木のある世界の小さな配信者 作:こんこんВерныйカワイイヤッター
状況を整理しよう。まず吹き溜まりの深部に侵攻した。それでホノさんを救助した。すると視聴者が増えた。これもしかしてホノさんの視聴者が移ってきた?取り敢えず休憩を終えてモンスターの解体を再開する。どうやらホノさんも解体作業を再開したようだ。解体作業というのはなかなか体力を使うものだ。しかも精神力もゴリゴリ削られる。進捗は90%といったところか。
「ホノさんはどれぐらい進んでる?」
「今終わったところだよ」
「早いねぇ」
「伊達に京都で配信者やってなかったからね」
向こうは終わったらしい。まだ変異が進んでない個体は身が切りやすくてやりやすいが進んだ個体は刃が入りづらく時間が掛かる。確かに中の果実などは実用的なのが多いが獲物が多くなってくると休憩まで挟まなければいけなくなる。まぁそれでも慣れてるからこの1体で…よし、終わった。
「こっちも今終わった」
「分かった。配分どうするの?」
「5:5でいいかな?」
「うん。ありがと」
「こっちも。手伝ってくれてありがとうね」
そう言ってバックパックを開いてわさっとおおよそ半分ほど取って入れる。そういえば渡したい物って何だろうか。昔といったらアルバトロスの縁ぐらいしか無いが…まあ渡されるのを待った方がいいか。そう思いながらバックパックを閉める。
「ホノさん?もう動くよ」
「分かった」
バックパックを背負おうとした。目の前に人影が見える。しかしそいつは近づくうちにおおよそ人とは思えない風体を見せる。根を思わせるような頭、長い髪の毛を思わせるような細かな繊維。肌は木目があり得物であろう右手に持つ刀は黒く、鈍く光っている。
「ホノさん、敵だよ」
そう言いながら邪魔にならないように端のほうへバックパックを置く。ホノさんもG3のセーフティを解除し戦闘態勢に入った。敵が突っ込んでくる。それを迎撃しながら左右へ散開する。どうやらこちらに来るようだ。遠距離の攻撃手段が無い敵に関しては障害物はない方がいい。できるだけ後ろに壁が無いように立ち回る。いつものようにライフルで牽制を繰り返す。そして空になったマガジンを遮蔽物を通り過ぎるときに顔へ投げつける。しかしそいつはこちらへ真っ直ぐ直進してくる。なんだ?何かがおかしい。気が付くとホノさんが左から射線を取ろうとしていた。そして銃声。彼女が撃った弾は胴体へ命中した。しかし依然、勢いは止まらない。後ろへ後退しながらライフルを撃つ。弾は直進して顔面へ当たる。少し怯むがしかし、その1、2秒後にはこちらを捕捉する。左から更に銃声がして次々と敵へ命中するが効果がない。遮蔽を取りサーメートのピンを抜く。そして敵が現れた瞬間に投げる。サーメートは足元へ転がり炸裂。周辺を火の海にする。そしてとにかく離れる。振り返りライフルを連射する。しかし無情にも命中はするものの全く効いていない。ライフルの弾が切れる。リロードをしている暇は無い。ライフルを落としハンドガンを構える。そして発砲するがライフルでも傷つかなかった敵に通用するわけもなく一切止まることなく近づいてくる。余りにも近くなってきたので銃を取られぬよう構える。発砲、しかしそいつは刀を上段に構える。斬られぬよう懐へナイフを抜き突っ込む。しかしナイフは刺さらず、敵に体当たりされて吹き飛ぶ。そして白野の視界は白く染まった。
「うそ…」
ホノさんこと穂香は見た。白野が吹き飛ばされるところを。そして刀を右に控えしっかりとした足取りで一歩一歩歩いてくるところを。
「悪魔…」
そう、悪魔。少なくとも穂香はそう感じた。一歩ずつ死神が歩いてくる感覚。しかし…
ここで終わる訳にはいかない
震える手を無理矢理抑え込みライフルを構える。そして全ての恐怖を拭い去るように撃った。ライフルには有効打が無い。しかし連続して焼夷弾を撃ちこまれると話は別だ。表面温度はどうしても上がる。そこを連続して狙い発火させる。それを狙いセミオートからフルオートに切り替え障害物を駆使しながら突進を阻止する。そしてその隙をライフルで狙う。しかしやはりちょっとやそっとではダメージにならない。そして全力で次の障害へ動き撃つ。それを繰り返し、また繰り返す。見るとちょっとずつ焦げ始めていた。しかしそれは長くは続かず懐へ入られてしまい下段から上へ斬りつけられた。吹き飛ばされたが防具が役に立ちプレートは割れてしまったがそれだけで済んだ。しかしそれでもピンチなのは変わりない。吹き飛ばされ倒れた姿勢で素早く動けるだろうか。そうしているうちにどんどん近づいてくる。もうこれまでか…と思った。しかし、銃声。敵の頭が激しく揺れよろける。見ると白野が立っていた。どうやら体感では短かったものの思ったよりも時間は進んでいたらしい。白野が復帰した。
「頭だ!頭を狙え!」
そう言って白野は頭を正確に、そして素早く撃ちこむ。それに呼応してこちらも頭へ撃ちこむ。頭の細かな根が集中砲火によって千切れる。するとそいつは急に倒れ込む。白野がライフルを持って近づいてくる。
「こいつ、目が無い代わりに頭の根で周囲の振動を感じ取ってる。迷わずこちらへ来た時に怪しいと思った」
G3の弾倉を交換する。そして白野と穂香はとどめとして頭部へ壊れるまで弾を撃ちこんだ。勝者は、傷を負ったものの、白野と穂香だ。
「大丈夫?」
「うん。倒れたときに頭を打っただけ。そっちこそ斬られたけど大丈夫だった?」
「プレートが割れたぐらいであとは大丈夫」
「良かった」
勝利を噛みしめながらシェルターへ帰って行く。ぬるま湯に浸かっているようにパンチが少ない日常でこれは数ヶ月は忘れることもない出来事だった。
シロちゃん達がしているマスクは実は真ん中にフィルターがついています。なぜかというと干渉するからですね。あとすっごく亀更新なのでよろしくです。