仮面ライダーオルフェウス/ファントムタナトス 作:ボルメテウスさん
グレムリンの言葉を疑いながらも、俺はその状況には、既に犯人は分かっていた。
だからこそ、俺は、どうするべきか、一番の被害者である仁藤さんに聞く事にした。
「仁藤さん」
「んっなんだ?」
「仁藤さんは、分かっているんですよね、そのベルトを盗んだ犯人は?」
「まぁ、お前がそういう感じで察している以上は分かっていると思うけど、まぁ中本さんだろうな」
そう、仁藤さんも分かりきったように言う。
「だったら」
それは、仁藤さんの命を奪うような事だ。
それは、確かに中本さんにとっては、夢かもしれない。
けど、命には変えられない。
「オルフェウス」
俺はそう、行こうとした時、仁藤さんが止める。
「お前だって、中本さんの気持ち、分かるんじゃないのか?」
「気持ち、それは夢を叶えたいって」
「あぁ、そうだ。人間はな夢を叶える為だったら、命を賭ける。俺がベルトを、いやキマイラと会った時もだ」
そう、仁藤さんは笑みを浮かべる。
「こんな発見、二度とねえって。俺にとってキマイラは、でかいチャンスなんだって」
「チャンス」
俺は、思わず首を傾げる。
「確かに、遺跡でキマイラに取り憑かれた時、ヤバいと思ったよ。
でも俺、同時にワクワクしたんだ。
この得体のしれないバケモノは何だ?この不思議なベルトと指輪は何だ?これから何が起こる?どんな事をしても知りたいと思えた。お前は人間になりたいって夢が出来た時、どうだった」
仁藤さんのその言葉に、俺は、人間になりたいと思えたあの日の事を思い出した。
「正直に言って、凄いと思うぜ。
だって、あの人、あの歳でも発掘を続けている。助手とか言っているけど、あの熱意だったら普通は偉くなっている。けど、それが出来ないのは、それぐらい夢中なのか、誰かに邪魔されたのか」
「それは」
「あぁ、皆まで言うな!だからな、俺はあの人からベルトを取り返すつもりはある。けどな、オルフェウス、あの人の夢の事は否定してやるな」
そう、仁藤さんが言ってくれた。
それには、どうしたら良いのか分からなかった。
仁藤さんの命は大事だ。
けど、その言葉を。
「・・・夢の為に、そこまで」
「中本さん」
ふと、振り返ると、そこには、中本さんがいた。
その手には仁藤さんのベルトと指輪、それに発掘された物を。
「すまなかった。君は夢のために自分の命を賭けている。
でも、私は…かつての無念を晴らそうとしているだけだ。
あの時、自分がされたように誰かを犠牲にして」
「犠牲にって、一体何が」
俺は思わず問いかけてしまった。
「かつて自らの発見を研究所の所長に奪われてしまったんだ」
「そんな」
それは、まるで今回と同じような出来事。
それが、かつて、中本さん自身にも起きていた。
だけど。
「これは、君が持つのが相応しい」
そう、中本さんは、そのまま仁藤さんにそれらを渡した。
すると。
「仁藤さん、ファントムです」
「丁度良い、だったら、さっそく試しにやるか」
笑みを浮かべる仁藤さん。
同時に、俺は中本さんを見る。
それは、先程までの事で後ろめたさもある。
だけど、同時に、俺は分かった気がする。
「守るべき価値はきっとある」