ノブリス・オブリージュ?なんですのそれ? 作:一般お嬢様
時刻は少し遡る……場所は正義実現委員会本部。コハルが正義実現委員会の実質的な人質として連れ去れ、補習授業部へと入れられたことにより、正義実現委員会内では、少々ひりついた雰囲気が漂っていた。コハルが連れ去れたということに対してひりついているというよりは、ティーパーティーが正義実現委員会に実質的な宣戦布告のようなものをしたことについてひりついているのである。
ただ、例外も勿論いる
ハスミはコハルのことを心配している側の生徒だ。彼女からすると、コハルは実力こそあまり目立たない生徒では有るものの、それでもあの在り方はとても好ましいものである、そう考えていた。補習授業部に入れられた時は怒りで我を忘れそうになったものの、ツルギの説得により事なきを得ていた。
「………コハルは、大丈夫でしょうか」
心配そうな声を出す。深夜にという形では有るものの、補習授業部の面々とはそれなりに仲良くしていることは理解できた。先生との関係性は日中来た時に把握できている。ただ、それでも心配なものは心配なのである。
「……心配は、要らない」
「ツルギ……」
物憂げに外を見ているハスミの隣にツルギが座る。彼女もまた、ティーパーティーに不快感を持っている側の一人では有る。ティーパーティー直轄ではない組織ゆえにどうしようもない状況下では有るものの、それはそれ此れは此れである。苛立ちという感情もない訳では無いが、それも抑えるしか無かった
「彼処には、彼女が、いる」
「彼女……ヒトミさんのことでしょうか?」
ハスミがそう問いかけると、ツルギは頷く。ハスミはそんなツルギに対して疑問を持つ……ことはしなかった。トリニティの3年生、それも正義実現委員会の生徒ともなれば、彼女がどの様な性格なのかは既に把握しているからである。
「ですが、彼女はティーパーティーから監視役として補習授業部へと派遣されています。大本がティーパーティーの依頼である以上、いくら彼女でも」
「それはない」
ハスミの最もな懸念事項をツルギは切り捨てる。いつもであればコミュニケーションがあまり上手く取れないツルギが此処まで会話が成立していることにハスミはほんの少しだけ、疑問に思うのだった
「……ツルギは、ヒトミさんのことを信頼しているのですね」
「……私が、ヒトミを勧誘していたのは、覚えているか?」
ハスミの問いかけにツルギは頷きながら、逆にハスミに問いかける。ヒトミの正義実現委員会への勧誘はツルギの独断ではなく、ハスミもそうではあるが、去年の3年生も勧誘するべきだという結論に至ったのである。勧誘役は誰がするかを討論して、意外なことにツルギが勧誘役となったのである。最も関わり合いがあったというのも有るし、彼女の戦いっぷりに若干の恐怖を覚えた生徒も居ないわけではないからだ。
「ええ、勿論。裏から手助けしていたことも」
「……知っていた、のか」
「分かりやすかったので」
ハスミがそう言うと、ツルギが少しだけ驚いたような顔をして、それを見たハスミはクスリと笑いながら肯定すると、ツルギは少し恥ずかしそうな顔をする。ツルギの珍しい照れている顔にハスミはもう一度クスリと笑う。そんなハスミを見て怒ることもなく、ツルギは視線をハスミに向けた。
「…彼女は、私と似ている」
「ツルギと、ですか?」
「あぁ………。ヒトミは、規律を重んじる、節がある。あれは、
ツルギが言葉を区切りながら…という訳では無いが。彼女にしては随分と饒舌に語ることについて、ハスミはなんとなく理由を察した。ツルギは思い違いでなければ、自分と同類の類だと思っているのだろう。自分の中にあるものが絶対の価値基準であり、相手が如何なるものであれ、それを実行できる人間であると。普通なら同族嫌悪をいだきそうなものでは有るが、それを抱かせないのはヒトミの人柄か、はたまたツルギの性根なのか。その両方かもしれない。
「だから、心配はいらない。仮にティーパーティーが妨害したとして、天上ヒトミを止められることは、有り得ない。あれを、本気にさせる、恐ろしさはティーパーティーも、知っているはずだ」
「……そう信じるとしましょう……所でツルギ。ヒトミさんのことになると饒舌になりますね」
「…そんなことは、ない」
「……ふふ」
からかうような事をハスミが言えば、今度は結構恥ずかしそうにツルギが目をそらす。自分では気づかなかったのか、割りと本気で羞恥心を抱いてしまうらしい。そんなツルギに思わずハスミが笑みをこぼす。
「……ようやく、笑った」
ポツリと呟いたツルギの一言にハスミは、コミュニケーションが苦手ながらも、自分を元気づけようとしてくれていたことに、遅まきでは有るが気づいた。相変わらず喋るのは苦手では有るものの、優しい人であると再認識する出来事ではあった。
────ツルギは1年前のことを思い出す。あれは酷いものだった。一度は沈静化したものを掘り出した派閥同士の醜い争い。そこまでならばいつものことだった。だが、そこで終わらなかったのだ。やられた側のシスターフッドではなく、やった側の派閥が大軍を持ってして、潰しにかかったのである。シスターフッドも有名な派閥であり、両者が争えば共倒れの可能性もあった。そうなれば正義実現委員会も介入せざるをえない。そのために大掛かりな準備を始めたのだが…侵攻が思いの外早く、間に合わせることが出来なかったのだ。
ただ、結論から言うと
『侵攻はそこまでです、申し訳有りませんが皆様には此処で潰れてもらいます』
シスターフッドは無傷で、襲った側の派閥が
『相手は一人だぞ!?どうして潰せない!!』
正義実現委員会の先輩方の静止を聞かなかったことにして、戦場で聞いた第一声に困惑を隠せなかった。相手をしていたのはたった一人だ。恐らく無惨に負けているか、大苦戦を強いられていると思ったが。想像とは真逆の結果が視界に映っていた。
『徒党を組まなければ物も言えないような貴方方では話になりませんが?』
爆風と爆音が鳴り響く。彼女が使っていたものは……あれが銃なのか未だにわからない。もはや大砲のようなものを右手に装着するような形で戦っていた。一発撃てば爆音とともに数十人単位で生徒が宙を舞う、なんてことはざらにあった、あれはもはや災害のようなものであると。
『戦車でなら…!』
流石に不味いと思ったが、間に合うことが出来ずに、戦車の砲撃が無慈悲に彼女を襲った。砲撃は1発だけではなく、その場に居た戦車おおそよ
『……終わりでしょうか?』
───なるほど、活きのいいのが来たようだ
そう思いながら戦場へと飛び込む。唐突に現れた第三勢力に相手は驚いて隊列を崩し、包囲網が崩れる。その隙を見逃さずに、件の生徒の横へと滑り込む。
『御機嫌よう乱入者の方。こう言ってはなんですけれど、普通の生徒の方なら死にますわよ?』
開口一番そう言われたことに若干腹が立ったが、それは見逃すことにした。戦車の砲撃をあれだけ受けて無傷だったのを考えると、もしかしなくても彼女がこの戦場での絶対的強者側であるということは文句のつけようがなかったのだから。
──耐久性には、自信がある
『そうですの。では、勝手になさってください』
それだけお互いに告げると、それぞれ暴れ始めた。件の生徒が砲撃を行いつつ、時折戦車の砲撃を潰しつつ、戦車そのものも潰していく。此方も負けじと戦車の砲撃を躱しながら、戦闘続行不能に追い込んで潰していく。互いに10両ほど潰した後のことだった。倒れていた生徒に脚を掴まれて、動けなくなったのだ。当然そんな隙は逃してもらえるわけもなく
『今だ!』
戦車から砲撃が放たれた、流石に不味いかと思っていると
『足元がお留守なのは感心しませんわね』
件の生徒が前に立ち、戦車から発射された砲弾を
『失礼』
───!!
いつの間にか後ろに回り込まれていた戦車からの砲撃は、その生徒に抱えられることで回避することが出来た。そのままどすん!!と着地して砂煙が舞う。それを利用して近づいてきた敵は──
───着地の隙は作らない、方がいい
『あら、ありがとうございます』
私がショットガンで叩き潰した。そう言えば、どうしてこんな大群と戦っているのか、不思議に思った。今更では有るが。そんな問いかけは、相手がしてくれた。
『き、貴様!!何故そこまでして我らの邪魔を……!!』
恐らく戦闘の指揮官と思われる生徒が、憎悪を隠すこと無く言葉を発する。そうすると、その生徒はため息をつきながら。とある紙を出した…あれは、契約書か?
『これが答えです』
『そ、そんな紙切れが『今なんとおっしゃいましたか?』……な、なんだ?』
《紙切れ》、恐らく契約書であろうそれをそう呼んだ瞬間に件の生徒の雰囲気が一変する。今まではどこか面倒そうに戦っていたそれが、一変して眼光が異様なまでに鋭くなる。向けられていない私ですら、思わず背筋に冷や汗が流れる位の威圧感だ。受けている側は相当なものだろう。
『紙切れ、そうおっしゃいましたか?』
『それがな……ぎゃっ!?』
確認するかのような問いかけに、指揮官が肯定した瞬間。
『そうですかそうですか、貴方達は───いや、お前達は。そういう人間なのだな』
長い髪を波打たせ、激憤に染まっていた。恐ろしい鬼神のような眼光と威圧感、何処からどう見てもキレている
『契約書…契約とは
……………は?
───おい
『なんでしょうか、今機嫌が頗る悪いので手短に』
声をかければ、こちらには普通に話しかけてくる。なるほどなるほど、我を忘れるような人間ではない。それならば安心だ。それはそうと、聞きたいことが有る
───あれと戦っている理由は?
『はい?何も知らずに……ああ、正義実現委員会の方でしたか。お手数をおかけしております』
何で戦ってるのかと聞けば。胡乱げな視線を一瞬受けた後。正義実現委員会であることを理解したのか、口調が申し訳無さそうなものになる。なるほど、礼節もしっかりしている……いや、そんな事を話している場合ではない
『理由、でしたわね。簡単ですわ、あちらの方々がシスターフッドに
───それならば、そちらが戦う理由も薄いと、思うが
その問いかけに。彼女がため息をつきながら答える
『本来は、その方が良いのでしょう…ですが。それを取り持ったのは私ですし、何よりも……』
───何よりも?
一度言葉を区切る彼女は、視線を相手に向けながら。心底気に入らないという風に言葉を言うのだった
『彼女達は
────!!
驚いた、驚いた。それだけの理由だけれども。絶対的な理由がそこにはあった、自分達が掲げる正義とは違うのかもしれない。けれど、そこには
『弱者を虐げる悪行、許す道理が御座いまして?』
確かな『善性』がそこにはあった。
───良い覚悟、をしている。名前は?
『天上、天上ヒトミですわ』
───天上ヒトミ、覚えておく。派閥は?
『はい……?』
これだけ大規模な戦闘が可能なのだ。何処かの派閥から放たれた戒めの鉄槌かと思っていると、首を傾げられる……い、いや。まさかまさか。そんなはずはない、いや。だが……
───無派閥、か?
『はい、あと私。1年生ですわ』
───!??!???!!???
待て、少し。待て、無所属だけでも衝撃的なところに1年生……だと……?この強さで?この戦闘力で?この精神性で……私よりも、年下?そんな風に混乱していると
『貴女のお名前。お聞かせ願っても?』
───剣先、ツルギ
『そうですの、剣先様。覚えておきましょう、では───あの方々に。正義執行、とでも征きましょうか』
───了解、した!
そこから先は蹂躙だった。本気を出し始めた彼女は、スクラップになっていた戦車から砲塔を引っこ抜いて振り回し始めたのだ。あれではもはやバーサーカーというものだ。だが……頼もしい。必要以上に痛めつけていないことも好感を持てる。あくまでも報復を止めるための措置、というのだろう。
──その後は、数分も経たずに戦闘が終わった。私も久しぶりに大暴れすることが出来た。動きやすかったのも有る。あれでいてよく周りを見ていた。援護や射線を塞いで此方の損害を抑えてくれたりもしている。チームプレイも得意な様子だ……。
………欲しいな、あの逸材
3行で分かる今回のお話
ヒトミお嬢様「なんなのですの今のはぁ…… ?(無傷)」
敵「かてるわけがない、逃げるんだぁ…」
ヒトミお嬢様「何処へ行きますの?(戦車叩きつけ)」
【悲報】限界社畜お嬢様、話を削りに削っていた!!!
……というのは冗談で。単に覚えていなかっただけですわね。此処から割りと剣先様がアタックを仕掛けるのですが。そのときにはもう書類仕事に明け暮れ始めていたのでなかなかチャンスがつかめないまま現在に至りますわ。今もこっそり、限界社畜お嬢様に戦争ふっかけようとしてる輩をドーモ、トリカス=サン。ツルギ=デス。キェェェェェェェ!!!!!!とスレイヤーしておりますの。キェェェェェェェとかくと忍者ではなく、どこかのポメラニアン思い出しますわね。その情けないDAは何ですの!!!!
番外編について
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同じ作品で投稿して欲しいですわ〜!
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別作品として投稿して欲しいですわ〜〜!!
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ェ駄死もいいですわ〜〜!!!