なんかあのあと龍と一緒に過ごしているんやが、面白い事に一時的に魔力切れ状態のような感じにできるらしい。
え?なんで龍と一緒に過ごしているのかって?さぁ?でもまあそれは良くて……それより魔力についてだよ!!考えれば簡単だったよ……魔力って実は体から漏れ出てるんだ。その漏れ出る出口を何処か一箇所に移動させて放出させる事で魔法の具現化としてるんだ。まあここまでは仮説だけど、その出口についてなんだ。
その出口、大きくすりゃ増えるより早く魔力を減らせるんじゃないかなって思ったんだ。やってみると意外と簡単だ。地獄の淵まで逝くようなクッソ不快な感覚に見舞われるのを無視すりゃ3分で空にできた。これならわざわざ出力を絞らなくてもやれる!!だが、デメリットもある。魔法を使えるまで貯まるまで少し時間が掛かる。丸一日は掛かると思う。それでも魔力総量を考えればかなり早い溜まり具合なのだが……
まあ、それはそうとして、魔力操作については課題点が大きく減ったわけだ。これで人殺しをせずに済む。
さて、この白い龍やがハクと名付けた。深い意味は無い。単純に白いからハクだ。ジ◯リ汚染されてそうな名前だが深く気にしない事にした。
このハクは普段隣に居るだけで食べ物を採る時とかに頭に乗せてもらっている。この魔力を放出して飛ぶとかも出来たんだが、いかんせん出力がな……今は甘えさせてもらおう。
ハクが居ると怖い魔物とかが寄り付かなくなった。練習台となる魔物が居なくなったと考えるとデメリットだが、当分の間はこのままで過ごそう。まずは魔法より衣食住が先決だ。衣は別に気にしなくていいが、食と住はかなり重視したい。特に住。つまり家だ。
この前の洞窟が発見されて攻撃された。賊とかじゃなくて村の人たちだ。
魔力の放出についてまだ気が付いてない頃だから反撃出来ずにハクと一緒に逃げた。傷は幸い無かったが、俺が怪我をしてしまった。当分は自力ではあまり動けない。
治療に関しては治療魔法はできない。魔力は攻撃に特化している一つの物質だ。何かに影響させるような事は出来ない。纏わせて止血くらいにはなるが、それだけだ。
出来る限り遠くに逃げたはずだ。国っぽい所を飛び越えたはずだからもうわからないだろう。
今日も治癒に専念して洞窟で休んでおく。ハクに頼りっぱなしなのは申し訳ないな。
***
村の端。誰も寄り付かない薄気味悪い廃墟で深くフードを被った人と老人が会合していた。
「――して、その竜に乗って悪魔は王都へ逃げたと?」
「はい。追撃をしても我らの足ではとうてい追い付けず……どうか退治しては頂けないでしょうか?」
老人はフードを深く被った人へ頼み込む。隠れ見える耳は細長く、多数の魔法具を身に着けている事から王都の魔法師という有数の魔法使いである事がわかる。
老人は表面は必死を取り繕っているが、内心ほくそ笑んでいた。これであの夫婦の子供は消えると確信しているのだ。
「ふむ………わかりました。調査して討伐致しましょう」
「ありがとうございます。これで村の皆が安心して夜を迎えられます」
老人の手のひらの上とも知らず快諾した魔法使い。ここで会合は終わり、二手に別れそれぞれの仕事へと戻ってゆく。老人は家へ。魔法使いはなにもない空間へ。
「ふぅ……『
そう唱えた魔法使いの眼の前に突如として馬車が現れた。魔法によって透明化していたのだ。
中にはもう一人の魔法使いが居た。赤髪の大男だ。少し窮屈そうに居座っている。
向かいの席に座ると馬車は走り出す。赤髪の大男が口を開く前に老人と会合をしていた魔法使いが喋りだす。
「悪魔だと」
「こんなクソ田舎に出たらそれはそれで面倒だな」
「まあね。多分私達と同じような子供だと思う」
「次世代の魔法師の子供か。攫うのか?」
そう問う大男。向かいの魔法使いはため息を吐き出しフードを外した。
「少し、調べたい事があるの」
金色の髪を持つエルフの女は遠くの山を見て頭を痛めたような仕草をした。
彼女の頭の中にはこの地に語り継がれる特別な龍の話がある事がどうしても関係無いと言い切れない予感がしているのだ。
ただその龍がなんであれ、負ける気は少しもしなかった。だが、少しでも誤算は出ないほうが良い。ちょっとだけ研究者気質なのはエルフの種族全体に言えることだろう。