仮面ライダーオルフェウス/ファントムタナトス 作:ボルメテウスさん
「・・・本当、君をまくのは骨が折れそうね」
「・・・一応、守る対象だから」
そう言いながら、俺は彼女の後を追っていた。
未だに彼女がファントムに狙われている以上、それを守るのが俺の使命だから。
既に晴人さん達に連絡しているが、電話の向こうでは何か騒いでいた。
「大丈夫だったのかなぁ?」
そう、俺は心配していたが、その際に凛子さんからは「オルフェウス君はこういうふうになっちゃ駄目だからね」と注意された。
未だに分からない事だらけだけど。
「はぁ、本当に」
「・・・」
そうして、俺が辿り着いたのは、彼女の家。
だけど、その家は、あまり豪華ではない。
いわゆるアパートと言われる程の安物だった。
詐欺というのは大金を稼げると聞く。
だけど、それにしても住む家は安い。
そして、それ以外は、まるで詐欺を行う為の道具以外、あまりにも金を使っていない。
「・・・何に、お金を使っているんですか?」
「あなたに関係あるのかしら?」
「・・・うん、ないね、気になっただけですから」
そう俺が呟く。
「そうね、こんな話、誰にもするつもりはなかった。
それに、なんだか、あなたを見ているとあの子を思い出すわ」
「あの子?」
「私の家で飼っていた犬」
「犬?」
すると、彼女はゆっくりと口を開く。
「子供の頃に住んでた家よ」
「子供の頃?」
その、子供の頃というのは、俺はない。
いや、正確には、今の俺が子供みたいな感じなのか。
「あの頃は、幸せでした。
でも、父親が詐欺師に騙されて…あの家も、何もかも失ってしまった」
それを言った彼女の表情は、これまで以上に見ない程に悲しそうであった。
「大人になっても、私は時々あの家を見に行った。辛いことがあっても、あの家での幸せな日々を思い出したら頑張れる気がして、けどっ」
そして、その表情から彼女の焦りが見えた。
「すぐにでも私が買わなきゃ!でなきゃ、思い出の家が無くなっちゃう!だから、至急お金が必要なの」
そう言った彼女の言葉は本当だ。
詐欺ではなく、彼女自身の本当の気持ち。
それは、俺にも伝わる。
だからこそ。
「だからこそ、俺はこれ以上、見逃す事は出来ない」
「どうしてっ」
「例え、取り戻したとしても、あなたはあなた自身が許さないからだ。
あなたの幸せを奪った詐欺で」
「っ」
その言葉に対して、彼女は目を見開いた。
きっと、それ自体は彼女自身が分かっていた。
でも、彼女はそれでも止めなかった。
「それに、俺から言わせたら無駄な努力だと思うけど」
「あなたに何が分かるのっ」
「分からない。けど、恋愛で騙していたから、分からなくなっちゃったんだなと思っただけ」
今のままでは、彼女は絶望するだろう。
そして、それをどうにか出来るのは、俺でも晴人さんでもない。
その時、彼女の目は、何か映った。
「あれはっ、私の家っ!」
俺もまた、それを止める為に、向かう。