名前を無くした、天権の懐刀   作:久遠とわ

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夜蘭のシーン、また前半『_璃月の未来を救いましょう…!!』の続きです。

前半の『_璃月の未来を救いましょう…!!』をまだ未読であれば、まずはこちらを既読してから読んでください。
(今回は直前で分割して投降する事としました。その理由も前半の前書きにありますので、まずは一度そちらをご確認ください。)






_遂に“天権”は決断をしたわ

 

「___えぇ、ありがとうね皆。さてと、それじゃあそろそろ始めましょうか」

 

「はい、そうですね。夜蘭様。まずは私から報告を行わせて頂きます」

 

夜蘭はその場で集まった者達にそう告げると、今度は千岩軍の兵士の格好をした者が一歩前に出る。

 

「えぇ、お願い。先日に起きた例の“玉京台の異変の件”、あの件はどうだったのかしら?」

 

「そうだよな、あんなピンポイントで警備体制に穴が空くなんて普通はありえんからな」

 

「あぁ、そうだ。しかも狙ったかのように、あの“玉衡様の帰宅ルート上を警備していた千岩軍の兵士”を狙うかのように起きたからな」

 

夜蘭がそう尋ね、またその場にいた者達は口々に、先日に起きた“玉京台での異変”について語る。

 

 

 

「___はっ、それではその件の調査結果を申し上げます。結論から申し上げますと、当日の夜の巡回に限りまして定例の巡回計画から別の物に変更されていたようです」

 

「巡回計画が変更されたですって…?」

 

「はい、夜蘭様。通常であれば、警備の為の千岩軍の巡回が玉京台の至る所で行われているのが普通であるのですが、その日の夜、『丁度玉衡の刻晴様と秘書の甘雨様が月海亭を発つ三十分ほど前に玉京台地区の千岩軍の警備中隊にトラブルが発生し、そしてその結果、玉衡の刻晴様達が発ったタイミングで千岩軍の警備中隊の警備体制に穴が空くという事象』が発生したとの事です」

 

「ふーん、トラブル…。へぇ……」

 

夜蘭は不快そうに眉間に僅かに眉をひそめながら、その千岩軍の兵士の格好をした者にそう言い放つ。

 

 

 

「トラブルだと…?」

 

「そんな偶然が、起こる物なのか……?」

 

「確かに偶然にしては出来すぎな話だな……」

 

そしてその話を聞いた者達は様々な反応を示す。

 

 

 

「……それで?そのトラブルとやらの詳細は何なのかしら?」

 

そうして夜蘭は、どこか興味深そうな表情を浮かべながら話の続きをその者に促す。

 

「はっ、夜蘭様。トラブルの内容ですが…。どうやら『巡回予定時刻直前にて玉京台の見回りを行う予定であった千岩軍の警備兵である兵士達数人が猛烈な腹痛を訴え、またその内の一人が意識が朦朧とする程の発熱を起こしてしまい、そのまま他の兵士達に抱えられる形で千岩軍の詰所まで運び込まれた騒ぎによる混乱によるもの』でした」

 

「へぇ、そんな事が起きていたの…?ふふっ、面白いわね……。続けなさい」

 

そしてその男の言葉を聞いた夜蘭は鋭い眼差しで、その男にそう命じる。

 

 

 

「はっ、そして交代間際で急遽人員が足りなくなってしまった千岩軍、『当日の同時間帯を担当していた玉京台地区第3警備中隊の隊長が自らの手でその場で計画を立て直し、そうしてそのままその警備隊の中隊長が自らの隊員らに巡回ルート等の指定やそれぞれの兵士達に直接指示を行うと同時に、即席で臨時の警備体制を敷いていった』ようなのです」

 

「ふーん……。なるほどねぇ……」

 

そうしてその者の報告に、夜蘭は興味深そうにふむと頷きながらそう呟く。

 

「成程、そういう経緯か…。だがしかし……」

 

「腹痛…?それに意識が朦朧とする程の発熱だと……?」

 

「まさかだとは思うが…、その者達は“毒”でも盛られたのか……?」

 

「だとしたら、その千岩軍の警備体制に穴を空けた奴らはおそらく……」

 

夜蘭が報告を聞いている間も、その場の者達は様々な考察を立てる。

 

 

 

「へぇ、それで玉京台における千岩軍の警備兵達による巡回警備体制が…。“特にその臨時の警備体制を直接敷かれたせいで警備体制の穴が、特に玉衡の屋敷周辺の巡回警備体制や玉衡の帰宅ルート周辺に幾つかの警備体制の穴が出来上がってしまった”と……。ふ~ん」

 

そうして夜蘭はそう呟くと、意味深げな笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

___その警備中隊の中隊長、その者は“黒”と見ていいかもしれないわね。その者のその行動がそれの証拠よ。いくらなんでも不自然すぎるわ。それに、他にも方法はあった筈でしょ?

 

___はい、“その者”は反刻晴派を隠れ身としている“強硬派”の人間で間違いはないかと。それに夜蘭様の仰る通り、例えば同地区の他の警備中隊に緊急で応援を要請すると言った方法だって取れたはずです。それらをしなかった時点で、ほぼ確実にそう言う事であるかと

 

そして夜蘭は鋭い眼差しを向けながらそう言うと、その千岩軍の兵士に扮していた者は同じく鋭い眼差しでそう断言する。

 

 

 

「…えぇ、分かったわ。ならその中隊長は要警戒監視対象名簿に入れておくわ。…引継ぎ監視と対応、“反刻晴派”達、またその中に紛れている“彼ら”の監視と処置、これをお願いね?」

 

そして夜蘭はその千岩軍の兵士に扮していた者にそう命令する。

 

「了解しました、夜蘭様。引継ぎ我らは反刻晴派の監視を続行、刻晴様の身に関わるあらゆる直接的、間接的な不審な動きや挙動を一切見逃さず、発見次第に抑止対応や抑制対応を行って参ります」

 

そうしてその千岩軍の兵士に扮していた者は夜蘭にそう言うと敬礼を行う。そうして敬礼を終えると、その場から一歩下がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___さてと、それでは『例の件』。以前に私が『遺瓏埠(いろうふ)にて調査を行った件』、そうして貴方達に引き継がせた『遺瓏埠会合』の件の調査。特にあの男、『“御曹司”と呼ばれる男が関わる会合に参加していた“外国人達”に関する調査』は、どうなっているのかしら?」

 

「___はい。それについてですが……」

 

そうして夜蘭は黒と青の装束の男達に視線を向けると同時に、夜蘭のその問いに答える為にその男達の一人が一歩前に出て夜蘭に報告する。

 

 

 

「…申し訳ありません。実は調査が難航してしまい、その“遺瓏埠会合”に参加していた者達に関する情報の収集が思うように進まず有力な情報をほとんど入手する事はできませんでした」

 

「あら、そうなの?それは困ったわね……」

 

そう報告をする男に対し、夜蘭は特に驚いた様子もなく淡々とした口調でそう呟く。

 

 

 

「……でも‘ほとんど’という事は、“有力ではないにしろ何かしらの情報は入手する事ができた”のよね?」

 

そして夜蘭はどこか意味深げな笑みを浮かべながら、その者にそう尋ねる。

 

 

 

「はっ、夜蘭様。夜蘭様の仰る通り、有力でも確定的でもない情報ではありますが、会合に参加していた“とある一人の外国人”“とあるモンド人”に関するやや有意的な情報が手に入りましたので、報告をさせて頂きます」

 

「ふふっ、そう。なら聞かせて頂戴?」

 

そうして夜蘭は鋭い眼差しでその者を見つめ、そう命令する。

 

 

 

「はっ、夜蘭様。それではその“モンド人”に関してですが、現地の遺瓏埠に残されていました情報、また可能な限りその男の足取りを追う形でそのモンド人についての調査を徹底的に行いました。そしてその調査の結果……」

 

そうして夜蘭に命じられるがままに報告をする者は一呼吸置き……。

 

「その者の正体、会合に参加する際は仮名を使い、また念入りに幾つもの偽名までもを使っていたその男の本当の名前は“アシュレイ”と言う名の男、真名“アシュレイ・ローレンス”という名前の男である可能性が高いと判明しました」

 

“アシュレイ・ローレンス”…?」

 

夜蘭は僅かに眉をひそめ、そうして何か深く考え事でもするかのように顎に手を当て、考えるような仕草を見せる。

 

「アシュレイ・ローレンス…“ローレンス”だと?」

 

「“ローレンス”…?ローレンスって、確か“モンドの旧貴族”ではなかったか…?」

 

「…モンドの歴史はよく分からないが、だが確かモンド人達はローレンス家の事を酷く嫌い、そうして非常に恐れていると聞いた事があるぞ」

 

「……ローレンス家、か。思った以上に事態は複雑かもしれないな」

 

そして黒と青の装束を纏ったその者の報告を聞いたその場にいた者達は、それぞれ様々な反応を示し始める。

 

「へぇ…、ローレンスねぇ……。因みに他に面白い情報はあるかしら?」

 

夜蘭は僅かに目を細めながら、そうしてその者に向けてそう尋ねる。

 

「はっ、そしてその男のファミリーネームがローレンスでしたのでローレンス家に関する情報の調査を行いました…。そしてそのローレンスについて調査を進めていく内に“とある女性”、驚くような経歴を持つローレンス家の女性を発見したのですが……」

 

その者はそこで躊躇うかのような仕草を見せると、何か思案をするかのような表情になる。

 

 

 

「……どうしたの?何をそんなに躊躇う事があるのかしら?」

 

夜蘭はそんなその者の態度を不審に思い、そう尋ねる。

 

 

 

「はっ、申し訳ありません。夜蘭様。まだまだ情報収集不足、また情報の検証等が不足しているため集まった情報の事実だけを述べさせていただきますが…、“彼女”の名前は“エウルア”、本名“エウルア・ローレンス”という名の女性であり、“西風騎士団の遊撃隊の隊長を務めている現役の女性騎士”である事が判明しました」

 

「なっ…!?西風騎士団に所属だと……!?」

 

「あの男の会合に参加していた男のファミリーネームを持つ人間が騎士団に所属しているだと…!?しかも、た、隊長だと……!?」

 

「まさかだとは思うが…、西風騎士団は既に裏から操られているなんて事はないだろうな……!?」

 

「由々しき事態ではないか…!?それは……!?最悪モンドが乗っ取られている事を考えたら…、もうモンドは璃月の仮想敵国に指定したほうがいいのではないか……!?」

 

その者の報告を受けたその場の者達は、一斉に騒ぎ始める。

 

 

 

 

 

「___ふふっ、面白いわ…。貴方達、落ち着きなさい」

 

そうしてそして夜蘭は騒ぎ立てるその者達に向けてそう告げる。

 

「はっ、申し訳ありません……!!」

 

「申し訳ありません、夜蘭様…!!」

 

そうしてその者達は一斉に夜蘭に向かってそう謝罪をする。

 

「ふふっ、いいのよ別に」

 

夜蘭はそんなその者達に笑みを浮かべると、それから再び視線をその者へと向ける。

 

 

 

 

 

「___それで、一つ聞きたいのだけれどいいかしら?」

 

「はっ、夜蘭様。何でしょう……?」

 

そして夜蘭は鋭い眼差しでその者を見据えると、こう尋ねる。

 

「___その西風騎士団に所属しているアシュレイと同じファミリーネームを持つ“エウルア”、彼女は“アシュレイ”と同じように偽名を使って西風騎士団で活動しているのかしら?それとも本名で西風騎士団に所属しているのかしら?」

 

「はっ、それに関しては彼女は“本名”で西風騎士団に所属していると確認がとれています」

 

「そう…。ふふっ、成る程ね……。ならば取り合えず“最悪な事態は避けられている”と言っていいわね」

 

夜蘭がどこか意味深げな笑みを浮かべながらそう呟く。

 

 

 

「…成程、そう言う事ですか」

 

「…夜蘭様、確かにそう言う事でしたら最悪な事態だけは避けられていますね」

 

そうして夜蘭の呟きを聞いていたその者達は、皆どこか納得したような表情を浮かべる。

 

 

 

 

エウルアという西風騎士団に所属しているローレンス家の女性。彼女が偽名ではなく本名で活動を行っているという事は、少なくとも西風騎士団やモンド人達に自らの事、自らの正体をうそぶく意図はなく、モンド人達から嫌われ恐れられているローレンス家の人間である事を堂々と名乗っているという事になる。

 

 

つまり純粋に彼女は自らの身分を噓偽りなく明かしているという事は、少なくとも西風騎士団に潜入して暗躍をするという意志は無いと見ていい。

 

 

故にエウルアが、自身の身分を噓偽りなく明かしているというのであれば、現状での最悪の事態は回避されていると夜蘭は断定する。

 

 

もしもエウルアがその“アシュレイ”と同じように偽名等を使って身分の詐称を行っていれば、それは即ちローレンス家の人間がローレンス家のスパイとして西風騎士団に潜入して紛れ込み、そうして騎士団相手に工作活動を行っている可能性があるという事になる。

 

 

そうなれば彼らはそれぞれモンドの表側は“エウルア”という女性が、モンドの裏側は“アシュレイ”という男性がそれぞれの方面からモンドの侵食を行っているという事になり、最悪モンドはローレンス家に掌握されつつあるという事態も考えられる。

 

 

だが現状でのエウルアが、偽名等を使って身分の詐称はしていない。

 

 

そうであれば少なくとも現時点ではエウルアがローレンス家の人間のスパイとして紛れ込んでいる可能性は極めて低く、それと同時に少なくとも“エウルア”という女性は、“アシュレイ”という男性のように“御曹司”と呼ばれる男や“彼ら”に協力はしているという可能性は極めて低く、西風騎士団の“エウルア”個人は何らかの形で協力関係には無いという事は、この時点で確定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、でも意外とこの状況は悪くないかもしれないわねね…?もしも実際に“ローレンス家の者”であると確定した場合…、未だに璃月の裏社会やそこに属する者達から思うように有力な情報や有用な情報を得られないというのならば、『“御曹司”や“彼ら”に協力しているとみられる“ローレンス”というモンドの外国勢力、“エウルア”を通じて“アシュレイ”という男の拘束を行い、そうして彼が手にしているルートから“御曹司”や“璃月裏社会のトップの彼ら達”に接近を試みてみるという方法』…。この方法も、案外悪い方法では無いのかもしれないわね……?」

 

そして夜蘭は、“ローレンス”というその勢力に期待を寄せる。

 

 

 

長い間追いかけてきた“‘御曹司’の先にいる者達”

 

 

 

 

 

 

 

璃月の裏社会の頂点に立つと言われている者達であり、そうしてテイワット中の宝盗団等の一部の団員達や各国の裏社会や暗部に属する一派達と契約を結び、そうして奪取した宝物や価値の高い物から各国の違法な物。

 

また違法な‘武器兵器市場’としての一面から、例えば名高い“フォンテーヌ製の武器や兵器”ですらをも取り揃え、また‘人身売買市場’の側面すらを持っているとされている事から、例えば“感染を恐れて捨てられたり身投げさせられたり、場合によっては拉致や誘拐などされた不治の病を患っているスメール人達の身柄”でさえも売買されていると噂されている彼らの“秘密市場”。

 

璃月港か璃月港の郊外のどこかにあると囁かれているテイワット最大規模“ブラックマーケット”、もしくは“裏市場”や“闇市場”を経営、運営していると囁かれている彼ら、‘璃月の裏社会の頂点に立つと言われている謎の人物達’。

 

 

 

 

 

「…ふふっ」

 

夜蘭は笑みを浮かべる。

 

 

 

夜蘭達でさえ辿り着けていない彼ら、璃月の裏社会を牛耳り、そうして璃月はおろか彼らが所有しているブラックマーケットの巨大な流通網関係や、強大に構築された彼らの闇ルートのネットワーク関連で璃月周辺国であるモンドやフォンテーヌ、またスメールや稲妻の裏社会や闇の住民達、またそれぞれ各国の暗部の人間達にすら影響を与えてしまっている人物達。

 

 

 

 

 

___未だに姿を捉える事すら叶わない璃月裏社会のトップ達。

 

 

 

 

 

 

 

___彼らに手が届く手掛かりが、ようやく掴めるかもしれない。

 

そう夜蘭は期待するのであった。

 

 

 

 

 

「はい。確かに現状でエウルアと同じファミリーネームを持つアシュレイと呼ばれるローレンス家の者が、御曹司と何らかの協力関係を結んでいる事は明らかです。上手く行けば御曹司の先にいる“あの者達”の元に辿り着けられるかもしれません」

 

「そうですね、夜蘭様。ようやく“彼ら”に繋がる手掛かり、また彼らの本拠地とも言える彼らが所有している璃月港や璃月港郊外、もしくは璃月のどこかにある筈のブラックマーケット、裏市場や闇市場の実態を掴む足がかりや橋頭堡が手に入れられます。これで…!」

 

「これでようやく報われます…!!浮かばれます……!!」

 

「長い間探し続けて追いかけ続け、そうして“彼ら”の罠に嵌って命を落とし、また彼らが放った刺客達によって命を散らしてきた仲間達が報われます……!」

 

そうして他の者達も皆、夜蘭のその言葉に同意する。

 

「ふふっ、そうね…。時期が来たら、私はその“エウルア”という女性と接触、コンタクトを取らなければいけない時が来るかもしれないわね…。モンドの情勢に介入する必要性が出たら特に……。ふふっ、報告、ありがとう。もう下がっていいわよ」

 

「はっ、夜蘭様」

 

そして報告をしていたその者は、夜蘭にそう一礼するとその場から下がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___ふふっ、それじゃあ最後は私から一ついいかしら?」

 

そして夜蘭はその場に残った者達にそう問いかける。

 

「はっ、夜蘭様、何なりと」

 

「どうぞ、夜蘭様」

 

「ふふっ、ありがとうね」

 

するとその場に残った者達は皆一様にそう返し、そう返された夜蘭は笑みを浮かべながら一歩また一歩と前に出る。

 

 

 

「…さてと、最後に私から一つ報告させて頂くわ」

 

前に出て、そうして集まった者達の前で足を止めて、彼ら全員を見つめるように振り返る夜蘭。

 

 

 

 

 

「簡潔に言うわ…。以前に貴方達に話した“例の件”についてなのだけれど…」

 

夜蘭はそう前置きをすると、それからこう告げる。

 

 

 

___今日、遂に“天権”は決断をしたわ

 

「そ、それは…!?」

 

「つ、遂にですか…!?」

 

そうして夜蘭の言葉に、その場にいた者達は動揺を隠せず驚愕する。

 

 

 

「いよいよ、今のこの状況に終止符を打つ時が来ましたか…!!」

 

「遂にこの時がやってくるとは…!!覚悟はしていましたが…!!」

 

「長かった…!!夜蘭様、そして夜蘭様を通じて天権、凝光様の命令に従って長い日々を過ごし、そうしてようやくこの日を迎える時が来るなんて……!!」

 

「まさか、本当に凝光様が『‘例の作戦計画’に対する“発令”を下す』とは…!!我々はこの時をずっと待ちわびてました……!!」

 

「ようやく玉衡様に危害を加えんと動いていた輩を…!!彼女を嵌めようとしていた輩を……!!」

 

そうしてその場にいた者達は驚愕し、そうしてその身を震わせながらそう言葉を溢す。

 

「えぇ、そうね…。ただまぁ、当初の作戦計画からかなり変更、追加修正は入っちゃったけどね」

 

夜蘭はそんな彼らに対して小さく笑みを浮かべながらそう言う。

 

「そうなのですか、夜蘭様…。いや、でも……!!」

 

「それでも構いません。どのみち我々はこの時をずっと待っていました…!!」

 

「この璃月で暗躍し、そうして玉衡様を貶める事で虎視眈々と機会を窺っていた不埒者達を排除する、その時を……!!」

 

「夜蘭様!!それよりも作戦計画の変更点、追加修正点に関して詳しくお聞かせください!!」

 

そして夜蘭のその言葉に、その場にいた者達は興奮を隠せない様子でそう尋ねる。

 

「えぇ、勿論よ。じゃあまずは簡単に今回の作戦計画の変更点、追加修正点に関して説明するわ。まず本作戦の最大の変更点である追加修正点ね…」

 

夜蘭はそう言うと、僅かに視線を鋭くさせる。

 

 

 

「本作戦は元々『“遺瓏埠”や“遺瓏埠近郊”を作戦区域に指定し、そこで“御曹司”や未だに姿を捉えられない“彼ら”に関する大規模な情報収集活動や、その遺瓏埠に点在している彼らやその遺瓏埠の裏社会に属する者達が所有していると思われる施設内の潜入を敢行して有力な情報を手に入れたり、反刻晴派達の裏で暗躍している“過激派”に堕ちた者達や“強硬派”や“急進派”に染まった者達、反刻晴派の裏にいる彼らを璃月裏社会の彼らが間接的に操ったり、巧みに自らの意に沿うように誘導を行っていく事で国家転覆騒ぎとも言える程の非常事態を、この璃月の各所で引き起こそうとしていたという証拠を押さえる』といった流れになっていた…。けれど今の情勢や更に集まった情報を鑑みるに、仮に成功してもそれだけの結果では成果は不十分であると判断、そして元の作戦を発展させた新たな作戦計画をの策定を行ったわ……。そうして策定された新たな作戦計画………」

 

夜蘭はそこまで言うと、先ほどまでの笑みを完全に潜めて彼女の話を聞く彼らを見つめる。

 

 

 

 

 

「___それはそれなりな長期戦を想定されたもの…。そして第一段階と第二段階に分けられるもの…。まず始めに作戦計画の第一段階について。『本作戦計画の第一段階は、まず従来通りに各員が“遺瓏埠”や“遺瓏埠近郊”にて情報収集、諜報活動や潜入活動を実行。そうしてその後の最後に更なる追加行動として、事前に目星を付けていた彼らの施設、また新たに発見した施設群にて騒ぎを引き起こさせる為に、それらの施設に対し___

 

 

 

そうして彼女は真剣な表情で『天権が決断し、そして発令を下した‘とある極秘作戦計画’』の概要、それを彼らに告げていくのであった。

 

 

 

 

 




それでは次回からようやく後編、改め第6幕です。



またそうして補足説明としての“とある図表”、“璃月情勢図”は下記にあるそれとなります。


本幕の第5幕が終了し、いよいよ第6幕に入っていく事になりますが事態や状況が複雑になってきたため、作者的には一度これらの状況を整理する必要があるかと考えました。

そこで今回のその図表は今までの甘雨、夜蘭のシーンを中心に明らかになったものを大雑把に簡単にではありますがそれらを纏めた図表であり、これで今の現時点の刻晴を取り巻く環境、月海亭や七星八門内の認刻晴派と反刻晴派の構造、また夜蘭のシーンで出てきていた璃月裏社会の構造等も補足した今の璃月を取り巻いている状況や事態を整理して、可視化した図表となります。
(但し“璃月情勢図”とある通り、夜蘭の璃月裏社会関連のシーンにて『フォンテーヌから密輸された拳銃関連』や、『“遺瓏埠会合”にて明らかになった‘アシュレイ・ローレンス’と言う名のモンド人関連』と言った話等は、璃月の枠組みを越えた外国勢力の話となるため除外とします。)


【挿絵表示】


なお図表の水色の線と赤色の線の意味になりますが、それらは以下の通りになります。

・水色:刻晴の味方勢力、もしくは甘雨や夜蘭と言った刻晴の味方キャラによる行動で、刻晴を直接的もしくは間接的に守ろうとする活動の意味。

・赤色:刻晴の敵対勢力による行動で、刻晴を直接的もしくは間接的に害を与えようとする活動の意味。


また夜蘭と夜蘭の配下に関してですが、それぞれがそれぞれの『“反刻晴派”、並びに“過激派・強硬派・急進派”への監視・活動妨害』、『“刻晴”の秘密警護』、『“璃月裏社会”に対する情報収集・活動阻害』と水色線が伸びていますが、作者個人的にはこれだけでは少し説明が不足している部分があると思いましたのでここで更に説明を行います。


まず『“反刻晴派”、並びに“過激派・強硬派・急進派”への監視・活動妨害』は「夜蘭の配下達の6割程度の大半以上」が対応。

続いて『“刻晴”の秘密警護』は「夜蘭の配下達が2割」が対応。

そして『“璃月裏社会”に対する情報収集・活動阻害』は「残存する夜蘭の配下達の1割」が対応。

そうして「残った選りすぐりの精鋭達である1割の夜蘭の配下」と「夜蘭本人」は『いずれの3つの状況に応じて、それぞれに対して行動を行う遊撃隊的な立場』となっております。



以上となります。

それでは、次の投稿までしばらくお待ちください。
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