金獅子の舞 〜運命の誓い〜   作:ZJapan

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言い忘れていましたが、今回の聖杯戦争はランサー以外オリジナルサーヴァントになります。
歴史上の偉人も居れば、オリジナル英雄も居るので是非楽しんで見て頂ければ幸いです。


初陣

それから俺は、その少女に全てを聞いた。聖杯戦争について、サーヴァントについて、魔術について。

 

「理解は出来ねえが…その聖杯戦争に巻き込まれちまったわけか…」

 

「あぁ、君はもう逃げられない。聖杯戦争に選ばれた時点で、この街が無茶苦茶になるのはもう決まった事だ。しかし君がいれば街の人々の全て抑えられるかもしれない」

 

この聖杯戦争から逃げるのは至って簡単。しかしこのまま逃げれば学校や組、それにシノギにも影響してくるかもしんねぇ…つまり。

 

「本当に逃げらんねえな」

 

「それにしても…君は…」

 

「ん?」

 

セイバーと名乗った少女はそう、俺に現実を突き付ける。そして俺にも逃げられない理由がもうひとつ。

 

「なあ、前回の聖杯戦争…もしかして2年前じゃないのか?」

 

「え?あ…あぁ、よく分かったね。私は居なかったけど…まさかこんなにも早く聖杯戦争が来るとはね…史上最速にも程があるよ」

 

嫌な予感が当たった。

2年前、親父は変な事を言い残して家を出たっきり帰って来なかった。その意味が今ようやく分かった。

 

「次はお前だ…か。そうかよ、親父…」

 

親父の死の真相はとある事件が関わってた…けどその真犯人は願いが叶うと豪語してたな。つまりその真犯人を操っていた黒幕が居る。

 

「え?どうしたの?」

 

「いやなんでもねぇ。んであんた名前は?」

 

「教える訳にはいかないなぁ」

 

「そうかよ…ったく」

 

セイバー。つまり剣兵…剣や刀を使って戦うって事か。そしてさっき来た男がランサー。シンプルで分かりやすい。

どうやら俺は逃げ道を完全に塞がれたらしい…。

 

「何も聞かないのかい?」

 

「まあな、人間人に言えねえ秘密もあんだろ」

 

そう言って俺はタバコに火を付けて一息吐いた。

 

「あー、君は未成年だろ?良いのか?」

 

「ヤクザなんて半端者の集まりだ。今更気にするようなもんじゃねえ」

 

「全く…」

 

聖杯戦争か…願いを叶える事なんざ興味無ぇが、黙って見てられねえのも事実か。

 

「しょうがねえ、そのくだらねぇ意地の張り合い(いくさ)に乗ってやる。だがマスターは殺さねぇ」

 

「ふっ、頼もしいな」

 

そう言ってセイバーは笑った。

それを見て、俺はなんだか照れくさくなり、その場を経って出かけることにした。

 

「お、おい何処へ行くんだ!?」

 

「コンビニだよ、タバコが切れそうなんだ」

 

「危険だよ!さっきも話したろ!?この周りには君の命を狙う魔術師やサーヴァントがいるんだ!」

 

そう言うセイバーに向かって俺は向き直った。

 

「もしそうなら、真正面から叩き潰してやる」

 

「…君は、一体…?」

 

「言ったろ、ただのヤクザ…そして高校生だ」

 

するとセイバーは諦めたようにため息を吐いて、俺の用意した上着を着る。

 

「着いて来んのか?」

 

「君一人は心配だ。それにコンビニスイーツも欲しいしな!」

 

「ふっ、そっちが目的だろ?」

 

「バレたか…」

 

俺はセイバーと家を出てコンビニへと向かう。

とは言っても、ここの家は少し街から離れてるもんだからコンビニまでは少し時間がかかる。

 

「この時期の深夜は冷えるな…」

 

「今日は特に冷えるみたいだね」

 

するとセイバーが立ち止まり、横に広がる絶景を見ながらポツリと呟いた。

 

「ここはなんと言う街なんだ?」

 

十種(とくさ)市だ。ここら一体は俺らのシマだな」

 

少し高台にある家からはここの街が一望できる。

夜にも関わらず明るい街並み、眠らない街の片隅で俺達はその絶景を目の当たりにしていた。

 

「ここは、いい街だな」

 

「だろ?」

 

そう言いながら俺達は、夜道の坂を下る。

 

「今晩は…セイバー、そしてセイバーのマスター」

 

するといきなり少女が後ろから声をかけて来た。

 

「!?」

 

俺とセイバーは戦闘態勢に入る。

こいつ、いつから俺達を追けていた?俺が気配に気付かなかった…。

 

「うふふ、不思議?」

 

そこに居たのは綺麗な黒髪を揺らす1人の少女、俺と同い年程か?

いや、そんな事より…同じ学校の制服。そしてセイバーとマスターと言う発言…いきなり厄介な事になりそうだ。

 

「そんな事は今どうでもいい…お前は…誰だ?」

 

俺は冷や汗を垂らす。

それはこの少女に対してでは無く、後ろにある禍々しいオーラに対してだった。

何がいる?あいつの後ろには…?

 

「マスター、どうやらマズイ状況みたいだ」

 

「言われなくても分かってる…あとマスターは辞めろ。龍二でいい」

 

「そこは今気にする所じゃ無いだろ!?」

 

「お前が言うな!」

 

しかし、セイバーはそう言いながらも決して油断はしていなかった。

どうやら英雄と言うのは嘘では無いらしい。

 

「あなた達には悪いけれど、私の願いの為に死んでもらうわ」

 

そう少女が言うと、後ろから身の丈程の大剣を持った大男が現れた。

その男の肌は黒く、理性を失っていたかの様だった。

 

「聞かなくても分かるが…多分あれバーサーカーだろ?」

 

「あぁ、しかもかなり強そうだ…」

 

「ガァアヴ…」

 

明らかに理性を失った男の雄叫びが静かに聞こえる。

 

「分かってるなセイバー?」

 

「あぁ、マスターは殺さない」

 

「よっしゃ…それじゃあ初陣と行くか」

 

そう言うとバーサーカーが大剣を振りかざし、俺達を叩き斬ろうとする。

セイバーは左に避け、俺はその刀を右手で受け流し、その刀は地面に突き刺さる。

すると地面は割れ、3mほどの切れ込みが入る。

 

「ッ!?」

 

聞いてはいたがここまでとは…さすがは昔の英雄と言ったところだろうか。

 

「なッ!?バーサーカーの攻撃を受け流した!?」

 

「嘘でしょ…!?」

 

そして俺はバーサーカーの腹に一撃、重い左の正拳突きを入れる。

 

「ヴォォオッ!」

 

バーサーカーがその勢いで少し仰け反るも、ダメージは入っていないようだ。

 

「タフだな…」

 

「あ、あのマスター、本当に人間?」

 

「龍二、避けて!」

 

セイバーは地面に手を当てると、俺は何となく右後ろに下がる。

その瞬間、地面は無数の剣が生えて剣山の様になっていた。

 

「危ねぇな」

 

セイバーは再び地面に触れると2本の剣が現れ、その剣を持ち、バーサーカーを斬り刻む。

しかし、その攻撃もバーサーカーには通らない。

 

「グァアアアッ!」

 

再びバーサーカーが雄叫びをあげると、セイバーを蹴り飛ばし、俺に向かって来る。

 

「セイバー!」

 

「気を抜くな!」

 

バーサーカーは俺に猛攻を仕掛ける。

 

「あなた達があまちゃんで良かったわ…もし私が狙われていたと思うと。ゾッとするわね」

 

俺はバーサーカーの腕を掴み、その腕の腱を狙って拳を一撃叩き込む。そして後ろ回し蹴りでバーサーカーを下がらせ、一息吐いた。

 

「グルルルァッ!」

 

バーサーカーは蹴られた部分を抑え、姿勢を低くして俺に威嚇をする。

 

「そんな…まさかバーサーカーにダメージを与えたと言うの!?サーヴァントの中でもトップクラスの身体能力を誇るバーサーカーに!?」

 

「龍二…やはりあなたは」

 

「どうやら、加減して勝てる相手でも無ぇみてぇだな」

 

俺は右足を後ろに引き、手を常に胸の当たりに置いている構えから左手を下ろし、右手を腰の辺りに引く構えに変えた。

 

「おい、そこのあんた」

 

「な、何よ?」

 

「今引くなら見逃してやる。けどこれ以上やるようなら…」

 

「何を言っているの?バーサーカーに勝てる訳…」

 

「なら…力づくでねじ伏せてるやる」

 

「バーサーカー!そいつを殺して!」

 

「ヴォォォォオオッ!」

 

バーサーカーはその少女の命令に従い、俺に真正面から突撃をして来る。

俺はそれに掬い上げる様に左のハイキックを合わせて、空いた腹に拳を打ち込む。

 

「まだまだァッ!」

 

バーサーカーの体が少し浮くと、そこに拳を連撃で入れる。

 

「オラオラオラオラァッ!」

 

バーサーカーの体は少しづつ宙へ浮き、そして最後に右の拳を顔にねじり込む。

5mほどバーサーカーは吹き飛び、その衝撃はコンクリートを撃ち抜き、砂埃を巻き上げた。

 

「バーサーカー!宝具を使って!一旦引くわ!」

 

「ヴァヴッ!」

 

そう少女が言うと、砂埃の中から赤い目が俺を見つめる。

バーサーカーの目では無い。なんだ?

すると俺の体が動かなくなる。

 

「なッ!?」

 

「龍二!」

 

セイバーはさっきのバーサーカーの蹴りを食らってまともに動けない…マズイ!このままだと殺られる!

 

「この借りは必ず返すから」

 

「待ちや…がれッ!」

 

砂埃の中へ少女が入ると、バーサーカーと思われる砂埃と共にどこかへ消えて行った。

 

「クソッ体が動かねぇ…!」

 

「龍二、少し待ってくれ…」

 

数秒すると、セイバーが再び地面から剣を出し、その剣で俺を斬る。

 

「なーにしやがる!?」

 

「お、動けたじゃん」

 

「あ"!?」

 

そう言えば動ける様になっている…どうしてだ?

 

「これが私の宝具の力だよ。私は特定の能力を持つ宝具を生み出せるんだ」

 

「…しょうがねぇからスイーツ好きなだけ買うことを許す」

 

「交渉成立」

 

しかし引っかかる。どうしてあれを最初から使わなかった?そしてどうしてあの状態で引いた?

あの時点で俺やセイバーにトドメをさせる程の力は無かったのか?

 

「しかし、君は本当に凄いな。人間が、しかも現代の人間が…バーサーカーに素手で挑み、あそこまで追い詰めるとは」

 

「同じ様な事をランサーからも言われたな」

 

「それに、私は完全体で権限している。魔術の魔の字も知らない様な君が…だ」

 

確かに。言われてみりゃ、魔術か神秘ってのが無いとサーヴァントは攻撃出来ない。

もしかすると、俺の中には…何かが隠されてるのかもしれねぇ。

 

「ま、その方が好都合だな」

 

「そうだな…ははッ!」

 

セイバーは結局その後、2000円分くらいスイーツを買いやがった。

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