木のある世界の小さな配信者   作:こんこんВерныйカワイイヤッター

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例のごとく駄文です。


白野と大森と訓練生達

「…はぁ。もっと慕われてることを自覚してください。部下の脳を焼かれたあと雲隠れされるのは迷惑です」

「申し訳ございませんでした…」

「はあ…まあいいでしょう。こうして一度戻ってきましたからね。今回は許しましょう。次どこか行くときは報告してください」

「はい…」

軽く1時間ほど説教を受け続けたあと一応は許してもらえた。まあ次は無いのだが。

「隊長終わりましたー?」

そう言って扉を開けてきたのは谷口と黒髪で髪がボサボサな男性。

「終わったけどなんで大森が?」

「久々に帰ったと聞いたからな。来たぞ」

そう言いながら近くの椅子を引っ張って座る大森。大森は先代の嘴部隊の隊長と同期の鉤爪部隊の隊長だ。

「そういえばお前の連れの赤髪のやつ。何処で拾って来たんだ?あいつ既に俺たちの肉体と同じレベルの強さしてるんだが」

「紅さんのこと?彼女はまぁ…色々特殊でね…ラットに果実あげたらあれになった」

「ラットがあれに???」

「うん」

「はあ…聞いたことねえよ、ネズミが人になるなんて」

そう言って大森、更に続ける。

「ただあいつ確かに強いが戦い方がまるでなっちゃいねえ。まるで獣だ」

「そりゃ彼女武器を持って2日も経ってないからね」

「まあ磨いたら輝く原石なのは間違いねえ。良かったらうちで少し預かろうか?」

「いいの?」

「最近退屈だったからな、別に良いぞ。あと谷口、次の作戦まではどれぐらい掛かりそうか?」

「えっと…ちょ、ちょっと待って…」

そう言って書類を探し始める谷口。それを見かねて机の上から一つの書類の束を取って谷口の頭をぺしっとやる高橋。

「隊長はもうちょっと物の管理をしてください。えー次の作戦の進捗状況ですが」

そう言って高橋は説明を続ける。

「食料、弾薬共に十分な量を確保できています。あとは兵員の確保です。本来ならアルバトロスの中から出せるのですがギルドからの要請で不足しています。各地から繋がりのある冒険者を集めていますが作戦が実行できるのは1か月から2か月後です。梅雨の時期に作戦を開始することは避けたいので7月中旬より開始することを提案中です」

「了解だ高橋」

「うーん…結構時間かかるか…」

少し考えこんで言う。

「訓練施設使っていい?」

「いいですよ」

許可を求めると谷口がすぐに許可を出した。

「ありがとう」

礼を言って説教されている間、入口で待っていたホノさんに目線で合図して一緒に執務室を離れた。

 

「もっと落ち着いて、銃身の跳ね上がりを抑えて」

リュックに銃身を置きフルオートを適度に区切って撃つホノさん。まだ少し慣れてないのか銃身が跳ね上がり白野から指摘される。

「撃ち方やめ、移動」

そう言うとリュックをすぐに持って走り次の場所へと動く。しかしリュックを半分背負おうとリュックを上げた拍子に足をとられて転ぶ。

「少し遅くてもいい、絶対に転ばないで」

白野がそれをアドバイスと共に指摘して落ち着かせる。

「止まれ、撃ち方用意」

白野が指示を出して射撃体制を取らせる。

「撃ち方始め」

射撃命令と共にホノさんがまた撃ち始める。そして2つ目のマガジンが空になったときに白野の射撃停止の命を受ける。それを数本繰り返す。

「撃ち方やめ、休憩」

休憩の指示が飛んだ瞬間にその場で座り込むホノさん。

「はぁ…はぁ…どうでしたか?」

「所々スタミナ不足などが見られたけど筋はいい。あとは慣らすだけだよ」

「そうでしたか…紅さんのほうはどうなんでしょう?」

「わからない。ただ大森は面倒見はいい。訓練は厳しいけどね」

 

「立て、お前が死ぬとお前のチームは全滅するぞ」

「うっ…ぐぅ…」

紅は再び立ち、訓練用の棒切れを再び手に取る。

「よし、それでいい。では続けようか」

大森の得物より大柄な、ちょうど大身槍と同じ大きさの棒を構えて右に振りかぶる。それを大森は間合いを詰めてまだ加速しきっていない槍を木刀で打ち、手で肩を押すことで態勢を崩させる。紅はそれに負けじと押された反動で石鎚を前に突き出して距離を取る。

「ふっ…!」

次の瞬間、暴風が吹いたかのような音を出しながら穂が地面に打ち付けられ耳が痛くなるほどの爆音を出し暴力が振り下ろされる。その威力を讃えるかのように地面から全ての埃が浮き上がる。しかしそれは大森が半身で避け、更に必然的に大森の後ろ側に刀が構えられ紅の目に映らなくなる。大森の体が捻じられ左から来るであろう一撃に備えてすぐに弾けるように穂を左に向ける。しかし大森の一撃は予想に反して上からのものになり右手が叩かれる。あまりに強い一撃にじんと痛む手で槍を握りしめ、次の一撃が来る前に右足を後ろに下げてちょうど胸のあたりを狙うように薙ぐ。しかしそれを大森は屈んで避け、更に片膝が着くほどの低姿勢の逆袈裟切りで強く脇腹を捉える。かなりの衝撃に耐えきれず紅が吹き飛ばされる。

「お前は確かに”やれる”」

そう打ち付けた木刀を見ながら大森は言う。

「確かに腕っぷしは並以上にある」

手の中で木刀を弄る。

「だが、それだけであいつの前に立てるとは思わないことだ」

木刀を両手で握り正眼に構える。

「立て、意地でも立て、そして戦え。その力を仲間のために振って見せろ、赤ん坊」

 

「ああああ終わらないいいい」

溜まりに溜まった書類を机の上に積み上げられているのを見て谷口が不満を言いながら机に突っ伏している。

「整理はしたのでそれぐらい頑張ってください」

呆れた様子で高橋が言う。

「分かってるけどさ…そっちはどうなの、高橋ぃ」

高橋は澄ました顔をしながら進捗を纏めた書類を手に取る。

「5小隊、計45名の武器弾薬は確保済み。また傭兵部隊、4小隊分の装備も確保済みです。居住区の老朽化についても進捗は3/4を超えたところです」

「なんでアルバトロス全体のものも管理してるの…」

「まあ余裕がありましたので。あとついでに出撃予定の鉤爪部隊の2小隊についても補給が可能になっています」

「ほんと優秀よね…流石、頭にスカウトされた男だ…」

「本当は白野さんが座る席だったはずなんですがね…」

「隊長は嘴部隊初期のガタガタすぎる足場を一から組みなおしたくせにスカウト蹴るし…高橋は腹立つぐらい優秀だし…はぁ」

溜息をついてぼやく谷口。

「私役に立ってるのかな…」

するといつの間にか高橋が紅茶を淹れていた。

「まあ、役には立ってると思いますよ」

紅茶を机に置きチョコレートも添える。

「少なくとも白野さんが作ったものを昇華して更に盤石なものにしましたからね」

時計の針が時間を刻む。

「そうかなぁ」

ふと気がつくと午後8時になっていた。

「うぇ!?ヤバい!ご飯食べないと」

大急ぎで手元の書類を完成させる。

「よし、食べるか!高橋も来る?」

「食堂ですか、お供します」

 

そうして食堂に向かう谷口と高橋。

「高橋は何する?」

「私は…焼肉とサラダ、あとオレンジですかね。隊長は何にします?」

「わたしはレバニラ炒めかな」

「脂っこいですね…」

「だまらっしゃい」

そう言い合いながら席に着く。

「ほれほれ、食べないと持たないよー?」

「そっちこそ果糖なめたらいけませんよ。頭に凄くいいんですからね」

乳繰り合いながらもご飯は食べる。

「うーん、平和でいいね」

突然谷口は言う。

「…ええ、そうですね」

部屋に帰ればまだまだ書類が残っている。今日は長い夜になりそうだ。

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