雷神、上鳴電気   作:一般通過呪術師

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UAが100万超えてるしお気に入りが12000見えてて、ヒロアカと呪術の人気の凄さを改めて実感しております……因みに作者は今週のジャンプを涙なしに読むのに丸一日掛かりました。


ep.46 期末試験

 

 

期末試験当日。

それまでに上鳴は八百万家で勉強会が催された際に講師として呼ばれたり、爆豪の教え方が下手過ぎると切島に泣きつかれたりしながらこの日を迎えた。

筆記試験は特に問題なく終わって実技試験。

上鳴は他のA組生徒と共にコスチュームを身に纏い、試験官である相澤の到着を待っていた。

 

 

「入試と同じロボ無双だったら楽なんだけどなぁ……」と芦戸。

 

 

「さあな。仮に去年がそうでも、今年は分かんねーぞ」

 

 

俺が教師なら変えるがな。

そんな事を考えながら上鳴は言葉を返した。

オールマイトが組織犯罪を日本から駆逐して久しいが、既に象徴による抑止には若干の翳りが見えている。

 

 

───雄英はそれがわからない様な馬鹿じゃない。

 

 

「待たせたね、諸君」

 

 

相澤の後ろには雄英教員を務めるプロヒーローが10名。全員がコスチュームを纏い、サポートアイテムまで装備していた。

 

 

「この試験でも赤点はある。林間合宿に行きたかったらみっともないヘマはするなよ……まあ、俺個人としてはそこまで心配していないがな」

 

 

ニヒルな笑みを浮かべる相澤に全員が力強く頷く。

 

 

「地獄を見たぜ、この一カ月」と切島。

 

 

芦戸、砂藤が切島の言葉を受け、上鳴の特訓を思い出して目尻に涙を溜める。

 

 

「本当に辛かった……」

 

───芦戸。お前今までセンスだけでやってきたな? 俺の先生は言っていた『馬鹿でも人は殺せるが、馬鹿に人は救えない 』……と。もっと頭を使え。これからは寝る間も惜しんで勉学と筋トレに励んでもらうからな! 頑張ろうぜ! *1

 

 

───寝る間を惜しむどころかどこにもないんですけど!?*2

 

 

「おかげさまで……強くはなれたけどよ」

 

 

───力の使い方と基礎力を高めていく。これだけでお前は強くなれる。最終目標は瞬間最大出力が基礎の40倍になるようにしよう。卒業までには頼むぜ。試験は自力でどうにかしろ。考え方くらいは教えてやる。

 

 

───マジかよ上鳴……

 

 

「でも何だかんだ俺はめちゃくちゃ有意義だったぜ!」と切島。*3

 

「仕方ないだろ。赤点になりそうな奴らって言えばお前らだったんだから」

 

 

この3人は課題が最も分かりやすく、上鳴は教師がそこを突いてくる事を読んで訓練を行っただけのこと。

他のクラスメイトも同様に基礎体力を向上させる為の訓練の他、個性の解釈が広がる様にアドバイスや練習メニューの提案を行い、更に試験科目になりそうな事は一通り浚っていたが、3人ほど仔細を決めていた訳ではない。

3人は揃って上鳴に向かい頭を下げた。

 

 

「「「ありがとうございます上鳴先生!」」」

 

 

「先生はやめてくれよ」

 

 

───でもこれ、最近は結構楽しいんだよな。

 

 

最初は思う所もあった。

しかし、今ではメキメキと実力を伸ばして自分に挑戦してくるクラスメイトに上鳴は楽しみを見出し始めていた。

 

 

上鳴が人知れず笑みを深めていると相澤が手を叩いた。

 

 

「本題に戻ろう。諸君なら事前にある程度情報を仕入れて、試験で何をするか薄々分かってるとは思うが……」

 

 

上鳴は隣にいた緑谷に目配せをした。

緑谷は隣にいた麗日に目配せをした。

麗日は斜め後ろにいた八百万に目配せをした。

八百万は首を横に振ってから、他のクラスメイトの顔色を伺った。

 

 

誰一人として情報を仕入れていなかった。

 

 

「珍しいな」と目を見開く相澤。

 

 

「備えあれば憂いなしってな。ロボでも何でも対応できる様に訓練してきたつもりだぜ、相澤先生」

 

 

上鳴のサムズアップに相澤の背後から小さな影が飛び出した。

 

 

「それは重畳───良い心がけさ!」

 

 

雄英の校長である根津だ。

 

「今から行うのはロボとの戦闘ではなく、我々教師を相手に原則二人一組で戦ってもらうのさ!」

 

 

原則?と上鳴は首を傾げた。

 

 

「お前を相手取れるヒーローは少ない。なので、お前とお前のペアの芦戸は2on2……俺と校長で見る事になってる」

 

 

───へぇ、相澤先生か。いいね。楽しめそうじゃんか。

 

 

上鳴がテンションを上げるその一方。

この世の全てに絶望したと言わんばかりの虚な目で芦戸が相澤に尋ねる。

 

 

「嘘ですよね、先生……?」

 

 

「ここでの虚偽は合理的じゃない。安心しろ。お前の採点は少し甘めになるし、教師にはハンデがある」

 

 

相澤は懐から錘を取り出して見せた。

 

 

「これはサポート科の生徒が開発した“超圧縮おもり”だ。教員は自分の体重の約半分の重量を装着する。かなり古典的だが動きにくいし、体力もそれなりに削られる」

 

 

───白けるぜ。

 

 

しかし上鳴が萎えるよりも先に、相澤はそれを上鳴に向けて投げた。危なげなく受け取ったのを確認してから、相澤は話を続けた。

 

 

「上鳴にも付けてもらうがな」

 

 

「ならいいや」

 

 

それなら、まあ。

上鳴の機嫌は落ちる事なく高い位置を保った。

しかし、芦戸からすると腑に落ちないわけで。

 

 

「いや良くないけど!!? 何でですか!」

 

 

「上鳴の実力が俺たち(プロ)と変わらないから」

 

 

「うっ……今日ばかりはクソ強い上鳴が恨めしい……」

 

 

ぐぬぬ、という芦戸を上鳴は鼻で笑った。

 

 

「嫌がる所が違うだろ───お前、めちゃくちゃ舐められてんぞ」

 

 

上鳴さえ抑えてしまえば試験として成立する。それが雄英の答えだ。当たり前ではあるのだが、面と向かってそう言われて気分が悪くならないほど芦戸は大人ではない。

 

 

そして、むっとしたのは芦戸だけではなかった。

 

 

───お、他のメンバーも火ぃ付いたな。

 

 

A組の生徒たちのボルテージが一段階上がる。

結束力に関しては歴代雄英生の中でもA組は突出している。ヴィラン襲撃然り、共通の目標然り、放課後の自主練や休日の勉強会が仲間意識を高めていた。

 

 

ここに友達を低く見られて何も感じないほど薄情な人間は一人としていない。

 

 

「まあいいじゃねぇか。お前らもそう熱くなるなよな……負けた時の言い訳が先生にも必要って事っすもんね?」

 

 

上鳴はとても良い笑顔で教師陣に言う。

何人かが頬を引き攣らせるが、大人故に声を荒らげる様な事はなかった。

そして上鳴は更に話を続け。

 

「結果で黙らせれば良いんだよ。落ちんなよお前ら」

 

 

「ったりめーだ!」

 

 

威勢の頗る良い爆豪の返事に、上鳴と相澤は満足気に頷いた。

 

 

「じゃあ、試験の組み合わせを発表するぞ───」

 

 

 

 

 

試験は1組ずつ行われる。

制限時間は30分。

生徒たちは“ハンドカフス”を先生に掛ける、もしくはどちらか一人がステージから脱出すれば条件達成となる。

戦闘訓練と似通ってはいるが、それとは比較にならない難易度である。相対するプロヒーローはそれぞれが格上。戦闘を視野に入れさせる為の錘があるものの、少なくともその場から動かずとも十分に生徒を圧倒できる力の持ち主がいる。

 

 

場所を移して───リカバリーガールの出張診療所に取り付けられたモニターの前に、上鳴と芦戸を除くA組のメンバーは集まっていた。

 

 

「今回の試験、どう見る?」

「上鳴の戦闘力なら発動型の天敵でもある相澤先生にだって引けは取らねぇ」

「……だが、錘がある状態なら話は別だ。幾らあの静電気野郎でも素の身体能力だけでイレイザーヘッドを相手取れるとは思えねぇ」

「相澤先生はUSJでオールマイト並みのパワーがあったヴィランを相手にしながら数十人のヴィランを1人で足止めしてた……個性を消す個性。身体能力は決して高くない筈なのに」

 

 

上から常闇、轟、爆豪、緑谷。

それに加えて蛙吹、八百万、耳郎、麗日、葉隠の女子陣が口々に言う。

 

 

「ケロ……場所は工業密集地帯。視線の通りにくい地形ではあるけれど」

「逆を言えば上鳴さん達からも先生方の位置を把握し難いということ」

「上鳴の索敵能力なら問題ないと思うけどね」

「こそっと見られとったらキツイんとちゃうかな……」

「校長先生が何してくるかにもよるんじゃないかな?」

 

 

上鳴の実力を疑う者はいない。

芦戸だって女子の中では身体能力が最も高く、個性の攻撃力も十分だ。この一カ月の努力も知っている。

 

 

そわそわする生徒たちをリカバリーガールは微笑ましく感じながら、モニターを指差して言った。

 

 

「まあ、ゆっくり見てなさいな。そろそろ始まるよ」

 

 

 

 

 

───正直、もう1回オールマイトと戦いたかった。

 

 

クラスメイトからの心配を考えることもなく、上鳴は試験会場を芦戸と共に歩きながら“もしも”の世界線に想いを馳せていた。

 

───いいよなぁ、緑谷と爆豪。

 

 

オールマイトが担当するのは緑谷と爆豪。A組を代表する成績優秀者の2人だ。オールマイトが衰えており、かつ錘というハンデを背負っている事まで加味すれば正面戦闘での突破も視野に入ってくる。

その場合、2人にとって死戦となるだろうが。

 

 

───ウルトラチャンスだ。物にしてくれよ。

 

 

上鳴はそれを成長の機会程度にしか思っていなかった。

 

 

「ねぇ上鳴、どうする? 取り敢えず出口探す?」

 

 

芦戸の声に現実へと引き戻された上鳴は、そうだな、と生返事をしてから芦戸を横に突き飛ばして自分も跳んだ。

 

 

転瞬、轟音と共に2人が歩いていた側にあった建物が倒壊した。

 

 

「なにごと!?」と芦戸が叫ぶ。

 

 

「………仕掛けてくんのはえーよ」

 

 

電気を纏えない。既に見られている。

その上、砂埃で視界は最悪。

建物が崩れる音で聴覚による索敵も使い物にならない。

電磁波による物体の把握はX線検査に似ている。その特性上、金属部品が多いこの運動場ではまともに機能しない。

 

 

「芦戸、よく聞いてくれ。今考えうる限り最悪の事態だ」

 

 

「うっそ!? まだ始まって3分も経ってない、よぉ!?」

 

 

芦戸が喋りながら視界の端に捉えた捕縛布を間一髪の所で避ける。

 

 

「逃げよ!」

 

 

「よしきた」

 

 

上鳴が芦戸を抱えて跳んだ。

しかし、いつもよりずっと高度が低い。芦戸と錘により普段より飛距離が伸びていなかった。

「耳郎ならもうちょい跳べた」と口を突いて出そうになるが、次々と壊れていく建物と吹き荒ぶ粉塵でそれどころではない。

 

 

「根津校長だな」

 

 

「どうやって?」

 

 

「クレーンか何かでぶっ壊してんだろ。どうにかしないと相澤先生に割くリソースを確保できない」

 

 

「クレーン、クレーン……もっと上まで飛べる?」

 

 

現在の高度では会場の全体を把握する事ができない。芦戸が尋ねるが上鳴は首を横に振った。

 

 

「思った以上に出力の維持が難しい。慣れたら多少はマシになるだろうし、出力を上げればどうとでもなるだろうけど……あんま限界超え過ぎると点を引かれちまう」

 

 

気にすべき点は多い。

これは試験であり、当然だが上鳴も赤点になり得る。

 

 

───俺が赤点になるとすりゃあ、“1人でゴールする”、“出力超過によるダメージレベルが高い”とかそんなとこだろうな。後者はある程度までは許容してくれるかもしれんが、前者は多分1発アウトだ。

 

 

上鳴は他の生徒とは違う。

肉体が許容できる出力を超えれば錘によるパフォーマンスの低下は無視できる。逃げ切る事は容易い。

だが、それで赤点になっていたら意味がない。

 

 

「私はアレだよね? 考え無しに動いちゃう所とか、そういう動きとか考え方の粗さをどうするかを見られてるんだよね」

 

 

「多分な」

 

 

「むむむ。じゃあさじゃあさ!」

 

 

芦戸は上鳴の耳元に顔を寄せて声を潜めて作戦を伝えた。

 

 

「一旦やってみるか」

 

 

「やった! なら作戦開始!」

 

 

 

 

 

2人が作戦を決めているその一方。

根津は紅茶で喉を潤わしながら、クレーンで鉄球を振り回して破壊活動に勤しんでいた。

 

 

───上鳴は入試の構造にも気付いていました。おそらく今回の試験でも課題を見抜いた上で行動してくるでしょう。

 

 

「さて、どう出るか」

 

 

職員会議での相澤の言葉を思い出す。

上鳴は本人の性格故に真っ向勝負をする場面が多い。今回は真っ向勝負が不利になる状況を試験という場である事を利用して作り出し、上鳴がどう動くのかを教員2人で見るという事になっていた。

 

 

「君たちがゴールから遠のく様に倒壊していく建物。粉塵と轟音で索敵能力を奪われているのに、相澤くんを警戒しなくてはならない極限状況───1年生を相手にかなり大人気ないのは自覚しているのさ」

 

 

誰に言うでもなく独り言を続けながら根津は次々と建物を壊していく。

 

 

「芦戸さんに関しては……この状況下でどれだけアグレッシブに動けるか。それでいて上鳴くんのサポートが出来るか」

 

 

『校長、上鳴たちを見失いました。仕掛けてくると思うのでご注意を』

 

 

無線で入ってきた相澤からの連絡に根津は口角を吊り上げた。

 

 

「よろしい。知恵比べと行こうじゃないか」

 

 

 

 

 

芦戸が考えた作戦は至って単純だ───

 

 

「先ず、良い感じに斜めになってる建物を探します!」

 

 

「すげぇ抽象的だな」

 

 

初手からかなり曖昧だったが、幸いにも倒壊した送電塔が芦戸的に「良い感じ」になっていた。

 

 

「感電しないように俺が個性で調整するとして、次は……」

 

 

「私が個性で摩擦を無くすから、上鳴は全力で私を押し出して! これをジャンプ台にして───空から探す!」

 

 

「着地は?」

「任せた!」

 

 

この方法による索敵は上鳴より芦戸の方が適役である。

上鳴の場合、助走段階で個性を消されたらその時点で作戦は破綻する。しかし、芦戸なら途中で相澤に個性を消されても、一度繰り出した酸まで消える事はない。慣性にしたがって空に出れば相澤の視界から外れることができる。

 

 

「これならどちらかに視線が分かれるし、私が個性使えなくなったら」

 

 

「俺が目潰しすりゃあいい」

 

 

「そゆこと!」

 

 

「いいんじゃない?」

 

 

チカチカと髪を電光で微かに光らせ、相澤に個性を使われたら直ぐに分かるようにしつつ、上鳴は芦戸が送電塔に酸をぶっ掛ける作業をこなすのを見届けた。

 

 

「芦戸、これ無線な。個性使えなくなったら教えてくれ……早速始めようぜ」

 

 

『身体許容上限100%───閃電疾駆・3倍速(ドライブⅢ)

 

 

そして、上鳴は身体を縮こませる芦戸をカーリングストーンの様に滑らせる。

芦戸は高速道路で追い越し車線を爆走する車が如く、猛スピードでジャンプ台と化した送電塔を駆け抜けていく。

 

 

『使えなくなった!』

 

 

「早速か!」

 

 

塔の中程に到達した瞬間に入った芦戸からの無線に、上鳴は反射的に頭髪から閃光を放った。

程なくして芦戸から『使えた!』と再度無線が入る。

 

 

───視界に入れる個性である以上、遮光性の高いゴーグルを着ければ目潰し対策にはなっても普段の戦闘に支障を来たす……読みが当たったな。

 

 

「ドローン展開。コガネ、相澤先生の位置を割り出せ」

 

 

上鳴の耳についたイヤーカフから電波が飛び、コガネが操作する超小型ドローンがコスチュームのポケットから飛び出していく。

 

『上鳴! 動いてるクレーン見つけた! 3時の方向、距離約200m!』

 

 

───相澤先生と連携している以上、ただ道を潰すだけじゃなくてある程度視界を確保しつつ、戦闘も想定してフィールドを再編してるはず。脱出用のアイテムの有無まで考慮したいとこだが、何にせよ。

 

 

上鳴が瞬間的に出力を300%まで上げて芦戸のいる上空まで跳ぶ。

そして芦戸の腰を掴んで自身に引き寄せつつ、言った。

 

 

「校長を獲りに行く。保護皮膜用の酸は出せるか?」

 

 

「お、オッケー!」

 

 

芦戸は声を上擦らせながら粘度の高い酸を出した。酸が身体を覆い尽くすよりも先に上鳴が空中で加速を開始。

 

 

「最高速度でぶち抜いてやるッ!」

 

 

晴天の下、雷鳴と共に紫電が線を描いた。

2人はそのまま真っ直ぐクレーンに向かって直進し、窓を蹴破って中へと入っていく。

 

 

「お見事さ!」

 

 

芦戸にハンドカフスを掛けられながら根津が賞賛するが、2人の意識は既に相澤へと向いていた。

 

 

「相澤先生の場所は?」と芦戸。

 

 

「コガネ」

 

 

『把握済みです。捕捉されないように遠距離から尾行しています。あと1分ほどでここに到着するかと』

 

 

「どうする上鳴。迎撃? それともゴール目指す?」

 

 

「もちろん───SMASHだ」

 

 

「だよね!」

 

 

気炎万丈。

2人はニッと笑い合い、拳をぶつけてからクレーンから飛び降りて相澤を倒しに向かった。

 

 

 

 

 

『根津校長、確保』

 

 

やるじゃないか、とは相澤は思わない。

むしろやって当然だ。2人にそれだけの力が備わっている事はこれまでの授業で十二分に理解している。

 

───かなりの力技だったが、まあ、及第点だろう。

 

 

一応、幾つか抜け道も用意していた。

尤もその内の大半は、通れば無駄に時間が掛かったり、相澤が待ち伏せしていたりと幾つもの罠が張り巡らされている。状況とヴィラン役の教員の個性を鑑みてルートを選択すればゴールできる様になっていた。

 

 

「大人の予想なんて超えてなんぼだ」

 

 

───迎撃か逃走か。ここからはどちらを選んでもいい。ただで負けてやる気はないがな。

 

 

笑う相澤の耳に『ピピッ』という電子音が入る。

上空からドローンが1機、相澤の背後を取る様に飛んできた。

 

 

「見られているとは思っていたが露骨だな」

 

 

上鳴達が迎撃を選択したと判断した相澤が、いつでも個性を消せる様に目に力を込めていく。

 

 

しかし、その判断は誤りだった。

 

 

2人は相澤を迎撃するのではなく倒しに来ていた。その認識の差異が致命的な一撃を許す結果となる。

 

 

『ご武運を』

 

 

ドローンから合成音声が鳴ったのと同時、閃電が相澤を打った。

 

 

───ぬかった。まさか姿が捕捉できない様な位置から狙い撃ちされるとは。

 

 

出力を抑えた帰還雷撃。

しかし、身体が全く動かなくなるほどの一撃である事に変わりはない。まだ視界に入らない位置からの不意打ちだった。

 

 

「先生ー!」

 

 

更に空から酸を纏う芦戸が降ってくる。

個性を発動させても既にそこにある酸が消える訳ではない。

相澤は無抵抗のまま芦戸に抱きつかれた。

 

 

「プレゼントフォーユー!」

 

 

そして芦戸は相澤から離れると同時に酸の鎧を相澤へ移していく。

 

 

───感電してるのもあるが、それを抜きにしても粘度が高過ぎる。身体が重くてまともに動かせないな、これは。

 

 

「拘束完了!」

 

 

「カフスは俺からプレゼントだぜ、相澤先生」

 

 

「判断と行動力の速さ。見事なもんだ」

 

 

「やったー!」

「上手くいって良かったな、芦戸」

「もう馬鹿とは言わせない……!」

 

 

鼻息を荒くしながらガッツポーズをする芦戸に、上鳴が微笑ましい物を見る様な優しい眼差しを向ける。

 

 

その光景を見た相澤も相好を崩していた。

 

 

 

 

 

───酸、中々応用が利く良い個性だな。出力が上がれば尚良し。

 

 

「…………? 何か寒くない?」

 

 

「気のせいだろ」

 

 

初動こそ相澤に譲ったが結果は上鳴達の圧勝。

これを見ていた生徒らのテンションも最高潮に達し、試験は一先ず全員突破に成功した。

 

*1
上鳴が1日のスケジュールを円グラフに纏めた物を手渡しながら言う光景

*2
“おはよう”しか記されていない破綻したスケジュール

*3
力自慢達のサンドバッグ。強度向上




組み合わせと結果は基本原作と同じです。
以下に過程と結果が変わった組み合わせを纏めておきます。ご査収ください。

緑谷&爆豪──諸々のやり取りで蟠りが原作よりマシだったため最初から連携。そのせいでオールマイトが真剣に潰しに来た。正面戦闘は最初だけ行い、最後は何とか試験合格の為に逃げ切り、2人揃ってゴールに滑り込んだ。大怪我。

轟&八百万──担当はブラドキング。八百万が自信喪失してないため作戦は八百万が立案した(作戦はフィジカルによるゴリ押し)
バイオモモに肩車された無表情かつ背筋が直立不動の轟くんがモニタールームで爆笑の嵐を巻き起こすが、超スピードで移動する固定砲台という組み合わせである事が直ぐに発覚して誰も笑えなくなった。万理は稼働時間が伸びると傷んでくるが、轟なら氷結で鮮度を保てるため相性◎

峰田&瀬呂──瀬呂が初手で体育祭で轟と戦った時と同じ様に捕縛。峰田が用意したモギモギゾーンに放り込んで終了。瞬殺。

切島&砂藤──砂藤が10倍の力で切島をぶん投げ、人間砲弾と化した切島がセメントが作った壁をぶち抜き近接戦闘に持ち込む。砂藤が合流してチェックメイト。
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