今回は前回の予告通り、第8幕の続きです。
ようやくオリ主こと“彼”が直接的な表現や明記等はしていないものの、ようやく刻晴達の前に姿を現します…。(本当に一年以上ぶり……)
それでは、2話目をお楽しみください。
Side:刻晴
「はい。なんでも“璃月艦隊”はその後に確か、『孤雲閣』近辺の海域でモンドのドーマンポートからやって来た“モンド艦隊”と、稲妻の離島からやって来た“稲妻艦隊”と合流を果たし、そうして三ヶ国合同艦隊としてスメールの『オルモス港』へと向かうという話がありました。以前に総務司からその事に関する通達がやってきて、その時の私は特に気にも留めてはいなかったのですが…。ただ、ここまで大事みたいなことになってしまうとは思ってもいませんでした…」
「成程ね…」
(なんだかすごいわね…。一体何が始まるのかしら……?)
甘雨は思い出すかのように視線を上の方向にあげながらそう言い切り、そうして改めて目の前に広がっている“圧巻するかのような光景”に呆気に取られ、また刻晴も腕を組みながら“目の前の光景”に目を丸くさせる。
「凄いわね。甘雨…」
「はい、そうですね。刻晴さん…」
刻晴と甘雨はお互いにそう言いながら、“目の前のその光景”にただただ圧倒される。
“目の前のその光景”。
それは璃月港の埠頭の方に広がる光景。
艦首から艦尾に平行になるように帆を吊り下げて錨を下ろしていた船達。
少なくとも十数隻以上には及ぶほどの、大きな船体から少し小柄な大きさの船体までといった様々な大きさの武装船達が、港の桟橋や埠頭に沿って綺麗に並んで停泊している光景が広がっていた。
「………」
「………」
刻晴と甘雨は言葉を失う。
二人は船の事はよく分からない。
だが見える限りだと船上の上に置かれている“それら”や船に搭載されていた数多くの“それら”。
銛や大小の弓に頑丈そうなロープ。
そして武装船の主力兵器であろうずっしりと重そうな大砲の砲台。
そうして一部の船には空に向かってその砲身を向けている巨大な弩弓。
それらが各船には搭載されており、また一定以上の大きさの船には搭載数にそれぞれ違いはあれども、その条件に該当する船隊の各船には大きな弩弓が備え付けられていたため、武装船達の全体の戦力というのは非常に強力な戦闘力を保持した艦隊であるという事が分かった。
「_それにしても、本当に壮観だな…」
「_あぁ、そうだな。まさかこの璃月港で、こんな光景が見れるなんてな……」
「_凄いな…。はっ!?おい!!手を休ませるな!!この光景に見とれてサボるんじゃないぞ!!まだまだやらないといけないことがあるんだからな!!」
「_あぁ、全く凄いな。この艦隊ってあれか、例の“南十字武装船隊”の?」
「_そうらしい。それに船隊旗艦の『死兆星号』もこの璃月港に停泊しているみたいだ」
「_そうなのか?それなら一目見てみたいな。その船は璃月港のどこに停泊しているんだ?」
「_あぁ、それならあの奥の方に一隻だけ停泊しているあの大きな船だ。艦首に龍を模した装飾が施されていている船だ」
「_ほぉ、どれどれ。あれか?“動作の確認中なのか分からんが、艦首の方にある一基の弩弓が動いている”あの船か?」
「_うん?どうしたんだ?あんなに人が集まって…。はぁっ…!?」
「_うん?な、なんだ…!?あの船達は……!?十隻以上もあるぞ!?」
「_こ、これは、いったい…!?今日、何かあったか……!?」
「_す、凄い光景だ!!あ、そうだ!!写真機!!写真機はどこだ!?こんなのはめったに見られないぞ!!」
そうして刻晴と甘雨以外の通行人や埠頭や桟橋で働いている労働者や彼らを取り纏めていた職員達感嘆の声を溢し、またそして埠頭の辺りを巡回していた千岩軍の兵士達もそんな一同と同じ方角に視線を向ける。
彼らは目の前の迫力のある光景に圧倒されて思わず足を止めてしまい、そうしてそれによってここを訪れた他の者達もまたその迫力ある光景に吞まれてしまい、彼らもまた思わず足を止めてしまっていた。
「……へぇ」
(…船隊旗艦、それの『死兆星号』という船までもが来ているのね……)
刻晴はふと聞こえてきた『死兆星号』とい言葉に反応するかのように、ふと心の中でそんな言葉を呟く。
“南十字船隊”。
それは船長の“北斗”が率いる璃月を拠点とする武装艦隊。
大胆な冒険、そして数多くの航海を繰り返してきたことで、テイワットの武装船隊の中でも特に有名な武装船隊だ。
そうしてその“南十字船隊”の船隊はこの璃月を根城とした艦隊である事で、また幾多の航海を経てきた璃月の歴戦の船隊とも言える。
「_本当に凄いわ……。まさに圧巻ね……」
「_本当にそうですね…。凄い光景です……」
そうして刻晴は呆然としながらそう呟くように言い、そんな刻晴の言葉に甘雨も頷いて同意する。二人は少し歩くペースを落としながら、埠頭の光景を眺めながら歩く。
せわしく船上を駆けていく船乗り達に、船に乗り込んでいく船員達。
そうして港の桟橋や埠頭に沿って綺麗に停泊している武装船隊の艦船達を一目だけでも見ようと璃月港中から集まってきた璃月港の住民達。
また公務中にも関わらずさりげなく立ち寄って足を止めていた七星八門の職員達や千岩軍の兵士達、また埠頭で働いている労働者達。
「…凄い」
「…はい、本当にです」
刻晴と甘雨がそんな圧巻的光景に見惚れながら歩いていく。
___その時であった。
「___きゃっ!?えっ!?なに、今の!?」
「___おわぁっ!?な、なんだ!?」
「___な、なんだ!?爆発…では、なさそうだが……?」
「___ぐっ!?い、今の大きな音はなんだ!?」
___それは璃月港の港湾全体に響き渡る巨大な音。
璃月港に響くような何かの音、何かを弾いたかような巨大な音が響き渡っていた。
そうして武装船隊の近くに集まっていた住民達や職員達、また千岩軍の兵士達や港湾の労働者達関係なく謎の巨大な音、何かの音で思わず驚き、そして璃月港の埠頭や桟橋にいた者達は何事かと辺りを見回す。
「_っぅ!?い、今のはなに!?」
刻晴は突如聞こえてきた轟音に驚き、思わずキョロキョロと辺りを見回す。
「_っ!?今のは!?」
甘雨も目を見開きながら辺りを見回す。
「___ぁっ、刻晴さん!!あれっ!!」
そうして璃月港にいる全ての者達が唖然となる中、甘雨は誰よりも真っ先に“それ”の存在に気づき指差して刻晴に言う。
「___えっ?」
刻晴は甘雨の指差す方向へと目を向ける。そして思わず目を見開き、驚きと共に声を漏らす。
「えっ…!?」
(な、なに…!?あれ!?)
甘雨、そして刻晴の視線の先に合ったのは“巨大な矢”ではあるのだが…。
「___あれって“矢”…よね?」
(___矢…にしては、なんで真ん中に大きな“翼”みたいなものが生えてるのかしら……?)
その弩弓から放たれた“矢”は真ん中あたりに横に大きく広がったどこか“翼”のようなもの。また後方にもその真ん中辺りの翼より短いものの、それでも真横に伸びているこれも翼のようなもの。
言うなれば“水平安定板を取り付けた矢、もしくは主翼や補助翼を取り付けた飛行物体”とも言えるだろうか…。
「それに……」
(あの大きな翼の上に立つように矢の中央にある“あれ”も何かしら?)
刻晴は訝しむように“それ”を見る。
「_あれって、矢なの?真ん中に付いている翼のような物付きの矢、いったい何なのかしら?」
「_あれは単純に長く飛ばさせるための物じゃないのか?ほら、鳥が翼を使って滑空するように」
「_そうか?ならあの大きな矢中央にある“翼の上に立ってある灰色の何か”はなんだ?」
「_ん?どれどれ?…いや、分からんな。あれは一体なんなんだ……?」
その場に居た彼らは、みんな一様に不思議そうにしながら海から空へと射出された矢、そうして悠々と滑空する“それ”を見て、声を漏らしている。
「___えっ!?待ってください!!」
その時突如、目を細めて大空を見つめていた甘雨が驚きの声をあげる。
「___っ!?どうしたの、甘雨!!」
そうして刻晴も同じく目を見開きながら甘雨に問う。
「_あの“まるで翼の上に立っている灰色の何か”、あれって“人間”ではありませんか!?」
「_えっ…!?えぇっ!?に、人間!?甘雨!!何かの間違いなんじゃないの!?」
(噓でしょ!?人が飛ばされたってこと!?)
甘雨の指摘に刻晴は思わず目を見開く。
「はい!間違いないです!あれは確かに人間ですっ!」
「本当に!?ならなんで人間が矢の上に立ってるのよ!?」
「そんなの分かりません!!」
甘雨の言葉に驚愕し、刻晴は甘雨にツッコミを入れるように言うが、甘雨もまた刻晴と同じように驚きを隠せない様子でそう答える。
「_はぁっ!?に、人間だと!!」
「_えっ!?あの灰色の何かって人なの!?」
「_おいおい嘘だろ!?人があんなものの上に乗れるわけが…!!」
「_えぇっ!?人!?でもあれが人なら直ぐに落ちるんじゃ…」
甘雨の指摘や刻晴のツッコミの声が耳に入った近くの住民達や職員達、また港の労働者達や千岩軍の兵士達が皆一様に驚きの声をあげながら、大空に浮かぶ矢の上に立っている人らしき存在に注目する。
そうしてまた、その時であった。
「___あぁっ!?おいおい今度は、“あの灰色の何かから『黄金の翼』が生えてきた”ぞ!!」
その時、驚きの声を上げてその矢の上に立っている人らしき存在に注目していた一人の千岩軍の兵士が、大空に浮かぶ矢の上に立っている人らしき存在から突然『黄金の翼』が生えてきたのに気づき、そしてそう声をあげる。
「_なぁっ!?」
「_はぁっ!?」
「_えぇっ!?」
「_あぁっ!?」
その兵士の言葉にその近くにいた者達や港にいた労働者達、またそうして足を止めていた璃月港の職員達や千岩軍の兵士達は皆一様に驚きの声をあげながら矢の上に立っている人らしき存在を見る。
「_えっ!?『黄金の翼』が生えてきた!?」
「_っぅ!?い、いったい…!?」
刻晴、それに甘雨も驚いてその矢の上にいる人らしき存在を再び見る。
「うわぁ…」
(ほ、本当に生えている。えっ、でも、翼が生えてくる…?あ、あれって、ひ、人なの……?)
刻晴は矢の上に立っている人らしき存在から、突如『黄金の翼』が生えてきた事に驚きながらまじまじと見つめる。
「っ……!!」
そうして甘雨もその光景を見ると同時に、あまりにも衝撃的であったのか口を両手で抑えながら、その矢の上に立っている人らしき存在を驚愕の表情で見つめる。
「…いや、待ちなさい……!!あれってもしかして、___」
その時、刻晴はまるで電流が脳を流れたかのように目を見開き、そして思わずそんな声をあげる。
「___あれって“風の翼”なんじゃないの!?」
刻晴は矢の上に立っている人らしき存在から生えてきたその『黄金の翼』の正体をそう指摘するかのように声を張り上げる。
“風の翼”。
それは端的に言えば、空中を滑翔するための必要な道具。
風の国、モンドで開発された飛翔器具であり風に乗って空を舞うことができる代物だ。
主にモンド人達を中心に使用する滑翔器具であったが、風の翼のその有用性や利便性から今ではモンド人達だけでは無く、冒険者協会の冒険者達を中心とする一部のテイワット各国の冒険者達もこぞって愛用したりしている物だ。
「ふむ………」
「か、風の翼ですか…。た、確かにそうだと思います。そうじゃないと、色々とおかしいです…」
刻晴は静かに大空を舞う矢の上に立っている人らしき存在を見据え、甘雨も静かに刻晴の言葉に同意する。
それはおおよそ二千年前のレナードという引退したモンド人の冒険者が発明、そして設計を行った代物。
そうしてそのレナードの風の翼が長い年月をかけて改良、改善され続けていく事で現在の風の翼が成り立っていったものであったものだ。
完全に偶然であるが、刻晴は先日の夜にたまたまモンドの歴史に関する書物を読んでおり、そうしてそこに偶然ではあったが風の翼の内容の歴史を知った。
そうしてそんな偶然から刻晴は、甘雨が言っていたあの巨大な弩弓から放たれた矢の上に立っている人らしき存在のそれが、“風の翼”であるという事に気づいたのである。
「_“風の翼”ですって?」
「_“風の翼”という事は、あの灰色の者はモンド人という事か?」
「_いや、普通に冒険者かなにかだとは思うけど?」
「_どのみち、あの放たれた弩弓の翼の上を跨るように乗っている者の事だ。只者では無い事は確かだな」
刻晴の甘雨への指摘を聞いていた璃月港の住民達や労働者達、そうして完全に足を止めていた七星八門の職員達や千岩軍の兵士達は皆、矢の上に立っている人らしき存在を見てそんな言葉を溢す。
「___っぅ!?」
そうして弩弓から放たれた真ん中で横の方に大きな翼が生えている独特な矢、そうしてその上に立つ風の翼である『黄金の翼』を背にしていた『灰色の者』に更なる変化が訪れ、それを目の当たりにしていた刻晴は目を見開かせる。
「__あの弩弓の矢と『黄金の翼』が、ぶ、分離した!?」
「_弩弓の矢に乗っかっていた『灰色の者』が、弩弓の矢から足を離しました…!!」
刻晴と甘雨は矢の上に立っていた『灰色の者』が、弩弓から生えている大きな翼に跨るように乗っかっていた状態から、その大きな翼から離れ始めた事に驚きの声をあげる。
「_おぉ、別れていくぞ!!」
「_矢が海に落ちてゆくぞ!!」
「_っぅ!?あの『灰色の者』!!上手く滑空できたのか!?全く落ちないぞ!?」
「_むしろ、あの『黄金の翼』!!あの者、落ちるどころか少しずつ上に上がってないか!?」
野次馬のように騒いでいた千岩軍の兵士達や、璃月港の労働者達や住民達、七星八門の職員達は更に一斉に声を上げる。
彼らの目の前にあったのは、矢の上に立っていた人らしき存在が真ん中に大きな翼があった矢から徐々に離れ、そうして真ん中に大きな翼があった矢は失速でもしたかのように降下角を増しながら海へと落下していき、矢が着水して水飛沫を上げながら海中に没してゆく光景。
そして弩弓の矢に跨っていた『灰色の者』、『黄金の翼』はまるでそのまま自身の風の翼を羽ばたかせているかのように、そのまま滑空して高度を上げていく光景。
それらの光景を彼らは目撃し、全員がそれぞれ驚きの声をあげながら口々にそう言う。
「す、凄い…」
(…あの『黄金の翼』、そして大きな翼付きの矢と言うのは、“南十字武装船隊”の旗艦、『死兆星号』から射出されたのかしら……?)
刻晴は目を見開きながら静かに呟き、そう思考する。
「そうですね、刻晴さん。とても、信じられません…」
そして甘雨も矢の上に立っていた人らしき存在が弩弓から放たれた巨大な矢から離れるように、そうして自らの意志で飛翔して高度を上げていくような光景に、驚きの声をあげながら見つめ続ける。
この武装船隊のどの船から射出されたかのかは分からないがここに集まっていた住民達、思わず手を止めていた港湾の労働者達に、この場を訪れて足を止めていた七星八門の職員達や千岩軍の兵士達から聞こえてきた今までの会話を思い出すに、この武装船隊の旗艦から弩弓の矢が発射されたのは間違いないであろう。
「………」
刻晴は無言になって、只々目の前の光景に目を奪われる。
今までの一連の出来事というのは、例えるとしたら海上の艦艇群の旗艦である空母とも言える艦艇から、その空母の艦載機である戦闘機が一気にある程度の高高度に上昇するために推力剤を吹かしながら発艦、上昇を行いながら上空へと飛び立っていく光景だ。
そうしてある程度の高高度まで上昇した瞬間、まるで役目を終えた推力剤を手放すかのように空中投棄を行いながら本体の戦闘機は目標の高度まで空中へと浮かび上がるかのように、そのままその戦闘機が空中を突き進んでゆく光景に近いのかも知れない。
刻晴は只々無言になって、ただその光景を目を奪われるように見つめることしかできなかった。
「_おい、俺達って夢でも見ているのか?風の翼ってあんな風に飛び回れるものか?」
「_信じられん…。あれが本当の風の翼の使い方とでも言うのか…?」
「_あんな自由に空を飛べるなんて。本人が熟知しきっているからなのかな…」
「_風の翼、完璧に使いこなせればあんな事が出来るのか……」
璃月港の人々、労働者達や住民達、そして千岩軍の兵士達と七星八門の職員達は皆一同に言葉を失いながらそう呟く。
只々驚愕の表情を浮かべながら、矢の上に立っていた人らしき存在が自身の意志で飛翔して高度を上げていくような光景に目を奪われる。
『灰色の者』、『黄金の翼』、その者の並みならぬどころか、異次元レベルの飛翔術にそれを見ていた璃月港の者達は誰もが開いた口が塞がらない。
「___総員配置!!総員配置!!全員!!それぞれの配置に付けぇ!!」
「___“総大将の右腕”が無事に発艦したぞ!!いよいよだ!!」
「___“黄金の翼”か…!!はっ、頼もしすぎるぞ!!あれが南十字船隊の、そして‘総大将’、‘死兆星号の船長’ご自慢の“航空戦力”という訳か……!!」
「___急げ!!急げぇ!!“あの男”が‘孤雲閣’にまで到達するのには、そうは時間が掛からないはずだ!!」
その時、璃月港に停泊していた南十字武装船隊の各船の船乗りや船員達が一斉に騒ぎ出し、そうして物音が響き渡り始める。
「_えっ?」
「_な、なんですか?」
刻晴と甘雨は突然騒がしく、そうして南十字武装船隊の船上で慌ただしく動き始めた船乗り達や船員たちの様子を見て、そんな声をあげる。
「_総員配置!!いつ“合図”が来ても良いように準備を進めろ!!“黄金の翼”が、‘孤雲閣の上空’まで飛翔し無事にモンド艦隊と稲妻艦隊が‘孤雲閣’の周辺海域に航行してこれているかを確認し、問題が無いことを確認できた場合には璃月港まで戻って俺達に合図を出して“南十字武装船隊”の船や、俺達南十字武装船隊の元に合流した船の全船は璃月艦隊として出航するからな!!」
「_おい!!確か予定通り行けば、俺達は‘孤雲閣’でモンド艦隊と稲妻艦隊と合流、そうして合流しながら三ヶ国合同艦隊として改めて艦隊の陣形を整えながら航行しつつ、スメール艦隊やフォンテーヌ艦隊達等との最終合流地であるスメールのオルモス港にまで向かうんだったよな!?」
「_その通りだ!!問題が無ければ“あの男”はそのまま璃月港上空を通過し、そのままスメールのオルモス港まで直行してオルモス港で待機中のスメール艦隊や、合流のためにオルモス港付近の海域を航行中のフォンテーヌ艦隊等にこの事を伝達する!!そうなれば、その後はいよいよ…!!」
「_おぅ!!いよいよ、“総大将”、南十字武装船隊旗艦の“死兆星号の船長”の“長き夢”、また俺達命知らずが共が集った“目的”でもある『冥界巨獣の“海山”を打ち倒す』という夢を実現させて、新たな俺達の“伝説”を作る時が来たという事だ!!」
「_あぁ、そうだ!!ようやく!!ようやくだ!!ようやく決着を付けられる!!そして俺達はいよいよ、“伝説”になるぞ!!“伝説”になってやろうぜ!!」
「_はははっ!!そうだな!!お前ら!!集った船乗り達に数多の数の船達、そうして七国出身関わらず集った者達の艦隊、“テイワット連合艦隊”としてこの偉業を成し遂げ、そうしてこの場に来れなかった仲間達や友人達、それに家族たちに自慢してやろう!!」
南十字武装船隊の船乗りや船員達は、港の埠頭や桟橋等と固定されていた梯子やロープと言った物を外しながら、口々にそう言い合いながら作業を進めて行く。
「“長き夢”、“伝説”…。それに“冥界巨獣”の『海山』……?」
(いったい、何の事かしら………?)
刻晴は船隊の船乗り達や船員たちが口にする言葉に疑問符を浮かべる。正直、刻晴の耳に入って来る彼らの言葉の意味や話の内容は刻晴には理解できないが、だがその話の熱量、また彼らの士気の高さに関しては刻晴にも強く伝わってきた。
「_“冥界巨獣”の『海山』…ですか?」
そうして刻晴の隣に立つ甘雨は、“冥界巨獣の『海山』”と口にしながら何かを思い出すかのように思案する。
「あら甘雨、何か知っているの?」
刻晴はそんな甘雨に、そう声をかける。
「はい。“冥界巨獣”の『海山』については噂程度ではありますが、確かに聞いたことがあります」
甘雨は刻晴にそう答える。
“冥界巨獣”の『海山』。
それは主に璃月と稲妻の両国にて共に「鰭が冥海となり、尾が遠山を指す」と謳われ、恐れられている海獣。
文字通り『海の山』を思わせる巨獣で、姿は魚にも龍にも見え、一撃で数十メートルの波を起こせる正しく正真正銘の海の怪物とも呼べる存在である。
船旅をしている最中、この海の怪物と遭遇してしまった船の命運と言うのは、その全てが海山によって海の底へと引きずり込まれ、そうして沈んでしまうという運命にあるとの事。
そしてその海の怪物を討伐しようと命知らずの者達が幾度とこの海に出て、数多のその命を散らしてきたと言われているほどだとか…。
「_成程ね。甘雨。“冥界巨獣”の『海山』…。正しく、『海に潜む化け物』と言っても過言ではないのね……」
刻晴は甘雨の話を聞き、その巨大な海の怪物に対してそう呟く。
「はい、そうですね。刻晴さん。南十字武装船隊、彼らが言う“テイワット連合艦隊”が『海の化け物』に挑むという事ですから、本当に驚きです」
「えぇ。本当にね……」
刻晴は甘雨の言葉にそう答えると、視線を何気なく先ほどまで“黄金の翼”が飛んでいた璃月港の港湾上空へと向ける。
「___あれ?」
(…いないわね)
璃月港港湾上空に視線を向けた刻晴は、先ほどまでそこに存在していたはずの“黄金の翼”の姿が見えない事に気が付く。
「えっ、もしかして…」
刻晴は先ほどまで南十字武装船隊、璃月艦隊の船乗りや船員達が話していた内容を思い出し、まさかとは思いながら“孤雲閣の上空”へと視線を向けてみる。
「___っ!!」
(いた…!!)
刻晴は目を見開く。
そこには確かに“孤雲閣上空”で孤雲閣の外周を飛行するように、大きく旋回しながら飛翔をする『黄金の翼』の姿があった。そうして『灰色の者』の風の翼は太陽の反射も相まって、その風の翼の黄金の輝きが孤雲閣上空で煌々と輝きを放っていたのであった。
それでは次回はまた第7幕の【_総員敬礼!!外部特別顧問検察官様!!】の続きを行いたいと思います。
連休は終わってしまいましたが、なるべく早めに投稿できるように頑張りたいと思います。(取り合えず一週間後辺りを目途に投稿できるように頑張っていきたいと思います。)
それではまた、次回の投稿までしばらくの間お待ちください。