仮面ライダーオルフェウス/ファントムタナトス 作:ボルメテウスさん
「・・・」
「オルフェウス君、ずっとあんな感じですね」
あの戦いの後、オルフェウスは、ほとんど放心状態でいた。
いや、心がまるでここにはないような状態になっていた。
その状態の最中、彼らは、どうするべきか悩んでいた。
「あんなの、普通は分かるはずないだろう。だからと言って、それを許せる訳はないだろうよ」
「仁藤さん、けど、オルフェウス君は」
「何よりも、一番許せないのは、あいつ自身だろう」
そうして、虚ろな目をしているオルフェウス。
彼はそのまま立ち上がる。
「オルフェウス君、どこに」
「あのファントムを、殺す」
「オルフェウス君、無茶は」
「殺す、殺す、殺す、殺す」
その言葉を呟きながら、そのまま出て行く。
それを呼び止める事は出来なかった。
「オルフェウス君っ」
「・・・このままじゃ、晴人さんだけじゃない。オルフェウス君だって、心が」
そのまま、彼らはすぐにオルフェウスの後を追う。
だけど、既に、そこにはオルフェウスの姿はなかった。
「オルフェウス君」
「あいつは、本当の意味で本気になれば、人間である俺達には追いつけない。だから、今はあのファントムをぶっ潰すしかない」
それと共にファントムを倒す為の行動を始めた。
オルフェウスは、その最中、既にファントムの姿であるタナトスへと変わっていた。
普段は、決してなる事はないその姿に。
彼は積極的に使っている。
その気配の探知を使い、周囲を見渡す。
「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す」
その様子は痛ましかった。
このままでは、オルフェウスは、ファントムとなってしまう。
だからこそ。
「今度は私が助ける」
そう、呟く。
その声が聞こえたのか、オルフェウスはこちらの方に目を向ける。
ファントムとなった事で虚ろな目はこちらを見る。
それは、以前に私が見た優しい目ではない。
けれど、それは彼の優しさ故だろう。
「メドゥーサじゃない?」
「・・・真由です、久し振りですね」
そう、私はオルフェウスに語る。
「無事だったんだ。けど、今は」
「あのファントム、レギオンを追っているんですよね」
「・・・なんでそれを」
「私も魔法使いになる為に修業をしていたんです。そこで、使い魔を通して見て」
「・・・そうか、だったら、俺に近づくな」
オルフェウスは、それだけ言い、こちらを見なかった。
「俺は、人間も魔法使いも不幸にする。だったら、不幸にする対象をファントムだけにするっ!そうすればっ」
「それをして、不幸になる人達がいても」
彼に、私は思わず呟いた。
「えっ」
「使い魔を通して見てきました。だからこそ、分かる。あなたがこのまま進んだら、あなたは大切な人達を悲しませるから」