楽しみですね。
それに閑雲のムービーで出てきた幼いころのあのロリ甘雨…。
あまりにも可愛すぎて何回も見てしまいました…。
それにほぼ数秒程度でしたが剣や槍を手にし、そしてまたそれらを振るっていた甘雨のその姿…。
あれ思った以上に格好良かったですね…。
(余談ですがたぶんあれの構えや動きを見るに、時折に行秋の待機モーションで見せるであろう“古華剣法”、そしておそらく鍾離先生の通常攻撃5段目で見せる槍術であろう“岩雨”なのでしょうかね?)
本当に今年の海灯際がどうなるのかが楽しみですし、
また新エリアの沈玉の谷等も楽しみです。
Side:瞬詠
「…ほぉ」
(流石、天権。璃月の富裕層の頂点に立つ女なだけはある。こういう陶芸品や工芸品等と言った調度品に関しての知識は無いが、だがまぁ、良い品というのは確かだろうな)
瞬詠は群玉閣の廊下を歩く。そうして廊下に飾られるように置かれていた台の上に置かれている希少そうな壺や杯、絵画等を歩きながら見て回る。
瞬詠が凝光に怒りを露にし、そして凝光より彼に割り当てられた部屋、瞬詠の自室と化した群玉閣の客室の一つに引きこもっていた所に群玉閣を訪れた甘雨がやってきて、彼女と部屋の話をしてから数日が経った。
あの後の瞬詠は更に数日間の間、自室に引きこもっていたものの、甘雨が瞬詠の部屋を訪れた事により彼自身のイライラとした心が幾分か治まったのか、ようやく部屋に引きこもるのを止めて、気分転換がてらに群玉閣内を軽く散策する程度には回復した。
尚、部屋に引きこもっていた瞬詠が自ら部屋を出てきて、凝光の専属の秘書である百暁や百識、百聞達が目を見開いて驚いたのはまた別の話であり、そんな三人が安心しきったかのように、そしてようやく部屋から出てきてくれた事に安堵し、嬉しそうな笑みを浮かべているのを瞬詠は知る由もなかったのは完全なる余談である。
そして現在。
瞬詠は群玉閣内で飾られている調度品や美術品を見て回っていた。
彼は展示品の置かれた台の周りをゆっくりと歩きながら、一つ一つの物を見る。
「…いやぁ、本当に」
(これ、そうだな。まるで博物館、もしくは美術館に来たみたいな気分だな)
瞬詠は心の中で呟く。
だが、それは仕方ないのかもしれない。
瞬詠が今いる群玉閣は璃月港、璃月の中で璃月を治める岩王帝君という最高権力者に最も近い人物が所有している建築物、空中に浮遊している群玉閣という名の空中宮殿なのだから。
そして璃月の中でも最高権力者に最も近い人物である凝光という女性が公務のみならず私用でも使うような場所であり、それは即ち璃月七星のリーダー“天権”、凝光の住居、もしくは邸宅や私邸とも呼べる場所なのである。
それ故に彼女の趣味の一つ、言うなればコレクションと言う名の璃月や一部璃月のみならずテイワット諸外国の最高品質の調度品や美術品と言った骨董品の数々が、こうして所狭しと整然と並んでいるのは至極当然の事なのだ。
「…」
瞬詠はゆっくりと歩きながら、飾られている壺や杯、絵画等を見て回る。
「…あら、瞬詠。瞬詠はこういった物に興味があるのね。意外だわ」
「っ!?…ちっ」
そしてその時、気品溢れる美しい声が瞬詠の耳に届く。
瞬詠は一瞬、動揺して声が裏返りそうになるが、すぐに冷静な態度を取り戻し、声の主であるその女性の方に視線を向ける。
「…はっ、凝光さん、か。仕事はどうした?お前さん、この時間は仕事中じゃなかったのか?…お前さん、さてはサボりか?おいおい、本当に相変わらず、良い御身分…だな?」
瞬詠は一瞬だけ動揺したものの、すぐに表情を元に戻して皮肉気で、挑発的にそう言う。
「いえ、今ちょうど仕事が終わったのよ。それと私はサボっているわけではないわ。仕事は完璧にこなしているもの。いい仕事を行うには、そして最適な判断を行うためには、適切な気分転換を行う事も、大切な事…なのよ?」
だがその女性、凝光は瞬詠の皮肉気な言葉に動揺する事はなく、逆に上品で優雅な、そしてどこか威圧的な笑みを浮かべながら返す。
「はっ、そうかい…。まぁ、気分転換も大事だな。確かにそうする事で、今まで見えなかった事や気づけなかった事、新たな景色や光景というものが見えてくる事があるもんな…」
瞬詠はそう言うと興味を失ったかのように、凝光から視線を逸らす。そして散策を開始するように、凝光の真横を通り過ぎようとする。
「…瞬詠、そういう貴方は、気分転換してどうだったかしら?…新たな景色や光景が見えたかしら?」
だがその瞬間、凝光が瞬詠に向かって声をかけた。
「……さぁな」
瞬詠は凝光の真横で立ち止まり、視線だけを凝光に向ける。
「…ふぅん、そう」
そして凝光も瞳だけを動かし、瞬詠を見る。
二人の間には何とも言えない空気が立ちこめる。
「…なぁ、凝光さん」
そうして瞬詠が一歩足を踏み出して、そして凝光の視線を完全に切ってから、口を開く。
「何?瞬詠」
凝光は瞬詠に静かに返事をする。
「…お前さんに、一つ聞きたい事がある」
「聞きたいこと?何かしら?」
凝光はそこで意外そうに少しだけ目を見開く。
「…凝光さん。自分が部屋に引きこもって以降、ずっと気になっていたことなんだが…。凝光さん、お前さんと北斗の姐さんの関係は、一体全体どういう関係なんだ?」
「……」
瞬詠の言葉に凝光は目を細める。その表情からは感情が一切読めない。
「…そして、__」
瞬詠はそこで一度言葉を区切る。
「__そしてだ。あの日、あの場で『“船長”さんとのとある取引、それに従って、これからの貴方の人生、頂いたわ。これからは私の意の元で、動いてもらうわね。…これは、決定事項よ?』と、言ったよな?凝光さん」
「えぇ、言ったわね」
そして凝光はそう肯定し、静かに瞬詠の話に耳を傾ける。
「じゃあ、その船長、北斗の姐さんと凝光さんが行った“とある取引”、まだ認めてはいないが自分が凝光さんの部下となる根拠、即ち二人が交わしたはずの“とある契約”、一体それは、その内容は何なんだ?」
「…ふふっ」
瞬詠が話を終えた瞬間、凝光は小さく笑う。
「…そうね、今はまだ“その時”では無いわね」
「…“その時”ではない?」
瞬詠は不思議そうに首を小さく傾げる。
「えぇ、そう。まだ“その時”ではないわ…。瞬詠、これだけは言っておくわね。物事には順序や流れというものが存在するの。だから、今貴方に“その内容”を教えるわけにはいかないの」
凝光はそう言うと、優雅に微笑む。
「……」
瞬詠は凝光の言葉に無言で返す。
「…瞬詠、安心しなさい。これだけは約束してあげる」
「何をだ?…凝光さん?」
瞬詠は訝し気に目を細める。
「いずれ、その時は来る。そう、遠くない内に。…貴方がその理由を、その答えを知りたいというのなら、ただ時が経つのを待つか、それとも自分自身で私の望む行動を起こし、そうして行動からとある答えを見つけ、そしてとある結果を生み出してその時を一気に加速させるか、どちらでも好きにしなさい。…貴方がどちらを選択するのか、それは貴方の自由よ?」
「……」
(時が経つのを待つか、自分が動いてその答えをみつけるか…か)
瞬詠は凝光の言葉に目を細める。
「…成程、分かった。ありがとう、凝光さん。その件、よく考えておこう」
「ふふっ、どういたしまして。瞬詠」
凝光はそう言うと、優しい笑みを浮かべる。
そしてそのまま二人は背中を向けて群玉閣の廊下を歩き始める。
その時であった。
「___あ、凝光さん。待ってくれ。一つ、お前さんに言いたい事があるのを忘れていたわ」
「___あら、何かしら?瞬詠」
「いや、大した事じゃないんだがな。一つだけ言っておきたいことがある」
「何かしら、それは?」
「あぁ、それはだな___」
そして瞬詠が凝光に背中を向けたまま、後ろにいる凝光の方に首だけを動かす。
「___そういやぁお前さんのせいで、凝光さんの専属の秘書である百暁さんや百識さん、百聞さん達に申し訳ない事をしてしまったし、甘雨の奴にも情けない姿をさらしてしまった。あとついでに、彼女にかなり不安な思いをかけさせてしまったじゃないか?…はんっ、くたばれ、凝光」
瞬詠は悪い笑みを浮かべながら、そう言い放つ。
「…えっ?」
そして凝光の耳に瞬詠の悪口、罵倒が聞こえた瞬間、凝光の顔が一瞬にして硬直する。
「___はっ、まぁ、いい。じゃあな、凝光さん」
そして固まっている凝光の表情を見た瞬詠は悪戯が成功したかのように楽しそうにニヤリと笑うと同時に、そのまま廊下の十字路を右に曲がって、凝光の視界から姿を消す。
「___くすっ」
そして固まっていた凝光は、少しだけ意外そうに目を見開かせて瞬詠が居なくなった廊下を見た後、クスクスとおかしそうに笑いながら静かに後ろを振り返る。
「まったく、彼という人物は…。___」
___瞬詠、私が貴方を諦めるなんて、そして貴方を見放すなんてこと、するわけないのにね…?まったくそんな事をしてしまったら、“船長さん”になんて言い訳をすればいいのよ…?彼女とした『約束』。それを自ら、破るわけにはいかないのよ。…それに私も貴方の事が…ね?
そして凝光は小さく呟いた後、綺麗に微笑みながら右足を踏み出したのであった。
「…ほぉ」
(こ、これは…)
瞬詠は感嘆の息を静かに吐く。
瞬詠の目の前には目下に広がる璃月港の街並み。そして璃月港の港湾や更に広がっていく広大な海。また遥か先にポツンと見える7つの大きな島と小さな分島からなる群島、『孤雲閣』と呼ばれている島々から突き出ているギザギザの崖が特徴的な島々。
それらが全て視界に入りきらない程に広大で壮大な光景が広がっていた。
「…凄いな」
(本当に絶景だな…)
瞬詠は思わず見とれてしまう。
凝光と別れた瞬詠は群玉閣内の散策を終え、そのまま群玉閣の外に出てそこから見えてしまった景色に心惹かれ、群玉閣の端の方にまで移動し、そこから璃月港の街並みから果てしなく広がる海を一望しながら立っていたのだ。
「…」
瞬詠は無言でそのまま璃月港の街並みを静かに眺める。心地よい風や暖かな日差し、そして絶景が瞬詠の心を満たすかのように彼の心の中に染み込んでいく。
「…璃月、そして璃月港、か」
瞬詠は静かに呟く。そのまま暫くの間、瞬詠は璃月港の街並みをぼんやりと眺める。
「___あ、瞬詠さん」
そしてその時であった。
「うん?」
聞き覚えのある声に名指しで呼ばれ、瞬詠は声がした方向に目を向ける。
「こんにちは、瞬詠さん」
「おぉ、甘雨か。___えっ?」
そこには仕事等に使うのだろう、両手に様々な本や資料等を持っている甘雨と___。
「___へぇ、“彼”が。凝光が群玉閣連れ込んできた、例の話題の人物なのね」
___甘雨の隣を歩く、熾烈な稲光のような紫の独特な瞳に、猫耳ヘアーと言えば良いのか特徴的な髪の結い方をしている紫髪の少女。そうして背中側の首の近く辺りに身に着けていた“雷の神の目”を身に着けていた少女である彼女が、少し興味深げ、また値踏みでもするかのような視線を瞬詠に向けながら立っていたのであった。
Side:甘雨
「___悪いわね。甘雨、それに“刻晴”。わざわざ群玉閣まで、足を運んできてもらって」
「いえ、気にしないで下さい」
「別に気にしないわ。それより、一体何の用件かしら?大事な話があると、聞いたのだけれど?」
群玉閣内部。凝光の主室にて、甘雨、そして“刻晴”の二人は、様々な紙が張られている“とある壁”と向き合っていた群玉閣の主である凝光の方に顔を向けていた。
「そうね…。早速だけど、本題に入りましょうか」
凝光はそう言うと、その壁から視線を外し甘雨と刻晴の二人と相対するように彼女達と向き合う。
「さて、刻晴。申し訳ないけれど、本来の予定であればこれからの甘雨は一時的に、刻晴の専属的な秘書として刻晴のサポートに付いてもらう予定だったのだけれど、悪いけれどその予定を中止にしてもらうけど構わないかしら?勿論、その穴埋めに甘雨の代わりに私の三人の秘書を貸してあげるから」
「えっ!?はぁ!?ちょっと待ちなさいよ!!凝光!!」
凝光の言葉に刻晴は目を丸く見開く。そして慌てて凝光にそう声をかける。
「あら、何かしら?刻晴」
「何かしら?じゃないわよ!いきなり何よそれ!?いくら何でも横暴過ぎない!?」
「ふふっ、まぁ、言われてみれば確かにそうね」
凝光はそう言うと、意地悪気にクスリと笑う。
「えぇ!?…えぇっと、あのぉ、そのぉ、刻晴さん、凝光さん…?」
甘雨はまさかの事態に戸惑いつつ、二人に向かって声をかけながら、様子を見守るように凝光と刻晴を交互に見る。
「……はぁ、まぁ、良いわ。凝光、まずは理由を聞かせて頂戴。貴女がそんなことを言うのには、ちゃんとした理由があるわけでしょ?」
刻晴は呆れたように溜息を吐くと、凝光にそう尋ねる。
「それは勿論。刻晴、貴女は今、この群玉閣にいる“瞬詠”という男の事を知っているかしら?」
「”瞬詠”?えぇ、なら知っているわよ。というか、ついさっき彼が群玉閣の外で璃月港を眺めていた所と出会ったわけだし…。その男がどうかしたのかしら?」
刻晴が凝光にそう答える。
「えぇ、知っているのなら話は早いわね。……しばらくの間その男、瞬詠に甘雨を付けさせたいと思うのよ」
「はぁ?甘雨をその男、瞬詠に付けさせたいですって…?」
「えぇ、そう」
凝光は愉快そうに満面な笑みを浮かべ、刻晴に対してそう返す。
「えぇ、えぇっと、私が瞬詠さんの元に付くのですか?」
(刻晴さんじゃなく、瞬詠さんの元に?)
甘雨は頭に疑問符を浮かべながら、そう呟く。
「そうよ、刻晴、甘雨。これから甘雨には、一時的に瞬詠の付き人として彼に付いてもらおうと考えているの」
凝光は刻晴に向かってそう言うと、甘雨の方に顔を向ける。
「…凝光、私には貴女の考えている事が理解できないし、言っている事も分からないわ。そもそも、彼は何者なの?しかも彼、さっき何故か私の事を唖然とした表情を浮かべながら、じーっと見つめてきたのよ。……一体、あれはなんだったの?」
刻晴は訝し気に顔を顰める。
「ふ~ん、じっと見つめられていた…?うん。それは、分からないわね…。ただ、___」
凝光は少し考えるような仕草を見せる。
「ただ……?」
刻晴は凝光の方に視線を向けながら、凝光の次の言葉を待つ。
「___ただ、そう。今の時点では、詳しい事を話すことは出来ないんだけど、言うなれば彼の“
凝光は真剣な表情を浮かべながら、刻晴にそう言う。
「彼の“足枷”を?」
「瞬詠さんの“心を縛っている鎖”をですか?」
刻晴と甘雨は不思議そうに首を傾げながら、凝光に尋ねる。
「えぇ、そうよ…。私は思うの。もしも彼を縛っているそれらを取り除くことが出来たら、きっと、私さえをも含めて皆が驚くような事が起こると」
凝光は静かな声で、しかし力強くそう語る。
「驚くようなこと?」
刻晴は怪訝そうな表情を浮かべる。
「えぇ、そうよ」
凝光は楽しそうな笑みを浮かべ、刻晴に向かってそう言った。
「___はっ、面白いじゃない…。いいわ。貴女が、そこまで真剣そうに言うのであれば、今回は譲ってあげる」
刻晴はどこか興味深げに、そして少しだけ口角を上げながら、そう言う。
「ふふっ、ありがとう、刻晴…」
「ふんっ、別にいいわよ。どうやら珍しく本気で言っているようだしね。それに、そこまで真剣で真面目な凝光を見たのも、随分と久しぶりに見たような気がするしね。…まぁ今回は確かに、少し厄介な案件だけど重要性はそこまで高くないから、甘雨が居なくても問題があるというわけでは無いわ。…その代わり、一体何が起きるのかをじっくりと見届させてもらうから」
「えぇ、構わないわ…。さて、今の状態の私だと彼、瞬詠は以前よりかは改善されたけど、それでも私に対して多少の警戒心を向けているわ。…彼の事、彼が抱えてしまったそれら、瞬詠が背負う事になってしまったそれら、それらの重さを正しく理解できず見誤っちゃったせいで、嫌われちゃったしね…。あれは完全に私のミスだったわ…」
凝光は軽く頭を抱えながら、そして少しだけ悔むように静かに呟く。
「瞬詠が抱えてしまったもの、ね…」
刻晴は腕を組みながら真剣な表情で、凝光の言葉を繰り返す。
「瞬詠さんが背負う事になってしまったもの、ですか…」
(あの時の瞬詠さんの反応…)
そして甘雨も真剣な表情で思考する。あの時に見せた瞬詠の反応。やはり普通では無い何かを背負ってしまったのは、まず間違いないのだろうと思う。
「…だけど、甘雨」
凝光は刻晴から視線を逸らし、甘雨の方に顔を向ける。
「あっ、は、はい」
甘雨は少し緊張した様子で返事をする。
「甘雨、貴女であればきっと瞬詠を縛っている足枷を、瞬詠の心を縛っている鎖を、解き放つことが出来ると私は確信しているわ…。ふふっ、それに彼は貴女に対してかなり信用、信頼をしているように見えるしね。……甘雨、貴女なら彼の理解者になれると確信してるわ。だから甘雨、貴女には瞬詠の事を頼んだわよ」
凝光は真っ直ぐに甘雨を見ながらそう言う。
「は、はい!う、上手くできるかは分かりませんけど、頑張ってみます!」
甘雨は凝光に向かって小さく拳を握りながら、気合いの入った返事を返す。
「___ねぇ、凝光。甘雨が瞬詠を縛っている足枷や鎖を解き放つという話だけど、貴女は具体的に甘雨に何をやらせようとしているのかしら?」
そして甘雨の様子を横目で見ていた刻晴が凝光に尋ねる。
「良い質問ね、刻晴。……甘雨、貴女には瞬詠と共に、一週間くらい使って璃月港をじっくりと巡ってもらおうと考えているわ」
「えっと、璃月港を巡る、ですか?」
凝光の言葉に対して甘雨はキョトンとした表情を浮かべながら、そう聞き返す。
「えぇ、そうよ。ただこれは単に璃月港を巡るだけではなく彼の今後の事、瞬詠が秘めている可能性を考えて、ただ漠然と璃月港を巡るのではなく、まずは璃月の『七星八門』の各所を見て回ってほしいのよ。まぁ、瞬詠の社会見学、また彼の社会勉強のためと言った所かしらね」
「七星八門ですか…?」
甘雨は首を傾げながら、そう聞き返す。
甘雨は凝光の今までの話からして、璃月港の有名な場所や観光名所等とばかりを巡るのだ思っていたようなので、いきなり璃月の政府機関や公務機関である『七星八門』という言葉が出てきた事に小首を傾げていたのだ。
「えぇ、そうよ。七星八門巡りに関しては端的で構わないわ。そしてその後には、軽く月海亭を見学させる。そしてその合間合間に、璃月港の名所や観光地等を巡る。そんな感じかしらね、甘雨」
「は、はい。わ、分かりました。まずは七星八門を中心に巡ればいいのですね……」
甘雨は不思議そうな表情を浮かべながらも、凝光の返事を返す。
「えぇ、それでいいわ。そして___」
凝光はそう言うと、ニヤリと笑う。
「___甘雨が信用できる人や、信頼できる人、もしくは大切な人を瞬詠に紹介してあげなさい。理想は、貴方とほぼ同じ立場の人が理想かしら…?例を挙げるとするならば、例えば甘雨の“後輩”という類の人とかかしらね」
「こ、“後輩”ですか?私の…?」
「えぇ、そう」
「そうですか…。う~ん___」
凝光の言葉に対して甘雨は顎に手を当てながら、何かを考え込み始める。
「___あっ」
(“後輩”でしたら、“彼女”がいましたね。…私の“自慢の後輩”で、“璃月港で有名な法律家”である彼女が)
その時甘雨の頭の中に、一人の少女の姿が浮かび上がる。
その少女とは翡翠の瞳に、薄めの朱の髪。そして金の装飾が施された赤い帽子に、璃月の薄着を身に纏った活発的な雰囲気を放ち、そうして腰に“炎の神の目”を身に着けている彼女の姿であったのであった。
これにて第一幕の前編が終了。次回より中編の前半が開始します。
なお現状として、第一幕の間のほとんどは瞬詠の相方として“甘雨”が瞬詠と行動を共にしていきます。
それでは次回より、いよいよ瞬詠、並びに甘雨による璃月港内の散策が開始です。
—————
追記1
・前書きの追記、また修正を行いました。(剣法と槍術関連。刻晴の雲来剣法は削除しました。ムービーをよく見ると動きが繋がっており、また刻晴の立ち絵や紹介ムービー等にあったような気がしたのですが見つからず、逆に行秋のそのモーションがかなり一致しているなと思われたため)
追記2
・誤字報告を適用しました。“円周率で猫好き”さん、ご報告ありがとうございます。