仮面ライダーオルフェウス/ファントムタナトス 作:ボルメテウスさん
ある日、俺、晴人さん、凛子さんは木崎さんに呼ばれて、警察署に来ていた。
「あっ木崎さん、お久しぶりです」
「久し振りだね、オルフェウス君。今回は君達に頼みたい事があるんだ」
俺達が部屋に入ってくると、木崎さんは少し柔らかな笑みを浮かべながら、答える。
「なんか、オルフェウスにだけ、態度が違うな」
「彼はお前と違って、かなり有能だからね。本当だったらスカウトしたい所だけど、さすがにまだ謎の多い彼をそのまま引き入れる訳にはいかないからね」
「その、木崎さん、頼み事をされた手前、いきなり言うのはなんですが、以前言っていた事は」
「残念ながら、俺達の方でも分からない。あの日、行方不明になった中で、君に似た人物の情報はまるでない」
木崎さんからの頼み事。
それと同時に、俺もまた木崎さんにある事を教えていた。
それは、俺がファントムとなる前の。
ゲートだった頃の俺の捜索だ。
だが、まるで、その情報はなかった。
「そうですか」
「だが、いずれ見つけよう。そして、今回、君達に探して貰いたいのは」
そう、木崎さんが出した写真。
それは。
「グレムリン、なんで」
「以前魔宝石を渡した出所がわかった、そいつが、あの魔法石を我々国安ゼロ課に流した男だ」
「・・・また、こいつか」
ファントムとしても、謎が多い。
その謎は、俺を探ろうとしても、未だに分からない。
グレムリンは「滝川空」という名で美容師をしていたよう
その時のことを調べるため、以前勤めていた店へやってきた。
店長に話を聞くと、グレムリンは日食の日の後に店を辞めているという
「どんな人でした?」
「まあ普通に明るい奴だったね。何かいたずら好きな奴でさ。いつも後ろから突然ハロ~!って」
それは、限りなく俺達の知っているグレムリンと同じ人物像であった。
だけど、それでは、本当にあいつが。
「ねえ、あいつ別の店でも美容師やってんの?」
「それは、これから調べるつもりですけど。何か?」
「いや、あいつが担当してた客、何人か来なくなってさ。うちの客、引っこ抜いたんじゃないかと思って」
それを、俺は信じられなかった。
本当だとしても。
そう考えながらも、調べれば、調べる程に分かるのは、ゲートになる前の奴と、ファントムとなった後の奴に違いはなかった。
「当たり前なんだけどさ、今までのファントムはゲートとは違う人格を持ってた。だけど、グレムリンはゲートと同じにしか思えないんだよね」
「確かにね、オルフェウス君は、そもそもゲートだった時の記憶もないし、そのゲートもどんな人だったかも分からない」
「ゲートの記憶を利用して、何か企んでんでしょうか」
これまでの戦いを振り返っても、奴はそのような怪しい動作があった。
けど。
「ハロ~」
悩んでいる俺達に話しかけた声。
同時に、俺は振り返ると。
「魔法石を人間に渡して、どうするつもりだったんだ?グレムリン!」
そこには、グレムリンが、立っていた。
晴人さんは、凛子さんの前に。
俺はすぐにグレムリンに攻撃出来るように構える。
「あれは僕じゃなくて、君達が必要だと思ったから。あ、あと僕の事はソラ、って呼んでよ」
「それはお前を生んだゲートの名前だろ?」
「僕のこと、色々調べたみたいだね。何か分かった?」
「滝川空になりきって、どうするつもりだ?」
俺は、そう、睨みながらも呟く。
「なりきるも何も、僕はグレムリンじゃないよ」
「どう言う意味だ?」
その言葉と共に、グレムリンはゆっくりと、俺達の周りを回る。
「人の心のままファントムを宿した奴がいるように、人の心のままファントムの姿になった奴がいたって、おかしくないだろう?僕は今も昔も、滝川空のままだよ!だって、人の心を残したままこの姿になったのさ」
「何だと?」
「そんな事、あり得ない!」
それを聞いた瞬間、グレムリンは、急に笑い出した。
「あり得ないって、そもそも一番あり得ない存在が君達と一緒にいるじゃないか。僕と違って人間だった頃の記憶はないけど、人間の為に戦っているファントムである彼が」
そう、俺の方を見る。
「何よりも僕が証拠さ。でも、他にはいない。みんな調べたけど、僕以外、人の心が残ったファントムはいなかった」
「お前は特別だって事か」
すると、グレムリンはこちらを見る。
「僕だって、望んでこうなった訳じゃない。そういう意味では、僕達は似たもの同士かも知れないね。人でもなく、ファントムでもない僕達は仲良くなれるかも知れないよ?」
「晴人君とオルフェウス君をあなたを一緒にしないで!」
「じゃあ、これからも楽しく遊ぼうね…ふふふ…」
そのまま、グレムリンは、そのまま姿を消した。
未だに、奴の本心が分からない。
だけど。
「あいつに、人の心が?」
晴人さんの言葉に、俺はなぜか不安に覚えた。