勇者一行の魔法使いが可愛すぎたからえっちな本書いたら人生変わった 作:目玉焼きにはポン酢教
フリーレン様かわいい
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フリーレン様のエッチな本書いたろ
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エッチ本売れすぎじゃない…?
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その売り上げで本屋開店したから記念のサイン会やるで←今ここ
「あのっ、先生の作品いつも楽しんで読んでます!」
「ありがとねー」
さて、なんやかんやで始まった記念サイン会だが無事順調に…
「貴様かぁぁぁぁぁ!!!」
進んでないようですね。
「いきなりどうしました?」
「しらばっくれるな!僕の大切な仲間の卑猥な本を書いたのはお前だろう!」
「そうですね」
「そうですねじゃない!!」
うるさいなぁ……そもそもなんでこんな怒ってんだこの人。
にしてもこの青髪、どこか見覚えが…
「あれ、もしかして勇者ヒンメル?」
「気付いてなかったのかよ?!」
「あのパレードじゃフリーレン様以外見てなかったし…」
「おい!!」
勇者ヒンメル…自分でも公言するだけあって男の俺から見てもかなりのイケメンだ。
あのパレードじゃフリーレン様以外見てなかったからあんま印象に残ってなかったけど。
「すみませんねすぐ気付けなくて。おまけにサイン大きめに書いてあげるので本を…」
「そうじゃないっ!」
「いで」
この勇者、いきなり俺の頭を剣の鞘でぶん殴って来やがった!ホントに勇者かよ?!
「な、なんなんですかいきなり?!」
「流石の僕でも限界だ!裁判所に突き出してやる!覚悟しとけよ!」
何言ってんだこいつ。
いきなり乗り込んで来て裁判とか言われてもねぇ…
なんだ?単純に仲間であるフリーレン様のえっち本が出回ってることが気に入らないのか?いや、確かヒンメルはフリーレン様に好意を抱いていると風の噂で聞いたことがある。ならばこういった類の作品はむしろ歓迎すると思うのだが…
……!もしかして俺の本に登場するフリーレン様のことで不満があってキレ散らかしてるのか?
確かに目の前でオリジナルを見てきたヒンメルなら、俺なんかよりもよっぽどフリーレン様の事について知ってるだろうし、ここでいっちょフリーレン様についていろいろと聞いてみるか。今後の作品にも活かせるかもしれないし。
「まぁまぁヒンメルさんや。裁判だとかそういう物騒な話はよして、お茶でも飲みながらフリーレン様のことについて語り合いましょうや」
「急に丁寧口調になったからって許すとは…」
「あ、サイン会はちょっと中断します~!」
とりあえずサイン会中断を宣言すると、列に並んでいた聞き分けのよい同士たちはそそくさと退散していった。愛してるぜお前ら。
「ささ、こちらの部屋でお茶でも」
「下らない時間稼ぎだな…まぁいい。付き合ってあげよう」
とりあえずお茶へのお誘いは承諾してくれた。あとは本物のフリーレン様についてあれこれ聞き出すだけだ。
「にしてもこの店?家?は大きいな…僕の家と同じぐらいじゃないか?」
「これも全てフリーレン様のおかげです」
「えっ、この家ってあの本の売り上げで建てたの?」
「まぁ大半は」
「えぇ…」
ある意味フリーレン様のおかげで建てれたこの家は、贅沢な悩みだが俺一人ではどうしても使えきれずに余る部屋が出てくる。そんな一室にヒンメルを通す。
マジで何にも使ってない部屋なので机も椅子もないし部屋中埃まみれだが、野郎共の会談なんだ。こんな部屋でも十分だろう。
「…椅子と机は?」
「椅子と机がないとお茶が飲めないわけではないでしょう?そういうことです」
「そう…」
「あ、これお茶です」
お客に出すようなお茶なんて持ってるわけがなかったので、ニート時代に配給で貰った安物のうっっっっすいお茶と紙コップを出す。別に喉が潤えばなんでもいいだろ。
「いやこのお茶うっす…ほぼ水じゃん…別に期待してたわけじゃないけどさ」
「茶の話なんざ今はどうでもいいんです。我々はフリーレン様について語り合うためにここにいるのです」
「そうだな。じゃあまずあの本についてだけど「まずは私の本をご購入して頂きありがとうございます」
相手の言葉を遮る形になってしまったが、とりあえずこれだけは言っておかないといけないだろう。
いきなり人の頭をぶん殴って来たこの勇者に頭を下げるのは自分でも納得いかないが、それとこれは別だ。ちゃんと自分の作品を買ってくれた礼はしなければならないだろう。
「……誰が君の作品を買ったと言ったんだ?」
「えっ買ってないの?」
え?は?なに?コイツもしかしてエアプで俺のサイン会に殴り込みしてきたの?だとしたらマジでなんなのコイツ…ますます勇者かどうか怪しくなってきた…
もしかして影武者?むしろそうであってくれ…フリーレン様がこんな奴と10年近くも旅してたなんて認めたくないよぉ…
「よりにもよってパーティーリーダーの僕が大切な仲間を題材にした卑猥な本を買うわけないだろう?」
「いや、てっきり私の本に出てくるフリーレン様のお胸がオリジナルより多少盛られてることにお怒りしているのかと思ってて…」
「まぁ確かにそれもある。フリーレンの胸を盛るなんて僕が王様だったら処刑対象にするくらい失礼なことだ。でも本質はそこじゃない」
「じゃあ1巻10Pのフリーレン様のタイツを描き忘れた描写ミスについて…?」
「いや、あれはあれでいい。フリーレンの生足は滅多に見る機会がなかったからね。例え二次創作とはいえ捗るものがある。でもそれじゃ僕が怒る理由にはならないよね」
「…あのもしかしてですけど、私の出したえっち本読んでたりします?しますよね?」
「勇者である僕が仲間の魔法使いのえっち本を読むわけないだろ!」
あ、これ絶対読んでるわ。
「あ、そう言えば最新巻のフリーレン様ドM回どうでした?新しい扉開きました?」
「Mのフリーレンなんて拒絶反応が出るね。君はあのパレードでフリーレンの何を見たんだい?あの目を見てよくフリーレンはMだと思ったよねまったく…」
「やっぱりあなた読んでますよね?」
「だから違うっ!お前の本なんて一冊も買ってないし1ページも読んでない!!」
嘘つけ。1ページも読んでないやつがそんなに語れてたまるか。
「え、じゃあフリーレン様が首輪付けられて犬として扱われて、それに快楽覚えちゃう話も知らなんですか?」
「あれは素晴らしい作品だった。フリーレンはドS主義の僕でさえ揺らいだね」
「やっぱ読んでんじゃねぇか」
「と、友達から借りたのを少し拝見しただけだ…」
「読んでんじゃねぇか」
やっぱ読んでんじゃねぇか。しかもフリーレン様首輪回って最新巻のさらに先行販売限定の激レア回だぞ?
「と、ともかく!勇者ヒンメルとして、かつての仲間であるフリーレンの卑猥な本がこの世に出回っていることは許せない!フリーレンがこの惨事に気付いたらきっと心に大きな傷を覆うだろうなぁ…」
きっとフリーレン様は自分のこの類の作品が出回っていることよりも、お前がその類の作品を読んでることに心を病むと思うぞ。
「エルフってそういう感覚に鈍いので意外と大丈夫だったりするんじゃないですかね?」
「エロ本書いてるエルフにだけは言われたくないね」
「結局ヒンメルさんは私にどうしてほしいんですか?」
「今すぐフリーレンを題材にした本の販売を停止しろ。もちろん新刊を発表するのも禁止だ」
「私に死ねと?」
「別にフリーレン以外の人物を題材にした本を執筆できないわけでは無いんだろう?」
「そりゃいつかは他の方のも書こうとは思ってますが…でももう暫くはフリーレン様のえっち本で食いつながないとこっちにも生活が…」
「その“暫く”ってのはどのぐらいなんだ?」
「う~ん…100年ぐらい?」
「長い!長すぎる!やっぱり今すぐやめろ!」
「人間とエルフとで価値観合わせられても……そもそもアンタは何様なんですか!フリーレン様本人に言われたならば私もすぐにやめますよ!でも第三者のアンタに言われてやめる筋合いはない!!」
「さっきも言ったがフリーレンがこのことを知ったら悲しむだろう?それを防ぐためだ。仲間が涙を流す姿なんて見たくないんだ」
フリーレン様が泣くのはアンタがフリーレン様のえっち本で自分自身の勇者の剣を抜き去ったときだよ。
「…とか格好つけといて、本当は本の中で好きな人が知らない男にあんなことやそんなことされてるのが気にくわないだけだったり…?」
「っ……!」
「え、図星なの?」
「ま、まぁそれも…ある…かも…しれない」
マジかよこの勇者。二次創作でも自分の好きな人がヤられるの駄目なの?てか脳内変換ぐらいしてくれない?
でも反応を見る限り、このダメ勇者が俺にフリーレン様のえっち本の販売停止を訴えたのは恐らくこっちが本心だな?
だったらえっち本の竿役をヒンメルにしてやれば手っ取り早く済むんじゃないか?
読者の99%はフリーレン様に夢中で竿役のヒンメルには気付かないはずだ。
「あれだったら次回作の竿役ヒンメルさんにしましょうか?」
「…!」
「ちょうど次回作はドSのフリーレン様描こうと思ってたんです」
「…!!」
「あ、せっかくなので記念にフリーレン様の抱き枕あげますよ。趣味で作ったやつです」
「…!!!」
「考え直してくれます?」
「……まぁこれはフリーレン自身が決める問題だ。パーティーは解散したのにいつまでもこう気に掛けるのも、面倒くさがられちゃいけないしね。それに世の中にはこういう職業でご飯を食べている人もいる」
「分かってくれました?」
「まぁね。君に制裁を加えるのはフリーレンが現れるまで待っておこう」
「そう言っておいて死ぬまで現れなかったら?」
「はは、また縁起でもないことを」
そう言ってイケメン特有の爽やかスマイルで笑うヒンメル。フリーレン様の抱き枕さえ持ってなければ絵になっただろうに。
「はははっやっぱアンタは面白い」
でもなんか面白いわこの人。イケメンはムカつくけど。
「あ、そう言えば…」
「ん?」
「これ、もしかしたらと思って一応持ってきたんだけど…サイン書いてくれないかい?」
そう言ってヒンメルは取り出したのは俺のデビュー作だった。
……しかもヨレヨレだしどんだけ読み返してんだ
「結局持ってるんですね…」
「い、一応証拠としてね」
「これだけ?」
「ちゃんと全巻持ってるさ」
「お気に入りは?」
「やっぱ記念すべきこの1巻かな~」
「アンタ本当に勇者かよ」
思わず口に出てしまったが許せ。
とりあえずサインはフリーレンの顔にデカデカと書いてやった。
そしたらなぜか凄く怖い顔をされながらまた剣の鞘で叩かれた!
ホントにこいつ勇者かよ?!
遅くなりましたが皆様明けましておめでとうございます。
新年早々の結婚ラッシュや、令和6年能登半島地震が発生したりと慌ただしい始まりですが、少しでもこの一年が良くなりますように。