名前を無くした、天権の懐刀   作:久遠とわ

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完成したので投稿。

前回の凝光と煙緋の邂逅シーンからです。


_煙緋と甘雨が力を合わせた…?

Side:凝光

 

「煙緋…?えぇ、初めまして。煙緋。私は天権の凝光よ」

 

そして凝光は煙緋という名前を聞いた瞬間、少し驚いたかのように僅かに目を見開きながらもすぐに平静を取り戻してそう返す。

 

「…へぇ、璃月港で有名な法律家である者、至る所でよくその話を耳にする人物。この璃月の法律家の頂点に立つと言っても過言ではないとよく聞く法律家、その法律家の正体が貴女のような人物だったとはね」

 

そして先ほど名乗りを上げた煙緋の事を興味津々と言った様子に見つめながら、凝光はそう言った。

 

「ああ、お褒めいただき光栄だよ。私も仕事でよく耳にする璃月七星の天権、“凝光”殿がここまで高貴な御方であったとは驚いたものだ」

 

煙緋はそう言うと、凝光に軽く微笑む。

 

「あら、ありがとう。嬉しいわ…。それにしても___」

 

凝光は煙緋の言葉にそう返しながらも甘雨と煙緋、それぞれに視線を向ける。

 

 

 

「___先輩…、後輩……?甘雨が先輩で、煙緋が後輩、という事かしら………?まぁ、良いわ」

 

凝光はそう言って、視線を甘雨に向ける。

 

「それで?甘雨。貴女が“会って欲しい方”というのは彼女、“煙緋”の事かしら?」

 

凝光はそう問いかける。

 

「はい、そうです」

 

甘雨は力強く頷いた。

 

「そう」

 

そして甘雨が頷いたのを確認した凝光は、改めて煙緋に視線を向ける。

 

「それで“甘雨が会って欲しい人”、“煙緋”は一体何の用件でこの群玉閣までやってきたのかしら?私に“大切な話”があるとの事だけれど…?」

 

凝光は煙緋にそう問いかけ、まるで煙緋の事を見定めるかのように煙緋を見つめる。

 

「ああ、その通りだ」

 

そうして見つめられていた煙緋は凝光の言葉に頷き、そうして口を開く。

 

 

 

「___私は凝光殿と、“今この璃月を取り巻いている情勢”、甘雨先輩のいる月海亭や七星八門の裏にいる“反刻晴派”について、その事で『話し合い』をしに来たんだ」

 

「___っ!?」

 

煙緋は凝光にそう言うと、凝光は驚いたかのように目を見開く。

 

 

 

「…煙緋。貴女、どうして…、それを……?………甘雨、貴女?」

 

凝光は煙緋にそう問いかけようとするが、しかしその前にすぐに何かに気づいたように甘雨の方に視線を向ける。

 

「はい、凝光さん。私が煙緋さんに月海亭や七星八門の内情、そうして反刻晴派ら等についてを話しました」

 

すると凝光のその言葉に甘雨は静かに、だが力強く頷く。

 

「成程ね…、そう言う事だったのね……」

 

凝光はそんな甘雨の反応に納得したかのように頷き、そうして凝光は視線を鋭くさせながら煙緋の目を見据える。

 

 

 

「___煙緋、貴女はどこまで知っているのかしら?今の璃月の現状を……。璃月が今、どのような状況に立たされているのかを………」

 

そして煙緋にそう問いかけた。

 

「あぁ___」

 

煙緋は凝光のその問いかけに間を置くように頷く。

 

 

「___『月海亭並びに七星八門の職員同士の対立激化による璃月の政府機能の低下』、『今代玉衡暗殺危機』、『反刻晴派千岩軍クーデター挙兵危機』等といった、数多くの危機がこの璃月に迫ってきているという事をな。そしてその危機の中心にあるのは“反刻晴派”と呼ばれる者達。そうしてそのような状況にまで引きずり込んだ真の犯人、それは反刻晴派の面々ではなく…」

 

煙緋はそこまで言うと、凝光と同じように視線を鋭くさせる。

 

「___真犯人、真の敵というのは反刻晴派の中に潜んでいる『“過激派”、“強硬派”、“急進派”』と呼ばれる者達、その者達、そして『彼らの“先にいる者達”』であろう…?」

 

「___っ!?」

 

煙緋は凝光にそう問いかけ、そして煙緋がそのように述べた事に目を見開かせる。

 

「まぁ“先にいる者達”は、私も先輩もまだ実態を掴めておらず何者なのかすらも不明、だから正直本当に実在するのかという決定的証拠はつかめてはいないのだが…。だが“私の勘”、そして”甘雨先輩の経験”、この二つを組み合わせることで、その者達は確かに存在すると結論付けたんだ」

 

煙緋は凝光にそう告げると___。

 

 

 

 

「___だから私は、いや私達はこの“璃月の危機”を解決すべく、また“璃月の未来”、そして“今代玉衡”、‘刻晴’殿を守るために、こうして凝光殿に会いに来たんだ」

 

そうして煙緋は一歩前に出ると、凝光の真紅の瞳を真っ直ぐに見据えた。

 

「ふふっ、成る程ね」

 

凝光も煙緋の瞳を真剣な眼差しで見つめ返し、そして煙緋の後ろに立つ甘雨の方に視線を向ける。

 

 

 

「___凝光さん。その…、この事を煙緋さんに共有してしまったことは、本当に申し訳ありません。ですが今の璃月のこのような状況、そして刻晴さんの身に迫る問題に対して私は何もしないなんて事は、やはり出来ませんでした」

 

甘雨はそう凝光に謝罪と弁明の言葉を述べる。

 

「そう…」

 

しかし凝光はそんな甘雨の謝罪も弁明も一切気にせず、ただ一言、そう呟くと___。

 

「___それで甘雨は、煙緋に今の璃月港の現状を教え、そうして煙緋に援助を求めた、ということなのかしら……?」

 

凝光は再び煙緋に視線を戻すと、そう甘雨に問いかけた。

 

「はい、そうです。凝光さん」

 

甘雨は力強く頷くと、そのまま言葉を続ける。

 

「___そうして私と煙緋さん、二人でそれぞれ協力し合いながらそれらに関して情報収集を、そうして過激派、強硬派、急進派の更に後ろ、“彼らの後ろの先にある者達”、“その者らの存在”を突き止めました」

 

「そう……」

 

凝光は甘雨のその言葉に小さく頷く。

 

「…ふぅん、成る程ね。今の璃月の状況。そうして真相にたどり着いた、と。甘雨、そして煙緋の二人は……」

 

「はい、凝光さん」

 

そうして凝光は瞬きをすると、改めて興味深そうに甘雨に視線を向け、そうして視線を向けられた甘雨は凝光に同意するかのように頷く。

 

 

「…どうやらこの璃月の危機というのは本当に、なかなか複雑な事情が絡み合っているようだな。事はそう単純では無いという事は今の凝光殿の反応からでも分かる事だが」

 

そして煙緋は凝光と甘雨のそんな反応にそう呟き、そうして凝光の視線が自分に向けられていることに気づく。

 

「えぇ、そうよ。…正直、当初の私もただ単純に新たに璃月七星になった新人の玉衡、刻晴に対する妬みや嫉妬、そして妄執でしかないと思っていたのだけれど……。妙な所があったから私の方でも調べてみたら、まさかここまで一気に事が大きくなるとは私も予想が付かなかったわ」

 

凝光は煙緋の言葉に頷き、そして一つ溜息を吐く。

 

「成程。やはりか…。凝光殿、肝心の“大切な話”の件についてだが……。実は“これ”についてを凝光殿と話し合いたい」

 

「それ…?拝見させてもらうわね、煙緋…」

 

「あぁ、是非とも中身を見てくれ。凝光殿」

 

煙緋は凝光の言葉に頷き、そうして抱えるように手にしていたその書類を凝光に差し出す。

 

 

 

 

「___っ!?こ、これって…!?」

 

そして凝光は煙緋から手渡しされたその書類を中身を確認した瞬間、思わず驚きの声を上げてその資料を食い入るように見つめ始めた。

 

「___今の璃月を蝕もうとしている反刻晴派内に潜む『“過激派”、“強硬派”、“急進派”メンバーリスト』だ。それにそのリストメンバーが犯していると思われる法律や法令に関しても個人個人で紐付けてある。後はこれの裏付けさえ十分に行えれば、紐づけてある法律や法令を元に正当な理由で捕縛、彼ら全員を逮捕する事が出来るぞ」

 

煙緋は得意げな様子でそう言いながら、凝光に視線を向ける。

 

 

 

「煙緋、貴女…。どうやって……?」

 

凝光は目を丸くしながら煙緋を見つめ、そして絞り出すようにそう呟いた。

 

「ははは、それは私と甘雨先輩の二人が力を合わせたからに決まっているじゃないか。凝光殿」

 

「煙緋と甘雨が力を合わせた…?」

 

凝光は甘雨の方に視線を向け、甘雨はただこくりと頷く。

 

「はい。……凝光さん」

 

甘雨は凝光に頷き、そして先ほどの煙緋と同じく一歩前に出て真剣な表情で凝光を見つめる。

 

「私と煙緋さん…。『私は月海亭や七星八門側から、煙緋さんは璃月港の商会や民間団体側から情報収集を行い、反刻晴派に関する噂や情報の収集を徹底的に行いました。そして私は反刻晴派に潜り込み、反刻晴派に潜んでいた“過激派”や“強硬派”、“急進派”と思われる職員達と直接接触、彼らから直接情報収集を行いました。そうしてその上で___』」

 

「『___あぁ、その上で『甘雨先輩、そして彼らから直接得られた情報を元手に私が彼らの今までの行動やこれから行おうとしてる事から違反している法律や法令をリストアップし、そうしてそれらの紐づけを行う』といった方法で、な。なんならその過程で決定打には欠けるが、それでも状況証拠として有力そうなものらを見つけて、私と先輩とでそれらを押さえてあるしな」

 

「なっ………!?」

 

甘雨の言葉に続いて煙緋がそう説明し、凝光はそんな二人に対して驚きの表情を向け続ける。

 

「あ、貴女達…!?そ、そこまでしたの…!?それに甘雨!!貴女はそんな危険な方法で情報の収集を行っていたの!?そんな方法、いくらなんでも危なすぎるわ!!」

 

「はい、そうです。凝光さん」

 

驚愕し身を乗り出す勢いで甘雨の身を心配する凝光の言葉、甘雨はその言葉にそう頷いてそのまま言葉を続ける。

 

 

「…確かに私はその危険な方法で、反刻晴派に潜んでいる“過激派”や“強硬派”、“急進派”達と接触をしました。ですがそれは、情報収集を徹底的にかつ確実に行うためです…。刻晴さんを守りきるには彼らが何を考え、そして何を狙っているのかを知る必要がありました。そのため、私は自らが隠れた反刻晴派の人物であると偽り、そうして周囲の職員達に刻晴さんの悪口を言いふらしてそのように振舞っていました」

 

「あぁ、そうだぞ。凝光殿。先輩が情報を得るには前提として彼らから信頼、信用を得る必要がある。だから先輩は反刻晴派に潜入、彼らと接触を行うためにそのような事をしたんだ。無論、私もそんな甘雨先輩のサポートとして普段の法律関係の仕事の傍らで商会の関係者や璃月港の民間団体の者達に甘雨先輩の悪評を流したんだ。そうする事で甘雨先輩は月海亭や七星八門側から、私が璃月港の商会や民会団体側から甘雨先輩の噂や話を拡散し、そうして反刻晴派からの視線を浴びさせその者達から先輩に接触してくるように仕向けたというわけだ」

 

甘雨、そして煙緋は凝光に対してそう説明をする。

 

「はい、その通りです。そうして彼らからの接触を受けた後はそのまま定期的に情報交換会という名目上の彼ら“過激派”と“強硬派”、そして“急進派”達が集まる会合に定期的に参加を行い、彼らから直接情報の入手を行っていました」

 

「ま、そういう事だ。甘雨先輩が彼らから直接情報を入手するまでの経緯はそんな感じで、それと同時並行で私は先輩が入手した情報である彼らがやって来た事、やろうとしている事、そうしてまた彼らがしそうなことを羅列して、それら全てを違反している法律や法令の一つ一つを丁寧に紐づけしてきたんだ。おまけにその時に判明した事実から、押さえる必要のありそうなものは私と先輩とでそれらを押さえに走ったりもな。本当に凄く、そして色々と大変だったんだぞ」

 

「はい、本当にです。全ては、___」

 

「あぁ、全ては___」

 

そうして甘雨と煙緋はそう言いあうと、改めて視線を凝光の方に向ける。

 

 

 

 

「___今この危機的状況ともいえる璃月、そうして“玉衡様”、“刻晴さん”を守り切るため。それらの危機に終止符を打つために」

 

「___今迫っているこの璃月の危機、そうして“今代玉衡”、“刻晴”。彼女を守り切るため。それらの危機に終止符を打つために」

 

そして甘雨と煙緋は凝光に向かって、二人は共にそう言う。

 

 

「成程そう言う事だったのね…」

 

凝光は納得したかのように、そうして安心しきったかのように、そう呟いた。

 

「……本当に良かったわ」

 

凝光の先ほどまでのこわばっていた身体から、力が抜けていく。

 

 

 

『甘雨が反刻晴派の人物であった』という話や噂。それがここで完全に否定された。

 

むしろいつかの夜蘭が凝光に対して言っていた通り、彼女は刻晴の事を裏切っておらず、そうして刻晴を守るためにその身を反刻晴派に堕とし、そして彼らと接触する為に反刻晴派に染まったと見せかけたという、そんな話であったのだ。

 

 

 

「…はぁ」

(___本当に良かった…)

 

凝光は心の底からそう思う。ようやく真相を確信できた凝光は心の底から安堵し、そしてそれと同時に……。

 

 

 

「___甘雨」

 

そうして疲れ切っていたはずの凝光はどこか力を取り戻したように、甘雨に声を掛けて真剣な表情で彼女を見つめる。

 

 

「はい」

 

「煙緋を、彼女を、そうね…。すぐそこの応接室に通して。そしてそこで私と煙緋、それに甘雨も交えて三人で、『話し合い』を行うわ。まずは甘雨と煙緋は先にその部屋まで行って、そうしてその部屋の中で待っていてちょうだい」

 

「はい、分かりました。凝光さん。ありがとうございます」

 

凝光は甘雨に対してそう言うと甘雨は礼を言いながら頭を下げ、そうして煙緋の方に顔を向ける。

 

「さぁ、煙緋さん。それでは応接室に行きましょう。こちらです」

 

「分かりました。甘雨先輩、早速行きましょう。凝光殿、今日は時間を取ってもらってありがとう。礼を言うぞ」

 

煙緋はそう言うと甘雨と共に凝光に背を向けて歩き出し始めた。

 

「えぇ、また後でね、二人とも」

 

そうして歩く二人の背に凝光はそう声を掛ける。

 

 

 

 

 

「___さてと」

 

そして凝光は話し合いで使いたい書類を部屋のあちこちからかき集めてそれら全てを一度手に抱えようとする。

 

 

 

「………」

 

その時、何故か凝光は動きを止めた。

 

 

 

 

 

「___“夜蘭”、いるんでしょう?出てきなさい」

 

凝光はそう、部屋の出入り口に向かって声をかける。

 

 

 

「…えぇ、いるわよ」

 

そして凝光の主室、その出入り口には音を立てることなくその場に立っていた“夜蘭”が呑気にサイコロを片手で転がしていたが、夜蘭はそれを止めて凝光の方に視線を向けた。

 

「私と甘雨、そして煙緋の話をいつから聞いていたのかしら?」

 

「…煙緋が自己紹介している所からよ。凝光」

 

「そう、なら話は早いわね。夜蘭、ちょっとこっちに来なさい」

 

凝光は夜蘭に視線を向けながらかき集めた資料を整理を行い、そして夜蘭に向けて煙緋が凝光に渡した『“過激派”、“強硬派”、“急進派”メンバーリスト』を夜蘭の方に向ける。

 

「これが煙緋が私に渡したその法律違反や法令違反を纏めた資料よ。夜蘭。これ、どうかしら?」

 

「煙緋と甘雨の話を聞く限りだと非常に有益、有効な資料だと思うわよ。凝光。一度それを読ませてもらえないかしら?」

 

夜蘭は凝光にそう問いかけ、凝光は「えぇ」と呟いて夜蘭に手渡す。

 

 

「ふ~ん…。へぇ…。あら、それは盲点だったわ…。成程ね……」

 

そうして夜蘭は『“過激派”、“強硬派”、“急進派”メンバーリスト』を煙緋から渡されたその資料を簡単に流し読みをするように、パラパラとめくって読んでいきながらそう呟いていく。

 

「どうかしら?夜蘭。この情報の有益さは」

 

凝光はそんな夜蘭に問いかけると、夜蘭は「えぇ」と頷く。

 

「確かにこれは非常に有益で貴重な資料よ。本当に丁寧に各個人ずつにそれぞれが行おうとしている悪事の証言までしっかりと纏めてあって…。うん、この情報量は半端ではないわ。ここまで作り上げるのは本当に大変だったでしょうね……」

 

夜蘭は感心したかのようにその資料を眺めてそう言い、そんな夜蘭に凝光は更に言葉を続ける。

 

「貴女がそこまで言うってことは、甘雨と煙緋が共同で作り上げたその資料の出来栄えは相当な物だって事は理解したわ。なら、これを今の調査や捜査に用いれば…?」

 

「えぇ、そうね。これを指標に各個人の悪事の証拠を積み上げて行けば、いずれかは彼女達の言っていた通りに正当な理由で彼らを一斉に捕縛、逮捕していく事が出来るわ」

 

夜蘭はニヤッと笑いながら凝光にそう告げる。

 

「___ふふっ」

 

夜蘭のその言葉に凝光は、ふっと笑い声を上げる。

 

 

 

ようやく、ようやくだ。ようやく、この先の見えない窮地を脱する事が出来る。

 

 

 

 

「本当に甘雨と煙緋に感謝しなくちゃね…。彼女達のおかげで一気に調査や捜査を進める事が出来るわ。反刻晴派の中の誰が“過激派”、“強硬派”、“急進派”の人間なのかさえ分かれば、後は彼女達の情報によってマークした彼らを徹底的に調べ上げて行けば、芋づる式に次々と彼らの悪事の証拠も炙り出せるでしょうし」

 

夜蘭は心の底から嬉しそうな様子を見せながら、凝光も夜蘭に「そうね」と頷く。

 

「本当に煙緋、そして甘雨に感謝しないとね…」

 

凝光は静かにそう呟く。

 

 

 

煙緋の協力の元、そして甘雨が反刻晴派に潜んでいる“過激派”、“強硬派”、“急進派”の人間達に直接接触、そうして彼らから直接情報を入手した事。

 

彼女がそこまで危険な橋を渡ってくれたおかげで、最も重要な情報である反刻晴派の陰で暗躍している彼らのメンバーの実態が明らかになった。

 

夜蘭達の方でも調査や捜査は行っていたが元々から反刻晴派自体が巨大であり、それが縮小しつつあると言ってもどうしても反刻晴派や元反刻晴派の大勢の無関係な人物達も容疑者にカウントしてしまう。

 

そうして人数が非常に多い事もあってどうしても、真のメンバーが非常に絞り込みにくい状況となっていた。

 

それ故に夜蘭達の調査や捜査は難航し、刻晴に危害を加えさせないという守備は十分に行えていたものの、彼らを特定して証拠を掴み逮捕する、といった攻勢を行う事が出来ずに、長い間膠着状態に陥ってしまって非常に苦戦していた。

 

そんな時に、凝光と夜蘭達が喉から手が出るほどに欲しがっていたそれらの情報、煙緋と甘雨が決定的となるその情報を持って来てくれたのだ。

 

本当に感謝してもしきれない。これでようやくこの危機を乗り切ることが出来るかもしれないのだから___。

 

 

 

「___夜蘭、貴女も参加するんでしょう?私と煙緋、そして甘雨の『話し合い』に」

 

凝光は夜蘭にそう問いかける。

 

「えぇ、勿論。あの資料読んでみて、いくつか気になった点もあるしね。それの確認のためも兼ねて、その『話し合い』に参加するわ」

 

夜蘭は凝光から渡された甘雨と煙緋達の資料を凝光に返しながらそう言う。

 

「そう、分かったわ…。なら参加する時には上手い事、辻褄を合わせるから夜蘭は私に合わせなさい」

 

「えぇ、分かったわ。さてと___」

 

凝光は夜蘭にそう声をかけると夜蘭は凝光に頷き、そうして___。

 

 

 

 

 

「___さっさと“璃月”の危機、そうして今迫っている“刻晴”の危機に終止符を打ちましょう?」

 

___夜蘭は、凝光にそう告げた。

 

 

 

 

 

「___えぇ、そうね。さっさと“璃月”に迫っている危機、そして“刻晴”に迫ろうとしていた悪意達、それに終止符を打ちましょう」

 

___そうしてまた凝光も夜蘭のその言葉に対して同意するかのように頷きながらそう答えた。

 

 

 

 

 

そして凝光と夜蘭の二人は凝光の主室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

そうしてその日の夜、群玉閣の応接室にて凝光、夜蘭、甘雨、煙緋の四名による『璃月に迫ろうとしていた前代未聞の災禍、また刻晴に迫ろうとしていた悪意達やその者達が引き起こそうとしていた危機。これらに終止符を打つためのとある“話し合い”』が夜遅くまで行われたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————————————————————

 

 

 

 

 

「………」

 

とある日の暖かな日差しが降り注ぐ璃月港。

 

 

璃月港の富裕層や大商人達が住まう住宅地。また毎年の迎仙儀式等の重要行事を催す要所である“倚岩殿”。そして迎仙儀式の岩王帝君の予言やそこで彼が語った璃月の国家方針、それらを着実に確実に実現させるための選ばれた璃月の七人の統治者達である七星達が、公式な事柄を議論するために集まる場所でもある“月海亭”。

それら、璃月という国家の中心的な施設や人物達が多く集い、その区画で暮らしている『玉京台』の一角にある屋敷。璃月七星の『玉衡』、刻晴の屋敷。

 

 

 

「ふぅ…」

 

そしてその屋敷、たくさんの本に囲まれた部屋、今は亡き先代玉衡であった刻晴の叔父の部屋、彼の書斎にて“刻晴”は独り彼が集めてきた本を読みながら、物思いにふけっていたのであった。

 

 

 




少しずつですがこの刻晴過去編の終幕の時が、いよいよ近づいてきました。

次回は最後のシーンの通り、刻晴視点となります。


なお次回は思いっきり独自設定が発揮している事を予告しておきます。
(具体的には璃月港内や璃月港に隣接しているオリジナルの場所関連)



それでは、次回の投稿まで今しばらくお待ちください。





—————
追記1
・文章表現におかしいところがありましたため、修正を行いました。(これが煙緋が凝光に渡したその法律違反を纏めた資料よ。→これが煙緋が私に渡したその法律違反や法令違反を纏めた資料よ。)
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