発破温度:218°C   作:ふぃーあ

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2nd Day-1《Call Sign:OO Meet……》

 あたしは美甘ネル。ミレニアム最強、約束された勝利……コールサイン:OOなんてもんを貰ってる、C&Cのリーダー。

 

 それに気付いたのは奇跡みたいなもんだ。起爆した爆弾、今まで避けるために取っていた距離の、僅かに外側に広がった爆風。最初は、あたしの感覚が狂ったのか、妙なこともあると思った。事実として、アスナは避けきっていたから、なおのこと。

 

 でも、2発起爆された手榴弾が、起爆点からそう近くにあった訳でもない道路を支える柱に少しだけヒビを入れてやがったのに、たまったま気が付いた。

 

 あたしが言うのもなんだが、ミレニアムのヤツらは頭がおかしい。この柱だって、防弾、防爆、防震の3防完備の変態技術の賜物。だから、怖気がした。

 

「リーダーっ! 何見てるのー? ……これ、ヒビ?」

「……あぁ。アカネ! 来れるか!」

「はい、リーダー……どうされたのですか? そのような真剣な顔で、柱など見て」

 

 アカネにあたしは手招きをした。そばに寄れ、これを見ろと。

 

「ヒビ……ですか? 道路の柱に……これは少し怖いですね」

「でもでも、リーダーがそんなに考え込むような事じゃないよねー? なにか、気にかかったことでもあるのかな?」

「キヴォトスではこの程度の損傷、いつもの事と思いますが」

 

 2人が言うのを耳にしながら、あたしはひとつ心の中で決めたことを実行する。

 

「なぁ、アカネ。手榴弾ひとつくれ……あたしが責任取ってやる」

「え? はい……これでいいですか?」

「構わねぇ。写真撮ってから……よし、下がっとけよ」

 

 比較用に写真を1枚、スマホに撮ってアスナに投げる。アスナがそれをキャッチしたのを見てから、ピンを抜いた手榴弾を前に放り……

 

「はっ!」

「おおーっ!」

「お見事です」

 

 空中の手榴弾を撃ち抜き起爆させる。そして煙が晴れたその後に、あたしは頷いた。そうだろうとも。

 

「アスナ、アカネ。写真とこれを比較しろ……たぶん、新しいデケェヒビは入ってねぇ。元からあったヒビが僅かに広がるくらいだ」

「……本当だ! ほら、多分広がったのは……ここ! でもこれだけだよ!」

「…………この結果、まずいのでは?」

 

 アカネは考えが回ったようだ。爆弾のことにかけてはアカネはなかなかのものだから、やっぱりあたしと同じ所に行き着く。

 

「種明かしだ……アカネ。この柱はミレニアムの新素材開発部の素材をエンジニア部監修で校内ライフライン部が作ったバケモン……普通なら、手榴弾に巻き込まれようがカリンの大型スナイパーで狙った弾が流れようが傷1つ満足に付けられねぇ、そのはずだ」

「ですが……これには、確かにヒビが」

「だから、あたしはまず素材の欠陥を疑ったんだよ……今のはその検証だった。だが、違う。検証で、あたしの考えが違うって分かった。なら、答えはひとつだろ? アカネ」

 

 アカネは数秒考え込んでから、その顔を上げた。

 

「……温泉開発部が使っていた爆弾の、威力が向上している?」

「それだと思うぜ、あたしも。コイツは面倒だ。今までの対爆や防爆じゃ不足してる可能性がある……報告する必要があると思うがどう思う?」

「異存ありません。リーダー」

「アスナも、悪いがそういうことで頼む」

「おっけーっ!」

 

 話はユウカに持ち込んでやった。そして、あのいけすかないレモンとかいうデカくてデカい女が実物が欲しいというもんだから、次来た時には鹵獲してやると言ったが。

 

「ふむ……とてもではないですが許されることでは無い……そう思いませんか?」

「だからって! なんで毎回!! こんなっ……! こんな!! もう! ハルナのバカ! バカ!!」

 

 別のテロリストが来やがった。あたしは心底舌打ちしたい気持ちに駆られていた……美食研究会。美味くない飯を出す店をぶっ壊す。サービスがなってねぇ店をぶっ壊す。気に入らなかったら、ぶっ壊す。食うか、死ぬかなんてアホみたいな理念を掲げて、コイツらはキヴォトスを走り回ってる。

 

「ふざけやがって……! 止まれ!!」

「そういう訳にも参りません。道がないなら作るしかないですわね。アカリさん!」

「はぁい、ウェルダンに行きますよぉ〜!」

「そこですわ!」

 

 撒菱シートまで撒いたのに、それを爆風で吹き飛ばして……待て、今信じられない距離からランチャーで射出し、地上から1m50cmはありそうな空中狙撃での起爆にも関わらず、爆風で地面をエグり取るような威力、だと? ありえねぇ、地面に自動で小さな杭を撃ち込んで固定化するエンジニア部謹製の撒菱シートだ……と考えてから。

 

 既視感を覚えた。浮かんだのは、あの日見たヒビ。

 

「ゲヘナ繋がりか……? まあいい、とっ捕まえてやる……!!」

 

 この後、カーチェイスはカリンのスナイプによりクルマがパンクしたことで終了し、美食研究会全員を確保した。なにやら、ゲヘナの給食部を名乗る生徒が誘拐されて連れてこられていたようで、感謝の言葉を貰ったが、それよりもあたしは目の前のテロリスト共に聞きたいことがあった。

 

「くうぅ……さすがに無理ですか。ミレニアム最強からは逃げ出せませんでしたね」

「よう、美食研究会」

「あら、何のご用件でしょう? 珍しいではないですか、あなた方が処理した罪人に話しかけてくるなどと……あぁいえ、アスナさんは割と話してくださいますが」

「アイツ……」

 

 軽く鼻の上あたりを抑える。頭痛がしてきたような気がする。とにかく、聞かなくちゃいけないことを聞き、貰い受けなければならないものを貰わなくちゃなと意識を切替える。

 

「なぁ……お前ら、爆弾の仕入先とか変えたか?」

「はい? あぁいえ、別に変えてはいませんが……アカリさん、グレネードの仕入先はどこから?」

「いつも通りブラックマーケットの外縁にある商人さんですね。今回からいいのを仕入れられるようになった、とか言ってましたからそれじゃないですか?」

 

 それだ、とあたしは確信した。ブラックマーケットが出処だ……と言っても、ブラックマーケット外縁部の商人となると特定も難しい上逃げられやすい。だからあたしは、賭けに出てもいいかな、と思った。

 

 電話を取り出し、かける。発信先の名前は「早瀬ユウカ」。

 

「悪ぃ。ちょっと電話する……もしもし?」

『セミナー早瀬です。ご要件をお伺いします』

「あたしだ、ネルだ。先日の件で、有力な情報を持ってそうなテロリストを確保した。……コイツらを利用してモノをまとまった数抑えることが出来るかもしれねぇ。交渉はこっちでやるから、あたしにコイツらを一時預かりさせて欲しいんだ」

『……手榴弾の威力の件ね? そしてテロリスト……出動要請の内容的には美食研究会かしら。彼女たちも持ってたのね? そうなるとゲヘナ繋がり……?』

 

 同じこと思ってやがる、とは口にしない。そのまま、それらに正確な情報を付け加えてやると、ユウカは最後にうんっ、と声を出して。

 

『分かったわ……風紀委員会がいいと言えば、C&Cに一時的に美食研究会と協力してことに当たれるようにしておく。だから、ネル先輩』

「任せろっての。あたしがやるっつったんだ、成功は約束してやる」

『よろしく頼むわね』

「あぁ……と、いうわけで。美食研究会。しばらく、あたしらに付き合って欲しいんだが?」

 

 美食研究会リーダー、黒舘ハルナにそう告げると彼女は当惑した様子を見せず、笑った。

 

「恩赦くらいはつけてくださるので?」

「働き次第ってヤツだ」

「ふふ……では、無罪放免になれるよう頑張らなくては」

「っと……ま、とりあえずはアイツに話さなくちゃな……お前にとっての死神がやってきたぞっと」

「え?」

 

 ゆったりと、こちらに歩いてくるモフモフの髪の毛を持つ女。身長はあたしとそんなに変わらず、白い手袋をつけ直したのか、軽く引いてフィット感を確かめている。そばを歩いているこれまた小さな女が恭しく差し出したマシンガンをその手に取ると、ありがとう、重かったでしょ? などと言って労っていた。

 

「ミレニアムサイエンススクールのC&C。ゲヘナの指名手配犯の確保に感謝するわ。……何度もシャーレでもこの形でも会っているわね。本当にごめんなさい……でも久しぶりに会えたこと自体は少し嬉しいわ。美甘ネル」

「あぁ久しぶりだな、空崎ヒナ。あたしも会えて嬉しいぜ……さて、今回は少し話したいことがあるんだわ。悪いが……ちと聞いてくれ」

 

 ゲヘナ風紀委員会、委員長、空崎ヒナ。あたしは彼女と平和的に相対した。

 

 

 

 思えばここで美食研究会という鍵に出会えたのは幸運だったな、と美甘ネルは本誌に語る。

 

 美食研究会から繋がる、ゲヘナとの一時的な輪。この事件に際してはミレニアムとゲヘナ、そしてトリニティが提携してことに当たっているが、その接点は驚くべきことに美食研究会であったという。

 

 そうして、話は次へ……最強同士の対談へと繋がるという。

 

 これに関しては、空崎ヒナが本誌の独占インタビューに答えてくれた。次号を待っていただきたい。

 

 ークロノスエンタメスクール発行『ウィークエンドキヴォトス 特別版13号 〜爆輪事件の全貌に迫るPt.1〜』より抜粋ー




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お気に入りをいくつか頂いております。ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。
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