ノブリス・オブリージュ?なんですのそれ? 作:一般お嬢様
ちなみにこのあたりのお話、あれこれ伏線は既に張っておりますわよ。今回はエデン条約編の最初の方の話でちらほらとですわね
ミカを吹き飛ばしたヒトミは銃を構える、それは先程使っていた銃と同じものだった。先程まで使っていた銃はと言うと……何もしていないが発火し、銃だけが消失していった。異様な光景に視線がヒトミに集まる。だがヒトミの視線は終始ミカにだけ注がれていた
「いったいなぁ……っ!」
そのミカはというとSGの接射フルファイアを食らったが、ほぼタイムラグもなく体を引きはがす。その反応速度は流石というべきだろう。この接射フルファイアは大抵の相手を昏倒させる程の威力があるのだが、タフネスさと言う意味では聖園ミカも規格外に位置する生徒であった
「……その銃、何処から出したのかな?」
ただ、目の前にいる天上ヒトミという生徒はそれ以上に規格外ということ。それだけである、ミカが訝しげに問いかけるもヒトミは何も答えることはない。それどころか、答えることはないままミカに接近する
「流石に同じ手は────!?」
先程と同じ様に躱そうとしたミカだったが、後ろに下がった瞬間。まず片足を撃たれる
「っ……!!」
次に体勢が崩れた所に情け容赦のないフルファイア。轟音とフラッシュファイアが光りながらマガジンを打ち尽くし。交換する、ミカの方はと言うと無意識下の反射神経で最小限にまでダメージを抑えているのだった
「……とうとう本気出してきた。って言うことかな?」
「そう受け取っていただいても構いません」
ミカが体の感覚を確かめながらそう言うと、ヒトミがそう言い返しながら銃を構え直す。これまではいわば前哨戦のようなもの、ココカラが本番というわけである。
「……一つ、気になることが有るんだけど。聞いて良い?」
「……何でしょうか」
先程まで殺し合いのような戦いをしていた二人だが、ミカが口を開くと、ヒトミはミカの問いかけに答えるつもりなのか、促した
「……ヒトミちゃん、薬飲んでたよね」
「ええ、そうですわね」
しばらく前のことである。ミカが吐血していたヒトミを介抱したときに、何かの薬を飲んでいることは知っていた。なんならティーポットに混ぜ込んで常飲するようなレベルでである。ともすれば弱い薬なのか?と言われるとそうではないようだ
「……あれ、ヒトミちゃんが自分でやったの?」
「そうですわ、それがなにか?」
「…………そっか」
ミカはある程度何なのか察しがついているが、周りに聞かせるものでもないので。あえて何を飲んでいるかは聞かなかった。ヒトミの方も何を飲んでいるかは把握しているのか不明瞭では有るが、ティーポットに仕込んでいたものが何なのかある程度当たりを付けられていると判断して頷いた。
その時である
「……………」
ヒトミが吐血した、何の前触れもなく。唐突にである
「””天上!?””」
「……大声を出さないように、頭に響くので」
先生は驚きの声を上げるがヒトミは相変わらずいつもの調子で言葉を返す、口元についた血をハンカチで拭いた後。何事もなかったかのように再度ミカに銃口を向ける。そんな事はどうでもいいというように
「ヒトミちゃんはそんなになっても戦うんだね」
「それがなにか?」
「いや、ヒトミちゃんらしいなって。そんな事をしてるとほんとに死んじゃうよ?」
何時ものなんてことのない会話だ。話している内容は物騒では有るが、ミカが心配してヒトミが返し。ヒトミらしいと返して終わるような会話。ただ今回は少しだけ様子が違うようだった。
「はて?」
「………?」
今回は、ミカが言った言葉をあまり良くわかってない。という風にヒトミが首を傾げたのだった。いつもと違う様子にミカはほんの少し違和感を覚える
「戦えば死ぬのは当然ではないでしょうか?皆様体が頑丈ですのでお忘れになりがちですけれど。それもただ頑丈というだけで、それに伴う後遺症で命を落とす可能性がない、というのは甘すぎる見通しかと」
「……っ」
「聖園様はどうなのかは、分かりませんけれど。私は基本こうして戦場に立つときは、自分が死ぬものだと思いながら戦っていますよ?」
まるで子供のように心底不思議そうな様子で問いかけてくるヒトミに、ミカは上手く受け答えが出来ずに居た。
「人の命を奪う可能性があるものを向けている以上、それが己にも向く可能性があるというのは当たり前のことですわ。目には目を歯には歯を……力を振りかざすのであれば、同じ様に力を振りかざされるということです。Live by the sword, die by the sword……戦いとはそういうものですので」
ヒトミはミカに促されること無く、自らが普段思っていることを滔々と語り始める。普段、自我を殆ど出さない彼女にしては非常に饒舌であり。そしてそれは純粋な問いかけでもあった、お前達は自分が人を殺せるものを振り回している自覚は有るのか?と、その引き金が軽くなればなるほど、語るに落ちることになるのではないか?と
「聖園様はおっしゃいました、真っ当な人間が真っ当に生きるべきであると」
「……そうだけれど、それが?」
ヒトミがミカに問いかける。普通の人間が普通であるべきというのはミカの中にある一つの選定基準だ、正しいものとそうでないもの。天国に行くものと地獄に行くもの、その道行を決める決定的な要素であると
「その発想は理解できます。それは正しいものと私も思いますよ。穢れているものとそうでない者の区別は必要なことではありますし。どちらかを優先するべきかの判断するのに必要なことですので」
「だったら、なんでそんなこと聞くの?」
「簡単ですわ」
ミカが訝しげに聞き返すと、ヒトミはなんてことのないように口を開く
「私がそうではないからですよ」
「…本気で言ってるの?」
「本気ですわ、むしろ。どうしてそう思うのか私は不思議でなりません」
ヒトミの言葉に、ミカは憤りと。若干では有るが形容し難い感覚に襲われていた。自分の話を聞いていたはずだ、今の現状のトリニティは不健全であり、許容できるものではないと。自分はそのままでも構わない、そう思っているかもしれないとミカは考えていた。だが、そうではないようだ
天上ヒトミは『真っ当な人間』ではなく『真っ当な人間ではない』方である、そう自分で言っているのだ。なんの躊躇いもなく、なんの迷いもなく。それが当然だからと言うように
「そうですね……では、聖園様に私から問いかけてみましょうか」
「……何?」
「そこに存在しているだけで、人を不幸にする存在は居ると思いますか?」
「………」
ヒトミの問いかけにミカは考え込んだ。存在するだけで人を不幸にする、それは極論を言えばYESだ。存在してはいけないもの、というのは確実にある。他者を顧みないもの、自分の幸福しか考えないもの。だが極論を言えばNOなのだ。大なり小なり。人はそういった側面を持っている、だからこそ明確な線引をするのだ。そうでなければ何も捌くことが出来ないから
「答えられないでしょうから。もう一つ質問をしましょうか」
ヒトミはミカの答えを聞くこと無く、もう一つの質問を投げかけることにした
「自らの行動で誰かを戦いに駆り立てるような人間が真っ当な人間でしょうか?」
「………!」
ヒトミがそう言うとミカが顔を上げる、ミカの目に映っていたのは普段の無表情な顔だ。はたから見れば何も考えていないような虚無のような顔。まるで表情筋が死んでしまっているような、そんな顔である
「他者の願いを聞き届けないものは人を不幸にしない存在でしょうか?」
もしもだ。もしもの話である、この場では有り得ることもなく、叶うこともないような現状をでは有る。空想の話である
「隣人を愛することもなく、人と友愛を築くことが出来ないような人間が」
この場に、桐藤ナギサが居たならば
「……何の罪を背負っていないとでも言うのでしょうか?人を傷つける動機の一つになっているような存在が。何一つ現状を改善することが出来ないまま無為に時間を過ごしているだけでしか無いものが」
きっと、おそらく。こう言うだろう
「……私は、そんな人間が真っ当な人間だとは思いませんよ」
天上ヒトミを一番理解できていたのは、私でもミカさんでもなく。もっと別の人だったのかもしれませんね
「………それがヒトミちゃんの考え?」
「そうですわ。現に聖園様にこうして行動させる原因の一つになってしまっている以上。私もトリニティ崩壊の原因の一端であるということに変わり有りませんわ。それが如何なる理由であっても……昔、聖園様はお聞きに成りましたね。思いの外自分のことを見ているのかと」
─────聖園様、疲れているようですし
─────え?なんで?
─────何時もの聖園様であれば、もう少し…いえ、かなり引っ張ってからぶーたれると思いますので
ミカはそんなこともあったかな、とそう思い返す。あの頃は此処までするとは夢にも思わなかった。ただ、そうせざるを得ない状態になってしまったのは事実だ、そしてそれを自らは実行してこの場に立っている。立ってしまっている
「……そうだね、そんなことも。あったかな」
「実を言うと、あの頃からこんなことが起こるのでは無いか。そう思ったのですよ」
「えっ?」
ミカは今回ばかりはなんの含みもなく驚く。それもそうだ、最初から聖園ミカはこんな事をしようとしたわけではない。確かにトリニティの現状は良くないというのは思っていた、なんとかしようと努力していたし。やり続けるつもりだった。それが変わってしまった、だがヒトミは既に予想していたのだ
「聖園様が政治の勉学をしたきっかけですよ」
「……ああ、そういうこと」
そこでミカは、少しだけ。ヒトミの感情を理解したのだ。天上ヒトミという人物は、聖園ミカの人間性を変えてしまった原因であると。普通に暮らすことも出来た、たしかに何もしないことは悪いことなのかもしれない。だが同時になんの罪も犯していないとも言える。故に存在するだけで人を不幸にするというのは、おそらくそういうことなのだろうと。
「ですので、私は補習授業部の方をどうこうする権利はございません。私自身そちら側に近い存在ではありますし、『人に迷惑を掛けている人間』という意味ではですけれどね」
なので彼女達を糾弾することも、聖園ミカを非難することも出来ないというように。自らも過ちを犯し。罪人であるがゆえに。そんな事はしてはならないと
Q.真っ当な人間って誰?
A.放課後スイーツ部みたいな人達(by限界社畜お嬢様)
Q.どうして内面描写かかないの?
A.答えが全部出ちゃうから(by作者)
限界社畜お嬢様。ヒフミさんにお前と同じにするな、と入っておりますけれど。補習授業部に入れられることはない。とは言ってませんのよね
次は〜多分行けると思いますわ、きっと恐らく。メイビー
日常パートはしばらくお預けですわ〜。あと助っ人周りは最初から答えが出てますわ
番外編について
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同じ作品で投稿して欲しいですわ〜!
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別作品として投稿して欲しいですわ〜〜!!
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ェ駄死もいいですわ〜〜!!!