「これより大場二級術師の取り調べを開始する。大場篤志、前へ」
「はい」
あの後無事に応援の人間が来てちゃんと掃除と搬送をやってくれた。
「総監部尋問庁の酒井俊明です。よろしくお願いします。ではまず『縛り』を。条件は、
『1.大場篤士(以下甲)は、酒井俊明(以下乙)の質問に対して虚偽の申告をしない
2.甲は、乙の質問に答えられない際、必ずその理由を説明する
3.甲は、聴取終了までの間、呪力を使用してはならない
4.乙は、甲の返答を事実とみなして扱う
5.乙は、甲に対して同じ質問を複数回行わない
6.この縛りの有効期間は、聴取が終了するまでである』
でいいですね?」
「はい」
周辺にやばい呪物もなくて一件落着、
「それでは早速質問に入ります。これからのあなたの発言は全てあなたにとって不利な証拠として扱われる可能性があることと、基本的に黙秘権は存在しないことに留意してください。
あなたは湯崎二級術師を殺害しましたか?」
「いいえ」
だったら良かったんだけどなあ。現在総監部に捕まって尋問中。容疑は任務中に他の術師を殺害した疑い。
「では、湯崎術師に危害を加えましたか?」
「いいえ」
さっき結んだ「縛り」は要するに信用してやるから嘘つくな、ってことに見えるが穴がある。だって信用するのは目の前にいる優男だけってことだろ?周りにいる人間とか上層部がそう扱わなければいくらだって捻じ曲げられる。まあ選択肢はないんだが。
「では、他人が湯崎術師に危害を加えることを幇助、もしくは静観しましたか?」
「いいえ」
「呪霊が湯崎術師に危害を加えることを幇助、もしくは静観しましたか?」
「いいえ」
そもそも残穢をちょっと調べれば呪霊がやったことぐらいわかるだろうに。しかし俺に発言権はない、ジーザス!
「湯崎術師が自殺することを幇助、もしくは静観しましたか?」
「え、いいえ」
いや、それはないだろう。だれがわざわざ任務中に自殺なんてするんだ。
「湯崎術師に対して害意を抱いていましたか?」
「いいえ」
害意は「害する」意思、敵意は「目の敵にする」意思。よってちょっとむかついたのは害意じゃなくて敵意、ヨシ!
……ペナルティーは来てない、良し!
「湯崎術師を殺害したのは呪霊ですか?」
「自分はそう判断している、としか」
だってそういうしかないじゃん!ひょっとして呪霊がヤる寸前に羂索クラスの奴がなんかして殺したかもしれない、とかいろいろあるのに、断定なんてできるか!……まさか断定させて「縛り」を破らせるのが目的だったとか言わないよな?こっわ。気を付けよ。
「湯崎術師の死を防ぐために可能な限りの処置を行いましたか?」
「当時の自分ができる限りのことをした、と思っております」
警告を聞いてすぐ対処し無かった奴が悪い、そうだな!
「当時の状況を説明してください」
「はい。当該事案が発生したのは現地入り後およそ二十分後です。自分は拡張術式を発動した際に自身が敵呪霊の術式を受けていることに気づき、他の術師に警告をしながら対処しましたが、説明している最中に自分以外の術師は倒れてしまいました」
あってる…よな?多分あってる。多分。
「拡張術式の詳細を教えてください」
「え、さすがにちょっと…黙秘権、もしくは補填は?」
「……まあいいでしょう、概要のみで許可とします」
「…はい」
チッ。慎重に言葉を選ぶ必要があるな...。
「自分の使用した拡張術式は、発動すると、敵対者の攻撃の予兆を、素早く察知できるようになる術式です。この効果により、呪霊の攻撃を察知することができました」
要はウソさえつかなきゃいいんだこんなもん。『怨心通』の原理とか全然話してないけど「概要」だからこれでいいよね?ね?
「なるほど」
グッジョブ俺!
「それでは、警告内容を詳しく……」
以下略。この後二時間ぐらい続いたが、その後なんもなかったから無罪になったんだろう。
後で聞いた話だが、死んだ湯崎は禪院家の遠縁だったらしい。まあ「炳」や「灯」にも入らないほど血は薄かったけれど、忖度した上層部が長々と尋問を行う程度には血縁がはっきりしてたんだそうだ。リーダーの吉村は責任取らされて減給になったとか…。マグル生まれの悲哀。
ハリポタ面白いですね。気が向いたら書いてみたい。