今回は終わりの始まりと言った所でしょうか。
なお、今回も一部独自設定が発揮しています。
Side:胡桃
「なに…?煙緋の方が、だと……?」
その言葉を聞いた鍾離は訝し気に問いかける。
「はい…。もしもご協力を頂けるのであれば、甘雨様の方ではなく煙緋様の方がよろしいかと思います。もう本当に説明をする時間はありませんので、詳しい説明や事の経緯は現場の人間に…、いえ待ってください。胡桃さん、香菱さん」
代表はそこまで言うと、胡桃と香菱に視線を向ける。
「えっ?わ、私?」
「私達?」
胡桃と香菱は自分達を指差しながら、困惑した様子で首を傾げる。
「はい…。先ほどの報告によれば胡桃さん達のご友人が、煙緋様が対応している件に深く関与しているようです。まずは早急に彼らと合流をしてください」
「私の友人?」
「私達の?」
胡桃と香菱は意外そうな表情を浮かべながら、お互いに顔を見合わせる。
「はい。その通りです…。鍾離さん、胡桃さん、香菱さん、雲菫さん。ご友人と合流する為に、大至急港湾区の船着き場の方まで向かってください。船着き場まで向かうのにそう時間はかからないはずです…。皆さん、___」
代表はそこまで言うと、改めて真剣な表情を浮かべて胡桃達を見つめる。
「___貴方達は正真正銘の玉衡様、刻晴様のご友人達です!!貴方達、貴方達であれば“怒り狂った彼ら”を止める事もできるかもしれません…!!千岩軍の兵士達や我ら職員達よりも貴方達であれば、貴方達であれば、きっと彼らも冷静になってくれるはずです!!より耳を貸してくれるはずです…!!どうか、お願いします!!」
代表はまるで張り裂けるかのような勢いで胡桃達に向かって頭を下げ、懇願する。
「___良いだろう。やってみよう。なんとかして見せよう」
鍾離は代表に同意するかのように頷く。
「___うん、そうだね。何とかやってみるよ。それにその場には私達の友人もいるみたいなわけだし」
「___そうだね、何が起きているのかは分からないけど、私達の友人もその場にいるのなら、見捨てるわけにもいかないしね」
香菱も胡桃と同じ気持ちだったのか、代表に対して頷く。
「___安心してください。私達は必ず貴方の期待に答えます。ですので、どうか頭を上げてください」
雲菫も代表に向かってそう言って安心させるかのように微笑むと、代表は緊張した面持ちから一転、安堵した様子で溜息を吐く。
「___ありがとうございます!!それでは煙緋様達の件はお願いします!!私は甘雨様達の件を対応します!!それでは、幸運を!!」
そして代表は最後にそう言ってから、すぐに踵を返して階段を駆け下りていった。
「_すみません!!私は暫くの間、ここの茶館を離れます!!ですので、ここの事はよろしくお願いします!!」
「はい!!分かりました。雲菫さん!!お気をつけて!!」
「分かりました、雲座頭!!お気をつけてください!!」
「座長!!ここはお任せください!!無事に事態が収束する事を祈っています!!」
「我らの事、また範二さんの事もお任せください!!どうかお気をつけて!!」
そうして雲菫はその場に居た自身の配下の者達や、範二の従業員達に向かってそう言い、雲菫にそう言われた者達も力強く頷いて、そう返す。
「皆さん!!お待たせしました!!」
「あぁ、雲菫殿。胡堂主殿」
「うん、雲菫!!胡桃!!」
そしてまた雲菫は鍾離達に向き直ってそう言うと鍾離と香菱は雲菫、それに胡桃に対してそれぞれ視線を向ける。
「___うん!!行こう!!合流しよう!!」
「_あぁ、行こう!!堂主殿!!急ぐぞ!!」
「_行こう!!胡桃!!友人の元に!!」
「_行きましょう!!胡桃さん!!急いで合流しましょう!!」
胡桃のその呼びかけに対して、鍾離に香菱と雲菫はそう返す。
そうして胡桃や鍾離達一同は煙緋が対応している港湾区、胡桃達の友人がいるであろう港湾区の船着き場へと向かうために茶館の階段を降りて行ったのであった。
「___はぁ、はぁ、はぁ」
(あともう少し…)
和裕茶館を出た胡桃一同は璃月港内を駆け足で移動していた。
「ふぅ……っ」
そんな胡桃は額の汗を拭う。海風が胡桃の汗を冷やしてくれる。
「もう少しで、代表さんが言っていた船着き場です。皆さん!!」
胡桃の後ろを走る雲菫はそう呼びかける。
「うん!!」
胡桃は雲菫に対して頷く。
「あぁ!!むっ…」
そして鍾離も頷きながらそう言うと、何かに気づいたのか駆け足のペースを少しだけ下げる。
「あれ?どうしたの、鍾離さん?」
香菱は不思議そうな表情を浮かべて、首を傾げながらそう問いかける。
「いや…。なんだか、声が聞こえてこないか?それもたくさんの声が」
「声…?」
香菱はそう言われて、耳を澄ませようとする。
「えっ、声?」
「声ですか?」
胡桃と雲菫も、香菱と同じように耳を澄まそうとする。
その瞬間であった。
「___!!」
「___!?」
「___!!」
「___!!」
「_えっ!?」
胡桃は思わず目を見開いて、足を止めてしまう。
上手く聞き取る事は出来なかったが、男達の大きな叫び声が聞こえた気がしたのだ。それも連鎖的に続いて止まる気配は一向になく、まるで地響きのように響き渡る。
「な、なに…!?この声……」
香菱も思わず立ち止まり、困惑する。
「この声…。港湾区の方から聞こえるな……」
「私達が向かっている船着き場の方から聞こえてくるような気がしますね…」
鍾離の言葉に、雲菫は頷く。
「この声…。っ!?」
(ま、まさか…!?)
胡桃は訝し気な表情を浮かべ、そうして何かを思い出したかのように目を見開く。
_貴方達、貴方達であれば“怒り狂った彼ら”を止める事もできるかもしれません…!!
「___怒り狂った、彼ら…?」
それは先の和裕茶館で代表に聞かされた話の中に出て来た言葉であった。そしてそれと同時になんとなく、その言葉の指し示す意味を胡桃は察した。
「___成程、そう言う事か…」
そしてそれと同時に胡桃の隣に立つ鍾離も、何かを察したかのような様子であった。
「………」
「えっ…。どうしたの胡桃、それにみんなも……」
そうして彼らの後ろにいた雲菫は思いつめたかのような表情を浮かべながら無言になり、香菱もなにが起きたのかは分かってないものの彼らの様子から何かを感じ取ったのか、不安げになりながらそう問いかける。
「___鍾離さん!!みんな、行こう!!行けばなにが起きているのかが分かるよ!!」
「___あぁ、そうだな…!!堂主殿、行こう…!!」
胡桃と鍾離はそう言うと再び駆け出す。
「___えぇ、行きましょう!!胡桃さん!!鍾離さん!!」
「___うん!!何が起きているのかは分からないけど、行けば分かるよね!!」
雲菫と香菱も胡桃と鍾離に遅れて、再び駆け出していく。
「___はぁ、はぁ、はぁ…!!よしっ!!」
(やっと着いた!!)
そうして胡桃達一同は、目的の船着き場に辿り着く。船着き場という事もあって多くの船が桟橋や桟橋の先に泊められており、近くに隣接している荷置き場には積み上げられた木箱や麻袋が積まれていた。
「___あっ!?」
「___なっ!?」
「___あれは!?」
「___えぇっ!?」
そして胡桃達の目の前で先ほどの声の出所、遂にその正体が明らかになった。
「_落ち着いて!!どうか落ち着いてください!!」
「_離れて!!頼むから離れてくれ!!」
「_下がれ!!お前達!!下がるんだ!!」
「_この者達には手出しはさせない!!だからもう諦めてくれ!!」
そこには数十人以上にも及ぶ程の千岩軍の兵士達、まるで彼らは必死の抵抗をするかのように叫び声を上げながら、目の前の大集団に立ち向かっている様子。
「_どけよ!!千岩軍ども!!邪魔するんじゃねぇ!!」
「_邪魔だ!!この野郎!!何で俺達の邪魔をするんだ!?」
「_玉衡様に危害を加えようとした糞野郎どもを庇うってのか!?あぁ!?絶対におかしいだろ!?そいつらは全員死刑だろう!!死刑で間違いねぇ!!」
「_そうだ!!刻晴様の暗殺を企てたんだろ!?それなら今殺されようが、後で殺されようが同じ事だ!!違うか!?千岩軍!?」
「_そうだ!!そうだ!!例え制裁のつもりが誤ってしまったとしてもだ!!そんな奴らを、クズどもを庇うってのか!?何を考えているんだ!?」
「_まさかお前らはそんなクズの味方になるってのか!?笑えない冗談だぞ!?おい!!てめぇら千岩軍!!お前らはどっちの味方なんだ!?この野郎!!」
そうしてその数十人以上の千岩軍の兵士達に対し、数倍以上には及ぶかもしれない木材や角材等を手にしていた港湾区の労働者達と思われる大男達、完全な暴徒になりつつある者達は口々にそう叫びながら千岩軍の兵士達、そして彼らの後ろで腰を抜かしていた者達に敵意や殺意を向けながら、千岩軍越しの彼らに詰め寄るために目の前の兵士達に掴みかからん勢いで迫る光景。
「___こ、これは…!?」
「___こ、これって…!?」
雲菫と香菱は目の前の壮絶な光景に思わず言葉を失う。
「これが、あの代表が言っていた___」
(___“怒り狂った彼ら”!?)
胡桃も怒気溢れる彼らを前にして思わず、息を呑む。
「刻晴によって救われた者達、彼女によって現状打破出来た者達…。いずれもお忍びで訪れて苦楽を共にし、汗を共に流し、そうして現場や現実を直々に理解した玉衡の手によって、救われた彼ら…。そんな彼女を慕う彼らにとって刻晴に害を為そうとした者達、あまつさえ暗殺や危害を企てようとした“過激派”や“その一般人の協力者”というのは彼らにとって許し難い存在でしかない…。例え千岩軍が必死に呼びかけて止めようとしたとしても、彼らは止まれない程にな……」
鍾離はそう呟きながらも目の前の光景に対して複雑そうな表情を浮かべる。刻晴が人知れずに行ってきたつもりの努力というのは、確かに璃月港の民達に認められ、信頼され、慕われているという事に違いないという証明ではあるが、それと同時にその証明というのはあまりにも最悪すぎる形で示されたが故に、複雑に歪んでしまっている。
「………」
そうして鍾離の呟きを聞いてしまった胡桃は、改めてそんな彼らを見て言葉を失う。そしてそれと同時に彼女の身体は僅かに震える。
「刻晴…、彼女は……」
胡桃は静かにそこまで呟くと、完全な暴徒寸前の彼らから千岩軍の後ろで腰を抜かしてしまっている者達の方へと視線を向ける。
「_ひっ、ひぃ!!た、助けてくれ!!」
「_嫌だ!!死にたくない!!こんなところで!!」
「_俺達が悪かった!!今まで自分達がやった事に対して償うから!!」
「_もう二度と刻晴様に対して悪意を抱かない!!だから命だけはぁ!!」
視線の先に居るのは千岩軍の兵士達がの後ろで、命乞いの如く叫び声を上げる“過激派”や“その一般人の協力者達”。
「_あぁ!?なに、ふざけたこと言ってんだぁ!?」
「_お前達の言っている事なんて信用できると思ってんのかぁ!?てめぇら!!ふざけるのも大概にしろよ!!糞野郎どもが!!」
「_そんなのは今更過ぎるんだよ!!この野郎!!ふざけるんじゃねぇぞ!!」
「_てめぇらがやろうとしたこと!!赦されると思ってんのかぁ!?」
「_俺達にとってあの方は恩人!!そんな人を害そうとしたんだ!!糞野郎どもめぇ!!覚悟はできてんだろうなぁ!!」
「_そうだ!!糞野郎どもがぁ!!お前らは赦されない大罪を犯したんだ!!死んで償いやがれ!!この野郎!!」
「_そうだ!!そうだ!!お前達は全員死刑になるに決まってる!!だがその前にお前ら全員、ここで俺達が罰を与えてやらないと気が済まない!!」
「_おぉ!!そうだ!!一発くらい殴らせろ!!この野郎!!おい!!どけ!!千岩軍!!むしろお前らも本当はこいつらの事を赦せないんじゃないのか!?だったら一緒に罰するべきだ!!」
「何を言ってるんだ!?そんなのは駄目に決まってるんだろ!!」
「命令でこの者達の身柄は我ら千岩軍が確保する事になってる!!それ以上の事!!そんなのはするはずがないだろう!!」
「とにかく落ち着け!!お前達!!お前達はいったい、自分達が何をしているのかを分かっているのか!?」
「そうだ!!冷静になれ!!この者達は適切なプロセスや、然るべき手続きを踏んだ上で処罰される!!私刑など認められるわけがないだろ!!」
だが命乞いの如く声を上げた過激派やその協力者達のそれは、むしろ怒り狂う大男達にとっては火に油を注ぐような行為でしかなく、そうして詰め寄ろうとした大男達を千岩軍の兵士達は必死になって止めていた。
「___い、いったいどうすれば…!?」
「___ど、どうしよう!!どうすれば止められるの!?」
雲菫と香菱の二人は目の前の光景に動揺し、どうすれば良いのかが分からないと言った様子であった。
「___っ…!!あっ…!?」
(そう言えば!!)
そうして胡桃も目の前の壮絶極まりない光景に言葉を失っていたが、それでも胡桃はとあることを思い出す。
「ど、どこ…!!」
(どこにいるの!?私達の“友人”って!?)
胡桃は必死になって辺りを見渡し、その人物を探し始める。
代表と別れる前に言っていた胡桃達の友人。煙緋のこの件に対して深く関与しているその友人。
あの場で誰の事なかを聞くのを忘れてしまったためその人物の詳細は不明ではあるが、しかしこの事態を鎮静化させるには、まずは一刻も早くその友人を見つけ出して合流しなければならない。
そうすれば今の現状やこうなった経緯を知る事ができ、そうして何かしらの現状を打破するための突破口の糸口を掴むことができるかもしれない。
それ故に、そう考えた胡桃は必死になって、その友人の姿を探そうとする。
「___っ!!堂主殿!!あそこではないか!?」
「___えっ!?どこ!?鍾離さん!!」
「_あそこだ!!過激派達の後ろに立っている、あの“二人組”だ!!」
胡桃と同じく胡桃達の友人を探していた鍾離は、胡桃に対してそう叫びながら指さす。
「_どれ…!?あっ……!?いた………!!」
(か、彼らは…!?)
そして鍾離の隣に立つ胡桃は、指さした方向に視線を向けて目を細める。
そうしてようやく探していた彼ら、胡桃の友人達の姿を見つけだして、彼女はその目を見開かせる。
「_マジでパネェ事になって来たな…!!オレも彼らの気持ちは分かるけどよ…!!だがよぉ……!!」
一人はハーフポニーテールの茶髪に赤みがかったオレンジ色の衣服、その上には武将ライオンがデザインされたパーカーの上着。また武将の獅子のデザインに似た金色の刻印が施されたダークグレーのバギーパンツ。そうして腰に巻かれたグリーンのスカーフに、小さな金属製の装身具と“炎の神の目”を身に着けた少年。
「_僕も彼らの気持ちは分かる…!!彼らは決して赦されない事をしてしまった…!!だが、しかし……!!」
もう一人は深みがかかった青色の髪に、特徴的な襟元が黒から紺へとグラデーションになっている絹のロングコートのような服装。そうして右耳には青いイヤリングを身に着け、そして襟元が黒から紺へとグラデーションになっている絹のロングコートの左側の下部に、“水の神の目”を身に着けた少年。
「_えっ!?あ、あそこにいるのは“嘉明”さん!?」
「_それにあそこにいるのって“行秋”!?あの人が言っていた友人って彼らの事だったの…!?」
胡桃と同じく鍾離の指さした方向に視線を向けていた雲菫と香菱は、その二人組の正体に気がつきそれぞれそう叫ぶ。
嘉明と行秋の二人は、丁度過激派やその協力者達を守ろうとしている怒り狂った大男達の壁となっている千岩軍の兵士達の反対側の場所、言うなれば彼らをちょうど見張れるような場所、勝手に逃げ出さないように彼らを監視できるような場所に立っていた。
「___行秋、それに嘉明っていう人だったんだね…!!鍾離さん!!雲菫、それに香菱!!行くよ!!」
胡桃はそう叫ぶと、彼らの方へと走り出していく。
「_あぁ、行こう!!胡堂主殿…!!」
「_はい!!胡桃さん!!行きましょう!!」
「_うん!!行こう!!胡桃!!」
胡桃の掛け声に鍾離達はそう答えると、胡桃の後を追って走り出す。
「___行秋、行秋!!」
「___嘉明殿…!!」
「___行秋さん!!嘉明さん!!」
「___行秋!!嘉明!!二人ともぉ!!」
胡桃と鍾離、そして雲菫と香菱の四人はそれぞれ彼らの名前を叫びながら、駆け寄るように彼らの方へと走っていく。
「___あぁ…?なっ!?鍾離さん!?それに雲菫と香菱も!?」
「___うん…?えっ!?胡桃!?それと雲菫と香菱!?」
そうして胡桃と鍾離達が駆け寄ってくるのに気が付いた嘉明と行秋は、驚いたようにそう叫ぶ。
「_行秋!!大丈夫!?それに嘉明…だったかな!?二人とも無事!?」
「_うん、僕らは大丈夫だよ!!まさか君達がこんなところにやってくるとは思わなかったな…」
「_あぁ、そうだぜ!!オレの名前は嘉明だ!!そういうお前は胡桃だな!!よろしくな!!」
胡桃は行秋と、そして嘉明に心配そうにそう質問すると、行秋は胡桃に対して彼女を安心させるようにそう言い、嘉明は胡桃とは初対面であった事もあってか、初対面である胡桃に対してそう名乗る。
「_うん!!私は胡桃だよ!!君が嘉明だね!!私の事を知っているという事は…、鍾離さんから私の話でもしていていたんだね!!改めて初めまして!!私も鍾離さんから、ある程度聞いているから嘉明の事は分かるよ!!」
「_おぉ、本当か!!俺も鍾離さん、茶館や戯台に荷物を届ける時にあの方がお茶を飲んだり講談を聞いたりしてるのを見かけるんだが、ついこの前鍾離さんと万民堂で相席する事になって話をしたんだ。その時に胡桃の事も色々と聞いたぜ」
「えっ!?そうなの!?」
「あぁ、本当だぜ!!非常に元気いっぱいで活発な女性、そして若いながらも長い歴史を持つ往生堂の堂主の器を持ち合わせている、素晴らしい人だって言う事をな!!」
「へぇ!!鍾離さん!!そんな事を嘉明に言ってたのぉ~!!随分と嬉しい事を言ってくれたねぇ!!嘉明、嘉明!!嘉明も鍾離さんから自分の仕事に誇りを持ち、そうして璃月の各地を走り回っている将来が楽しみな少年だって言ってたよ!!」
「おぉ、本当か!?胡桃、それに鍾離さん!?」
「うん、本当、本当!!ね、鍾離さん!!」
「_ははっ、二人とも…」
胡桃と嘉明はお互いがお互いに対して嬉しそうに笑いながらそう言い合い、またお互いの評価を言っていた本人である鍾離はそんな二人に対して、少し困った様子で笑いながらもそう呟く。
「_えっと、初めまして、とでも言うべきかな?鍾離さん」
「_む、行秋殿…。俺と行秋殿は初対面であったか……?」
「いや、僕と鍾離さんは初対面ということではないよ。ただ、こうして面と面を合わせて会話するのは初めてだったからね」
「うむ…。言われてみると、確かにそうだな。行秋殿。それなら改めて、初めましてと言っておこう」
そうして行秋と鍾離は互いにそう言い合いながら、改めて行秋と鍾離は互いに自己紹介をする。
「意外です…。行秋さんと鍾離さんはご友人同士ではなかったんですか……?」
「へぇ、意外だね…。行秋と鍾離さんが直接、面と向かって話すのが初めてだったなんて…」
雲菫と香菱の二人は意外そうにそんな感想を溢す。
「そうだよ。雲菫、それに香菱。実は以前、鍾離さんは僕の父上と兄上がこの方を招待してる所は見たことがあって、そうして軽く挨拶をしたことはあるんだ。だけど、こうして僕と面と向かって話すのは、今日が初めてなんだ」
「あぁ、そうだ。雲菫殿、それに香菱殿。一度、飛雲商会の会長達にお誘いをされた事があってな。そこで行秋殿とは軽く挨拶したがある。そしてその後も、璃月港で彼と会った時には軽く挨拶したり、互いに会釈をしたりする事はあったんだが、今こうして面と向かって話すのは今日が初めてなんだ」
「へぇ、そうなんですか」
「そうなんだ」
行秋と鍾離は雲菫と香菱の二人にそう説明すると、彼女達二人は納得したかのように頷く。
「へぇ~、そうだったんだね。意外だね。鍾離さんと行秋って言うのは、あくまでも顔見知り程度だったなんて」
「おぉ、そうだったのか。俺もてっきり鍾離さんと行秋はこうして気さくに話す程の仲だと思っていたぜ」
胡桃は行秋と鍾離が互いに顔見知り程度だったという事に対して意外そうにそう言い、嘉明も胡桃の言葉に賛同する。
「_ははは…。まぁ、そうだね。胡桃、それに嘉明。はぁ。本当なら、今日の璃月港がこんな状況じゃなかったら、もっと気さくに鍾離さんと色んな話をしたかったんだけどね。嘉明」
「_あぁ、そうだな。行秋。俺も胡桃と色んな話をしたかったんだが、まずは目の前の問題をどうにかしないとな。な、行秋」
行秋と嘉明は互いに苦笑しながらそうやり取りすると、真剣な表情を浮かべながらとある方向へと振り返る。
「_その通りだな。行秋殿、嘉明殿。目の前で起きているこれを何とかしなければならないな」
「_そうですね。皆さん。まずは目の前のこの問題をなんとかしないといけませんね」
「_そうだね。今はまず、どうにかしてこの騒ぎを静める事が先だよね」
そして鍾離と雲菫と香菱の三人も行秋と嘉明に同意するように頷くと、そのまま視線を嘉明と行秋達と同じ方向に向ける。
「___そうだよね。行秋、嘉明。それに鍾離さんに、雲菫に香菱。今は目の前のこの暴動騒ぎをなんとしてでも止めないと…!!」
そうして胡桃もまた同じように行秋と嘉明達の方が向いている方向に視線を、千岩軍の兵士達と暴徒化寸前の男達の方向へと真剣な表情を浮かべながら、その視線を向けたのであった。
次回に続きます。
余談ですが、この作品もなんだかんだで遂に50話に到達しました。
不定期更新、そうして現在やっている過去編が当初の予定よりも深くなりすぎてしまい、展開スピード等も滅茶苦茶な物になってしまいましたが、何とかここまで書き上げる事が出来ました。
書きたいものを書いて、描きたいものを描いていきたいというスタンスで作者はここまで描き上げてきましたが、ただそれだけではなく、皆さんのお気に入り登録等も相まってここまで書き上げる事が出来たんだと思います。
今まで本当にありがとうございます。
プロフィールにある通り、作者は社会人のため不定期更新になりやすく、また前に受けた資格の更なる上位資格の話も出始めているため、いつまた更に不安定になって行くのは分かりませんが頑張っていければと思います。
またもしこの作品が面白いと思って頂けたのであれば、お気に入り登録や高評価等をしていただけると嬉しいです。励みになります。
それでは次回の投稿はおそらく6月の最初辺り、うまく行けば5月最後辺りにはもう一度投稿できると思いますので、また気長にお待ちください。