Lycoris Recoil Open your eyes for the next Φ's! 作:ボルメテウスさん
「ここに来るのも、久し振りだな」
そう、赤い制服を身に纏った白髪の少女、錦木千束は目の前にある喫茶店リコリコを見つめながら言う。
入り口のドアには、『closed』という札がかけられているが、千束は構わず入店する。
ドアにあるベルが鳴り、千束を歓迎している事が分かりながら、そのままリコリコの店内を見渡す。
店内の和風な雰囲気、染みついた珈琲の香り。まだ、千束以外は誰もいない事を知らせるような静けさ。
そんな懐かしさに笑みを浮かべながら、千束は店内をゆっくりと見る。
しばらくの間、日本から離れていた千束にとって、リコリコの店内を見るだけで心が落ち着く気がした。
そして、ふとカウンターの上を見る。
そこには、見慣れないスーツケースが一つ、ポツンっと置かれていた。
「あれ、クルミの物なのかなぁ?」
そう、この場にはいないリコリコに住んでいるハッカーであるクルミの所有物なのかと考えたのだ。
疑問に思いながら、ゆっくりと近づくと、そのスーツケースの上には、一つのロゴがあった。
「smart brain?」
そのロゴに対して、疑問に思うよりも先だった。
スーツケースから赤い光が、千束に向けて、放たれた。
「えっ、ちょぅ!?」
驚きを隠せない千束。
だが、驚きは一瞬であり、同時に自分の身体を見る。
光に当たっても、特に異常はなかった。
一瞬で、自分の身体を当てた光に対して、疑問に思うよりも先にスーツケースも動き出す。
『同一のDNA、確認。これより、NEXT555の所有者を委託』
「んっ?」
その声に対して、疑問に思うよりも先に、スーツケースに変化する。
スーツケースは自動的に開かれると共に、その中にある物が見えた。
「これは、スマホって、ベルト?」
そこにあったのは、二つの物。
一つは赤く機械的なベルトであり、千束が好きな映画に出てきそうな物であった。
そして、もう片方もまたスマホであった。
普通のスマホよりも大型であり、千束の手の平に収まるほどの大きさだ。
色は黒を基調としており、所々に赤いラインが入っている。
また、電源を入れる。
すると。
「よっと」「えっ?」
スマホから赤い光が放たれる。
それは、なんとスマホに手足が生え、そのまま千束の手元から離れる。
「さて、問おう、君が私のバディか」
そう、スマホがリコリコの机の上に立ちながら、千束に問いかける。
その言葉に対して、千束は僅かに呆ける。
そして。
「すっスマホが、立って喋ったあぁぁ!?」
千束は驚きのあまり尻餅をつく。そんな千束を見て、スマホは戸惑いを隠せなかった。
「ふむ、何を驚いているんだ?」
「いや、普通に驚くでしょ! だって、スマホが立って、喋っているんだよ!!」
スマホはそんな千束に身体を傾げる。
同時に、そのままスマホはとある事に気づく。
「……すまないが、現在は何年なんだ?」
「何年って、もしかして、スマホなのに、分からないの」
「すまない」
「……まぁ良いけど、今年は2024年だよ」
「そっ、そうなのか」
それに対して、スマホは気にした様子もなく話を続ける。
「何か気になるの?」
「いや、気にしないでください。とにかく、バディの名前を聞きたい」
「バディって、もしかして私の事?」
「そうだが、大丈夫かな?」
そう言いながら、千束は少し腕を組んだ後。
「問題ないよぉ! 私の名前は錦木千束だよ! えっと、君は」
「なるほど、私の名前はファイズだ、よろしくなバディ」
「ファイズ、よろしく! けど、そもそもあなたは一体何なの?」
そう、ファイズへと目線を合わせながら言う。
名前はファイズという事だけしか分からず、彼女は知らなすぎた。
「ふむ、そうだな、では、一つ確認したいが、バディ」
「なに?」
そのままファイズは、彼女に目を向ける。
「オルフェノクを知っているか?」
そう、ファイズは問いかけた。
「オルフェノク? あぁ、なんか少し前に流行った都市伝説だっけ? それがどうしたの?」
「私は、そのオルフェノクに対抗する為に造られた兵器だ」
「んっ?」
それに対して、千束は疑問と共に首を傾げる。