俺の部下が配信者かもしれない   作:ぺとら

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第七話

なんか革命が起こったんですけど!?!?

 

大尉には配信業を万全にして欲しかったから任務を大尉以外に割り振って終わらせて、ちょっとだけ残業して、いやー疲れた大尉のチャンネルでも探すかとゴロゴロしていたら国が燃えてるんだもん。

 

ビックリしたよね。

 

ちなみにその時見ていた配信者は革命中でも配信を止めなかった。

これだから配信者はと思い、俺は満面の笑みで投げ銭して、それから一応は逃げろと言っておいた。

 

 

いやー、実は革命団が裏でコソコソしていたのは知っていたし、国中のありとあらゆる箇所で何やら工作をしていたことも知っていたんだけれど、上の人に何も言われないからいいやと思って放置していたらえらいことになったもんだ。

 

決して配信に夢中で通信端末の電源を切ったままだったなんてことはないよ。

うん、そうだな……きっと革命団の連中が通信妨害でもしでかしたんだろう。きっとそうだ、こりゃ間違いない。間違っても俺は何もしちゃいない、皇国に誓って。

 

 

多くの高級軍人が首都のど真ん中に豪邸を構える中、郊外にポツンと佇む一軒家に住んでいたのが幸いして脱出の余裕もある。

 

俺、割と裏切り者の始末とかいう名目で反乱分子を始末してきたから、たぶん見つかったら即行で吊るし首なんだろうなぁ。

大尉みたく、敵国に対する諜報とかをメインの任務にしたかったぜ。上司からの命令に逆らえない哀れな社畜軍人という体で投降……ダメ? ダメかぁ。

 

仕方ないから逃げるかね。

 

 

 

 

皇国の変動はまさしく劇的だった。

 

僅か数日でトップの首が物理的に刎ねられ、新たな政権が立てられた。

そのまま国のトップに就いた革命団の長はその驚異的な手腕で国の混乱を治め、民に呼びかける。

 

恐怖政治は終わった、武力による統治はもう古い。

民による政治を、対話と尊重による素晴らしい国家を。

 

賛同する人の多さ、極めてスムーズな政治形態の移り変わりは、彼らによって仕掛けられた数多くの工作を考慮してもなお素早く、かつての皇国に対して向けられた民草の不満の大きさをひしひしと感じさせる。

 

亡命しようとした高級将校の生き残りが捕らえられたとか、潜伏していた奴が引き摺り出されたとか、まったく世知辛い世の中だよねぇ。

 

俺? 仮にも特殊部隊の長が、あんな凡骨どもに見つかるわけないだろ?

家は即座に引き払い、一切痕跡を残さずに逃げ出したよ。今の俺はただの一般皇国民さ。

 

泥舟に乗っていた自覚はある。

自分用の救命具ぐらいは用意するさ。

 

 

しかしまぁ、人とは慣れるもので、革命から一月もすれば生活もある程度の落ち着きを見せる。

 

「ビールを」

「あいよ!」

 

大衆酒場に行ってみる。

 

職も金も日暮しも揺らぐ世情でも、懸命に働き笑う人々はいいものだ。

彼らにとって、突如もたらされた革命は良いものだったのだろうか?

 

「おうよ! 軍の連中が押しかけて来ては代金を払わねぇわ暴れるわなんてことが無くなったからな!」

 

ひどい話だ。

なまじ貴族であればこんな大衆酒場には来ないものだろうが、中流の軍人にもなるとこういうところに顔を出していたらしい。

 

その上で虎の威を借るのだから、まったく素晴らしいことだな。

 

かつては同じ組織に籍を置いていた身としては、気恥しいやら、肩身が狭いやら。

 

「なんだ兄ちゃん、軍人上がりか? 職を追われて大変だなぁ」

「……もっと邪険にされるものかと思っていたな」

「まさか、俺たちが嫌いなのは貴族サマみたいに偉ぶる連中さ! 軍にもマトモなのがいたことぐらいは知っているぜ?」

 

実は軍部にも純血主義みたいなのがあった。

 

武勲のみで成り上がった庶出の軍人が何を言うのやらと笑えてしまうが、なんでもかつてこの国に軍事主義をもたらした時代から脈々と連なる軍人の家系とそれ以外では、何かしらの『差』とやらがあったらしい。

 

果たしてそこに本当の区分があったのかは別として、立場と身分とは得てしてそういうものだ。

 

「今は軍を解体して自警団を再編しているらしいぜ。ちょうど面接してるから行ってみたらどうだ?」

「おいおい、俺が高級将校だとは思わないのか?」

「お偉方はみんな引っ捕まっただろうよ! それに兄ちゃんは……素朴で大人しそうで……何より童貞臭いからな! そんな感じはまるでしないぜ」

 

ど、童貞ちゃうわ!

 

必死の抗弁は呆気なく流されたが、まぁいいだろう。

真面目に頑張っていた軍人の諸君が報われているのならば、俺はそれでいい。

 

 

「あぁそうだ、そろそろヒメ様の会見の時間だな」

「ヒメ様、とな」

「革命団の副官、勇猛で気高いヒメ様アリア様ってな」

 

店長はそう言うと、モニターの電源を入れた。

 

国の公的放送局のチャンネルに合わせられたそれは、一人の人物をデカデカと映し出す。

 

長い銀髪。凛々しい瞳。ワンポイントな赤いベレー帽。精悍な表情にはありありと生真面目さが現れていて、そして俺はその人物に大いに心当たりがあった。

 

「……大尉」

「かつては軍人であり、内部から改革を叫んでいたが卑劣な上層部によって握り潰されて一時は失墜。それでも諦めず、国のため、民のためを思って革命団に協力し、悪逆非道な軍人を打破した不屈のヒロイン。いやー、カッコイイねぇ」

 

オーハ君だかなんだったか、革命団の長の青年と、あと複数人の幹部。

ひとまずは彼らで協力して政治を行っていくらしい。

 

たぶんそのうち議会制の民主政治を始めるんだろうな、と予想する。

 

俺としては大尉……もうアリア様か。彼女かオーハ君とやらの独裁政治でも面白いとは思うけど、今の俺は軍人でもなんでもないただのヒラ市民。

 

あれやこれやと思うのは勝手でも、決まった方針に口を出すのは間違いだろうな。

 

「今なら自警団に行けばアリア様にも会えるんじゃねえのか? 行ってきたらいいじゃねぇか、兄ちゃん」

「いや。せっかくだから軍は離れて別の生き方を探してみるよ」

「そうか? それもありだな!」

 

酒を呷る。

 

街並みは酷く混雑しているが、それはそれとして賑やかだ。

かつての冬を思わせる冷ややかさは無くて、春の訪れを感じさせる。

 

旅の季節だ。

国外、皇国とあまり関係ない場所なんかがちょうどいいと思われます。あと出来れば配信が見れるところ。

 

『私たちはかつての皇国の過ちを繰り返しません。国とは民によって成り、つまり国は民のために存在するものでなければならないからです。国によって生じる利を個人が貪ることは許されないのです』

 

大尉の言葉がモニターから聞こえる。

いつもの大尉らしい、凛々しくよく通る綺麗な声だ。

 

その容姿も相まって、広告塔には最適だな。

 

『我々はあなたたちのためにあります。どうか、もう一度あなたたちの信頼を私たちに預けて欲しい──』

 

しかしまぁ、なかなかどうして堂に入った立ち振る舞いじゃないか。

たくさんの人を前にして、まったく臆することもなく、緊張を見せることも無く、耳触りの良い声で、誰をも引きつける言葉で、人々を引きつける。

 

俺はそのような存在をよく知っているぞ。

なんでって、毎日毎日飽きることも無く見続けているからね。

 

モニターの向こう側で、俺と、俺以外の誰かとそして世界の全てに語りかける存在。

誰をも楽しくさせ、皆を幸せにしてしまう。

 

うん。うーん。

 

 

「やっぱり配信者じゃん!」

 

 

ヨシ!

 

 

 

 




起と結だけ思い付いて20話ぐらいの話を作ろうとしたら思ったより話が膨らみませんでしたとさ
匿名解除するんで自分なら上手くやれるって人いたら一言くれたらパクっていいですよ、そして超大作を作り上げて読ませてください
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