仮面ライダーオルフェウス/ファントムタナトス   作:ボルメテウスさん

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その名前は

あの戦いは、あまりにもあっさりと終わった。

グレムリンは、さすがに数の差もあり、すぐに逃げ出した。

今回、戦ったファントムも、仁藤さんが喰らった。

 

「・・・全部、上手く行ったって考えても良いんだよな」

 

既に、福岡に帰っている頃だろう。

俺はそう、安心しながらも、ゆっくりと黄昏れる。

 

「親の愛情か」

 

俺には愛情を向けられていない。

そう、考えている。

その考えを変えるつもりはない。

それが、今回の1件で少し考えが変わりそうになっていた。

仁藤さんが、敏江さんの愛情を分からなかったように。

俺も、もしかしたら。

 

「・・・はぁ、どうしたら良いんだ」

 

人間になると決めてから、離反した事に、後悔はない。

晴人さん達と出会って、俺は確かに幸せだ。

けど、仁藤さんのような勘違いだった可能性は?

 

「んっ」

 

だが、その考えが吹き飛ぶような人物が目の前に現れた。

俺は思わず警戒する。

 

「えっ」

 

その人物は、俺の方を見て、驚いている。

俺はすぐにでも戦えるように、構えていた。

 

「あのっ、いきなりなんですか?」

「んっ?」

 

すると、俺に話しかけた。

その声は、人違いではないだろう。

決して離れない声。

同時に、見慣れている顔。

だけど、決定的に違うのは、それは、ファントムではない。

眼前にいるのは、人間だ。

けど。

 

「えっと、いや、その、すいません、多分人違いでした」

 

俺はすぐにその場を離れようとした。

 

「人違い、あのっ!」

 

そう、俺がその場から離れようとすると、その人物は、俺の手を掴んだ。

 

「もしかして、私にそっくりな人に会いましたか?」

「いや、なんで、そう思うんでしょうか?」

「その、信じられないと思うんですけど、私、双子の姉がいるんです。その名前が」

「っ」

 

その名前を聞いた瞬間、嫌な事を思い出してしまった。

 

『・・・メドゥーサ』

『なにかしら?』

『時折、ファントムになる奴が別の名前を言っているが、あれはなんだ?』

『あぁ、あれ、あれは人間だった頃の名前よ、ファントムの時の名前じゃ不便な時があるからね』

『・・・俺にもあるのか?』

『あったかもしれないわ。けど、残念ながら、私も知らないわ』

『・・・そうか』

『けど、そうね、せっかくだからあなたには、教えようかしら、私を生み出したゲートの名前を』

 

その記憶がリンクする。

その名前を。

 

「『稲森美砂』」

 

それと同時に、俺は理解した。

この状況は、ヤバい。

 

「・・・知りません」

 

俺は、すぐにその場から離れようとする。

 

「待って、本当は知っているの!?」

「いや、俺は」

 

どうすれば良い。

この状況を。

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