仮面ライダーオルフェウス/ファントムタナトス   作:ボルメテウスさん

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力の絶望

「あっあっ」

 

 俺の中に湧き上がる力。

 

 それは、俺自身の力ではない。

 

 それは、これまで、俺の中に取り込んできたファントムの力。

 

「あっあぁっあぁぁ!!」

 

 そして、そのファントムの力が、晴人さんのドラゴンと共鳴するように膨れ上がっている。

 

 膨れ上がった魔力は、そのまま反映するように、周囲のアンダーワールドのヒビが大きくなっている。

 

「これはっ一体っ」

 

「くくっ、これは面白いぞ! ワイズマンがある意味、重宝しているだけの事はある」

 

「何をっ、俺は」

 

「普通のアンダーワールドのファントムならば、お前のそれには反応しなかっただろう。だが、この世界のファントムはあまりにも強すぎる! 故にファントムの力を強制的に上げる事が出来る」

 

「っ」

 

 魔法使いとは、内なるファントムを押さえ込んだ人々の事を言う。

 

 だけど、それはファントムの力が。

 

 魔法使いでは抑えきれない程に強くなってしまった。

 

 だからこそ。

 

「うわっと、なんだここはっ!? こんなアンダーワールドは見た事ないぞっ」

 

「ごめんなさいっ仁藤さんっ! 俺がいたから」

 

「なんだか分からないけど、ここは俺に任せて、お前はさっさと出ろっ」

 

「はいっ」

 

 湧き上がる力。

 

 それが暴走しているせいで、上手く動く事は出来なかった。

 

「そうはさせないよ」

 

「っ」

 

 聞こえた声と共に、俺の動きを止めたのは、あのファントムだった。

 

「てめぇ、何をしているんだ!」

 

「何を? それはこっちの台詞だ」

 

 ファントムは、その顔は醜く見える。

 

「助ける為に来た美しい心を持ったファントム。だが、そのファントムが自分の力でその助けようとした者を殺してしまう。

 

 美しい物が二つ同時に滅びる瞬間を見られるこんなチャンスを逃す奴がいるか?」

 

 そう、ファントムは不気味な笑みを浮かべる。

 

「てめぇ! オルフェウスの邪魔をするんじゃねぇ!」

 

 仁藤さんは、そうしてファントムに攻撃したが、それは簡単に避けられてしまう。

 

「ぐっ」

 

「お前には興味ないんだよ。今の俺は、この世界と彼の美しさだよ」

 

「てめぇ、くそっ、やられるもんかっ」

 

 仁藤さんは、もう一度殴りかかるが、それも簡単に避けられてしまう。

 

 そのまま、俺の目の前の光景が徐々に崩壊していく。

 

「あっあっ」

 

 それはまるで。

 

 オルフェウスの滅びを、このファントムが操っているかのように。

 

「まったく、お前らはいつもいつもこういう運命なんだよ。さぁ、どう滅ぶか見てみようか?」

 

 俺は必死に抵抗しようとするが、やはり力が出ない。

 

「やめろ、オルフェウスの邪魔をっ」

 

「邪魔? 邪魔なのは、お前だ。美しい物が滅びる瞬間は、最高に美しいんだよ。

 

 だから、邪魔はさせない」

 

「やめろっ!」

 

 そうしながら、俺は目の前の光景を見て、初めて感じた。

 

 絶望というのは、一体何か。

 

 そして、そのまま、アンダーワールドは、そのまま崩れ去った。

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