魔法世界の実力者になりたくて!   作:Assassss

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クヴァ―ルイベント終了です。

魔法の理屈っぽいことを喋ってますが、雰囲気のためなので大して意味はないです。


主人公が居るからこそ『陰の実力者』が生まれるのだ!

 

「ごめん、もっと早くここに来るべきだったね。」

「いえいえ、お気になさらず。まさか魔族でもないのに封印を解く者がいるとは誰も予測できんでしょう。それに被害が出ているわけでもありませんから。」

 

フリーレンとフェルンは封印を管理していた村に訪れ、一連の事件の説明をした。

 

「一応聞くけど、そっちはシャドウって知ってる?」

「聞いたことがありませんね。」

 

フリーレンは村長から他の村人へ視線を移したが、皆首を横に振るばかりだった。

 

「まあなんにしても、これで私たちは平穏に暮らせます。ありがとうございます。」

「……ねぇ、その帽子……」

「……お前、あの時私のスカート捲ったクソガキだな。まだ生きてたんだ。」

「おかげでもっと長生きできそうです。ヒンメル様の言葉を信じて待った甲斐がありました。」

「……そうだね、あんまり私が言えることじゃないけどね。」

 

 

フリーレンとフェルンは、村から出発し旅を進めていた。その道中。

 

「フリーレン様、感謝されていましたね。」

「……そうかな。大したことはしていないんだけどね。」

「それでもです。結果がどうであれ、フリーレン様がヒンメル様の言う通りにわざわざここに足を運んだという事実は変わりませんから。」

「……そういうものなのかな。」

「フリーレン様、もしかして落ち込んでいらっしゃいます?」

「落ち込んでいるというか、不安だね。」

「不安、ですか。」

「今まで私よりも遥かに強い相手に相対することはあったよ。でもそういう時は、敵か味方かがわかりやすかった……。つまり、自分がどう動くべきなのかがはっきりしていたんだ。でも今回はそうじゃない。」

「あのシャドウという男?ですか。私には何を考えているのかよくわかりませんでした。」

「私にも分からないよ。でもあれほど強い存在が、何の意味もなく封印解いたりするとは思えないな。なんかクヴァールを試したとか言ってたしね。」

「フリーレン様はシャドウと会話していませんでした?」

「あれはほとんど条件反射で返答してただけだよ。」

 

ここまで話していて、フェルンには気になる点があった。フリーレンは村から出た後からずっと杖先を光らせていて、また視線もずっと宙に向けていた。

 

「……さっきから気になっていたのですが、ずっと魔法を発動していますよね。何をしているのですか?」

 

「ああ、これは言葉を伝える魔法だよ。正直色々制限があるうえに魔力消費が激しいからあんまり使いたくない魔法なんだけど……。今回はやらざるを得なかったな。」

「偉い人に連絡を取るとおっしゃっていましたよね。誰が相手なのですか?」

「ゼーリエっていうエルフ。」

「あの大陸魔法教会の……。フリーレン様、すごい方とお知り合いなのですね。」

「まあ長く生きているからね。今回の件を伝えておいたってわけ。……大陸魔法教会って何?」

「魔法を管理して、魔法使いの認定を出す団体です。……ご存じないのですか?」

「……後で聞く。まあともかく。」

 

そう言うと、フリーレンは魔法の発動を止め、その場に座り込んだ。

 

「やっと終わった……。ああもう、神経使うし魔力はごっそり使うし二度とやりたくない~。」

「お、お疲れ様です……。」

「フェルンおぶって。歩きたくない。」

「自分で歩いてくださいよ。子供じゃないんですから。」

「私いま魔力が元の4割くらいしかないんだよ……」

「はあ……仕方ありませんね。」

 

フェルンは魔法で補助しつつフリーレンをおぶって歩き出す。フリーレンの気の抜けた表情も相まって、まるでフェルンが母親のようだった。

 

「シャドウは、この世界は破壊と再生を繰り返すとか、選ばれし者とか言っていました。フリーレン様は何かそういったことはご存じなのでしょうか?」

「全然知らないし聞いたこともない。女神様の降臨の後に生まれてるんだよ私は。」

「そうですか……まあ、フリーレン様はあまりそう言ったことに興味なさそうですよね。」

「何それ。私も知れるんなら知りたいよ。私のことをなんだと思ってるの。」

「魔法が関わらなければほとんどのことに興味が無いエルフです。」

「失礼な。他のことにもちゃんと興味があるよ私は。」

「と言いますと、例えば?」

「人間」

「……そうでしたね。それがフリーレン様の旅のきっかけでしたね。」

「まあそれはともかく、そういったことはゼーリエなら知ってるかもしれない。あっちは創世記から生きてるらしいからね。そういうことを期待しての今の魔法だよ。シャドウのことも心当たりがあるかもしれない。」

「シャドウ……」

 

フェルンはシャドウを前にした時のことを思い出した。人間技とは思えない魔力制御。大魔族クヴァールを相手に全く疲弊した様子が無いことからうかがえる戦闘能力。今思い出しても震えが止まらない存在感だった。格が違うという表現は、まさにあの状況を指すのだろう。

 

「……あの時私は、何の魔法も発動できない状態でした。初めて魔物を相手にした時以来です。」

「私も怖かったよ。ほんと何あれ。例えばあの防御術式とかさあ。」

 

フリーレンはシャドウの防御術式を真似ようとした。だが、術式を生成した次の瞬間には形が崩れてしまう。

 

「フェルン、現代の一般防御術式は、あらかじめ複数の性質の防御術式を展開しておいて、攻撃魔法が飛んで来たら自動的に最も効果的な術式を起動させるようにすることで……つまり同調させることでこの万能性を得ていることは分かるよね?」

「ええ。だからその分魔力の消費も重いと。」

「でもあのシャドウの防御術式、魔力の強弱や性質を変化させやすくすることだけに目的を絞ったシンプルな構造なんだよ。展開中に術者が常に最適な魔力制御を続ければ、すごい性能の防御術式ができるだろうね。魔力消費は最小限だ。」

「……ではなぜその技術が一般的ではないのでしょうか?」

「単純に制御が難しすぎるからだよ。人の反応速度じゃ無理。そもそも空気中の微細な魔力にも反応するよこれ。普通魔力の性質を変化させることだけでも一苦労なのに、それを0.1秒以下の誤差でずっと変化させ続けるってどんな修行をしたらできるのかがまったく想像できない。……まあ、相手が原始的で単純な魔法のみを撃ってくれるっていうんならギリギリ何とかなるかもしれないけど。」

「……本当ですね。」

 

フェルンも真似をしてみたが、空気中の微細な魔力に反応して防御術式を上手く安定させられなかった。

 

「まあそういうわけで、そんなことが出来る相手が怖くないわけがないよ。」

「……フリーレン様、よくそんな相手にあの態度で出られましたね。」

「フェルン、虚勢って大事なんだよ。」

「虚勢ですか?」

「人は、少なくとも初見の相手はこっちが威張ってると無闇に攻撃してこないものなんだよ。逆に怯えを見せるとつけあがってくる。まあ、魔族相手は態度じゃなくて魔力を見てるから別だけどね。それに、仮でも堂々としているとありもしなかった自信が出てくる。……あのシャドウに通用していたかは分からないけど、少なくとも攻撃されなかったから正解の態度だったと思ってるよ。」

「……それ、私達が悪いことしてないからいいですけど、なんとなく小悪党みたいですね。」

「治安の悪い街に入ったときに、ごろつき相手にヒンメルはいつもそうしてたからね。……フェルン、もしかしてこれって情けなく見える?」

「……いえ。頼もしかったです。普段の様子からだと、そんなことを考えられているとは思えませんでした。」

「……そこまで尊敬されるものじゃないけどね。」

「ならフリーレン様、不安ではない振る舞いもすればよいのではないでしょうか?」

「そうかな?……私は伝説の勇者一行の最強魔法使い、恐れるものは無しっと。」

 

フリーレンはフェルンの背中から降りて、普段より少し大きな歩幅で歩き出した。

 

 

僕は素晴らしい人材を見つけてしまったようだ。

あのフリーレンというエルフさん、どこかで聞いたことがあると思ったら、なんと魔王を倒した勇者パーティの一人だったのだ!僕は村での会話を少し盗み聞きしていたのだが、それによるとフリーレンさんと、その弟子のフェルンさんは旅をしているらしい。

これはもう、間違いない。彼女たちは復活する魔王を討伐するために旅をしているのだ。現時点でも割と実力がありそうだったし、あの堂々としたふるまい。まさに物語の第二部の主人公であり、RPGゲームの続編の開始と言えるだろう。そしてその道中、いまだ健在のネームド大魔族を相手にバトルするに違いない。

これはつまり、彼女たちについていけば、陰の実力者ムーブ出来るイベントがたくさん期待できるということなのだ!例えばボス撃破後に意味深に現れて「彼奴が死んだならば、真の闇が目覚めるだろう……」とか言ってみたり、ピンチになったときに颯爽と現れてボスを瞬殺して「貴様の命、陰より預かった」とかやってみたり。今までネームド大魔族を自分の手で倒さなくて本当によかった。これからどんなふうに動こうか、今から妄想が止まらない。

そういうわけで、僕は彼女たちにコッソリ探知魔法を埋め込み、ストーカーすることに決めた。位置関係的に、彼女たちは今僕の住む場所から南に居て、北を目指しているのでしばらくは遠い場所にはいかないはずだ。

ありがとう、今世代の勇者たち。おかげで光があるからこそ陰が生まれるのだ。いやあ、これからが楽しみだ。




【悲報】フリーレン一行、シャドウ様にストーカーされることになる。
今後はフリーレン一行がシャドウにちょっかいを掛けられていくことになります。なんて迷惑なんだ……

・虚勢
ちなみにここでフリーレンが怯えた態度を取っていた場合、シャドウはフリーレン一行を主人公と見なさなくなりストーカーしない。

・復活する魔王を討伐するための旅
勿論シャドウの勝手な思い込み。常識的に考えれば、彼女たちが今後大魔族と沢山バトルするなんて予想できる訳がない。でも実際七崩賢の残党2名倒すことになるからね……

(追記)
魔王城に向かい始めるのはこの後のことだったので一部文章を削除しました
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