「二人とも下がっていろ。俺一人で十分だ。」
デンケンを警戒する中で、ジミナは突然そう言った。しかし、シケーニとピタリヨには到底受け入れられない話だ。
「は、はあ!?何言ってるんだよ!デンケンはふざけられる相手じゃないんだよ!」
「そうよ!最低でも協力して抵抗するのよ!あなたが仮に力を隠していたとしても、デンケンは無理でしょどう考えても!?いやそれ以前にそもそもどう見ても私たち弱いんだから、せめて余計なことをせずに籠を守ってて!」
そう言ってピタリヨとシケーニは、ジミナを守る様にデンケンの前に出る。しかしその表情は険しい。前に出て初めて、デンケンの魔力量を感じ取り、その実力差を認識したからだ。
「……実力差を感じ取っただろう。大人しく籠を渡せば手荒なことはしない。」
「流石にそう簡単に諦められるかよ!"
「
まずシケーニの魔法により、デンケンは自重の増加により素直に膝を突いた。そしてピタリヨの魔法により、相手は魔法の行使に支障が出る……というのが、普通の魔法使い相手の場合だ。実際、デンケンは顔をゆがめている。
がしかし、ピタリヨは魔力の流れから、効き目が悪いことを察した。
「クッ……効き目が薄いわ。やっぱり精神魔法に対策してる。」
「悪くはないが……メインウェポンにするなら威力不足だ。対策していれば、このように反撃されてしまう。」
そう言ってデンケンは一般攻撃魔法をピタリヨに放つ。2人の魔法により威力は落ちているが、それでもピタリヨの魔法を中断させるには十分だった。
その防御のために、ピタリヨは
「くそ……ならここまでやればどうだ?"
シケーニは、デンケンだけでなく周囲の木々にも魔法をかけた。木々は自重によりデンケンの方に倒れだす。さらに杖にも
「……最初からそれをやっていればよかったのだ。初見ならば儂もこれは一本取られたかもしれん。だが熟練の魔法使い相手ならば、一度見せた魔法は解析されやすい。覚えておくことだな。」
デンケンは、いともたやすくピタリヨとシケーニの魔法を解析し、解除してしまった。そして倒れ来る木々は一般攻撃魔法により破壊された。
「う、嘘だろ!?俺の魔法がこんなアッサリ破られるなんて!こ、これが宮廷仕えの魔法使いの実力ってことなのか……!?」
「……もうわかっただろう。お前たちに勝ち目はない。大人しく隕鉄鳥を渡せ。さもないと攻撃する。」
「そ、そんなこと言われても、渡せるかよ!」
「……ならば仕方がない。"
「きゃ、きゃああああ!」
デンケンの攻撃魔法に対し、2人は何も考えずに一般防御魔法を張ったが、デンケンの魔法に対しては悪手だった。2人は、防御魔法を張ってから数秒で魔力切れを起こしてしまう。2人は十数メートル吹き飛ばされたのち、木に叩きつけられた。
「……一般防御魔法は、質量攻撃に弱い。今のように風魔法に対して一般防御魔法を用いると、守るべき面が非常に大きくなり魔力切れを起こしやすい。風魔法に対しては、受け止めるのではなく、受け流すことに注力すべきなのだ。」
「ご、ご指導どうも。でも、と、咄嗟に思いつかないわよ……」
「……やはり未熟。悪いことは言わん。そこのジミナほどではないにしても、お前たちは1級試験に合格することは難しいだろう。辞退することを勧める。お前たちはまだまだ若い。その若さで命を散らすなど、儂のような老人から見ればあまりにもったいないのだ。」
「そ、それでも1次試験を突破すれば地元じゃ自慢話にはなるんだよ……。」
「……そもそもお前たちはどうやって隕鉄鳥を捕まえたんだ?」
「ジミナが俺たちの見ない隙にシレっと捕まえたんだよ。」
「……あ、あれ?そういえばジミナは?」
ピタリヨが探すと、いつの間にかジミナは二人のそばにいた。籠はちゃんと守っているが、特に傷ついている様子も、魔力が減った様子もない。そもそも、魔法を行使した様子自体が無かった。
余りのサボりっぷりに、ピタリヨは腹を立てる。
「……ね、ねえジミナ。余計なことするなって言ったのは私だけど、ちょーーっとくらい攻撃魔法で援護してくれても良いんじゃない?」
「何を言う。俺に任せていればよかったものを、お前たちが勝手に飛び出したんじゃないか。」
「~~~~~っつ!!!あなたいい加減にしてよ!隕鉄鳥を捕まえたときはちょっと見直したけど、あなたやっぱりバカだわ!」
「そうか?実力差を無視して、あのデンケンに突っ込むお前たちもなかなか愚かだと思うが。」
「あああもう!ジミナはもう口を開くな!今すげえジミナに攻撃したいけど、籠が破壊されたら元も子も無いんだよなあ!」
そう言って、シケーニはデンケンに一般攻撃魔法を放つが、デンケンは当然のように防御する。
「……何というか、お前たち2人は災難だったな。……ジミナ・セーネン。お前ほど周りを舐め腐る若造は見たことが無い。せめて魔法で援護する姿勢くらいは見せたらどうなのだ?」
「俺に任せておけばよかったものを、わざわざ前に出るものだから、やる気が起きなくてな。まあ、お前たちが殺意を持って攻撃していたら手を出すつもりだったが、そうではなかったからな。」
「……慈悲ではないのだが?」
「ああ、わかっている。お前たちが俺を舐めてくれるおかげで、楽に撃退できそうだ。」
「……え、ええぇ……」
デンケンは、ジミナが本当に自身が自分達より強いと信じていることを感じ取った。見た目も魔力もあまりに弱いにもかかわらず、声と目は自信にあふれていたからだ。
(……このジミナという若造は本当に何を考えているんだ?実力を隠しているのだとしても、魔力の放出量が少ないうえに、仮に制限をかけていたとしてもそれ特有の揺らぎが見られない。仮に、儂に見破れないほどに制限が上手い人間であるならば、少なくともその名を一回は耳にするはず。このような特徴的な見た目で高い実力を持つならば、必ず噂になる。……しかし実力もない愚か者だとしても、どういう環境に置かれたらこうなるのだ?少なくとも先ほど、儂の一般攻撃魔法を目撃したはず。例えば温室育ちといった理由で、自らの実力を過信しているのならば、あれを見た後何らかの動揺が見られるはずだ。しかしこのジミナの目は……勝利を確信した、冷静な目だ。全く動揺していない。……ダメだ、今まで出くわしたどんな愚か者にも当てはまらない。本当に何を考えているのだこの若造は……)
デンケンは、見た目とその自信のギャップから、実は何か秘密があるのではと感じこのような考察を続けていたが、結局何も結論を得られなかった。
「……お、お前は本当に自分が儂より強いと信じているのか?」
「その通りだ。」
「…………魔力量に大きな差があるようだが。」
「魔力量など、魔法使いの実力の物差しの一つでしかない。実践において、魔力コントロールやイメージ、知識も重要だ。魔法使いを長いことやってきたであろう爺さんなら分かるだろう?」
「ま、まあそうだが……ではなぜそのような安物の杖を使う?一級魔法使いが使うにはあまりに事足りないものに見えるが。」
「真に実力のある魔法使いならば、どのような杖でも使いこなせるという格言があるだろう。それを確かめてみたくてな。」
「……お前はここが一級試験の場だと踏まえたうえでそう言っているのか?」
「そうだ。単に試験を受けるだけならば合格は確実なものでな。」
「…………どう考えても不可能なことを、それほどの自信で言ってのけることはある意味才能なのかもしれんな。」
デンケンは、このジミナ・セーネンが何を考えているのかを理解することを諦めた。デンケンはこの舐め腐った態度に対して怒りよりも呆れを覚えたが、ここまで言うジミナを放置しては自らの外聞に関わると考え、死ぬ寸前まで痛めつけようと心に決めた。
「はあ、もうよい。ジミナ、悪いが半殺しにはさせてもらうぞ。」
「面白い。やってみろ。」
そこで、デンケンとジミナの間にシケーニとピタリヨが立ちふさがり、防御魔法の準備をした。このジミナを守るなど甚だ不本意だが、やらなければジミナは倒され、試験に落ちてしまうだろうと思ったからだ。
「二人とも、俺一人で十分だと言っただろう。」
「バカなこと言ってないでお前もなんか魔法で援護しろよ!」
シケーニとピタリヨは、デンケンの一挙手一投足に集中する。先ほどの攻防で、相手が格上だと否が応でも認識されられてからだ。相手の出方次第では、自分たちの死亡もあり得る。
「……二人とも。儂だけに注目していて良いのか?」
「なに?」
「これはパーティ戦だぞ。」
「……あっ。」
二人が気付いた時にはもう遅かった。デンケンのパーティメンバーであるラオフェンの得意魔法は"
「……まあ、うん。あなた達二人の実力は悪くないと思うけど、こうなるのは仕方ないよ。あのジミナ・セーネンに組まされたらそりゃやる気ダダ下がりだよね。」
「そ、そうよね!隕鉄鳥を運よく捕まえられたからここまで粘ってたけど、途中までは心の底から棄権したかったわ!」
「だよねー。……ま、それはそれとして、悪いけどちょっと眠っててもらうよ。」
「え?アガッ!」
ラオフェンは、シケーニとピタリヨを手刀による衝撃で気絶させた。それを見届けたデンケンは言った。
「さて……これでお前ひとりだ。孤立無援になったわけだが。」
「そうだな。」
弱い者いじめのようなので、今までなんとなく攻撃する事に気が引けるデンケンだったが、この状況下でも彼の目から動揺が見て取れなかったために、ついに攻撃することを決心した。
「……"
デンケンは衝撃を与える魔法をジミナに撃った。今までのジミナの態度から、灸をすえる意味で防御できなかった場合は非常に痛い思いをする魔法を選んだ。鳩尾などに凄まじい衝撃が来るこの魔法は、まともに喰らえばその苦痛から丸一日動けなくなってしまうもので、昔からお仕置きの代名詞扱いをされている。
ジミナは、特に防御魔法を展開するわけでもなく、衝撃に身を任せ吹っ飛ばされたように見えた。この魔法は防御魔法で比較的簡単に防御できるため、それすらしないのは、一般防御魔法さえ習得していないと普通ならば解釈される。魔法使いとして本当に未熟に映る光景なのだった。
「……なぜ防御魔法を展開しない。儂が優しい魔法で叱りつけるような甘い人間に見えたか?今のお前の苦痛は、その舐め腐った態度による因果応報というものだ、未熟な若造よ。」
ジミナは起き上がらず、何も言わない。デンケンは、ジミナが何も言わないのは、想像していたよりも魔法の威力がはるかに高く、また速かったために防御魔法を展開できず、それによりプライドを傷つけられたからだろうと推測した。
デンケンは、容赦なく二発目を放つ。しかしそれに対しても、ジミナは防御魔法を展開せず、同様に吹っ飛ばされた。
「どうした。儂より強いのではなかったのか?せめて魔法の一つでも使ってみたらどうなん……ん?」
デンケンは話している途中、一つの不可解なことに気が付いた。
ジミナが籠を手放していない。
一発目の段階で、ジミナは耐え難い苦痛に襲われたはずだ。その段階で、籠を持つ指に力など入りづらいだろう。その状態で"
デンケンは、3,4発目の"
(……手に何らかの固定、または拘束魔法をかけている?……いや、魔力探知の結果からして、手に何かの魔法がかけられている様子はない。ということは。)
「……"
「必要な防御を最低限しているだけだ。無駄を省くためにな。」
その声は、先ほどと同じく冷静なもので、苦痛に侵された様子などなかった。
「その魔法はおそらく、人体の急所の場所を精確にイメージすることが必要となる魔法だろう?だから、使用の瞬間に少しだけ急所の位置をずらせば、ただの衝撃を与える魔法に成り下がる。」
「……馬鹿な。お前は魔法の発動すらしていなかった。なぜそのようなことができる。」
「修練の結果だ。」
「……」
デンケンの中で不安が増していく。ジミナが実は何かを隠していると信じ始めたからだ。
デンケンは、今のジミナの発言をよく理解できなかった。少なくともデンケンの目には、"
「……いやいや何言ってるのあんた。じいさん相手に、そんなことあんたができるわけないでしょ。」
横から話を聞いていたラオフェンが出てきた。ラオフェンは魔法と体術の合わせ技で戦うため、その道にも明るい。なので、ジミナの発言内容の荒唐無稽さがより実感できた。
「いや、俺は魔法使いであると同時に武術の高みも目指している。だから今のは、その修行の成果というわけだ。」
「……」
ラオフェンは、自分でもできないほどの高度な技術を使ったと主張するジミナに対し腹を立て、"
しかし、実際にそれを食らったジミナの様子を見て、ラオフェンは困惑した。
「……え、あれ?籠は?」
ジミナは吹っ飛ばされたが、籠は奪われていなかった。ラオフェンは、どうしてこうなっているのか理解できなかった。確かに籠を奪った感触があったのだ。
「……なんだ今の魔法は。使われた魔力があまりにも小さすぎる。」
「え、じいさん。今魔法使われたの?」
「ああ、本当にごく少量の魔力だがな。」
「……私にはわからなかった。おじいさん。このジミナって人、なんかおかしいよ。」
「ああ、儂もそう思う。」
「……おいデンケン。さっきから何をちまちまと攻撃しているんだ?」
暇を持て余し気味のリヒターが、魔法で感知されないようにしつつも我慢できないといった風で声をかけた。
「ジミナには何か隠し玉があるかもしれんが、いくら何でもデンケンを上回るものなんか持っていないだろう?」
「待てリヒター。儂が今まで対峙したことのない種類の手合いだ。迂闊に仕掛けるべきではない。」
「そんなこと言われてもな。チンタラしてたら他のパーティが集まってくるかもしれんだろう?」
そう言って、リヒターはデンケンの忠告を無視して大地に手を突く。
「"
リヒターがそう呟いた瞬間、ジミナの足元から岩のように固くなった地面が隆起し、ジミナの心臓へ迫った。殺す気はなかった先の二人の攻撃とは異なり、先端は尖っており、普通に考えればそれがジミナの心臓を貫き、死に至らしめるであろう攻撃だ。
だが、ジミナは死ななかった。相応に吹っ飛ばされたが、血を流した様子はない。
「……確かに妙だな。おい、デンケン。どうやって今の攻撃を防いだかわかるか?魔力は感じたが、具体的に何かの魔法の形にならない程に少量だった。」
「儂もそう感じた。やはり何かを隠しているな、この若造。」
「……まあいい。ならこっちは本気を出せばいい。」
そう言うと、リヒターは再び
それらがジミナに着弾した瞬間に爆発のような轟音が響き、周囲は砂埃に覆われた。いくらジミナが何かを隠しているといっても、これならばタダで済むはずがない。リヒターはそう感じていた。砂埃が晴れると、ジミナが倒れているのが見えた。
だがそれを見たデンケンとリヒターは、警戒の度合いを数段上げた。
「……おいおい、今のは割と本気の一撃だったんだぞ。防御用魔法を使っていないのに、なぜ平然としているんだ!?」
「え、何?なんで突然警戒しだしたの?もう倒れてるよ?」
「ラオフェン。お前にはジミナの魔力がどう見える?」
「……相変わらず魔法使い見習いみたいな弱弱しい魔力が……」
「それがおかしいのだ。あの攻撃を生き残るために、普通は相応のコストの防御魔法を行使する必要がある。そうすれば、放出される魔力にも若干の変化が見て取れるだろう。だが見てみろ。相も変わらず、あの弱弱しい魔力だ。本当にあの魔力量ならば、あれを凌げる防御魔法を使った時点でもう残存魔力はカラになるはずだ。」
「あー……なるほど。」
この話をしている間、ジミナは寝転がったまま動かない。その姿は、3人にとっては弱弱しい姿ではなく、得体のしれない不気味な印象を持っていた。
「……思ったんだけどさ。」
「なんだ?ラオフェン。」
「服の中に、鎧みたいな何かを着込んでいるんじゃないの?今まで防がれたの、全部外部から衝撃を与える魔法だったし。」
「だが、そうだとしても魔法で何か対処しない限りは多少のダメージがいくはずだ。」
「そうかもしれないけれど、もうそう考えるしかなくない?前に高級な杖を持っていたって聞いたし。そういう高性能な防具を隠してるんじゃないの?」
「……あり得ない話ではないが……」
そもそもデンケンは、攻撃を受けるだけで反撃をしてこないジミナが、そのような小賢しい手を使っているのかと言われると首をひねる思いだのだった。
「だから、そういう衝撃以外の方法で攻めればいいんじゃないかな?」
そう言うと、ラオフェンはジミナにゆっくりと近付いていく。魔法で拘束するつもりだ。
「……」
ジミナは動かない。顔を向こう側へ向けているために、表情も分からない。
ラオフェンは、不意打ちに対処できるよう、いつでも
そして、ジミナとの距離が1m程になるまで、ラオフェンは障害無く接近できた。すると、ジミナの腕がモゾモゾと動いて、籠をラオフェンから遠ざけるように動いた。ライフェンはその動きに一瞬動きを止めるが、すぐに気を取り直して、ジミナの腕を魔法で拘束しようとした。
その時。
「うぇ?きゃっ!」
ラオフェンはバランスを崩して転んだ。そのようにリヒターとデンケンには見えた。だが、この場面でラオフェンがそのようなヘマをする訳が無いと二人は知っている。そのためにしばらくは目を見開いて困惑した。
だがラオフェンからすると、何か投げ技をかけられたような感触だった。ラオフェンの使おうとした拘束魔法は、杖が伸びてそれが針金のように曲がり、対象に巻き付いて拘束する形の魔法だった。だが、その杖の先がジミナに触れた瞬間、杖が引っ張られたのだ。警戒のためにしっかりと杖を握りしめていたことがあだとなり、ラオフェンはバランスを崩してしまったのだ。
ラオフェンの目には、やはりジミナが何かしたようには見受けられなかったが、もはや油断する理由は無くなった。即座に距離を取り、強い警戒の意思を込めてジミナを睨みつける。
「……今何をしたの?」
「……」
ジミナは答えない。ただ、杖を支えにしながら緩慢な動作で起き上がるのだった。しかし、そうして顔が少し見えるようになると、ラオフェンはゾッとした。その口は、笑っていたからだ。まるですべてが思い通りに行っていると言わんばかりの表情だった。
「ッ!二人とも、同時にジミナに攻撃を仕掛けるよ!いいよね!?」
「お、おいラオフェン。何をそんなに焦ってるんだ?」
「コイツ、どうやって私を転ばしたか分からないうえに、それに使った魔法を私に感知させなかった。もしかしたら、とんでもない手練れかもしれない!」
「は、はぁ?」
「……儂も嫌な予感がする。今の行動に対しては、今度は魔力を感知できなかった。……これ以上探っても何も情報を得られそうにないな。仕掛けるべきだろう。」
「おいおい、慎重にやるんじゃないかったのかよ……」
デンケンの行動方針が少し変化しているが、これは彼の焦りを反映しているものだった。
「とにかく問題なことは、この若造が何を隠しているのかがいまだ不明なことだ。仮に本当に実力を悟らせずにここまでやってきたとしたら、奴はラオフェンの言う通り、凄まじい実力の持ち主だと考えねばならん。」
そうして、デンケン、ラオフェン、リヒターに杖を向けられるジミナ。今度は先ほどと違い、非常に警戒されている。この状況を切り抜けることは、1級魔法使いでもかなり難しいことだ。
だがその状況下で、ジミナは不敵に笑った。
「やっとやる気になったか。お遊びは終いだな。」
残念なお知らせですが、このお話はデンケン戦が終わったところでいったん更新が止まるかもしれません。
というのも、本誌の最新話のネタバレを少し聞いたのですが、ユーベルやラントやゼーリエが再登場するようです。今まで「どうせユーベルとかもう再登場せんだろwww」とタカをくくってユーベルなどが絡む話を考えていたので、どうしようかと悩んだのですが、ユーベルの出てくる章が終わって情報が一通り出るまでは止めることにしました。
まあ、それ以前に最近私生活がバタバタしているので、ちょっと更新する力が無くなってきたというのも理由です。