キキキキキン、ギィィン!
「うおおおおおお!」
クッソ強い。特にどうとかいうわけじゃなく、シンプルに強い。距離を離して「飛斬」、近づいて居合。納刀も早い。師範代より強いんじゃないかコイツ。師範代は術式使わないけど。
コイツどうやら同門らしい。居合の構えとかがまんまシン・陰だ。何をしてくるかわかるのはいいんだが、基礎スペックで押されてる。
「サッチョウ、シネ!」
「俺は薩長じゃねーよ!」
どうする?このまま続けたら体力切れでこっちが先にばてる。どうする?術式は多分効かないし、試す暇もない。どうする?
落ち着け。ニュートラルな「想念興術」、起動。……落ち着いた。最初から使っとくんだった、今度からそうしよう。
落ち着け、今はそんな場合じゃない。出力を上げる。…よし。
状況を整理しよう。
まず、奴の手数は減った。…「手」数は減った。攻撃の数はむしろ増えた。奴はどうせ再生するからこれ以上は減らないだろう。…考えても何とかなるわけじゃないから次!
次。言葉をしゃべり始めた。だが、まともな知性があるわけじゃなさそうだ。典型的な「怨霊」って感じだな。自分が死んだことも理解してないかもしれん。
次。身体能力は上がった。俺より上だ。呪力なしの虎杖ぐらいはあるか?
次。「怨心通」に引っかかるようになった。害意が明確になったからだ。今までは半分眠ってたようなもんだったんだろう。奴が強くなっても何とかなってるのは「怨心通」が通るからだ。術式の開示をするか?理解はできないだろうし、一部のみの開示にすればありだな。それでは早速。
「俺の「怨心通」は、相手の害意を、感じることができる術式だ!」
「エドジョウハ、ワタサン!」
ちょっと楽になった。技の出がコンマ一秒でも早くわかると違う。
次。技はそこそこ、俺と同じかちょっと下だが、なんというか、戦い方がお粗末だ。刀同士なのにせっかくの再生能力をまるで生かしてこないし、狙いが雑だ。置き撃ちもしてこない。んー、害意が一回ずつ途切れてるな?次につなげようって考えがまるでない。
死に方が関係してるのかね。幕末でちゃんと武装した術師が術師以外に殺されたんならそれはまあ、囲まれて銃で撃たれたんだろう。それ以外で殺せるとは思えん。で、そん時に抵抗した、その戦い方そのままなら刀持ち一人相手には向かんだろう。筋は通るな。
次。戦いの終わらせ方。祓うか、逃げるか。説得するのは話聞けない相手だから無意味だ。どっちにするか。
祓うメリット。祓えるなら祓った方がいい。給料にも響くし、背中を見せてバッサリのリスクはない。
祓えるか。このままだとジリ貧だ。なんかきっかけが欲しい。
じゃあ逆に逃げられるか。発言的から察するにあんまり場所を移動したがらないだろうし、「飛斬」が飛んできてもなんとかしのげるが、追ってきたら困る。相手のほうが足が速いだろう。空を飛ぶかもしれない。「覆意」は通じるか?こいつ殺気の類に反応するかな?試してみよう。ちょっとだけ術式を使って、
(死ね!!!)
「ヌッ!」
反応はしたな。構えるんじゃなく「飛斬」が飛んできたのは予想外だが。とっさに防御したがちょっと危なかった。さて、どうするべきか。この反応だと「覆意」使っても逃げるのにあんまり役に立たなさそうだ。
祓うにしろ逃げるにしろ決定打が足りない。このままだと一か八か逃げるしかないか?うーん。少なくとも俺は逃げる俺を斬り殺せる自信がある。飛び道具なんて持ってるこいつならなおさらだろう。刀なら近距離だけにしておけよ。
…そういえば、コイツの刀どっから持ってきたんだ?前の段階だった時のは肉体の一部かなんかだったんだろうが、今は?今も肉体の一部なのか?自我が明確に残ってる禪院直哉ですらなんも持ってなかったんだぞ?あれ完全に分離してるよな?まさか、本物?
「その刀、よこせえええええ!」
「エドジョウハ、ワタサン!」
今、初めて会話が成立しかけたな。…そんなのどうでもいい!俺は!あの刀が!欲しい!術式持ちの呪力に百年以上浸されたら絶対術式宿ってるだろ!その術式「飛斬」だろ!欲しい!絶対便利じゃん!売っても高く売れるだろ!ころしてでも うばいとる!
「よこせえええええ!」
「シネ、サッチョウ!」
お前のものは、俺のもの!俺のものも、俺のものだ!
これが、一部の作者を襲うという、戦闘描写をすると無限に長くなる現象…!
さすがに次で終わらせます。
余談
主人公は江戸城無血開城なんか覚えてません。