仮面ライダーオルフェウス/ファントムタナトス 作:ボルメテウスさん
あれから、俺は木崎さんのスーツの一部に入り込むと共に、彼の動向を見守っていた。
木崎さんは、直己君を守る為に、必死に作戦を行っていた。
「けど」
それを、ここで言うべきか迷う。
ファントム側にいるメドゥーサによって、その人物がゲートかどうかの判別はすぐに分かる。
だからこそ、この囮作戦は無駄かもしれない。
だけど。
「なんとしても、彼を守るんだ。先輩の為にも」
その目には確かな覚悟があった。
そうして、作戦を実行しようとした。
周囲も警戒する最中で、俺は木崎さんはとある場所へと入る。
「いや、こういう物ってさ。フィーリングだからもう駄目な時は駄目」
「悠長なこと言っている暇は無いんだ!」
そう、声を荒げ苛立ちを募らせる木崎さんは輪島さんに向けて言う。
まさか、ここに輪島さんがいたとは。
だけど、誘拐と言っても、環境を見る限りでは乱暴はされていない様子だ。
「失礼。ファントムと戦うために、我々は一刻も早く魔法の力を手に入れなければならない。そのために、何としても指輪が必要なんだ」
「なるほどね。でも、力が欲しいからって指輪だけ手に入れても仕方ないと思いますよ?」
そんな、木崎さんの焦りに対して、輪島さんはゆっくりと問いかける。
「何?」
「力を使いこなせるかどうかは、手にする人の心の持ちよう。力を手にするには、それ相応の覚悟が要りますよ?」
「我々にその資格が無いと?」
そう、輪島さんに向けて言う。
「いや、そうは言ってませんよ。でもまあ、ぶっちゃけ指輪を使えるのは魔法使いだけなんですけどね~」
「えっ?」
それに対して、木崎さんは思わず聞き返してしまう。
どうやら、その事情は知らなかった様子だ。
「木崎さんは、何の為に直己君を守るんですか」
「っ」
俺の言葉に驚いたように、木崎さんは振り返る。
「あっ、オルフェウス、来ていたんだ」
「はい、その気になって」
「・・・関係ないと言っても、どうせ退くつもりはないだろ」
既に俺の事をある程度、知っている様子で、木崎さんはため息を吐く。
「・・・約束の為だ」
「約束?」
同時に、知らされたのは、直己君のお父さんの本当の死因。
その事情は、俺にとっても衝撃だった。
ゲートである彼のお父さんは、息子が狙われている事を知った。
だからこそ、息子を守る為に、敵わないと知りながらも、立ち向かった。
「自分のせいで父親が死んだと知れば、心に大きな傷を負う。だから何も話さないと決めたんだ。彼に何と言われようと…」
その覚悟に、俺は確かに頷く。
同時に気配を感じる。
「ファントムが来ている」
「なっ」
すると、木崎さんはすぐに窓の外を見る。
そこには刺々しい甲殻に身を包みんだ蟹を思わせるファントムと以前戦った事のあるミノタウロスに似たファントムが既に迫っていた。
「くそっ、これじゃ」
「・・・木崎さん」
「なんだ、今は「もしも」っ」
「もしも、戦う力があったら、どうしますか」
俺は、そう問いかける。
「どういう事だ」
「今の俺は、魔力を多く使っていて、変身が出来ません。戦闘しようにも、ファントムの姿じゃ、被害を増やしてしまう」
「だから、一体」
「だからこそ、これは契約です」
俺は、木崎さんに問いかける。
「あなたは、その約束の為に、死ぬかも知れない戦いに挑みますか」
ファントムとの戦いは命懸けだ。
警察だろうと、死は怖い。
だけど。
「彼を守れるならば、俺の命ぐらい、賭ける」
「分かりました、ならば」メタモルフォーゼ!ナウ!
それと共に、俺は木崎さんの腰に回る。
それは、普段、俺が変身しているドライバーを模している。
同時に、木崎さんの覚悟に答えるように、彼の指には、新たな指輪が。
「これは、まさか」
『木崎さん、行けますか』
俺の問いかけに対して、木崎さんは。
「あぁ、分かった」
そのまま走る。
それは入り口前までに迫っているファントム達に向かってであり、その指にある指輪を構える。
そして。
「変身!」ポリデュークス!ナウ!
鳴り響く音声。
それと共に、木崎さんの身体は外見はプレートに包まれ、右手は全てを貫く拳として徹甲弾を思わせるアーマーを身に纏う。
仮面ライダーウィザードの劇中で、魔法使いに変身する条件は強い意志でファントムを精神の内側に封じ、その力をウィザードリングと呼ばれる指輪によって引き出して戦う。
だけど、もしもそのファントムが協力的ならば、ゲートじゃなくても変身できるのでは。
そんな感じで、木崎さんを、変身させてしまいました。