名前を無くした、天権の懐刀   作:久遠とわ

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何とかようやく完成したので投稿。


まず最初にあらすじの連絡欄にもある通り、現在「刻晴過去編」に関する意見の募集を開始した事をお知らせします。

経緯に関して簡潔に述べますと、1年以上出ていないオリ主の“瞬詠”に関する指摘やご質問、またそれに伴って「刻晴過去編」に関するご意見を頂いたためです。
詳細につきましては、こちらから飛んで確認できるようにURLリンクを張っておきますので、そのページで詳細の確認を行い、そしてご意見を頂けると幸いです。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=327756&uid=33442


ようやく今回でまだ明らかになっていなかった部分も含めての現在の璃月港の状況、璃月港が今の状況を迎えるまでの経緯、また璃月隣国の各国の動き、そうして今回のタイトルにある通り“彼ら”の思惑や目的等といった物が全て明らかになって行きます。(本当はそこから一気に事態が進行していくところまで書きたかったのですが、既にとんでもない分量になってしまったので、今回はその直前までとします)

それでは前回の続き、鍾離のスメールの状況に関する説明からです。


_先に居る者達の“璃月港転覆計画”によって…

Side:胡桃

 

「_俺が知りうる限りではあるが、確か層岩巨淵やその周辺にいる千岩軍の兵士達が嘉明の所と同じく倍近くいたという話を聞いたな」

 

「ふむ、層岩巨淵の方は普段の倍近くの兵士達がか…」

 

「へぇ…。鍾離さん。そこにいたのは彼らだけか?スメールの奴らもいたりはしなかったのか?」

 

鍾離の説明に行秋と嘉明は、それぞれそう呟く。

 

「うむ、スメール人の彼らはそこにはいなかった。だが、この話は続きがある」

 

「続きがある…?」

 

「続きか…」

 

行秋と嘉明は興味津々といった様子で、それぞれそう呟く。

 

「あぁ、そうだ。行秋殿、嘉明殿。璃月の層岩巨淵の先、璃月側の国境である“層岩巨淵”と対応するようにスメール側の国境に位置する“ガンダルヴァ村”やその周辺に、滅多に見られない程の数多くのエルマイト旅団の傭兵達の姿があったそうだ」

 

「へぇ、ガンダルヴァ村か…」

 

「エルマイト旅団…。傭兵か……」

 

「あぁ、その通りだ。ついこの前、外で茶を飲んでゆっくりとしていた時にスメールから戻って来たのであろう数人の璃月の商人達の話を聞こえてきたんだ。彼ら曰く『あの傭兵の中には“三十人団”のメンバーが混じっていたから、おそらく教令院からの命令で派遣された傭兵達とその三十人団に協力している幾つかの派閥のエルマイト旅団の一団じゃないか?』と、そう言っていたな…」

 

「教令院の命令か…」

 

「三十人団…。成程な…」

 

説明を受ける行秋と嘉明は、それぞれそう呟く。

 

「ふーん。やっぱりだったね…。スメールもスメールで動ていたね」

「そうですね。胡桃さん。やはり、スメールもスメールで動いていましたね…」

「璃月側の層岩巨淵、スメール側のガンダルヴァ村か…。二重に警戒しているのかな?胡桃、それに雲菫」

 

胡桃と雲菫、それに香菱はそう呟く。

 

「成程。つまりは璃月と璃月に協力した各国の国境警備の強化をきっかけで、今のような騒動が起きるように画策したってことなのか…。だがしかしこのような騒動、言ってしまえば璃月港の半分近くを巻き込んだ暴動騒ぎやテロ騒ぎにも近い惨劇、ここまでに至る騒乱の計画を経ったの数日で……」

 

行秋は璃月港に起きてしまったその事態に対して、静かにそうして顔を険しくしながらそう呟く。

 

「その通りだな、行秋殿。正直、俺もまさかこのような事態を引き起こしてしまう者達がいたとは予想もしていなかった。もしかすると今の璃月港の状況というのは、実は彼らの術中に嵌ってしまっているという可能性すらもありえるかもしれないな…」

 

「術中に嵌ってしまっただって…?」

 

「あぁ、その通りだ。行秋殿」

 

鍾離は行秋の言葉にそう返すと、そのまま話を続ける。

 

「璃月港の港湾区とチ虎岩区で起きている暴動騒ぎに必死に対応する大半の千岩軍の彼らに、火災騒ぎの対応に追われる大勢の職員達。そしてまたそれとは別に、先ほど行秋殿が語ってくれた璃月港の騒乱に巻き込まれてしまった無関係の民間人達や外国人達への退避指示や避難誘導、そうして彼らの保護活動に加えて、今度はパニックとなった外国人同士のトラブルの対処に専念せざるおえない残りの大多数の兵士達や職員達の一同達」

 

「そ、それは…。くっ……」

「っ…。くそっ…」

 

「…もう璃月港は一杯一杯の状況だ。このような状況で彼らの残りの反刻晴派の捜索、また検問、これらを十分以上に行うのはあまりにも困難だろう」

 

「っぅ。本当に璃月港は、今の璃月港は……」

「っ。やっぱり、璃月港はとんでもない状況になっちまったな…」

 

鍾離が羅列する事実の数々。先ほど行秋と嘉明が語った暴動騒ぎや火災騒ぎが自然発生ではない話、その話に付随して璃月港で他にも起きている騒動や、璃月港にいる者達の状況。それらを今度は鍾離が語った事で、行秋と嘉明は思わずそう呟きを漏らす。

 

「あぁ、その通りだ。特に港湾区での火災騒ぎの為にスメールの商船が緊急出航を行い、そうして状況を知らない大勢の民間人達を乗せた稲妻の連絡船が璃月港に入港しようとして衝突事故を引き起こしてしまったという惨劇。これはもはや、言うまでもないだろう」

 

「っ…」

「くそっ…」

「っぅ…」

「ぅっ…」

「………」

 

鍾離が語った璃月港の惨状に行秋と嘉明だけでなく、胡桃達までもがそれぞれ思わずその顔を強張らせてしまう。

 

「事故の衝撃によって稲妻の連絡船に乗っていた海に投げ出されてしまった乗組員達や乗客達。無理やり避けようとして避けきれずにそのまま衝突してしまった衝撃で横転してしまい、沈没していったスメールの船から命からがら脱出したスメール人達という大惨事。これはもはや、言うまでもないだろう。幸いにも全員、救助された事みたいだから良かったものの…」

 

「そ、そうだね。鍾離さん。本当に直ぐ近くに、璃月港の漁師さん達の船があってよかったよ…」

「あ、あぁ、そうだな。行秋。それにちょうど運よく、璃月港に入港しようとしていたドーマンポートからやって来たモンドの船が、直ぐに駆けつけて来て救助を手伝ってくれたっていう話もあったもんだな。本当によかったな……」

 

行秋と嘉明は、鍾離の語る璃月港の惨状の数々に顔を険しくさせながらもそう呟く。

 

「うん、本当だよ。本当に良かったよ。全員の救助には成功してくれたみたいで…」

「はい、本当にです。地元の漁師さん達の船、それにモンドの船が直ぐ近くにいて、本当に良かったです」

「うん、そうだね。それにモンドの船の方の乗組員達の中には船医さん達も結構いたみたいで、彼らが懸命に海に投げ出された人達の治療や応急処置を行ったおかげで全員の命が救われたみたいだからね。本当に良かったよ…」

 

胡桃と雲菫と香菱の三人も行秋達と同じく顔を険しく、だがほんの少しだけ安心したかのような表情をしながらそう呟く。

 

「あぁ、本当だ。堂主殿や行秋殿達の言う通りだ…」

 

そして疲れきってこのように呟いた行秋や胡桃達、彼らの様子を静かに見守るかのように見ていた鍾離は静かに口を開いてそのように述べる。

 

「_んっ、んんっ!!…取り合えずは行秋殿」

 

そうして鍾離はあまりにも重くなりすぎてしまった空気を切り替えるかのように、咳ばらいをしながら行秋に声を掛ける。

 

「っ…。うん?なんだい?鍾離さん」

 

行秋はそれに反応して、鍾離の方を見ながらそう答える。

 

「行秋殿。先ほど行秋殿が述べた今回の騒動のきっかけというのは、璃月と各国共同の国境警備の強化がきっかけではないと、俺はそう思うぞ」

 

「国境警備の強化がきっかけではない…?それは一体、どういう事かな?鍾離さん」

 

行秋は鍾離が発したその言葉に、疑問を浮かべながらそう尋ねる。

 

「あぁ、そうだ。行秋殿。俺が考えるに今から数週間以上、もしくはちょうど一ヶ月前辺りに璃月でとあることが起きた筈だ」

 

「とある事だって…?うーん…。一ヶ月前か、僕の商会の方では特にこれと言った事や気になった事の報告とかはなかったと思うけど……。でも、一ヶ月前か………」

 

行秋は顎に手を当てて、目を細めながらそう呟く。

 

「あぁ、その通りだ。行秋殿。難しく考える事は無い。その出来事というのはその時に居た璃月港にいた俺達でも耳にするほど、またそれに関連していると思われる出来事が璃月港にいた俺達の身近な所でも目にしていた筈だ」

 

「自分達が耳にするほど?それに目にしたほど?…あっ、そう言う事か」

 

そうして行秋は何かに気が付いたかのような反応をする。

 

「分かったようだな、行秋殿。きっかけは遺瓏埠で起きたとある出来事だ」

 

行秋のその反応を見た鍾離は、静かにそう呟く。

 

「そうだね、鍾離さん。確か遺瓏埠でかなり大きな騒ぎがあったね。詳しい事は分からないけど、なにやら遺瓏埠周辺の巡回をしていた千岩軍がなにかとんでもない物を発見したとか」

 

「あぁ、そうだ。それだ」

 

行秋のその言葉に、鍾離は同意するかのようにそう呟く。

 

「そうだ。確かにそうだったな」

「あぁっ、そういえばそんな事があったね」

「そういえば、そうですね」

「確かにそんな事があったね」

 

そうして行秋のそれに胡桃達も思い出したかのように、そう呟く。

 

「…確かその騒ぎの時、今の遺瓏埠と同じ状況のようにフォンテーヌの警察隊の面々がやってきて千岩軍の兵士達と行動を共にしていた筈だ。更にはそれの一週間後あたりだったかな、璃月港にその警察隊の関係者と思われる多数のフォンテーヌ人達が璃月港の玉京台地区の方にもやってきたっていう話があったね」

 

「そうだな。行秋殿。それにそれだけじゃない。俺の記憶が正しければ遺瓏埠で千岩軍と警察隊による共同捜査を行っていたタイミングで、今度はモンドからの使節団ではないかと思われるモンド人達の一団に西風騎士団の騎士達、数十人のモンド人達の姿が璃月港に現れたという話だったからな」

 

「っ…!!そう言えばそのタイミングでモンド人達の一団が、玉京台地区の方にやって来たという話も……」

 

行秋は鍾離のその言葉に思い出したかのようにそう呟き、そうして真剣な表情を浮かべながら顎に手を当てながら考える。

 

「いや…。もしかすると…。つまりはそう言う事か……?」

 

行秋は思考する。まるで行秋の中で点と点の繋がりが見え隠れし、その繋がりを必死の思いで解きほぐして、明かしていくかのように。

 

「ふぅ~ん、モンド人達ね…。確かに遺瓏埠の騒ぎがあった数日後辺りだったかな?私も彼らの姿をみかけたしね」

(確か、あの時は三十人から四十人くらいのモンド人達が璃月港の玉京台の方に向かっていたんじゃなかったけ?)

 

そうして鍾離と行秋の話を聞いていた胡桃は、その日の事を思い出すかのようにそう呟きながら顔を険しくさせる。

 

「あっ、胡桃。胡桃も彼らの姿をみたんだね」

 

「おや、香菱。香菱もモンド人達や西風騎士団の騎士達の姿を目にしたの?」

 

「うん、そうだよ」

 

香菱は胡桃の言葉にそう答える。

 

「私の場合、彼らの用事が終わって帰国しようとしていた時だと思うけどね。私の場合は璃月港を出ようとしていた場面だったからさ。うーん、だけど彼らの用事って何だったんだろうね?彼らの表情がだいぶ難しそうな表情や険しそうな顔をしていたし…」

 

「難しそうな表情や険しそうな顔をしていた?」

 

「うん、そうだよ」

 

香菱は腕を組みながら、そう胡桃に答える。

 

「特に彼ら騎士達の隊長達と思われる『少し青緑がかっている紺色の長髪で眼帯をしていた青年の男の人』の表情がかなり険しそうな表情を浮かべながら、彼の隣にいた『水色の髪の女の騎士の人』に対して心配そうな表情を浮かべていたからね…」

 

「少し青緑がかっている紺色の長髪で眼帯をしていた青年の男の人に、それに水色の髪の女の騎士の人?」

 

「うん、そうだよ。水色の髪の女の騎士の人はなんだかとても悲しそうな表情、そしてなんだかとても怒っているかのような、そんな悲しみと怒りが入れ混じっていた複雑そうな表情をしていたの。そんな彼女を青年の男の人は、心配そうにしていたんだ…」

 

「成程ね…」

 

香菱の説明に胡桃は、顎に手を当てながらそう呟く。

 

「成程…。胡桃さん、香菱さん」

 

そしてその時、彼女達の話を静かに聞き入れていた雲菫が胡桃と香菱の二人に声を掛ける。

 

「んっ?なに、雲菫?」

「どうしたの?雲菫?」

 

そうして雲菫に声を掛けられた胡桃と香菱は、そのように言葉を返す。

 

「お二人共、少し話が逸れてしまいますが、先ほどまで話していた璃月港の玉京台の方に向かったモンドの使節団達と騎士達の一団と、フォンテーヌの警察隊の関係者達らしきフォンテーヌ人達、おそらく彼らは玉京台にある月海亭の方にも向かったのではないでしょうか?」

 

雲菫はそう、彼女達に話し始める。

 

「月海亭?刻晴達がいる場所?」

「月海亭って、確か刻晴達の七星達が集まったりする時がある場所だよね。雲菫?」

 

胡桃と香菱は、雲菫の話にそう反応する。

 

「はい、そうです。皆さん。実は私の和裕茶館でもそのような話はありまして、そうして一部の人は彼ら外国人達が月海亭の中に入って行ったのを確認した人もいるみたいなんです」

 

「えっ、そうなの?」

 

「そうなの、雲菫?」

 

「はい、そうです。間違いはありません。胡桃さん、香菱さん。おそらく彼らは璃月七星の本人達、もしくは彼ら直属の部下達、直下の者達との会談や面会を行っていたのでないかと、彼らはそう話をしていました。そして私もそうなのではないかと思います」

 

雲菫は胡桃と香菱にそう説明する。

 

「なるほどね…。それじゃあ、今回の騒動のきっかけって……」

 

胡桃は雲菫の説明を聞ききながら頷くと、顎に手を当てながら考え込む。

 

「はい、胡桃さん。おそらくその出来事がきっかけになるかと思います。それに彼らの話の中にはフォンテーヌやモンドの規模には及ばないものの、それぞれ十数人程度のスメール人達や稲妻人達の姿もあったようです」

 

「えっ、そうなの?」

 

「はい、そうです…。確か、璃月港の玉京台で彼らの一団を見かけたという話もありました。あれは大々的なものではなかったため、モンドやフォンテーヌのように話も大きく広がっていく事はありませんでしたが…」

 

雲菫はその事をじっくりと思い出していきながら、胡桃達にそう話す。

 

「成程ね…」

「へぇ…」

 

そして胡桃と香菱は興味深そうに、雲菫のその話に頷く。

 

「_スメール。スメール人達…。あぁ、そうだな。なぁ、雲菫」

 

そうしてその時、雲菫の話を聞いていた嘉明は雲菫に話しかける。

 

「はい、嘉明さん。どうしましたか?」

 

「いや、その稲妻人達とスメール人達の話だが、稲妻人達の話はともかくとしてスメール人達の話は、俺も間違いは無いと思うぜ」

 

「やはりそうですか?」

 

「あぁ、そうだ。間違いないぜ。実は俺は直接そのスメール人達を見かけたというわけではないし、そのモンド人の奴らやフォンテーヌ人の奴らのように、彼らが月海亭の中に入って行ったなんて話は聞いたことは無かったんだが、俺は璃月港で確実にスメール人達を見かけたという話を聞いたからな」

 

「確実にスメール人達を見かけたですか?」

 

嘉明の言葉に、雲菫はそう繰り返す。

 

「あぁ、そうだぜ。知っての通り俺は鏢師として色んな護送をしてきた関係で、同じ鏢師の知り合いや顔なじみの奴らが多いんだよ。それでその知り合い達が璃月港で“エルマイト旅団”の奴らを見かけたという話があったんだぜ」

 

「エルマイト旅団ですか?」

 

「あぁ、そうだぜ。雲菫。エルマイト旅団、スメールの傭兵達、スメールの戦士達だぜ。状況的に見てそのエルマイト旅団は護衛として雇われた用心棒達らしいって話だぜ」

 

「そうなのですか?」

 

「あぁ、そうだぜ。しかも俺の顔見知りの鏢師の中にエルマイト旅団に詳しい奴がいるんだが、その旅団の中には『熾鬣の獅子』と呼ばれていた女戦士の姿もあったそうなんだぜ」

 

「熾鬣の獅子ですか?」

 

「あぁ、そうだ」

 

嘉明は腕を組みながら、静かに頷く。

 

「熾鬣の獅子。そいつ曰く、スメールの傭兵の中でもかなり手練れな傭兵の戦士らしい。エルマイト旅団の中では彼女のその二つ名を知らない奴はいない程の有名人らしいぜ。そんな凄腕の戦士と言っていい程の実力者の彼女が護衛していた人物。状況的に考えてそんなの一人しかいないだろ?」

 

「っ…!?護衛対象は教令院の使者……?」

 

「あぁ、そうだぜ。流石は雲菫だぜ」

 

嘉明は雲菫のその言葉に、そう答える。

 

「へぇ…。スメールのその一団は護衛のエルマイト旅団の者達と教令院の使者…。ふーん、これは確定だね?」

 

「そうだね、胡桃。スメールの一団が使者達の一団なら、雲菫が言っていた稲妻からの一団も稲妻の幕府からの使者達や使節団の人達という可能性が高いね」

 

「うん、そうだね。香菱」

 

そして胡桃と香菱は、そう呟く。

 

「そうですね。胡桃さん、香菱さん。これで全てが繋がった気がします」

 

「あぁ、そうだな。胡桃に香菱。それに雲菫。もう全てが繋がったような気がするぜ。…な、行秋?」

 

そうして雲菫と嘉明は頷きあいながらそう言うと、嘉明は行秋の方に視線を向けながらそう話す。

 

「あぁ、そうだね。僕も同意見だ。今起きてしまっている璃月港の火災騒ぎや暴動騒ぎやその他諸々、これのきっかけとなったのは一ヶ月前に遺瓏埠で起きた出来事、そして璃月港を来訪した各国の使者達や使節団、彼らと彼らを招き入れた七星達との月海亭での会談や面会、これら全ては繋がっている。そう言う事ですよね、鍾離さん?」

 

胡桃と香菱の話、また雲菫と嘉明のやり取りに耳を傾けながら自分自身の中で見え隠れし点と点が明らかになり、そうして全てが線として繋がった事で答えを得られた行秋は、静かにそう呟きながら鍾離に視線を向ける。

 

「あぁ、そうだ。その通りだ」

 

そしてそれに対し、鍾離は行秋のその問いに対して静かに頷く。

 

「璃月港の火災騒ぎ、暴動騒ぎ。そして先の二つの騒動ほどではないものの民間人達や一般人達の退避活動や保護活動に伴う騒乱、そうしてパニックに陥った外国人同士のトラブルの騒動。そうしてまた璃月港の大混乱が招いてしまったが故の、スメール船と稲妻船の衝突事故を始めとする大惨事や惨劇。これらのきっかけは、全て行秋が述べた通り一ヶ月前に遺瓏埠で起きた出来事、そして璃月港で行われた七星達と各国使者達との会談や面会が起因している」

 

「うん、その通りだね」

「あぁ、その通りだな」

「やっぱりそうだよね」

「やはりそうでしたか」

「うん、そうだよね」

 

そうして鍾離のその言葉に賛同するかのように、行秋と胡桃達は頷きながらそう呟く。

 

「___さてと、話を戻そう」

 

鍾離はそう言うと、改めて行秋と嘉明の方に視線を向ける。

 

「お前達が璃月港の火災騒ぎや暴動騒ぎを始めとする騒動が人為的に引き起こされたものとする仮説、その仮説は間違っていないと思われる。しかも今回の騒動ははかなり計画的な物、以前より計画されていた物、少なくともそれなり以上の時間はかけ、そうして綿密に作り上げられた計画だ」

 

「っ…」

「っぅ…」

 

鍾離のその発言に行秋と嘉明は息を呑む。

 

「そして俺は当初、単純にこの騒ぎと言うのは反刻晴派の中心人物達が千岩軍から逃れる為に引き起こしたと考えていた。だが行秋達の話を聞く限りだとそれも違うようだという事が分かった。やはりこの騒動には行秋達が語ってくれた“先に居る者達”という存在が関わっている」

 

「やはりか…」

「やっぱりか」

 

「あぁ、そうだ。そうしてその者達は先程述べた一ヶ月前に遺瓏埠で起きた出来事、そして璃月港で行われた七星達と各国使者達との会談や面会の出来事をきっかけに、七星達の手によってこの日を迎えてしまうという事を事前に察知し、その者達はこの日を迎えたら今回の璃月港の混乱と騒動を引き起こす計画を画策したのだ。そうなれば_」

 

鍾離はそう言うと行秋と嘉明から視線を外す。そして彼は地面にへたり込んでいる過激派の者達やその協力者達に視線を移す。

 

「___彼らはここにいるような過激派や協力者達に関しては切り捨てたのであろう」

 

「切り捨てた?彼らを?」

 

「ここいる奴らをか?」

 

「あぁ、そうだ。もしかすると反刻晴派の中心人物達のみに関しては、先に居る者達は助け出す可能性はあるのかもしれない。だがそれ以外の者達は助ける価値無しと、見捨てたんだと思う。いわゆる、トカゲの尻尾切りといえばいいのだろうか…」

 

鍾離はそこまで言うと一度口を閉ざす。そして改めて自らが立てた仮説を再度検証するかのように顎に手を当てながら目を細め、そうして彼は一度閉ざした口を再度開く。

 

「_やはりもしかすると、反刻晴派の中心人物達のみに関しては“先に居る者達”は助け出す可能性はあるのかもしれない。その者達のみに関しては先に居る者達との直接的に関係があるが故に、もしも千岩軍達に逮捕されてしまえば自らの正体が七星達に露見してしまうかもしれないからだ。だからこそ、それ以外の者達は助ける価値は無しと、見捨てたんだと思う。自分達へと繋がる手掛かりを残さない為にも。また千岩軍の捜査の妨害を効率よく行う為にも」

 

「自分達へと繋がる手掛かりを残さない為…」

 

「千岩軍の捜査の妨害を効率よく行う為…」

 

行秋と嘉明はそう呟きながら、そして彼らは地面にへたり込んでいる過激派の者達やその協力者達に視線を移す。

 

「あぁ、そうだ。行秋殿に嘉明殿。全てはそのためだ…。そしてそれはつまり、考えたくはないが……」

 

鍾離は静かに言うと黙り込んで険し気な雰囲気を醸し出す。

それは自分が辿り着いた答えではあるが、その答えを信じたくはなく、また受け入れたくはないでいるといったような、そんな様子だった。

 

 

 

 

 

 

 

「___ま、待ってください!!鍾離さん!!」

 

そしてその時、静かに聞きこんでいた雲菫が慌てて鍾離にそう叫ぶ。

 

 

 

 

 

「_っ!?ど、どうしたんだい!?雲菫!?」

「_おぁっ!?ど、どうしたんだ!?雲菫!?」

「_っ!?び、びっくりした~!!なに、どうしたの雲菫!?」

「_っぅ!?え、どうしたの!?雲菫!?」

 

そうして雲菫が急に叫び出した事に驚いた行秋と嘉明、胡桃と香菱は驚きながらそう叫ぶ。

 

「雲菫殿…」

 

それに反応して、鍾離は静かに彼女の方へと視線を向ける。

 

 

 

「___しょ、鍾離さん。ま、まさかだとは思いますが。彼らは、先に居る者達は、そこにいる人達を、こ、殺そうとしているのではないのでしょうか?」

 

雲菫は顔を青ざめさせながら、そうして震える声でそう尋ねる。

 

 

 

「_こ、殺そうとしている…!?」

「_はぁ…!?おい!!冗談じゃないぞ!?」

「_えっ…!?嘘っ!?」

「_えぇっ…!?ちょっ、ちょっと待って!?」

 

行秋と嘉明、そして胡桃と香菱は雲菫の言葉に驚きの声を上げる。

 

「勘が鋭いな…。雲菫殿」

 

そして鍾離は、静かに呟く。

 

「しょ、鍾離さん!?」

「なっ!?おい!?マジか!?」

「嘘でしょ!?鍾離さん!!本気で言ってるの!?」

「ほ、本当に!?本当の本当に彼らを、彼らを殺すつもりなの!?」

 

鍾離の返答を聞いていた行秋や胡桃達はそう叫ぶ。

 

「あぁ、そうだ。俺もそんな事など、考えたくはない。だが俺の考えが正しいとするならば、“先に居る者達”にとっては彼らは丁度いい囮であり、また璃月港を混乱の渦中に引きずり込んでいくのに、最も適した者達だ」

 

「丁度いい囮…?」

 

「最も適した者達…?」

 

「あぁ、そうだ。行秋殿、嘉明殿」

 

鍾離は頷きながらそう言うと、続きを話し始める。

 

「“先に居る者達”は俺の想像以上にこういう集団心理的な事、または大規模な人心掌握術、そう言った事に長けているのだと思う。彼らの最終目的は先程俺達が述べた通り、自分達へと繋がる手掛かりを一切残さない事。そしてそのためのそれというのは、七星達や千岩軍の捜査の妨害だ」

 

「うん、そうだね。鍾離さん」

「はい、そうですね。鍾離さん」

「うん、そうだよね。鍾離さん」

 

鍾離の言葉に胡桃や、雲菫と香菱は頷く。

 

「あぁ、そうだ。そして彼らの最終目的を達成するには至ってシンプルだ。璃月港で捜査が行えなくなるほどのそれ以上の事態を引き起こし、璃月港全体を混乱の渦中に引きずり込んでしまえばいい。つまり流言や煽動を巧みに行った上でそれらを拡散させ、そうして璃月港の情勢を不安定化、璃月港を七星達の制御下から離れさせることこそが彼らの、“先に居る者達”の真の狙いだろう」

 

「璃月港の情勢の不安定化?」

 

「璃月港を七星達の制御下から離れさせることだって?」

 

「あぁ、その通りだ。行秋殿、嘉明殿。璃月港が七星達の制御下から離れさせる。それはつまり璃月港の七星達によって保たれていた治安や秩序を崩壊させる事を意味し、そしてそれは璃月港内で疑似的な内戦騒ぎやクーデター騒ぎを意図的に引き起こす事に繋げさせるという事だ」

 

「内戦騒ぎだって!?」

 

「クーデター騒ぎだと!?」

 

行秋と嘉明は、鍾離の言葉に驚愕する。

 

「あぁ、そうだ。彼らにとっての理想は救う価値のない反刻晴派の者達やその協力者達が、あの怒り狂っている労働者達によって殺されてしまう事。だが仮にその理想が叶えられなくても問題は無い。最低限、彼らが暴行を加えられたり、危害を加えられたという事実さえあればな」

 

鍾離は冷静さを保ちながら彼らにそう説明を続け、更なる説明を行う。

 

「あの大男達が完全なる暴徒と化し、そうしてそこにいるような反刻晴派の者達や協力者達に暴行や危害を加えてしまえば、千岩軍達はそれを止める為にやむを得ず彼らを拘束や制圧する為に武力行使を行うだろう。そして千岩軍にそんな事をされたら、暴徒と化した大男達も黙ってはいない。彼らへ必死の抵抗、反抗するだろう。無論そんなことをされてしまった千岩軍達も本格的に応戦せざるを得ない。そうしてそうなれば璃月港内で本格的な武力衝突が勃発したという事実が残ってしまう。そしてその事実が、璃月港を一気に最悪な事態へと導いてしまう」

 

「武力衝突…。ま、まさか…。彼らのやり口からして…」

 

「最悪な事態…。いや、待てよ。まさかよ…」

 

「あぁ、そうだ。行秋殿、嘉明殿。彼らのやり方からしてその事実を好きなように脚色して、一気に璃月港中に流言を拡散させて煽動させてくるはずだ。例えば『港湾区にいた労働者達が一斉に暴動を起こして千岩軍を襲い、襲われた千岩軍も応戦を始めた』、『暴動を起こした労働者達に呼応するかのように一部の千岩軍の兵士達が彼らに寝返り、元の千岩軍の兵士達に攻撃を始めた』、『港湾区、並びにチ虎岩区のあちこちで大規模な衝突が発生。彼らは自らをクーデター軍と称して徹底抗戦を主張し、また彼らに集うかのように更にいくつかの千岩軍の部隊達が彼らの元に合流した』、『一部のクーデター軍がチ虎岩区の千岩軍を振り切り、そして月海亭のある玉京台地区へと進軍する為に、緋雲の丘地区へと進撃を開始した』などといったような事をな……」

 

「っ…!!」

 

「っぅ…!?」

 

行秋と嘉明は、鍾離のその言葉に戦慄する。

 

「_成程ね。つまりそうしてその話が璃月港中に拡散しきってしまえば、後は例えば千岩軍の兵士に変装して伝令兵に成りすました“先に居る者達”や彼らの協力者達が、緋雲の丘地区にいる千岩軍達に七星達からの命令として『間もなくチ虎岩地区から来る千岩軍の部隊はクーデターに加勢した部隊であるから、即刻彼らを制圧せよ』との偽の命令や、もしくは逆に『チ虎岩区へ向かおうとするその部隊はこれからクーデター軍へ合流しようとしている部隊であるから、彼らの合流を阻止してその部隊を無力化せよ』なんて偽造された命令を、疑いも無く彼らは受け取ってしまうね」

 

「うむ、その通りだ。堂主殿」

 

「だよね。鍾離さん。虚言とはいえ璃月港中でそんな話が広まっていて、本当の事かもしれないと思っている最中で七星達の命令として受け取ったら、彼らはそれらを受け入れてしまうね。そうしてその命令を受け取ってしまえば最後、千岩軍は疑う事も無く味方の千岩軍達に攻撃を加えてしまう、ということになっちゃうね」

 

そうして胡桃は鍾離が語った話から、そう結論付ける。

 

「はい、そうなりますね。胡桃さん。それが彼らの筋書き、この騒乱のシナリオという事ですね…。非常に不味いです。このままでは璃月港で千岩軍達の同士討ちが璃月港内のあちこちで多発してしまうのではないでしょうか。それに先ほどの火災騒ぎ、放火疑いの件もあります。万が一、緋雲の丘地区で火事が発生してしまえば彼らの工作が更に拍車がかかってしまいますし、彼らのやり方からしてそれを仕掛けてくることも十分に考えられます」

 

「本当だよ。胡桃、雲菫。それにそんな話が流れてしまえば、なおさら状況をよく知らない民間人達や一般人達、それに外国人は更にパニックに陥っちゃうじゃない。それに緋雲の丘地区で千岩軍同士が争い始めたなんてなっちゃえば、一般人達の彼らから見たら本当にクーデター軍と千岩軍が戦っていると受け止められちゃって、彼らが広めた嘘が真実であったなんて事にされちゃうかもしれない。そうなればもう、璃月港はおしまいだよ」

 

「あぁ、そうだ。雲菫殿、香菱殿。そうなってしまえば璃月港の事態はもう、七星達もそう簡単には手を付けられない程の深刻な状況に陥ってしまうだろう。一気に璃月港の秩序は崩壊、また璃月港の大混乱のせいと散布された偽の命令のせいで半数以上の千岩軍が七星達の意に沿わない行動を取ってしまい、大多数の千岩軍は結果的に七星達の統制から外れてしまう。そうなればいよいよ璃月港は七星達の制御下から外れてしまい、疑似的な内戦状態、また最悪な場合だと無政府状態へと陥ってしまうだろう。そうなればもう、反刻晴派騒ぎどころではなくなってしまう。言うなれば彼ら、先に居る者達の“璃月港転覆計画”によって…」

 

雲菫と香菱は冷静を装いながらも冷や汗を垂らしながら、胡桃の言葉に同意するように彼女の言葉に付け加えるようにそう語り、そうして鍾離もかなり深刻そうな様子でそう言う。

 

 

 

 

 

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

 

そうして行秋と嘉明、また胡桃達は現在の璃月港の状況を前にして、遂に完全に沈黙してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行秋が耳にした煙緋と甘雨が語っていた姿なき“先に居る者達”。

 

 

彼らが計画したあまりにも恐るべき計略や策略。

 

 

璃月港を虚言にまみれた大混乱の渦中に引き摺り込み、そしてその嘘偽りを真実にしてしまう事で実質的に七星達の手足となっていた千岩軍達を無力化させていく“璃月港転覆計画”。

 

 

 

 

当初は千岩軍の大部隊達の兵士達、それに加えて月海亭や総務司を中心とした大勢の職員達による反刻晴派の大規模な検挙、そして一斉に拘束や逮捕をしていく計画であり、実際に予定通り大部分の対象者の逮捕に成功した。あとは不手際で逃亡を許してしまった者達の捜索や追跡を行い、彼ら全員の拘束に成功さえすれば璃月港での反刻晴派騒ぎの騒乱は無事に終息するはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが最後の最後で、彼らの“璃月港転覆計画”が発動されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

“璃月港転覆計画”という綿密な計画に基づかれた暗躍計画、それの一環として璃月港の港湾区で密かに行われていた“煽動”と“放火”。

 

 

これにより港湾区内での大規模な“暴動騒ぎ”や“火災騒ぎ”が勃発。

 

 

暴動騒ぎから一般人達らへの退避勧告や避難誘導の混乱、パニックに陥った外国人達同士のトラブルへ派生。火災騒ぎから緊急出航したスメール船と稲妻船との衝突沈没事故の発生までへ派生。

 

 

 

今までは千岩軍達や職員達、そして七星達の思うように事を進めてきたのだが“璃月港転覆計画”の始動によって、主導権が完全に“先に居る者達”へと奪われてしまった。

 

 

 

そうして千岩軍達や職員達が事態の掌握へと苦戦している最中で、“先に居る者達”は悶え苦しむ彼らを弄ぶかのように次の段階への移行の準備を進めており、後は逃亡して追い詰められた反刻晴派の者達の身柄を巡って、千岩軍達と暴徒化しつつある刻晴を慕う大男達との衝突という火種、それが生まれるのを待っている状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

「…っ!!」

(本当にふざけるのも…!!)

 

 

胡桃は拳を握る。その肩を震わせる。彼女が滅多に見せる事のない怒りという感情が、その体の中で大きく渦を巻いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前の千岩軍達と大男達が衝突してしまえば、一気に彼らの“璃月港転覆計画”が最終段階へと移行してしまう。

 

 

 

 

そうなればこの衝突という事実がすぐさま港湾区中を駆け巡っては双方が騒ぎに集まって更に騒ぎが大きくなってしまい、そしてそれを彼らは歪めさせた形で更に拡散して扇動していくだろう。

 

 

そしてこの衝突を利用して港湾区と一部チ虎岩地区内でクーデター軍と千岩軍との戦闘が発生したという話を璃月港中にばら撒き、そうしてチ虎岩地区全域までクーデター軍と千岩軍の戦闘が拡大、クーデター軍が月海亭に向けて進軍を開始したという虚言を拡散していって、璃月港を完全に大混乱の渦中へと引きずり込まれていくであろう。

 

 

そうして璃月港内にいる千岩軍達は璃月港中が大混乱に陥ってしまったせいで、正常心や判断力も奪われて失われてしまう。

 

 

そしてそんな状態の彼らは、“先に居る者達”が用意した七星達からの偽の命令や偽造した命令書を疑問を抱くことなくすんなりと受け取ってしまう事になる。

 

 

そうしてしまえば最後、もう取り返しのつかない結果となる。

 

 

 

 

 

 

 

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

 

 

そして胡桃を除く彼らと彼女達は各々にその顔を歪ませる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

璃月港のあちこちで千岩軍達同士がお互いがお互いを敵と認識して争いを始めて、璃月港内は完全に内戦染みた状況へとまっしぐら、璃月港は戦火の炎に覆われる事になってしまうだろう。

 

 

 

 

そしてその行き着く先は、璃月港が七星達の制御下から離れてしまうという結果。

 

 

 

 

玉衡を守り切った対価として、七星達が大切にしていたものが代償となる結末だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

そうして胡桃は独り顔をしかめる。

 

 

 

 

 

それは七星達の手から離れた千岩軍達が暴走した証。

 

 

戦乱の爪痕や燃え広がった戦火の焼け跡が刻まれる事になった破局。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_代償の街、璃月港。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのような破滅的な結果を招く事になりかねない。

 

そして今の璃月港は、その破滅的な結末に向かっている最中であった。




次回、いよいよクライマックスへ。

あと4話で、何とかこの刻晴過去編を終わらせていければと思います。


それでは次回の投稿まで、また今しばらくお待ちください。


—————
追記1
・前書きの部分に一部誤りがありましたため修正を行いました。(一ヶ月以上→一年以上)
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