木のある世界の小さな配信者 作:こんこんВерныйカワイイヤッター
「さて、それじゃ改めて…」
私とホノさんは私の部屋のリビングにある席についている。
「私は白野渦。一応配信者での名前はシロでやってる。そっちは?」
「林穂香です。ホノっていう名前で配信者をやってます」
「渡したい物があるって言ってたね。どんなやつ?」
「これです」
そう言ってホノさんは一枚の手紙をこちらへ渡してきた。そこにはアルバトロス、嘴部隊隊長、谷口那由と書かれていた。
「なるほどね…」
そう言って私は封を開ける。
元嘴部隊隊長白野渦へ
大阪での暮らしはどうですか?京都はいつも通り冒険者で賑わってます。さて、今私達は大きな作戦へ向けて備えています。しかしシェルターの老朽化やその他問題のために人員が避けません。そこでアルバトロスは縁のある有力な冒険者を勧誘しています。アルバトロスを脱退した人に対して心苦しいのですが助力を得られることを願っています。
作戦名:京華1号
作戦内容:旧京都駅周辺へ調査に向かう科学者の護衛。
追記
脱退してから一度も消息を聞いていないです。手紙でもいいので消息を聞かせてください。
同部隊現隊長谷口那由より
「ふむ…」
そう言って私は考え込む。アルバトロスを脱退した身で今更戻るのも恥ずかしいものがあるが、こうも言われると行かざるを得ないだろう。
「分かった。向かうとしようか」
見るとホノさんは頭に?を浮かべながらこちらを見ていた。そこで私は手紙をホノさんに見せる。
「アルバトロスが大規模な作戦を行おうとしているらしい」
ホノさんは手紙を見ている。
「ホノさんを見た感じまだまだ粗削りだけど十分作戦に従事できるだろうと私は思う。アルバトロスは大規模な組織だ。今のうちに縁を作っておくのも悪くないと思うし私にとってもついてきてもらえると心強い。どう?一応雇うということもできるけど」
ホノさんは少し考えてこう言った。
「貴方についていくと強くなれる、そんな気がします。是非お願いします」
「よし、分かった。3日後にはここを出ようと思う。移住届の準備とそれと装備品のチェック、あと部屋の片づけと貴重品を纏めといてね」
「分かりました」
「じゃあ自分の部屋に戻っていいよ」
そう言うとホノさんは自分の部屋へと戻っていった。私はそれを見届けると冷蔵庫へと入れておいた果実を手に取った。
「これも他の人に託すかなぁ」
そう言って人型の非常に強かったモンスターの果実を手に取った。赤く丸々とした形をしている。見た目は完全にトマトだ。この前の果実に似ているが所々違うところがある。そしてこの果実を切ってラットへやる。死ななければいいんだが。そうして部屋の片づけをしていると日が暮れて食堂へ行き晩飯を食べて寝た。
「ん…」
そう言ってまた1日が始まる。何というかベッドが窮屈だ。いつもはこんなことは無いんだが…。そう思いながら寝返りをうつと目の前に見知らぬ女性が居た。
「ん …?」
一瞬寝ぼけているのかと思い目を擦ったがどう見ても居る。しかも裸。間違いない不審者だ!
「誰だ!」
素早く銃を拾いに行き構えて叫ぶ。その赤髪の女性は起きてこちらを見る。
「言え!何者だ!」
そう叫ぶと彼女はこう言った。
「あなたのラットよ」
「ラットが人間になぞなるか!」
そう言って銃を向けるが途中で不安になって普段ラットを飼っている籠を見る。すると籠は見るも無残な具合に破壊されていてラットが行方不明になっている。
「だからラットだと言っているじゃないの」
「…えぇ?」
困惑して声を漏らしてしまった私を許してほしい。多分誰だってこうなる。そして私は真っ先にホノさんへ電話した。
「何ですか?」
案外早く応答してくれた。
「ホノさん悪いけど緊急招集。めっちゃ異常事態が起きてる」
「…え?」
そういって電話を切る。
「そこに立ってて。メジャー取ってくる」
そういってメジャーを取りに行き手早く身長を測る。大体20歳位の大きさか?とにかくホノさんを待とうか。
「この人誰?」
「うちのラット。果実をやったら人型になった」
そういいながらうちのラットを見る。
「名前とかあるの?」
「紅。今決めた」
「本当にそれでいいの?」
「?別に良いわよ?」
「取り敢えず紅さんのために服買ってくる。ホノさんはうちの部屋の備品使ってもいいから紅さんを絶対に外に出さないで」
「分かった」
そう言って部屋を出ていく私を見ながらホノさんはこう思った。
(これって幸先が良いっていうのかな?)
一応通信問題は「基本的に通信は繋がらない。ただし小さめの吹き溜まりだと電波はギリギリ届く」っていう風にしました。