ガンダムSEED オーブ連合首長国強化パッチ 作:sunplane
C.E71 1月26日 アークエンジェル艦橋
ムウ・ラ・フラガはやっと人心地ついたという表情で、もう一人のパイロットを伴い艦橋に上がってきた。
ヘリオポリスまで新型
「しっかし、オーブの公女様からいきなり“燃料その他諸々融通してやるから持てる荷物だけ持ってさっさと出ていけ”とはね。可憐な見た目に反してなかなか言ってくれたじゃないの。オーブもおとなしいだけの国じゃない、てことだ」
「しかしこの結果は我々にとっても正解だったと言えるでしょう。かの有名なクルーゼ隊を一歩出し抜くことにもつながりましたしね。傍受した通信を聞く限り、最悪ヘリオポリスに強襲を仕掛けた可能性は否定できません」
何やら思案していたもう一人のパイロット、ジャン・キャリーはそう返す。ある意味戦闘が始まるまでは気楽なパイロット達とは逆に、ブリッジクルーの筆頭たる艦長席に座る妙齢の女性士官は愚痴を言う。
「でもそのせいで技術士官の私が急遽艦長代理になっちゃったわ。予定してた
彼女の美貌では悩める様子も絵になるからか、急造の指揮官であることが周囲にも理解されているからか、その座に相応しからぬ言動にもそこまで眉をしかめる者はいない。が、その分若くして軍人らしく振る舞う副長が現状の理解を艦長たるマリューラミアスに促す。
「過ぎたことを気にしても仕方ありません。目下我らの目標は月のプトレマイオス基地、そしてゆくゆくはアラスカの連合軍本部JOSH-Aへ現存する“G兵器”およびアークエンジェルを運ぶこと。その過程で予想されるクルーゼ隊の追跡を振り切ることです。幸い物資に余裕はありますからアルテミス要塞へ支援を求める必要もなし。近傍を通る際にうまく追跡者が食いつけば足止めとして利用できるやもしれません」
副長ナタル・バジルールの発言にムウ・ラ・フラガはひゅうと口笛を吹いた。
「あのガルシア少将の事だ。目前に
「いずれにせよ戦闘は避けられないでしょう。
「いや、ここで急な機種転換は命取りになりそうだ。プトレマイオスにつくまではなるべく
「それは願ってもないことですが……。艦長はそれでよろしいので?」
「そうねえ。出来ればナチュラルであるフラガ大尉の実践データも欲しいところだけど、背に腹は代えられないわ。キャリー少尉がモルゲンレーテから受け取ったOSは私でもそこそこ動かせた位だから、あのプログラムが完成したら連合も本格的に
「戦力を早急に揃えねばならぬ以上致し方ありませんが、オーブに
「そうかっかしなさんな副長さんよ。今回もあちらさんはギリギリまで俺たちに便宜を図ってくれたんだろ。向こうも連邦と事を構える気はないと思うぜ」
それはそうですが、というナタルの呟きとともに索敵に移ったブリッジクルーたちを横目に、一人ジャンはヘリオポリスで出会ったオーブ軍人の言葉を思い返していた。
(“いずれ連合軍内で居場所を無くしたコーディネイターがいれば、オーブは快く受け入れるでしょう”か、
***
C.E71 1月28日デブリベルト ユニウスセブン付近 オーブ軍 イズモ級宇宙戦艦 クサナギ
「
「僕の休暇は方々との折衝でおじゃんになりましたがね、ソガ艦長」
「君がそれだけ信頼されているということだ」
(え、ヘリオポリスはそんなギリギリの状況だったの!?)
ヘリオポリスの無事を伝える連絡を読み上げるソガ艦長に、
「
「相対速度ユニウスセブン居住区に合わせ、気密シャッター遮蔽完了、進路クリア、《アストレイ》、発進を許可します」
「了解、オボロ・ホズ・アワギ《アストレイレッドフレーム》1号発進する」
人類が作り出した宇宙の揺り篭は同じく人類によって破壊され、今は母なる地球と手をつないでダンスを踊っている、などと世捨て人は嘯くだろうか。若き軍人は感傷に浸る暇もなく、かつて両親が運命を共にしたコロニーの調査に来ていた。
「改めて今回の我らの行動目標を説明する。一つ、新型
「了解!監視ユニットを投下します。パイロットはコンテナを回収後、所定の場所に設置してください。キラ・ヤマト特務准尉以下制御チームは稼働状況観測、機体制御に異常があればすぐに報告願います」
「りょ、了解です!」
不慣れな様子のキラを他所に、《アストレイ》は活動を開始した。今回彼らの直接の目的は
ユニウスセブンとその付近のデブリは巡洋艦程度の艦艇を潜ませるのには絶好のスペースとなり得、また水資源なども凍り付いてはいるものの残っている。これを放置すれば遠からずならず者に目を付けられると判断し、オーブはこの付近の掃海作戦を行うことを内外に発表していた。そこに機体試験と、非公式使節との接触が加わったのは多分に偶然と上層部の機会主義の賜物であった。
「行動開始から2時間を経過しました。パイロットは状況報告願います」
「……こちらアワギ。プログラムは問題なく作動。推進ユニット、センサー異常なし」
オペレーターの声に応答するオボロの声には通信障害だけではない隠しきれない震えがあった。焼き尽くされた遺体から感じる無言の叫び、凍てついた人工の大地、未だ当時の形を保った調度品。核兵器によって砕かれた瞬間がそのまま宇宙に残されている。
「アワギ二尉、済まないがもうしばらく作業を頼む。予想よりも作業が順調故、ミストラル改部隊は次のミッションに回したい。
「了解。ただ艦長、アルテミス要塞のガルシアの動きが気になります。何でも私掠船のごとき行いを部下たちにさせているとか」
「ないとは思いたいが、万が一我らの動向を見張ろうとしていれば厄介なことにはなるな。警戒を密に……、ん?何の光だ」
「識別信号確認!あれは、使節団の船です。何者かに追われています。追手の機体画像出ます!」
ブリッジの画面に映し出された鋼鉄の巨人の頭部は奇しくも《アストレイ》に、否もっと直接的にGAT-X計画の
「なんだと!」
「
「そんな。あれは、ガンダム……!!」
思わず立ち上がったキラ・ヤマト。この日、彼は自らの宿命と運命に出会った。
ご覧いただきありがとうございます。所でオリ主このままだと最終決戦でMIAになりそうです。