ノブリス・オブリージュ?なんですのそれ? 作:一般お嬢様
「……セリナさん、その。やりにくいのですけれど」
「…………」
セリナさん、私の部屋から帰らないのですわ。なんで?……っていう気持ちは無くはないですけれど。まあ……心配してくださってるのは分かりますわよ流石に。ええと……でも仕事がしにくいのですけれど??
「あのー……ええと、セリナさん?」
「…………」
うぅん。精神が落ち着かないのですわ〜!! 何も喋ってくれないのですわ〜!! 正直一番怖いですわ今の状況……セリナさんに嫌われたのかも知れませんわね。まあ……後々を考えると、嫌われた方が楽なのですけれど。都合がいいとも言えますけれど……それはそれとして。メンタルにダメージが入るから嫌なんですわよね
「……………」
さっきから無言なのやめてくださいまし!!!! ほんとやめてくださいまし!!! くぅ……私が仕事しようとすると重圧が増しますし、時間が立つほど何もしなくてもどんどん重力が増えていくんですわ〜!! ……それはそれで。やりたいことやれないんですけれど
「えっとぉ…………セリナさん?」
「……なんでしょうか?」
あ、ようやく反応しましたわ。気絶してなかったですわ、ついでに人形でも無かったですわ。はぁ……此処まで無反応だったのは精神的によろしく無くてよ
「……これ、どうぞ」
重力の井戸に引きずり込まれてなんだかすごく動きづらいのですけれど。まあ……その、此れを渡してご機嫌取り。というわけではありませんわよ? 元々渡す予定で買い出しに行ったのですから。まあ……こういう形で渡すのは不本意ですわ
「……これはどういう意図ですか?」
「え? セリナさん、今日お誕生日ではなくて?」
あれ?違いましたっけ?え、それはちょっと困りましたわね。洒落にならないですわよこういうのを間違えるのとか。嫌味とかそういうのではなくちょっと人としてどうかと思いますわ。そしてフリーズしてますわよセリナさん。まだ中身開けてない状態で此れなのは私から贈り物という事実そのものが嫌ってことですの?………腹切って詫びるしかねえですわ
「そう、ですけれど……私、どのタイミングでヒトミさんに教えましたか?」
「1年生の頃、セリナさんが祝われていたのを覚えていただけですわ」
あの頃は私から接触することはありませんでしたし、セリナさんもほとんど関わり合いがなかったですから。まあ知っているのは不思議でしょう、私も買いに行ってる途中に気づいたので。覚えていませんでした、スルーしても良かったのですけれど…まあ。お世話になってるのでそこはやるしかねえですわ。でも自分が教えてねえのに祝ってくるの普通に考えて怖いですわね?今後は控えますわ。そりゃ引きますわ
「……中身を、見ても?」
「構いませんわよ…大したものではありませんので」
セリナさんにそう促すと、セリナさんは渡した箱の中身を開け始めましたわ。ちなみに箱は3つ。それぞれ違うものが入っておりますのよ。ではまず1つ目ですわ
「これは……医療用のキットでしょうか?」
「ええ、ただのキットではありませんわ。血液検査も簡易でありますけれど。できるものです」
「ありがとうございます」
まずは普段遣いするようなものですわね。消耗品ですし、幾らあっても足りませんもの。止血剤、ガーゼ、包帯。あとはアルコール消毒できるもの。まあ色々と貼った詰め合わせですわ。続いて2つ目の箱を開封しようとしてますわね。まあ、2つ目まででしたら。問題ありませんわ
「………コート?ですか?」
「コートであってコートではありませんわね」
セリナさんが首を傾げてますわね。それ、ただのコートではありませんのよ、見た目はコートですけれど。防水性、防破性などを詰め込んだものですわ。血液が付着してもそのまま滑り落ちますので、衛生的ですし。丸洗いも容易な分類ですわ。それに加えてバッテリー駆動でそこまで耐久性はありませんが簡易シールドも貼れる優れものでしてよ。制作元はミレニアム製でおかしな機能が着いていないか心配でしたけれど、大丈夫でしたわ。安心しましたわ
「それなら、戦場でも救護に専念できるかと」
「……ありがとう、ございます」
「どういたしまして、ですわ。セリナさんが倒れてしまうと、大変でしょうから」
セリナさん、医療技術の腕はしっかりありますのよね。ですので、彼女が戦闘不能。或いは気絶した場合、トリニティの生存率そのものが低下するおそれがありますわ。セリナさんが倒れるのは……私としても、そうなってほしくありませんし。気をつけることに越したことはありませんわ、戦闘向きではありませんからねセリナさんは。身を守れる手段は多いほうが良いですわよ?
「ああ、そうそう。3つ目の方は、帰ってから開けてくださいまし」
「帰ってから…ですか」
「…別に私の監視をしないでほしいという意味ではありませんわ」
いいえ、本音を言うとめちゃくちゃ帰ってほしいのですけれど。仕事が進まないので、あと私の監視をしている間、セリナさんやること無いでしょうし。私の部屋、ほとんど物もありませんしね。机と椅子、あとはベッドぐらいですわ、テレビも一応ありますけれど、買ってからほとんどつけていません。
「誕生日ですので、皆さんとお過ごしください」
セリナさんは私と違って、人気者ですわ。皆さんセリナさんに感謝していますし、労いたいでしょうから。そういった大事な日に。私の監視なんて言う貧乏くじどころか人災処理みたいなことをする必要はないんですわよ?ええ、私と居るよりも。同級生の皆さん、何よりも救護騎士団の皆さんとお過ごしくださいな。貴女のご後輩も、先輩も。貴女を祝いたいでしょうから。
「…………なら、ヒトミさんも一緒に」
「それは駄目ですわ、セリナさんの頼みでも聞く気がないですわよ」
その辺りは弁えていましてよ。まあ、確かに。知人という程関わり合いがないわけではありませんし、お祝いしたいお気持ちは無いとは言いません。ですが、既にお祝いの品もお渡ししていますし。これ以上出しゃばるのはよくありませんのよ。みなさんとお過ごしください
「…………分かりました。今日は帰りますね」
「ええ、改めてお誕生日おめでとうございますわセリナさん。良い一日にしてくださいまし」
セリナさんを部屋の入口まで見送りますわ。荷物はセリナさんが持っていけるサイズを選んでいるので大丈夫ですわよ。
「あ、そうそう。3つ目の箱はあまり動かすとよくありませんので。足元お気をつけて…では、また後ほど」
そう言って扉を閉めると、セリナさんの足音が聞こえなるまで扉の前から動きません。こうしてないと再度突撃されることがありますので、一度やられましたわ。あの時はくっっそ焦りましたわよ。
「さて……お仕事ですわね」
セリナさんが帰ったので、これで晴れて自由の身!!いえ、社畜ですけれど。仕事に追われて仕方がありませんけれど。まあそこは仕方がありませんわね、社畜ですもの。ひとみ
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──救護騎士団本部
「お帰りなさいセリナ先輩!」
「ただいま、ハナエちゃん…そして団長」
ハナエちゃんの出迎えを受けつつ、重い足取りで戻ってくると。難しい顔をしているミネ団長が、一人窓際で思案していたようなので。声をかけると、よほど考え事をしていたのか。一瞬此方に気づかなかったようです。
「お帰りなさいセリナ…彼女はどうでしたか?」
「……相変わらず、と言えば伝わるかと」
それを聞いたミネ団長は深い溜め息をつかれました。ミネ団長も、ヒトミさんをよく心配してくださっているのです。彼女が争い事に巻き込まれないように、影で動いているのは。私しか知りません
「さて…暗い話ばかりではなんですから。セリナのお誕生日、お祝いしましょうか」
「はい!」
そこからハナエちゃんからもミネ団長からもお祝いを受けて、プレゼントも貰うことが出来ました。そして、ヒトミさんから貰った3つ目の箱の中身は、お誕生日ケーキでした。中にはカードが入っていました
『お誕生日、おめでとうございます。常日頃からお忙しい身では有ると思われますが。ご自愛の程をお忘れなきように、今年一年の息災を陰ながら願わせて頂きます。簡素ではありますが、お祝いの品もお渡ししていますので。お使いください。救護騎士団の方々がよい日々を過ごされることを、お祈り申し上げます
天上ヒトミ』
そのカードを見た後に、渡されたものやケーキを見れば。普段から命を削っている彼女にこそ。こういった品が送られ、労われるべきなのでは?そう思わずにはいられませんでした……そんな感情をひた隠し。3人でのお祝いを済ませ、片付けをして。ハナエちゃんを見送った後。一人でカードを眺めていました
「……思い詰めているようですね」
「……団長」
椅子に座るように団長に促されると、そこに座り。遅いティータイムとなりました。出された紅茶に口をつけると、ふと思うのです。彼女がもし。救護騎士団のメンバーだったらと、笑って泣いて、楽しく彼女が過ごせたのではないかと。
「団長は…………団長は、ヒトミさんを。助けてあげることは出来ませんか?」
「………」
ふと、そんな事を言ってしまいました。ティーパーティーが駄目であれば、他のところを頼るしかありません。それなら、自らの組織であり、誰にでも理由があれば戦いを挑むミネ団長であれば。もしかしたらと、そんな期待を求めて、ただ。帰ってきたのは私が望んだ言葉ではありませんでした
「……それは出来ません、私は彼女に干渉することが極一部を除いて出来ないのです」
どうして、何故?見捨てるのか、そんな言葉をなんとか飲み込んで。ミネ団長の言葉の続きを待つことにしました
「現在の彼女の立ち位置は非常に危ういのです、無所属という後ろ盾が無いまま、ティーパーティー含めたトリニティの政に深く関わりすぎています。此処から私が引き抜いたとなれば、要らぬ諍いと彼女により一層の負担を強いることになりますから……それに」
「………それに?」
私が言葉を促すと、ミネ団長が苦々しい顔をしました
「恐らく、天上ヒトミはあの状態である必要性があります…いえ、
「そんなことは──」
「無いと言い切れますか、セリナ」
「それ、は…………」
椅子から立ち上がってミネ団長に食ってかかろうとしたところを、ミネ団長の一言でまた椅子に座ることになりました。………無いとは、言い切れないからです。
「天上ヒトミ……ヒトミさんは、あの状態で有るからこそ。自らに存在意義を感じているのだと思います、普通でしたら投げ出しているところをしていない。その上自らを追い込もうとしています……そうでなければ、自己を保てないのでしょう。下手に取り上げれば、此処に居る価値が自分にはない。そう考えてトリニティから去ってしまう可能性すら。私には感じさせてしまうのです。ですので……私は、助けてあげることは出来ません」
「………すみません、団長。私が軽率でした」
「いえ、セリナがそう思ってくれていたと知れたので。私としては嬉しいのです……彼女が自分を見失わないように。助けてあげてください」
「はいっ……それでは、私はこれで」
「はい、お疲れ様です……ああ、言い忘れていました」
気合を入れ直した後、ミネ団長に一礼して。寮に戻ることにします。ヒトミさんが心配ですので、寝る前によるのも忘れないようにしないと……そう思いつつ、扉の前に立つと、ミネ団長が声を掛けてきました
「なんでしょうか、ミネ団長」
「私も………彼女が、あのままでいいとは。思っていませんから」
「……ミネ団長なら、そう思ってくれていると分かっていましたから。大丈夫ですよ」
「ありがとうございます…では、おやすみなさい」
「団長も、お帰りの際はお気をつけて」
そう言い残して、ヒトミさんのお部屋へと急ぎます。また働いていそうですから。
………そう言えばですけれど、ミネ団長。紅茶を一口も飲みませんでした。珍しいことも有るものです
ミネはセリナを見送った後。、
「………動けるのであれば、とうの昔に動いていましたとも」
お誕生日のセリナさんを悲しませる社畜お嬢様が居るそうですわよ。何処の誰でしょうか?全く、躾がなってないですわね。それでもお嬢様でして?
ミネ団長が救護!!!できない理由の一部を公開いたしましたわ。あくまでも即救護されるのは1年生の頃のお話ですわ、2年生の今現在それをやると限界社畜お嬢様は自己崩壊を起こしかねないという判断ですわね……
ちなみにトリニティの才媛こと浦和ハナコ様ですけれど、限界社畜お嬢様のことはあまりよく知りませんわ。というよりは徹底的に限界社畜お嬢様が浦和ハナコ様にわからないようにしておりますのよ……此処で限界社畜お嬢様が補習授業部にぶちこまれたらどうなるんでしょうね。自分が嫌がってたことをやってるやつを見る浦和ハナコ様の感情………私、気になりますの!!!!!!!!!!
……ところで、曇らせタグは付けたほうが宜しいのでしょうか。わかんねえですわよ
──追記──
とりあえず疑問符でつけましたわ。そして社畜タグつけるの忘れてましたわ!!社畜お嬢様のアイデンティティですわよ!!
番外編について
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同じ作品で投稿して欲しいですわ〜!
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別作品として投稿して欲しいですわ〜〜!!
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ェ駄死もいいですわ〜〜!!!