絶対にあの刀を手に入れる。たとえ五条には効かなくても、たとえ宿儺の完全下位互換だろうと、「飛ぶ斬撃」ってのは作中上位に入るポテンシャルがある。呪具になってる以上はもう術式は進歩しないだろうが、それでもいい。対多数に向いてる性能だから、決戦向きなシン・陰のデメリットをある程度解決してくれる。奴が使ってるのを見るに、三級の呪霊ぐらいなら問題なく祓える威力がある。
狙い目はシン・陰の居合だ。そこにカウンターを合わせる。シン・陰の居合は害意が読める今となっちゃあ集中してれば避けれる程度だ。どうも居合と「飛斬」を同時には使ってこないみたいだからいけるだろう。理由は知らん。あの状態だ、ブラフは考えなくていいだろう。行くぞ!
「シネ!」
「しっ!」
くそ、浅い。避けるのは何とかなるが、体勢が崩れて力が乗らない。これの繰り返しじゃ奴を倒すより先に集中力が切れる。やっぱ呪霊ってずるい。俺も怨霊になったら強くなるかな。…五条に一撃で祓われるのがオチだな。
援軍が欲しいが、期待できない。普段30秒で終わる戦闘が2,3分に伸びたところで呪霊と接敵するまでの雑魚の掃討と移動の時間を考えたら誤差だ。補助監督が今から応援を呼んでもそいつがここに着くまでに決着がつくだろうし。俺がもう一人いればこいつなんか10秒で始末できるんだがなあ。いや、その場合は戦利品も折半になるか。やっぱ援軍なしで。
いやだけど本当にもう一人、戦えない補助監督でも、なんなら一般人でも奴の後ろから突撃してくれればいいんだが。秒で真っ二つになって終わりだろうが、居合が怖いのはあくまで奴がこっち一人に集中してるからだ。奴の気が一秒それれば突っ込んで斬れる。半秒でも相打ち覚悟で突っ込んで先に斬れるだろう。
こうなると冥々の黒鳥操術とかが羨ましい。チッ、弱くてもいいから式神作っとくんだったか。戦力が皆無に近くても役に立っただろう。式神を起点に「覆意」とか使って意識を逸らせばそれだけで解決しただろう。
…それだ。「覆意」の発動起点をずらす。使用者周辺限定じゃなくて空間指定で発動できるようにするんだ。一瞬は気が逸らせるだろう。
狙いは奴の左後ろ。居合使いが一番苦手な向きだ。
効果を上げるために呪力は惜しまない。「抜刀」一回分あればいい。
タイミングは奴が居合のターゲットを俺に定めた瞬間。納刀した時を狙う。
「抜刀」を決めるために、奴が納刀するまでの「飛斬」は納刀したまま避ける。アタラナケレバドウトイウコトハナイ!
ちょっとだけ距離をとって納刀、行くぞ!
さすがにこれで、終わりにする!
「飛斬」来た、右、左、下、右、左左下右上下!よし!今!「覆意」空間指定発動!
「ヌッ?」
「せいっ!」
入った!よっしゃ深い!ん?
「タダデハ、シナン!」
「ぐっ!おとなしく、くたばれ!」
くそっ、最後っ屁で脚を斬られた。痛い。術式起動。気を逸らす。
だが、さすがにもう動けないようだ。よっしゃ、刀頂き!
「ムネンナリ、ブシノジダイモ、ココマデカ…」
……最後に五・七・五完成させたのはすごいが、武士の時代もう百年以上前に終わってるぞ?
脚の傷の具合は、骨までは届いてないし、動脈が傷ついた感じでもない。が、そこそこ肉を斬られた。とりあえず制服の上着できつく縛っておく。あとは入学したての家入が何とかしてくれるだろう。
…ちょっときつすぎるか?身体強化は余分だったか。まあいい。
右脚が使い物にならんから、歩くのに支障がある。片足立ちで行くより、補助監督を呼んだ方が早いかな?そうしよう。
じゃあ補助監督を…どうやって呼ぼう。ちっ、やっぱ式神作っとくんだったか。仕方ねえ。時々墓石につかまりながら行くか。雑魚は先にあらかた祓ったから片足でも問題になる奴はいないだろう。
おかしい、この技を覚えさせてさっさと終わらせるはずだったのにどうして江戸時代の怨霊とか生えてきたんだ?
怨霊
江戸城無血開城に反発して勝手に飛び出して薩長に切り込み。「ここで死ぬ」縛りで自身を強化して暴れたものの、囲まれて撃たれて殺された。なお、後に江戸城「無血」開城のためにいなかったことにされた。
部隊に同行してた術師(とどめに間に合わなかった)が実はそいつは仏教の守護神「阿修羅」の化身だった、みたいな話をでっちあげて周辺住民にばらまいて信仰で鎮魂、呪符で封印をはかったが、経年劣化と信仰の衰退で封印が解けて出てきた。最初腕がたくさんあったのは阿修羅要素が混ざってたせい。
つまり怨霊になって復活して出てきたときには「鬼のように強い武者に対する恐怖」が十分に集まっちゃってたのでその要素を押し付けられた感じです。…こういうのはありなんだろうか?
怨霊の強さは宿儺の指0.1本ぐらい。主人公が勝てたのは相性です。発射タイミングが分かるアドバンテージがなかったら10秒持ちません。