あと幻影イベントもどうなるかわからんかった。シド君と大切な人……だれ?
フリーレン一行にシュタルクという戦士が仲間になった。
何でも、アイゼンの弟子らしい。どのぐらい強いのかな~と思って隠れて見てたら、巨大なドラゴンを普通に倒しててちょっと驚いた。あのパーティ、レベルが全体的に高いね。元勇者パーティの魔法使いに、ドラゴンを倒せる戦士。それと、魔法使いの弟子。そのフェルンという弟子も、
まあそれはともかく、今彼らは解放祭の夜の宴を楽しんでいる。なんでも、勇者ヒンメルがここにいた魔族を倒した記念日なんだって。フリーレンとフェルンとシュタルクは、普通に祭りを楽しんでいるようだった。
そういえば、シュタルクは前世を抜けば僕と同年代だ。彼と自分を比較してみると、少しだけセンチな気分になる。仲間に囲まれる彼らに比べ、理解者もいないし友だちも最小限の自分。自分の故郷では、この世界は前世以上に娯楽が少ないせいなのか、ヒーローへの憧れが持続する人が少なかった。ましてや、『陰の実力者』なんて概念からして通じるか怪しい。まあ、当たり前だ。僕は強いから夢を追い求められているのであって、普通はみんな自分の大切なものを守るのに必死なんだ。おかげで、精神年齢が合わないというのもあるけど、僕はよく「何を考えているのかわからない」とか言われる。前世から、僕は陰の実力者になるために、不要なものは切り捨てていった。まあ、多少の好き嫌いはあるけど、『陰の実力者』という目標のためにいろいろなものを失った自覚がある。そのせいなんだろう。
それでも、仲間がいる彼らを見ていると、少しだけ、ほんの少しだけ寂しい気持ちにはなる。例えば陰の実力者プレイで、配下役がいればやれることの幅が広がる。切磋琢磨する友達や教えてくれる師匠でもいれば、僕はわざわざ夜に北方にちまちま出向いたりする必要もなかったのだ。でも、陰の実力者になるための師匠なんているわけなかったし、理解者もいない。
翻って我が身を振り返ると、僕は『陰の実力者』を名乗れるだけの実力者になれているだろうか?……正直、まだまだそうだとは言えない。例えば、オイサーストに居るゼーリエというエルフさんはとても強くて、僕も最近やっと対抗できる見込みが立ってきたところだ。でも、これじゃ陰の実力者としてギリギリ落第していない程度。真の『陰の実力者』ならば、あの大魔法使いを圧倒して「アイツは一体何者なんだー!?」って言われるまでがワンセット。彼女を追いこすことは、僕の一つの目標だ。それに、伝説上の話だけどこの世にはこの世の理を捻じ曲げることできるの女神という存在もあるらしいし、そういった存在に負けるような実力じゃいけない。
I need more power ……
僕は、月に手を伸ばしてそう言った。……壁は高い。でも、僕は諦めたりはしない。やるべきことは、何も変わらないさ。例え孤独だとしても、この世界で今度こそ、辿り着いてみせる。そのためならすべてを捨てられる。いや、捨てて見せよう。それでなれるのなら。それでもなりたいのだから。
『陰の実力者』に!
◇
「シャドウ……へー。おっかない奴もいるんだなあ。」
「一応聞きますけど、シュタルク様は何も知りませんよね?」
「全然、聞いたこともない。」
「まあ、だよね。」
フェルンは、これまでシャドウと出会ったときの出来事をシュタルクに話していた。
「うーん……そんなに強い奴なら、なんで有名じゃないんだろうな?」
「社会から離れてひたすらに自分のやりたいことに打ち込む、なんてのはエルフにはよくあるよ。ゼーリエは知ってる?この世の魔法をほぼ網羅していると言われるくらい強い魔法使いなんだけど、彼女が表舞台に出たのも、ここ50年ぐらいだ。」
「……でも、話を聞いた限り、ものすごく修行を重ねたんだろうな。」
「はい。とても強かったです。」
「人間の味方でも、魔族の味方でもないんだろ?なんのためにそこまで頑張れるのかな、そのシャドウっていう男は?」
「先ほども申しましたが、話を聞く限りは社会の今後を憂いているのではという予想で……」
「いや、そうじゃなくてさ。そいつ、自分の味方は自分だけって言ったんだろ?滅茶苦茶寂しいだろ、それ。俺には誰のためでもないのに頑張るなんて想像できない。」
「……まあ、普通の人はそうですが、シャドウは色々異常なので……」
「……そうだね。人間で……いや、私はその人間を知ろうとしている最中だけど、ともかく私も誰も味方がいないのにあそこまで頑張れる人なんて見たことない。自分の味方は自分だけって、正直魔族の方に近い精神性だよ。」
「実は魔族とか、ないのか?」
「シャドウが魔族だったら……ゼーリエとの一大決戦になって、その勝敗がそのまま人類と魔族の勝敗になるだろうね。」
「おお、なるほど。」
「かといって……エルフでもないっぽいんだよね。前会ったときに観察してみたんだけど、耳が長くなかったんだ。ドワーフは体格的にあり得ない。となると……何らかの方法で寿命を延ばしている人間か。もしかしたら、神話の時代の女神様みたいにこの世界から遠いところから来た何かなのかもね。」
「何にもわかんねえな、今のままじゃ。……他に情報は無いのか?」
「無いよ。話した分で全部。」
「……え、待てよ。全部なのか?フリーレン、フェルン。」
「そうだけど?」
「そうですけど?」
「……つまり、他の場所での目撃情報は無いのか?」
「……言われてみれば、確かに。」
「え、じゃあ私達シャドウに狙われているってことですか?い、嫌な仮説です……」
「そうだとすると、原因は私かもね。まあこの中で一番経験を積んでいるのは私だ。」
「……でも、なんでフリーレンに?」
「どこかで変な縁を結んじゃったのかな……」
「フリーレン、最後の大魔法使いとか言われているんだろ?何かを期待されているとかじゃねえか?」
「何かって何を?」
「それはほら、未来の魔法の可能性とか、そういう脳筋な俺では分からない何かを……」
「そういうのはゼーリエとか、他のエルフが向いてるよ。私は割とダラダラ生きてきた方だしね。」
「まあ、フリーレン様は確かにだらしがない人ですからね。そういう指導者とか開拓者みたいな感じじゃありませんし。」
「良くわかってるじゃん、フェルン。」
「うーん……で、次シャドウに遭遇したらどうするつもりなんだ?」
「相手の出方次第だけど……刺激しないように対応して帰ってくれるのを待つかな。」
「……なんかモヤモヤするなあ。自分から手を出せないって。」
「一応、ゼーリエの方でも探しているらしいからね。見つけられてないらしいけど。さすがにゼーリエの捜索能力をシャドウが上回ってる……なんてこと、無いと信じたいね。」
「俺はそいつと話してみたいけどな。どうやったらそんなに強くなったのか、興味あるし。」
「……それ、あの威圧感を感じていないからこそ言えることだと思いますよ?シュタルク様。」
「そ、そんなにかよお。でもちょっとくらい話を聞いてみてもいいだろ……?」
「でも……そうだね。私、人間を知りたいからこの旅始めたんだった。逃げ腰も良くないかもね。」
それ以降、フリーレン一行はシャドウの話をする際の緊張度が少し軽減された。
原作のセリフを見る限り、シド君理解者がいないことをちょっとだけ寂しがっていそうだったので。
次からアウライベです。大幅な改変があります。でもアトミックの予定はないの。ごめんね。