召喚とかいう無から生物が出現する現象を個性の一言で片付けるのやばない?   作:そるしあ

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あらすじ、要らないかもしれませんね。

(あらすじ ゚д゚) < ヤメロー! シニタクナーイ!



ありのーままのー

 

 

 

前回のあらすじ!

 

ついに始まってしまったヒーロー基礎学!

 

戦闘服(コスチューム)に着替え、チームの組み分けも済んだ翔華は、いよいよ戦闘訓練へと臨む!

 

負けるな翔華! 頑張れ翔華!

 

あらすじ終わり!

 

 

 

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わぁ。

 

なんだか少年漫画みたいだ。

 

Aチーム対Dチームの戦闘訓練を観戦していた翔華は、そこで繰り広げられている戦闘を、どこか遠い世界の出来事のように眺めていた。

 

有り体に言うとドン引きだ。

 

巻き込まれたお茶子ちゃん達も可哀想である。

 

もじゃ髪君とヴォルデモート(爆豪)の一騎打ちは、明らかに因縁の対決の様相を呈していた。

 

決して初戦から繰り広げていい規模の戦闘ではないと思うんだ。

 

だって、ビルが半壊している。

 

訓練って知ってる???

 

改めてあそこの組じゃなくて良かったと感じる。

 

隣の百ちゃんも呆れ顔だ。

 

この様子だと、次に控える講評では真っ先に百ちゃんが物申しにかかることだろう。

 

これは出るぞ・・・・・・伝家の宝刀、正論パンチ!

 

相手は死ぬ。

 

百ちゃんはこれでいて割とキツいことをずけずけ言うからね。

 

おそらく相手がヴォルデモート(爆豪)だろうが何だろうがお構い無しにアバダケダブラ(正論パンチ)を放つだろう。

 

百ちゃんは不死鳥の騎士団だった・・・・・・?

 

無いとは思うが、万が一に備えて百ちゃんをすぐに庇える位置に着いておいた方がいいかもしれない。

 

さぁ、講評の時間だ。

 

 

 

 

 

「まぁ、つっても、今戦のベストは飯田少年だけどな!」

 

おでめと、メガネ男子。

 

ぱすぱすと音が鳴らない程度の拍手をしてやる。

 

彼、ヴィラン役がめちゃくちゃ堂に入ってたし、負けはしたが一番訓練に適応してたからね。

 

男子共はなんかドッカンバトルしてたし、お茶子ちゃんはお茶目ちゃんやし。

 

「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」

 

「何故だろうな〜? わかる人!?」

 

「ハイ、オールマイト先生」

 

やはり百ちゃんが行ったぁー!

 

「それは飯田さんが一番状況設定に順応していたから」

 

有事に備え、チラリとヴォル(爆豪)君の様子を視界の端で確認する。

 

・・・・・・あれ?

 

なんか彼、やけに意気消沈してない?

 

なんだか思い詰めているようにも見える。

 

そんなに負けたことがショックだったのだろうか。

 

まぁ確かに、どこぞの野菜王子並に自尊心高そうではあったから仕方ないのかもしれない。

 

今の彼からは、いつもの溢れんばかりの自信や、爆発しそうな程の怒気や、迸る殺意の波動なんかがまったく感じられない。

 

いつもがいつもなだけに、少し心配になる。

 

「爆豪さんの行動は、戦闘を見た限り私怨丸出しの独断」

 

あぁー! 泣きっ面に蜂ぃ!

 

「そして先程先生も仰っていた通り、屋内での大規模攻撃は愚策。緑谷さんも同様の理由ですね」

 

やめたげてよお!

 

そんな入念に傷口に塩を塗り込んでいかんでも。

 

下拵えが十分すぎる。

 

さては百ちゃん、料理得意だな?

 

その後も、お茶子ちゃんの行動の講評もとい酷評を述べ、メガネ男子への理解を示し、かなり完璧な形で講評を纏める百ちゃん。

 

めっちゃ理路整然としとる。

 

やっぱすげえや。

 

血も涙もないけど。

 

「まあ・・・・・・正解だよ。くう・・・・・・!」

 

思ったよりも言われてしまったのであろうオールマイトが、悔しそうな表情でサムズアップした。

 

「常に下学上達! 一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」

 

今日の百ちゃんはやけにツンツンしてるな。

 

これはあれだ、張り切り過ぎちゃってる感じだ。

 

百ちゃんはすごくいい子なんだけど、こういう真面目すぎる部分があるから、初見だと割と敬遠されがちだったりする。

 

まぁ、大半が百ちゃんと接してく内に、その素直さやポンコツさに触れて好感を持つようになるんだけどね。

 

それでも、クラスに馴染んでいく上で、第一印象が重要になってくることに変わりは無い。

 

少しでも百ちゃんが悪い印象を持たれないように何とかフォローを入れておきたいところだ。

 

それに、先程の百ちゃんの言葉でより一層顔が暗くなったベジータ(爆豪)の事も気になる。

 

あれは彼の何かしらの地雷を踏み抜く一言だったのだろうか。

 

・・・・・・彼のフォローもついでにしとくか。

 

「でもでも、なんだかんだ爆豪君の動き凄かったよねぇ。戦闘センスの塊! って感じでさぁ」

 

皆の視線がこちらに向く。

 

ベジータ(爆豪)も僅かに顔を上げる。

 

「それに、お茶子ちゃん達の連携も良かったよぉ。初めて組んだとは思えないくらい息ぴったりだったからねぇ」

 

お茶子ちゃんは少し照れくさそうに頬をかいた。

 

「飯田くんも適応力抜群だったねぇ。お茶子ちゃんがつい吹き出しちゃうくらいだものぉ」

 

ついでとばかりにそう茶化してやると、「ほんと堂に入ってたよな」なんて言葉を皮切りに笑い声がそこかしこから聞こえてきた。

 

それに釣られたのか、ここが凄かった、ここが惜しかったなど、皆が口々に労いの言葉をかけ始めた。

 

「百ちゃんも凄いねぇ。俯瞰力高いし、状況判断も的確だなんて、リーダーに向いてるかもねぇ」

 

「もちろん、現場を指揮することも視野に入れて勉学に励んでおりますわ!」

 

そう言ってドヤる百ちゃん。

 

久しぶりに見るドヤももだ。

 

ちなみに俺のお気に入りは、むむーっと怒った表情をしてる時のオコももと、胸に手を当てて自信満々な表情をしてる時のキリももです。あとふともも。

 

何の話やねん。

 

「第一回戦は、八百万少女の言う通り改善すべき点もあったし、紗守名少女の言う通り良かった点も大いにある戦いだった! 今の講評をよく考えて訓練に挑むように!」

 

「「「はい!」」」

 

そう言ってオールマイトが第一回戦の講評を締めくくる。

 

最後の最後でようやく先生らしいことができて嬉しいのか、その表情はどこか満足そうであった。

 

チラリと、爆豪君の様子を窺う。

 

相変わらず暗い表情をしているようだが、少しくらいは自尊心を取り戻してくれただろうか。

 

あんまり思い詰めてなければいいが。

 

 

 

------------------------------

 

 

 

第一回戦で使用していたビルが青春の一頁(ドッカンバトル)の犠牲になったため、場所を移動しての第二回戦。

 

対戦カードは、ヒーロー組がBチーム、(ヴィラン)組がIチームとなった。

 

Iチームが尻尾男子と透明女子のペア。

 

そして、Bチームが紅白男子と俺のペアだ。

 

早くも俺の出番が回ってきてしまった。

 

ああ、急に動悸が。

 

これが恋・・・・・・?

 

ちょうどお互い男女ペアだし、今から戦闘訓練じゃなくて合コン訓練ってことにならないかな。

 

合コン訓練ってなんだよ。

 

確かに合コンは戦いみたいなもんだって聞くけどさ。

 

まぁ、前世も含めて合コンなんてしたことも誘われたこともないからよく知らないけど。

 

やかましいわ。

 

そんな現実逃避をしながらも所定の位置まで移動し、相方の紅白男子と合流する。

 

「よろしくねぇ」

 

「ああ」

 

とにかく、作戦を立てないことには何も始まらない。

 

妙に無愛想で話しかけづらいオーラを放っている紅白男子だが、どうせ思春期の男子特有のアレでも発動しているのだろう。

 

わかるわかる。

 

俺にもそんな時期があったなぁ、なんてしみじみ思う。

 

よし、ここは大人な俺が優しくリードしてやるとしよう。

 

「とりあえず作戦決めちゃおっかぁ」

 

「必要ねぇ」

 

な、なんだこいつぅ!

 

「連携はどうするのさぁ」

 

「俺は俺のやりたいようにやる」

 

ぐぬぬ。

 

これは思った以上に思春期を拗らせているようだ。

 

俺は知っている。こういう時に干渉するのは逆効果だということを。

 

思春期の男子が母親に干渉されるとつい反抗しちゃうアレだ。

 

今はクールぶっている彼も、家では母親に「うるせぇババァ!」とか言ってるんだろうか。

 

想像してみるとちょっと面白い。

 

うぷぷ。

 

仕方がないので、戦闘訓練中は俺が彼に合わせてやることにする。

 

やれやれだぜ。

 

「そっかぁ。じゃ、先鋒は任せたよぉ」

 

「ああ」

 

彼の個性を把握してはいないが、体の左半分が氷で覆われているところを見るに、おそらく氷系の個性だろうと推察できる。

 

それなら、うちのぴこちゃんは合わせることができる。

 

彼が放った氷なんかを適当なところでコピーすればいいからね。

 

『おいで、ぴこちゃん』

 

もはや手慣れた所作で召喚を行い、飛び込んできたぴこちゃんを受け止める。

 

あぁー! もふもふぅ!

 

ぴこちゃんの柔い体をギュッと抱きしめ、めいっぱいに頬ずりする。

 

我がぴこちゃんの抱き心地は世界一ィィィーーーッ!

 

「それでは! 屋内対人戦闘訓練、第二戦スタート!」

 

ブーーー

 

さぁ、戦闘訓練開始だ。

 

一呼吸おいて、覚悟を決める。

 

作戦は決めていないので、とりあえず索敵から始めることにする。

 

音と匂いで敵の位置を探るぴこちゃんの様子と地図とを見比べ、敵のおおよその位置を絞り込みにかかる。

 

「敵は北の方に居るみたいだねぇ。場所は多分三階・・・・・・いや、四階の広間あたりかなぁ」

 

うーん、と唸る翔華の横を紅白男子が通り過ぎる。

 

「外出てろ、危ねぇから。向こうは防衛戦のつもりだろうが・・・・・・」

 

紅白男子がそう言って壁に手を当てると、そこからピキピキと氷が張り始める。

 

「俺には関係ない」

 

壁に張った氷は徐々に広がっていき、翔華達が居る通路全体へと侵食していく。

 

ひえー!*1

 

氷系の個性ってレベルじゃねぇぞ!

 

翔華は、自分すらも覆わんと迫り来る氷から逃れるべく、わたわたと建物の外へと避難する。

 

一階の通路全体を覆った氷はそのまま上層へと伝播していき、やがてビル全体を覆い尽くした。

 

_人人人人人人人人_

> 突然の氷河期 <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

 

わぁ、超巨大冷蔵庫の完成だぁ。

 

翔華は思考を放棄した。

 

一体どんな魔法を使えばあんなことになるというんだ。

 

局所的に凍るとかならまだ分かるが、ビル全体が凍るとなるといよいよもって尋常ではない。

 

いろんな物理理論をすっ飛ばして、仮にビル全体をエグい冷気で満たすことが可能なのだとしても、どうやったって中にいる人間は死ぬはずだ。

 

でも多分死んでない。

 

致命的ならオールマイトが見過ごすはずも無いし、騒ぎになっていないのもおかしい。

 

改めて、個性というものの理不尽さを痛感する。

 

端的に言って、やばたにえんだ。

 

うむむむむ。

 

ま、勝てるなら何でもいいや。

 

翔華は割かし適当だった。

 

今世に順応したとも言えるが。

 

ビルの中を覗くと、この惨状の下手人である紅白男子が階段を登っていく姿が見えたので、ぴこちゃんに氷をコピーさせてから後を追ってもらうことにする。

 

一応無線でも伝えとくか。

 

「あー、こちら紗守名ぁ。そっちにうちの子を向かわせたけど、冷気にちょー強いから戦闘になっても気にしないでいいよぉ」

 

『・・・・・・ああ』

 

妙に返事までの間が空いたが、とりあえずは伝わったようなので良しとする。

 

確保テープも持たせたし、うちの子は賢いので万が一があっても対応することができるだろう。

 

俺はどうするのかって?

 

もちろん待機だ。

 

・・・・・・いやほら、俺って見た目からもわかる通り後方支援型だし。

 

仮に中で戦闘になっていたとしたら、俺が行ったところで紅白男子の広範囲攻撃に巻き込まれるのがオチだ。

 

むしろただの足手まといになってしまう可能性もあるため、ここは待機がベストな選択だろう。

 

決して寒いのが嫌という訳では無い。

 

・・・・・・。

 

決して寒いのが嫌という訳では───

 

「ヒーローチームWIN!!!」

 

あ、終わったみたいだ。

 

なんかよくわからんけど勝ったらしい。

 

いやー、素晴らしいコンビネーションでしたねー。

 

わはは。

 

何もできとらんのだが???

 

結局戦闘があったのかどうかもわからないし、文字通り蚊帳の外なんだが。

 

なんだか釈然としないが、勝ちは勝ちだし、ベストは尽くしたと思う。

 

何にせよ一番の功労者は紅白の彼なので、一応労いの言葉をかけておくことにする。

 

「あー、勝ったみたいだねぇ。お疲れ様ぁ」

 

『ああ。楽勝だった』

 

言うねぇ!

 

「余裕綽々かぁ。さすがだねぇ」

 

『レベルが違いすぎたんだ』

 

言うねぇ!!!

 

それ相手に聞かれてたらめっちゃ嫌なやつだぞ。

 

『ところで紗守名』

 

およ。

 

あの男子からこちらに話しかけてくるとは意外だ。

 

「はいよぉ。どしたぁ」

 

『この狐みたいなのはお前が産んだ子なのか』

 

 

 

・・・・・・。

 

 

 

え?

 

 

 

・・・・・・。

 

 

 

え?

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・どゆことぉ」

 

『うちの子って言ったろ。どんな事情があるかは知らねぇが、子供はもっと大事にした方がいいぞ』

 

?????

 

「ちょっとよくわからないんだけど、その子は確かにボクの個性で生まれた子だよぉ」

 

『個性?・・・・・・ああ、そういうことか』

 

どういうことだ。

 

『わりぃ、勘違いした。忘れてくれ』

 

勘違いってなんだ。

 

・・・・・・え、まさか個性とかじゃなく本気で俺がぴこちゃんを産んだんだと思ったってこと?

 

えぇ・・・・・・。

 

なんとなくだが、彼のことがわかってきたぞ。

 

これはあれだ、彼は嫌なやつなんじゃなく、恐ろしく天然なだけだ。

 

にしたって度が過ぎてる気もするが。

 

なんだ産んだ子って。

 

ぴこちゃんは確かに俺の子供みたいなもんだが、だからといって俺のお腹から産まれてきたなんて普通考えないだろう。

 

天然とかいうレベルでは無い。

 

もはや天然記念物だ(?)。

 

戦闘訓練を何事もなく終えることができたのと相まって、なんだか酷く気が抜けてしまった。

 

これは今後、彼にも気を使ってあげた方がいいのかもしれない。

 

可愛げのある天然だけならまだいいが、この感じからすると悪い方向に勘違いさせてしまうこともありそうだ。

 

まったく。

 

うちのクラス、右も左も個性的が過ぎるだろ。

 

翔華は軽い頭痛を感じながら、講評が行われるであろうモニタールームへと歩を進めた。

 

戦闘訓練ではあんまり活躍できた気がしないし、百ちゃんに講評でボコボコにされないといいなぁ。

 

 

 

*1
氷だけに





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