ガンダムSEED オーブ連合首長国強化パッチ 作:sunplane
C.E71 1月25日 ヘリオポリス
「遅かったか!」
ラウ・ル・クルーゼ は目の前を飛んでいく白亜の新型戦艦‐アークエンジェルを見やりそう言った。
この
しかし評議会を説得する手間を惜しんでまで強行してみればオーブに察知されたためか、既に目標としていたものは一足早く脱出の途についていた。オーブの宇宙港周辺には人員を運んでいたのだろう、連合のドレイク級宇宙護衛艦が遊弋しており、おまけにアークエンジェルが去った進路上には名うての傭兵部隊‐サーペントテールと思しきエンブレムを付けた新型
「クルーゼ隊長、いかがいたしますか」
「当然あの新型戦艦を追う、と言いたいところだが、その前にこの状況を切り抜けねばな」
ヴェサリウス艦長アデスの問いに彼は僅かに逡巡する。多数の迎撃装置と
その時、ヘリオポリスの管制塔から
「オーブ軍からの通信です!」
「繋げ」
モニターに映し出されたのは金髪の少女であった。本来ならこのような場面には不相応の見た目であったが、若さに似合わぬ風格が将官を示す軍服によく似あっている。その後ろには背の高い中性的な美貌の青年が控えていた。
「私はオーブ軍将軍、カガリ・ユラ・アスハだ。
「
何食わぬ顔でクルーゼは言ってのけたが、彼自身も極論、というかもはや暴論を吹っかけているという自覚はあった。元より国防委員長パトリック・ザラの懐刀として名高いクルーゼの独断専行ならば成果さえ出せば本国の評議会には黙認されるという計算であったが、その前提が狂ってしまった以上オーブの警告を無視してヘリオポリスに攻撃を仕掛けるわけにはいかない。
対するカガリの返答もそれがいわゆるハイボール戦術であることをわかっていたのか、冷静に返答する。
「我々の中立はあくまでプラントと理事国の戦闘行為に介入しないことを示すものであって、当該国と自国の間での経済活動や技術交換を妨げるものではない。当然独立運動を行っている
「それは詭弁であろう!現に連合軍の護衛艦がいる以上、最早オーブは連合に組したと見做すのは当然だ」
「これは異なことを。その艦艇はあくまでここヘリオポリスにデブリやスクラップを運ぶためのものだ。どうしてもお疑いなら臨検でも何でもされるが良い。我々は中立国だからな。
彼女の堂々とした物言いをヴェサリウスのクルーやパイロットたちはじっと伺っていた。何か隙はないか、譲歩させる余地はないか、と思考をめぐらす。中でもザフトレッドであり、評議会議員を親に持つクルーゼ隊の若者たちは食い入るように見つめる。カガリはナチュラルであり、彼らはコーディネイターであるという違いはあるものの、自分たちもそう遠くないうちに同様の立場に立つのだ。
(何故だ?そんなはずはないのに、俺は何故彼女を見てキラを思い出しているんだ?)
ひとりアスラン・ザラだけが脳内に疑問符を浮かべていた。
(……アークエンジェルは月へと進路を取った。もう
(分かった。ギナ、後は手筈通りに)
お手並み拝見とばかりに後ろに控えていた青年とカガリがアイコンタクトを取り、ザフトに呼びかける。
「……さて、
しかしクルーゼもただでは引かぬとばかりに仮面の下から鋭くカガリをねめつける。
「今ここであなた方の戦力を排除し、力づくにでも調査すると言ったら?」
「これは独り言なのだが……」
仮面の男の強迫じみた物言いにそらとぼけた口調でカガリは呟く。
「連合が持ち込んだ
「……成るほど、では宇宙進出の先駆けたる我らコーディネイターは寛容の精神を以てオーブの不始末を片付けるとしましょう。アスラン・ザラ 、イザーク・ジュール!オーブ軍のゴミを回収するぞ」
クルーゼの命令に若い二人は意識を引き戻され、すぐに
程なくヘリオポリスの宇宙港からおよそ二機分の
***
「これにて依頼は完了した。この受領した
「ああ、約束通りブルーフレームはもって行って構わない。予備パーツが欲しかったらこちらに連絡してくれ。叢雲劾ほどの傭兵が使ってくれればオーブの
「……現金分の報酬は指定の口座に頼む。また機会があれば依頼に応じよう」
サーペントテールとのデブリーフィングが終わった瞬間ハァ、と息をつき、カガリ・ユラ・アスハは指令室のコンソールに突っ伏した。
「何とか及第点、といったところだな、カガリ・ユラ・アスハ閣下」
「そりゃどうも、ロンド・ギナ・サハク一佐」
少女は姿勢をそのまま右手をひらひらと振ってこたえた。
「しかし折角連合からGAT-X計画の機体をせしめたというのに
「
「なるほどな。そこまで考えているならとやかくは言うまい」
ギナは一先ずはその答えに納得し、その場を去った。ようやく本当の意味で緊張から解放されたカガリは今頃デブリベルトで
追記 誤字報告ありがとうございます。 深夜テンションで書くとミスしますね。