ノブリス・オブリージュ?なんですのそれ? 作:一般お嬢様
先日の一件があったその日の夜は、妙に聖園様のご機嫌が良く。ふと視線を向けると、何かを思い出したように笑みを零していたり。それとなく距離を縮めるてこられることが多くなったりしました。聖園様がお眠りになられた後。何故かナギサ様からお電話が有り。少し世間話をしましたわ、珍しいですわね、ナギサ様がそんな事をしてくるなんて……電話の最中に
『ヒトミさんは、その……私の事をどう思ってられますか?』
と、聞かれましたので
『仕事の上司ですが……なにか?』
と、返しましたところ。無言の時間が十数秒後。何時も通りのナギサ様に戻ったご様子でした。何でしたのあの無言のお時間は……
そして翌日のこと
「……おはよう御座います、聖園様」
「おはよーヒトミちゃん」
何時も通りの朝を迎えて、何時も通りに聖園様の身支度のお手伝いを………
「……何故何時も通りと思ってるんでしょうか私は」
「んー?」
「何も御座いません。只の独り言です」
髪を梳かしている最中でしたが、緩く此方を見てくる聖園様に何でも無いと返しながら。再度髪を整え始めます。本当に、最近は調子が狂って仕方が有りませんの……本当に。何時も通りと思うほど。一人でいる時間が少なくなってきている気がしますわ
……
さて、今日も仕事を片付けるとしましょうか
◇◇◇◇◇
「───詳細は此方で宜しいでしょうか?」
「………」
本日は、ティーパーティーの方ではなく。正義実現委員会の方との打ち合わせの方に出向いています。なんとなくお二人のご機嫌が宜しくなかった気がしますが。何故なのかは不明です、仕事なのですから当たり前だと思いますけれども…
「……問題は、無い」
極めてローテンションの状態の剣先様から、了承の旨を伝えられました。この方、よく奇声を上げながら戦いに赴いていると聞かれますが。何故か良く分かりませんけれども、そういった姿をお見かけすることはございませんの……何故でしょうね?
「……では、此れで滞りなく進めることが出来ます」
「…此方としても、有り難い」
「では、私は此れにて
「…………」
おや………?
「……あの、剣先様?」
「……あ、ぁぁ……」
苗字の方でお呼びしたら、反応してくれましたわ。やはり私が名前で呼ぶこと自体にさして意味があるとは思いませんわね。むしろ混乱させてしまうという結果になりませんわ。剣先様、豆鉄砲を食らったような変な顔をしていましたもの
「では、私はこれにて失礼しますね」
「…………」
何故か無言になってしまった剣先様を不思議に思いながら、正義実現委員会の本部から立ち去ることにしますわ。これでも予定がそれなりに溜まっていますので。道草を食っている余裕はそこまで有りませんもの
「……今、名前で呼んでもらえた…のか……?」
その日のツルギは奇行が少なく。会話がしやすかったとのこと
◇◇◇◇
所変わって、今度は救護騎士団の方ですわ。シスターフッドへの方の仕事のあれこれは、別の方が担当することになっていますので。私は此れと言って、特に拘りも有りませんから宜しいのですけれども
「……失礼します。セリナさんには……いらっしゃらないようですね」
救護騎士団の方に赴くと、どうやらセリナさんはご不在のご様子。ふむ、まあ仕方が有りませんわね。そういうときも御座いますから。間が悪かったと思っておきます
「いらっしゃいませ。珍しいですね、お見えになるのは」
「御機嫌よう…というのは、堅苦しいですわね。蒼森様」
整理整頓をしていたのか、医薬品が詰まった箱を抱えている蒼森様がお見えになりました。丁度いいと言えば、丁度よいので。蒼森様でも構いませんわね。話しやすさという意味では、セリナさんのほうが良いですけれども
「本日はどのようなご要件で?」
「そちらに回している予算と、備品の───」
そうして、蒼森様と今後のあれやこれやについてのお話をしていきました。医薬品にかかる予算というものは、削ることは出来ませんので。ある程度の質を担保しながら、数を揃えなければなりませんし。担架やストレッチャー、あまり出番は御座いませんが。AED等の緊急用の器具の点検、修繕。あるいは交換等の事務的なやり取りです
「──と、本日の打ち合わせの方は此れで終わりです。お疲れ様でした。」
「此方こそ、お疲れ様でした。……やはり、貴女がいらっしゃって下さると。スムーズに事が運びますね」
「……そうでしょうか?」
詳細を話し終え、書類を片付けつつ述べられた言葉に首を傾げると。そうですよ?というように、笑みを浮かべて下さる蒼森様。そんなことも無いとは思いますけれども。ティーパーティー相手となると、余計な勘ぐりが入ったりするのでしょうか?
「……ところで、
「…………」
おや?また剣先様のように動きが止まってしまわれましたわ…?ふむ、やはり私がそう呼ぶのは違和感しか無いと思われますの。何時も苗字呼びの方がいきなりそう呼ぶのは、どうかしたのかと思われても仕方がないかもしれませんわね?
「……蒼森様?」
「……申し訳有りません。少し考え事をしていました」
「そうでしたか」
ああ、考え事中でしたか。そうであれば、思考の邪魔をしてしまって申し訳なく思いますわ。そういった物の集中力というのは、一度途切れるとなかなk戻らないものですし。私も経験がないと言えば嘘になりますものね
「ところでヒトミさん」
「何でしょうか?」
「今、お時間ありますか?…少し、お茶でも飲んでいかれたらと思いまして」
と、言うことで。ちょっとしたお茶会…と呼ぶには短い時間ですが。ご一緒させていただきましたわ。終始、どこか蒼森様の機嫌が良さそうでしたが。理由は不明でしたわね。何故でしょうか……
◇◇◇◇
「──────と、言うことが御座いまして」
「失礼ですが、貴女は時折知性が消えますね?」
開口一番とんでもない謂われようを受けてしまいましたわ。……この方は、ナギサ様と同じくフィリウス派の中核にいらっしゃる方であり。一種のまとめ役のようなものですの。……とはいえ、此れと言って何か妨害することもなく。ただ一緒にお仕事してると言うだけですけれど。まあそれはさておき、この方…宮藤様に今日の出来事を話してみたのですが。この有り様です
「そこまで言いますか?」
「言いますとも。仮に他者からの評価に無頓着であり、興味もなく。どうしようもないほど、他人との関わり合いを避けているという状況を加味しても。知性が消えますという他有りません」
「やはり言い過ぎでは御座いませんか???」
宮藤様からの罵倒が止まりませんわ…この方、私よりもあけすけに物事を喋ることも御座いますから。それとなく距離を取られている事もあったりなかったりしていそうですけれども…
「そんなに、私が名前で呼ぶことが不自然でしょうか」
そう述べると、宮藤様がほんとに人の話聞いていませんわねこの人…みたいな目つきと視線と。ついでに溜息も添えてまいりました。おかしいですわね???只の疑問の提言なのですけれど????
「天上」
「はい、宮藤様」
「何も、今までの行いを変えろとは言いません、そんなものは不可能ですし。貴女がそんな事をすると、何らかの不具合が生じます。更に述べると。貴女の立ち位置では不都合も有り、何よりもおかしくなったと謂われかねません」
「言いたい放題ですわね…」
「謂われるだけの事をしているのです……それを差し引いても。もう少し、他人からの感情に鋭利になりなさい。でなければ、何時の日か破滅しますよ?」
「ただの仕事漬けの生徒では?」
「…………………」
宮藤様の提言にそう返すと、何やら頭痛をこらえるような仕草をお見せしました。いえ、私はそういう立ち位置ですし、それ以上でもそれ以下でも無いと思われますの。逆にそれ以外の感情を向けられるのは…想像がつきませんわね。何時も死んだ魚のような目をして恐ろしい、などでしょうか?
「…一朝一夕では、変わりませんね」
「はい?」
「此方の話です。……今日はもうお帰りなさい。桐藤様には此方から話を通しておきます」
「分かりましたわ。では、また後ほど……
そう言いつつ、今日のところは部屋に帰りましょうか
「……全く、そういうところですよ。ヒトミ
◇◇◇◇
「……何故、ナギサ様もいらっしゃるのでしょうか」
部屋に戻ると、聖園様だけではなく、ナギサ様もいらっしゃいました。ナギサ様は制服のお姿ではなく。普段着ですわね。一度戻ってから此方に来たということですので、なにかご用事が有るのかと思いましたが
「私が呼んだー」
「勝手に上げないで頂けますか聖園様???わたしの部屋ですけれど???」
そう言いながら、のんびり寛いでいる聖園様。此方も制服姿ではなく、余所行き…とまでは行きませんが。私服でのお姿でしたわ。
「……で、何故いらっしゃるのかというお話ですが」
「んーとね、それはー……ヒトミちゃんのお洋服を買いに行くからです!!」
「失礼致します」
「あー!?待って!!待ってってば!?」
何故か得意げな聖園様に踵を返して出ていこうとしますが。聖園様にがっちり掴まれてしまいました。ちらりとみると、ナギサ様は何処となく申し訳無さそうな顔をしながら。苦笑しておられました、ああ、巻き込まれたんですのね……
「…ミカさんが、どうしても。と……私としても、ヒトミさんはもう少し身だしなみに気を使うべきかと思いまして。制服だけでは、味気が有りませんから」
「制服だけあれば、ある程度十分では……?」
「だからってジャージだけは味気なさすぎじゃない!?」
失礼ですわね、ジャージは最強です。何かあっても、着替えればいいだけですから。汚れても直ぐに洗えますし、たとえ小細工をされても。買い替えるのも楽ですから
「はいはーい、それじゃ行くよー?」
「え、今からですの???」
「そうですのー!!」
そう言われると、首根っこを掴まれながら。近場の洋服店へと連行されることになりましたわ……
◇◇◇◇
「………はぁ」
今私は、そこそこ憂鬱な気分ですの。ええ、決していい気分ではございませんわ。できることなら、すぐに帰って横になりたい気分ですの
「ねね、ナギちゃん。此れとかどう?」
「…可愛らしいとは思いますが。ヒトミさんにはあまり似合わないかと」
「そーかなー?んー」
絶賛着せ替え人形中ですわ……。あーでもないこーでもないと、白色のフリルがついてるような服を片手に悩んでいる聖園様と。それとなくやめておいてくださいと仰ってるナギサ様。どれも此れも、袖が長く。あまり露出が無いようなものばかり選んできていますわ。
理由を聞いたところ
「「そういう(いった)服はヒトミちゃん(さん)は着ちゃ駄目(着てはいけません)」」
とお二人に同時に言われましたわ。まあ、私はそういう…というより、そもそもどうでもいいので。お二人にお任せしますけれども
「此れとかどうー?」
「ああ、それなら良さそうですね…ヒトミさん。お着替えなさってください」
そう言って押し付けられたのは、シックな色のクラシカルなカジュアルなワンピースと。黒色のパーカーとレディースの動きやすそうなパンツスーツでした。言われるがまま着替えてみると……
「私は何方もお似合いになってると思いますが…ミカさんはどう思ってられますか?」
「私もどっちもいいと思う!」
「……どうでもいいですけれど。まだ続けるんですの?」
かれこれ。もうこれで
それから、かれこれ2時間程がたち………
「此れぐらいでいいかなー?」
聖園様の一言により、よーやく開放されますわ……はー……。着せ替え人形は疲れますわ、ナギサ様も途中から聖園様に便乗してあれこれ着せてくるようになりましたわ
「それじゃあ、帰ろっか」
手荷物の方は、聖園様とナギサ様が分担して持っています。持とうとしたら、何故か怒られました。理解できません……。それはさておき
「……あの、お二人共」
「何でしょう、ヒトミさん」
「なーに?ヒトミちゃん?」
「…何故挟まれて居るのでしょうか?」
お二人に挟まれ、その上で両手は左右を聖園様とナギサ様に握られて逃げることも出来ません。いえ、逃げないのでどうしてこうなってるのか分かりません。聖園様と私の身長の差はそこそこありますので、動きづらいのもありますけれど
「私達がそうしたいからだけど?」
何となしに聞いたところ。首を傾げる聖園様と、特に何も言わないナギサ様も手を握る力をほんのりと入れて。そのまま手を離してくれません…お二人がそれで良いのであれば。それでも良いのですけれど
……全く、どうしてこうなったのでしょうか
【ちょいキャラ紹介】
宮藤トウカ:本編にも出てきたフィリウス派のまとめ役みたいなもの、ヒトミとはナギサの次に付き合いが長かったりする。こいつ本当に…ということがよくあるのだが、それはそれとして。憎からず思っているようで、ナギサの精神安定に貢献してるという印象
次でとりあえずこの続きのお話は終わりますわ〜
そろそろヱ駄死も更新してますわ