ガンダムSEED オーブ連合首長国強化パッチ   作:sunplane

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悩みながら書いてます。


オーブ編 4話

 

C.E71 1月25日 ヘリオポリス

 

「遅かったか!」

 

 

 ラウ・ル・クルーゼ は目の前を飛んでいく白亜の新型戦艦‐アークエンジェルを見やりそう言った。

このZ.A.F.T(ザフト)のトップガンは彼自身の情報網からヘリオポリスで連合軍の新型MS(モビルスーツ)が開発されていると判断し、その場所に臨検、または強襲を仕掛けんとしていた。

 

 

 しかし評議会を説得する手間を惜しんでまで強行してみればオーブに察知されたためか、既に目標としていたものは一足早く脱出の途についていた。オーブの宇宙港周辺には人員を運んでいたのだろう、連合のドレイク級宇宙護衛艦が遊弋しており、おまけにアークエンジェルが去った進路上には名うての傭兵部隊‐サーペントテールと思しきエンブレムを付けた新型MS(モビルスーツ)まで確認された。

 

 

 「クルーゼ隊長、いかがいたしますか」

 

 

 

 「当然あの新型戦艦を追う、と言いたいところだが、その前にこの状況を切り抜けねばな」

 

 

ヴェサリウス艦長アデスの問いに彼は僅かに逡巡する。多数の迎撃装置とMA(モビルアーマー)部隊を排除しヘリオポリスに踏み込んでも(それ自体はトップガン、ベテラン、期待の若手たちをそろえたクルーゼ隊にとっては物の数ではない)既に敵の大本命が遁走してしまった以上満足のいく成果を上げられる保証はない。翻って連合軍の新型を追うならば恐らく腕利きの傭兵が妨害に入ることは必定。

 

 

 

その時、ヘリオポリスの管制塔からZ.A.F.T(ザフト)に向けた通信が入った。

 

 

「オーブ軍からの通信です!」

 

 

「繋げ」

 

 

モニターに映し出されたのは金髪の少女であった。本来ならこのような場面には不相応の見た目であったが、若さに似合わぬ風格が将官を示す軍服によく似あっている。その後ろには背の高い中性的な美貌の青年が控えていた。

 

「私はオーブ軍将軍、カガリ・ユラ・アスハだ。Z.A.F.T(ザフト)艦隊に告ぐ。貴艦隊の所属と目的を明らかにされたし!なお許可のないこれ以上のコロニーへの接近は敵対行動と見做す!」

 

 

 

Z.A.F.T(ザフト)クルーゼ隊隊長ラウ・ル・クルーゼである。貴国は中立を謳いながら大西洋連邦の新型MS(モビルスーツ)の開発を幇助した疑いがある。かのような行為は全くもって国際社会の信用を損なう行為であり、断じて許しがたい」

 

 

 何食わぬ顔でクルーゼは言ってのけたが、彼自身も極論、というかもはや暴論を吹っかけているという自覚はあった。元より国防委員長パトリック・ザラの懐刀として名高いクルーゼの独断専行ならば成果さえ出せば本国の評議会には黙認されるという計算であったが、その前提が狂ってしまった以上オーブの警告を無視してヘリオポリスに攻撃を仕掛けるわけにはいかない。

 

 対するカガリの返答もそれがいわゆるハイボール戦術であることをわかっていたのか、冷静に返答する。

 

 

「我々の中立はあくまでプラントと理事国の戦闘行為に介入しないことを示すものであって、当該国と自国の間での経済活動や技術交換を妨げるものではない。当然独立運動を行っているP.L.A.N.T.(プラント)の民兵組織であるZ.A.F.T(ザフト)に我が国の企業の活動を査察する権限などあろうはずもない」

 

 

「それは詭弁であろう!現に連合軍の護衛艦がいる以上、最早オーブは連合に組したと見做すのは当然だ」

 

 

「これは異なことを。その艦艇はあくまでここヘリオポリスにデブリやスクラップを運ぶためのものだ。どうしてもお疑いなら臨検でも何でもされるが良い。我々は中立国だからな。Z.A.F.T(ザフト)が連合の艦艇をどうしようと干渉はしない。ただしこの場での戦闘行為は双方を排除せざるを得なくなるので避けていただきたいがね」

 

 

彼女の堂々とした物言いをヴェサリウスのクルーやパイロットたちはじっと伺っていた。何か隙はないか、譲歩させる余地はないか、と思考をめぐらす。中でもザフトレッドであり、評議会議員を親に持つクルーゼ隊の若者たちは食い入るように見つめる。カガリはナチュラルであり、彼らはコーディネイターであるという違いはあるものの、自分たちもそう遠くないうちに同様の立場に立つのだ。P.L.A.N.T.(プラント)の成人年齢は満15歳。自身にかかる期待を彼らも常々感じていた。ただその中で、

 

 

(何故だ?そんなはずはないのに、俺は何故彼女を見てキラを思い出しているんだ?)

 

 

ひとりアスラン・ザラだけが脳内に疑問符を浮かべていた。

 

 

(……アークエンジェルは月へと進路を取った。もう連中(サーペントテール)を引かせてもいいだろう)

 

 

(分かった。ギナ、後は手筈通りに)

 

 

お手並み拝見とばかりに後ろに控えていた青年とカガリがアイコンタクトを取り、ザフトに呼びかける。

 

 

 「……さて、Z.A.F.T(ザフト)の諸君もはるばる来てもらって済まないが、貴官らがここにいる意味はなくなったと愚考する次第だ。あの新型を追いかけるなら我々も引き留めはしない。サーペントテールにも道を開けさせよう」

 

 

 しかしクルーゼもただでは引かぬとばかりに仮面の下から鋭くカガリをねめつける。

 

 

「今ここであなた方の戦力を排除し、力づくにでも調査すると言ったら?」

 

 

「これは独り言なのだが……」

 

 

仮面の男の強迫じみた物言いにそらとぼけた口調でカガリは呟く。

 

 

「連合が持ち込んだMA(モビルアーマー)の残骸に交じって用途が不明な代物があるのだ。遺憾ながら我が国では有効利用の方法がないので廃棄するしかないのだが、それを誰が持って行っても我らは知らぬ存ぜぬと言ったところだな」

 

 

 

「……成るほど、では宇宙進出の先駆けたる我らコーディネイターは寛容の精神を以てオーブの不始末を片付けるとしましょう。アスラン・ザラ 、イザーク・ジュール!オーブ軍のゴミを回収するぞ」

 

 

 クルーゼの命令に若い二人は意識を引き戻され、すぐにMS(モビルスーツ)ハンガーへと向かった。

 

 

程なくヘリオポリスの宇宙港からおよそ二機分のMS(モビルスーツ)の手足と胴体がバラバラになったものが放り捨てられ、それを余さず回収したヴェサリウス以下三隻の艦隊は仮称:足つき(アークエンジェル)の追跡に乗り出すのだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

「これにて依頼は完了した。この受領したMS(モビルスーツ)は」

 

 

「ああ、約束通りブルーフレームはもって行って構わない。予備パーツが欲しかったらこちらに連絡してくれ。叢雲劾ほどの傭兵が使ってくれればオーブのMS(モビルスーツ)にも箔が付くってものさ」

 

 

「……現金分の報酬は指定の口座に頼む。また機会があれば依頼に応じよう」

 

 

 サーペントテールとのデブリーフィングが終わった瞬間ハァ、と息をつき、カガリ・ユラ・アスハは指令室のコンソールに突っ伏した。Z.A.F.T(ザフト)のトップエースのプレッシャーは画面越しであっても健在であった。仮にあの場で彼が部隊をなりふり構わず暴れさせていたら予め護衛を依頼し、MS(モビルスーツ)アストレイブルーフレームを受領した叢雲劾か、秘蔵のゴールドフレームに後ろで自分を値踏みしていた青年に乗ってもらうことでしか対処できなかっただろう。結果としては事前にオボロや側近たちと想定した通りといってよかったが、彼らが引き下がるまでヘリオポリス市民の命はカガリの双肩にかかっていたのである。

 

 

 

「何とか及第点、といったところだな、カガリ・ユラ・アスハ閣下」

 

 

 

「そりゃどうも、ロンド・ギナ・サハク一佐」

 

 

少女は姿勢をそのまま右手をひらひらと振ってこたえた。

 

 

 

 「しかし折角連合からGAT-X計画の機体をせしめたというのにデュエル(GAT-X102デュエル)はともかくイージス(GAT-X303イージス)まで放出するとはな」

 

 

 「デュエル(GAT-X102デュエル)は計画初期の機体だからもう連合内でも具体的な生産計画まで出来上がってる。そうなれば遅かれ早かれアクタイオンインダストリーあたりから設計図は漏れる。イージス(GAT-X303イージス)はどう考えてもあんな無茶苦茶な変形機構は現状オーブでは使いこなせない。解析だけは済ませたけどもう少しコンセプトを洗練させないといけないからこれも放出していい。両方ともPS装甲回りの機能はオミットして解析しにくくしてあるし何より出し惜しみして万が一のことがあったら後悔してもしきれないからな」

 

 

 「なるほどな。そこまで考えているならとやかくは言うまい」

 

 

ギナは一先ずはその答えに納得し、その場を去った。ようやく本当の意味で緊張から解放されたカガリは今頃デブリベルトでMS(モビルスーツ)の慣熟訓練を行っているだろうオボロたちはどうしているかと思いを馳せるのだった。

 

 

 

 




追記 誤字報告ありがとうございます。 深夜テンションで書くとミスしますね。
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