ギィィン!
とりあえず切りかかったんだが、あっさり弾かれた。わかっちゃいたが、これでなんとかなる相手じゃねえか。
ギン!ギン!ギィィン!
っとと、あぶねえ。そりゃ刀が何本もあるんだったら使ってくるよな。まあ、問題ない。師範代のほうがまだ怖い。複数攻撃はシン・陰と相性が悪いが、このままでいける。機会を見て他の術式も使おう。今!
「ゴォォオオオ、オォォ」
「通った!?うげっ」
この野郎、斬撃を飛ばしてきやがった。まあ俺が避けられるレベルなあたり宿儺とは比べるべくもないんだが、比較対象にするのがおかしい。刀から斬撃を飛ばす術式、まあ「飛斬」とでもしておこうか、この「飛斬」、シンプルに強い。俺だってそんな術式が欲しかった。それは置いといて。弾けるかな?避けた後に斬ってみる。
「ヤッ!」
カンッ!
よし!弾けるならそこまで怖くないな!
さて、術式が割れたのはいいことだが、それならこいつは準一級以上だ。「念送」が通ったのがおかしい。いやいや、一発ならまぐれかもしれない。もう一度試してみよう。えいッ!
「ゴォォオ、オォォ」
また強くなった。なんというか、攻撃にキレがでてきた。まだまだ何とかなるが、これ以上強くなられたら困る。撤退して一級案件への変更を要請…したいところだが、飛び道具持ちに背中を見せるとかごめんだ。「覆意」も基本的にただの一発芸だし、「飛斬」の射程とこいつの行動範囲次第で普通に捕まる。
術式が妙に通るのが謎だし、「怨心通」の反応が鈍いのも気になる。害意がないわけじゃないんだが、攻撃に伴うはずの害意の変化が鈍い。人間だと時々害意なしで攻撃してくるのがいるが、俺は今までそんなことをする呪霊に出くわしたことはない。無邪気に見える呪霊でも、攻撃の時には残虐性の高まりが感じられた。
わからない。わからないが、このまま斬り合いを続けてちゃ埒が明かねえから、結局仕掛けるしかない。こいつになら「反感相殺」通るか…?やってみっか!
「ゴォォオォ、ゴォ、ゴォ、ゴグゲガガ…」
「え、なに、何?通り過ぎでは?なんてことない『生の喜び』送り込んだだけだよね?」
「ゴォ」
「ひょっ」
変な声出た。さっきとは段違いの速度の「飛斬」だ。これを4本の腕で連発されたらたまったもんじゃない。「怨心通」が通じない以上無理してでも距離を詰めないとどっかで対応しきれなくなって斬られる。現に避けきれずにかすり傷ができた。どうして弱体技かけて強くなるんだよ。ますます逃げられなくなった。余計なことするんじゃなかったか…?ええいやったことはやったこと、今は目の前に集中!
キン、カン、キン、キン、ギイィィィン!キン、キン、ギィイン!
「呪力切れの気配は皆無かよ!こんにゃろー!」
あれから一分、相変わらず斬り合いを続けてる。いい発見と悪い発見が一つずつ。いい発見は、なんか知らんが一本以外の腕の攻撃が軽くなったことだ。悪い発見は、叫んだように相手に全く呪力切れの気配が見えないことだ。何回か隙を見て切りつけちゃいるんだが、もうほとんど再生された。やっぱもう一度術式使うしかないか?まさか際限なく強くなるってこたぁねえだろう、どっかで限界が来るハズ。それっ!
「ゴゴゴゴゴゴ、ゴグガ…」
ゴウッ!
「おわっ!」
ヤバイ。爆発で吹き飛ばされた。距離が空いたら「飛斬」が来る!
「簡易領域!」
原作で三輪ちゃんが使ってた抜刀との連携だ。一発ならしのげるだろう。…二発以上は知らん!
そう思って構えたんだが、来ないな?
「ココ、ハ」
煙が晴れると、そこにいたのは刀を腰に差し着物を着たような姿をした、ほぼ完全な人型だった。
「エドジョウ、ハ」
は、エドジョウ?江戸城?突然どうした。
「エドジョウ、ハ、ワタサン!シネ、サッチョウ!」
「江戸城は渡さん、死ね薩長」?
こいつひょっとして明治維新の時代の怨霊かよ!
覚醒(敵が)。ウソハイッテナイヨ、ホントダヨ。
次話に続きます。