるんじゃないの?」

「……偶然だよ。不自然なことは認めるけど、本当に私たちは何も知らない。」

「そうかもね。でも『自分たちに何かあるかもしれない』という疑念は拭い去れていない。そうよね?私の人類観察の成果からすると、確信を持っていたらもっと回答スピードが速くなるわ。」

 

……事実だ。シャドウが話した内容はよく分からない部分も多いが、魔法の将来に関する納得できる示唆的なものも多かった。例の術式を施された魔族を私たちに遺したのは、何らかの意図があったとしか思えない。私達は確かにこれらの疑問への回答を持っていない。

 

……それにしても。このソリテールはさっきから人間の心理をよく理解した発言をする。魔族に自分が考えられていることをこれほど的確に当てられた経験はほとんどない。

 

「人間に詳しいね。今まで会敵したどの魔族よりも。」

「そうよ。私は人間とのおしゃべりが大好きなの。その人間の好きな食べ物、好きな魔法、将来の夢……そう言ったことを必ず聞くようにしているわ。魔族にはない話で、いつも興味深く思っているの。」

 

……それでそこまで人間の心理に踏み込む発言ができるのか。今まで一体何人もの人を殺してきたんだ。やはりここで殺さないといけない。……もしかしたらソリテールの言う通り、シャドウがここに現れてソリテールを殺してくれる可能性もあるが、あまりにも不確定すぎる話だろう。

ただ、それに関して言えば。

 

「シャドウー!このまま隠れるだけでいいのかしら!?このままだと、あなたの見初めたフリーレンが死んでしまうわよー!私、あなたに殺されてでもお話がしたいのー!」

 

このように時々、近くにシャドウがいることを期待してか、大声で呼びかけるのだ。それに周囲に魔力による信号のようなものを飛ばしているのが感じられる。おそらく遠い場所にいるかもしれないシャドウに探知されるための魔法なのだろう。それに少しだけ期待してしまう自分もいる。先ほどから、この攻防への打開策が見えないもの事実なのだ。このままなら押し負けてしまう。

 

……いや、元はと言えば、シャドウが私たちに接触してきたのがすべての元凶なんだ。さっさと来て責任を取ってくれ、シャドウ。

 

 

 

「面白い。なかなかの戦士だな。しかも魔力による身体強化をした戦いが魔族並みに上手い。」

「そりゃ、どうもッ!!!」

 

あの神技のレヴォルテが来た時には死んだと正直思ったが、意外にも何とかなっている。

俺、シュタルク、フェルンの三人は、魔族が出したと思われる霧によってフリーレンと分断されてしまった。しばらく近くにいる魔族を倒していたのだが、あの大魔族であるレヴォルテが襲ってきたのだ。いくら戦士として優秀なシュタルクとはいえ、コイツ相手に一対一は押し負ける……と思っていたのが、今の今まで生き残れている。

おそらく、フェルンがシュタルクに魔力を常時譲渡しながら戦っていることが大きいのだろう。あれにより、シュタルクはレヴォルテと渡り合えている。……だが、当然フェルンの魔力は減り続けている。今は、フェルンと俺がレヴォルテ以外の魔族を警戒したり、シュタルクを不意打ちの魔法攻撃から防御したりしていることでしのいでいるが、あと15分程度しかこの形は保てない。

 

「フェルン……何かアイデアはあるか?このままだとジリ貧だ。魔力のアドバンテージは向こうにある。」

「……とにかく、霧を出している魔族を倒しましょう。少なくともこの森のどこかにはいるはずです。倒せたら、シュタルクと一緒に逃げますよ。」

「お前たち、逃げていいのか?」

 

突然レヴォルテがこちらに話しかけてきた。ちゃんと会話を聞いていたのか、悪趣味な奴め。

 

「人間には自分以外の人間を守る習性がある。この向こうには、人間の住む村があるだろう?お前たちが逃げたら、その村にいる人間は皆殺しにさせてもらう。」

「クッ、人質か!」

「…………ザイン様。私はそれでも逃げますよ。私は知らない人より、知っている人の方が大切ですので。」

「は、はぁ!?何言ってるんだフェルン!逃げるなんてダメだ!ここでこいつらを倒さないと!」

「……なるほど。この習性は個人差が大きいようだな。これは反省して、次の機会に……いや、そんなものはもうないのかもな。」

「はあ?どういうことだよ次が無いって。」

「シャドウだ。奴が、魔族を殺しまわっている。圧倒的な力でな。どうせ死ぬのならばこちらから迎え撃ってやろうということで、お前たちを襲撃しているのだ。お前たちはシャドウとの接触回数が最も多いからな。」

「え、私達何も知りませんよ……。私たちが知っていることなんて、強くて何考えてるか分からないということくらいです。迷惑なので私達を巻き込まないでくださいよ。」

「これは私達魔族の存続を賭けたもの。お前たちはシャドウを呼び出すことはできないのか?もし呼び出せたのならば、お前たちを逃がすこともやぶさかではない。」

「ふざけたこと言ってんじゃねえよ!ここでお前は倒す!」

「ほう。しかし、彼我の戦力差が分からないわけではないだろう?」

「……!フェルン7時方向に防御魔法!」

「!はい!」

 

レヴォルテがシュタルクに攻撃したと同時に、別方向から魔法攻撃が飛んできた。それを俺とフェルンで迎撃する……実際、フェルンはシュタルクの強化で手いっぱいで大したことはできないから、ほとんど俺が対処する形になっているが。

そして、それを撃ってきた魔族を俺が始末する。引き連れている魔族はまあまあ強いのだが、あまり連携が取れていないようで助かった。おそらく今連れてくることができる魔族を、相性を無視してかき集めてたのだろう。だから隠れて不意打ちという単純なことしかさせていないのだ。これが、レヴォルテと連携をして戦われていたら絶対に勝てなかった。

 

「それは、いつまで持つのだ?お前たちの魔力は確実に減っている。最大でもあと12分程度であろう?投降するのであれば、命は取らないでやろう。無力化はさせてもらうがな。」

「おいおい、無力化とか言ってどうせ腕を切り落とすんだろう?御免だぜ。」

「ふむ。死から部位欠損に被害が軽減されるわけだから、人類社会における取引として成立しているはずなのだが……」

「俺達はシャドウのことを知らないから、そもそも成立しない話だな。」

「そうか。交渉材料が無いのならば実力行使しかあるまい。地に伏せろ。」

 

その後もレヴォルテとシュタルクの攻防は続いた。体力と魔力がガリガリ削られていく。……そうだ。シャドウの情報として適当な嘘を並べたら満足して帰ってはくれないだろうか?……いや、向こうがその程度の情報を持っているか分からない以上、見破られるリスクが高いか。

 

「……ザイン様、申し訳ありません。私たちと一緒になったばかりにこのような死地に……」

「言うなフェルン。お前たちは何も悪くない。」

「そうだぜ、フェルン。好き勝手やってるシャドウが悪いんだ。とんだとばっちりだぜ。」

「そうだ。……それに、あながち不利というわけじゃないな。フェルン、あの木の後ろだ!」

「!魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)!」

 

そう言ってフェルンが攻撃した方向には、咄嗟に防御魔法を張った魔族がいた。……コイツ、魔力からして、おそらくこの霧の元凶だ!霧を晴らせれば、逃亡という選択肢が生まれるかもしれない。

 

「……バレたか。潜伏には慣れているつもりだったんだがな。」

「……フェルンはシュタルクの強化に集中し続けてくれ。コイツは俺が相手になる。」

「おい、隠れているのが俺だけだと思っているのか?」

「……!!!」

 

コイツの攻撃と同時に、さらに別の方向から攻撃が飛んできた、クソ、せめて合計何体の魔族が潜んでいるのかをおおよそでも把握しておきたいぜ……!

 

「……はあ。的確に防御しやがって。勘弁してくれ。この後起こるであろうシャドウとの戦いに備えて魔力を温存しなきゃならないのに。」

「……俺たちはシャドウに関して、本当に表に出ている話以外は何も知らん。不確定な要素である俺達に構うことこそが魔力の無駄じゃないのか?」

「お前たちしかシャドウへの手がかりが無いんだよ。」

「……ザイン、そいつから目を離さないでくれよ。フェルン、これなら10秒大丈夫だ、頼む!」

「分かりました!ザイン様、一緒に攻撃!」

 

フェルンが霧を出しているであろう魔族に杖を構え、魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)を発射した。……かなり高密度だ。そんなことをしたらシュタルクへの強化が切れるんじゃないか!?と一瞬思ったが、あの声からして何か理由があるのだろう。俺はこの魔族に向かって攻撃した。俺一人の攻撃なら防いでいたこの魔族も、二人分の攻撃魔法は捌ききれなかったようだ。「お、俺がこんなところで……」と言い残して消えていった。

だけど、シュタルクは……あれ、普通にレヴォルテと強化状態で渡り合えている。どうなっているんだ?

 

「フェルンそろそろ……あ、危なかったぜ。」

「……魔力をストックするのを練習しておいてよかったです、シュタルク様。」

 

……なるほど、フェルンが一時的に魔力を多くシュタルクに送り込むことで、しばらく魔力の供給を切っても大丈夫なようにしていたのか。でも、シュタルクは魔力をストックする必要があるはず……いや、そういえばフェルンとシュタルクが、それらしい練習をしているのを見たことがある。フェルンが「……魔法使いじゃないと、魔力の扱いがこんなに下手なのですか。」と愚痴りながらやっていたな。いつも手を繋いでいたからイチャイチャしているのかと思っていた。でも、本当にやっておいてよかったぜ……。

 

「……魔力譲渡による強化にそのようなやり方があるのか。面白い。人間の新しい戦士の形かもしれない。」

「さあ、一段お前らに不利になったぜ。」

「……いや、霧が晴れたことで、お前たちが不利であることが分かったのではないか?」

「……?」

「!フリーレン様!」

 

フェルンが突然そう叫ぶと、俺たちのところに何かが激突してきた……フ、フリーレンだ!見たところかなり魔力を消耗していて、傷も多い。クソ、あのソリテールとかいう魔族、そんなに強いのか……!

 

「うー……ごめんみんな。さすがに大魔族に加えて魔族の不意打ちを受けながらの戦闘は無理があった。」

「……ここまで追い込まれても呼ばないということは、あなた達は本当にシャドウを呼ぶ手段を持っていないようね。」

「そうだって、何度言わせるの。」

「じゃあ作戦変更よ。あなた達を死なない程度に痛めつける。あなた達に目をかけているシャドウをおびき出す餌になってもらうわ。」

 

クソ……、状況は非常にまずい。今ここにいる魔族は、大魔族と呼べるレヴォルテ、ソリテール、その他あまり強くはない魔族がそこら中に潜んでいる。霧が晴れてきたおかげで少しずつ探知が利くようになったが、俺たちが如何に危機的状況が分かってしまった。他に10体以上いるぞ……!

 

「……シュタルク、悪いけど逃走最優先で動いて。見えない魔族が10体はいる。」

「……で、でも俺たちが引いたら村の人は……!」

「悪いけど、ここはパーティリーダー権を行使させてもらうよ。」

「……チ、チクショウ!」

「この期に及んでまだあの村の人間を助けることを考えていたの?魔族には理解できない感覚だわ。やっぱり人間って不思議。」

 

周りの魔族がジリジリ距離を詰めてくる。クソ、本当にどうすればいいんだ。いや、冷静に周りの状況を把握しよう。さっきと違って霧が晴れているから、状況が確認しやすい。目下の脅威はレヴォルテとソリテール。そして潜伏している魔族。夜である上に森の中なので視覚にはほとんど頼れないがこれは魔族も同じこと。常に魔力探知を続ける必要がある。そして俺たちの周りには複数の糸が漂っている。

 

 

……うん、糸?

 

 

 

 

それは本当に目まぐるしいものだった。

糸に魔力が流れ出したかと思うと、次の瞬間には糸がそこら中に張り巡らされた。そして、どこから引っ張られているのか、その糸が2秒ほど不規則に動いたかと思うと、木々の倒れる音とともに、ソリテールとレヴォルテ以外の魔族を絡めとり、上空にその魔族たちが拘束された。

まるで空に、魔族による繭が現れたかと一瞬思った。魔族たちは、しばらく何が起こったのか把握できず呆然としていたようだったが、やがて、

 

「お、おいなんだこれ?」

「この糸、魔力がすさまじい密度で通っていて切れない!」

「身動きが取れない、どうなっている!?」

「ま、魔力が吸い取られるせいで魔法が使えない!」

「い、痛い痛い!!!」

 

などと、口々に騒ぎ出した。そして彼らの意思とは無関係に、糸の締め付けは少しずつ強くなっているようで、血が滴り始めている。

 

「な、なんだこの糸は!?いつ仕掛けられたのだ!?」

「……ああ、やっぱり、本当に襲撃して正解だったわ!」

 

 

 

「徒に数を増やした戦いを我は好まん。」

 

どこからともなく響く、深淵から来るような深い声。なぜだか身体が震えだす。

 

「勝負とは一撃で決めるものだ。魔族よ、しかとその身に刻め!」

 

次の瞬間。糸が凄まじい力で引かれたようで、拘束されていた魔族が一瞬でバラバラになった。一拍おいて周囲に血の雨が降り注ぎ、やがて魔力になって霧散した。

空を見ていると、月を背に小さなシルエットが見えた。両手を広げてるようだった。黒くて神々しいものを感じさせる姿だった。やがて、それが激突ともいえる速度で俺達と二体の魔族の間に降り立つ。

黒づくめの服に、黒く細い剣を持ち、手には今使用したのであろう血の付いた糸が絡まっている。間違いない、コイツが。

 

「我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者。」




・シャドウとのつながりを疑われてもおかしくない
実際はシャドウから一方的にちょっかいかけらてるだけなのに、客観的に見ると絶対何かあると言われても怪しいのは言い返せないから本当に迷惑な話である

・フリーレンvsソリテール
流石に他の魔族にちょっかいをかけられながらソリテールと戦うのは無理かなって……

・霧を出していた魔族
レヴォルテ戦で出てきたあの男の子っぽいのと同一魔族

・連携が取れていない
ソリテール自身名前からして連携とかしなさそうだし……

・シュタルクの魔力強化の練習
シュタルクの力の力の源が魔力だってどこにも書いてないよね……?
ちなみにこの練習、フェルンがシュタルクと触れ合って魔力の扱いを教えているのではたから見ていると愛の共同作業である。

なんか本小説だとフェルンがシュタルクのバフ要員になっていく……でも原作でそんな魔法なかったはずだし面白いかなって書いてて思った。
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