召喚とかいう無から生物が出現する現象を個性の一言で片付けるのやばない?   作:そるしあ

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アンミカ ゾンビ化

↑ジョイマンのネタで一番好き



強個性 注意せい

 

 

 

現場って200種類あんねん。

 

ヴィラン退治にしても救助活動にしても、ヒーロー活動の場というのは多岐にわたる。

 

時に街中で一般人を守りながら、時に自然の脅威に晒されながら。

 

状況も違えば場所も違う、そんな多種多様な現場において、ヒーローは変わらず最善の結果を追求し続けなければならない。

 

たとえ火の中水の中草の中チョコモナカ、何処へなりとも駆け付ける。

 

そんなてーへんな職業なんだ。ヒーローってやつは。

 

だかしかし、そうは言っても翼の無い人間が空を飛べないように、それぞれが持つ “個性” によって得手不得手な現場というのは大きく異なる。

 

例えば、隠密行動が求められる諜報活動。

 

これを透ちゃんに任せれば、その個性を活かした面目躍如たる活躍が期待できるだろう。

 

だが、爆豪君に任せれば、その代名詞たる爆破の個性は爆音故に封印され、最終的には「ぶっ飛ばした方が早ェ」なんて事になりかねない。

 

適材適所。それが適応できれば最善だが、生憎と事件事故というのはいつでもどこでも突発的に起こるもの。

 

基本的には個性の相性に関わらず、一旦は近くのヒーローが対処しなければならないパターンが殆どを占める。

 

一分一秒で救える命があるかもしれないのだ。

 

できるできないではなく、できると信じてやらねばならない。

 

───できるできる君ならできる!

 

ほら、心の中の松岡さんもそう言っとる。

 

───今日から君は富士山だ!

 

それはちょっとよく分からんけど。

 

とにかく、ヒーロー活動を続けていく上で、相性不利な現場にはどうしたってぶつかる事がある。

 

それを不屈の精神で乗り越えていかねばならないのがヒーローだ。

 

だが当然、根性論では人を救えない。

 

現場でモノを言うのはいつだって己の体や知識、そして積み重ねてきた経験なのだ。

 

逆を言えば、経験や知識さえあれば相性の悪い現場であろうと迅速かつ適切な行動が取れるようになるとも言える。

 

そのため、ヒーロー養成学校では足りていない知識や経験を積ませるべく、様々な現場での訓練を繰り返し実施するのだ。

 

さて、長々と語ってきたが、つまり何が言いたいのかというと。

 

「災害水難なんでもござれ、人命救助(レスキュー)訓練だ」

 

我が子達の能力が十全に発揮できる機会が訪れたってことよぉ!

 

- ̗̀٩( 'ω' )و ̖́- ウオ-!

 

俺の個性の強みは汎用性の高さと手数の多さ、そして何より眷属達が皆別行動できるという点にある。

 

つまり、極論俺一人居れば数人のヒーローが居るのと同然になるということだ。

 

なんなら我が子達は皆可愛くて癒し効果もあるので、それも加味すれば実質百人力と言える。

 

かわいいは正義。

 

まぁ、それらはあくまで極論。

 

実際のところは、ある程度は俺が指揮する必要があるし、それぞれの得手不得手が極端だったりもする。

 

もちろん、現状俺の指揮にも不安が多々あるし、そもそも我が子達の得手不得手を十分に把握しきれていないという問題もある。

 

故に俺にとって・・・・・・いや、俺達にとってこの訓練は非常に重要な意味を持ってくる。

 

皆で知識と経験を積み、本当の意味で百人力とならねばならないのだ。

 

戦闘訓練?

 

それはまぁ追々ということで・・・・・・。

 

不得手な戦闘訓練こそ知識と経験を積めって?

 

こまけぇこたぁいいんだよ!

 

いいから人命救助(レスキュー)だ!

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな」

 

確かに、救助活動をすることを思えば俺のコスチュームはあまり適していないかもしれない。

 

だが、今回は前回の戦闘訓練ではまだ準備ができていなかった “とある機能” を準備してきている。

 

せっかくだからそれを試してみたいというのはある。

 

まぁ今回の人命救助(レスキュー)訓練はまだ初回なので、とりあえずコスチュームを着て行って様子見するのもいいかもしれない。

 

そうと決まれば早速着替えだ!

 

更衣室へいざゆかん!

 

「助けを求める者よ、今ヒーローがゆくぞぉ! うおぉおぉ!」

 

「今日はいつにも増してテンションが高いねー」

 

「空回りしなければいいのですが・・・・・・」

 

 

 

------------------------------

 

 

 

学校行事で乗る時のバスってなんかいいよね。

 

今回は学校敷地内を移動しているだけではあるが、それでも尚年甲斐もなくワクワクしてしまっている自分がいる。

 

もしや精神年齢が下がってる・・・・・・?

 

いや、そんなわけないか。

 

何故なら俺は大人以上に大人っぽいスーパー理知的ガールなのだから。

 

いくら体がまだ子供だとはいえ、精神年齢がそれに引っ張られることなどありはしないだろう。

 

ふーんす。

 

「紗守名さん、シートベルトが緩んでます。しっかり奥まで差し込まないと危ないですわ」

 

「あ、ほんとだぁ。百ちゃんありがとぉ」

 

「それと口元にソースが付いてます。ほら、拭いて差し上げますからこちらを向いて下さい」

 

「んむぅ」

 

大人の姿か? これが・・・・・・。

 

なんなら高校生未満まである。

 

ふと、その様子を見ていた蛙水が口を開く。

 

「私思った事を何でも言っちゃうの。貴方達って姉妹・・・・・・と言うより親子みたいね」

 

「そうでしょぉ。百ちゃんは自慢の娘さぁ」

 

「逆でしょ」

 

なんでや。

 

俺は大人なんだから自動的に娘は百ちゃんになるやろがい。

 

翔華は割とふてぶてしかった。

 

「それと緑谷ちゃん」

 

「あ!? ハイ!? 蛙水さん!!!」

 

「梅雨ちゃんと呼んで。あなたの “個性” 、オールマイトに似てる」

 

「!」

 

おっと。

 

梅雨ちゃん、見た目によらず意外と鋭いな。

 

さて、どうするか。

 

このまま無視を決め込んでもいいが、肝心の緑谷君がびっくりするほど狼狽えてるんだよな。

 

それじゃあ何かありますって言ってるようなものじゃないか。

 

いやまぁいつも通りっちゃいつも通りか・・・・・・?

 

いつでも頼ってと言った手前放置するのも忍びないし、ここはひとつフォローでもしといてやるか。

 

「緑谷君オールマイト大好きだもんねぇ。誰かを参考にするのは有効な手段の一つだし、そんな恥ずかしがる事でもないんじゃないかなぁ」

 

「あ、そう・・・・・・だよね! 実は参考にしてて・・・・・・あはは」

 

「まぁオールマイトはケガしないし、似て非なるアレだよな」

 

「ゔっ」

 

おぉう、割とグサッといくじゃん。

 

耳の痛い指摘だったのか、緑谷君の髪の毛が心なしかしおしおした気がする。

 

いやただのくせっ毛か。

 

「しかし増強型のシンプルな “個性” はいいな! 派手でできることが多い! 俺の “硬化” は対人じゃ強えけどいかんせん地味なんだよな!」

 

おや、彼にしては珍しくネガティブじゃないか。

 

「わかってないねぇツンツン髪君」

 

「ツンツン髪?」

 

「硬い拳だけを使った漢のステゴロたぁ、なかなかにイカスじゃないのさぁ。このいぶし銀的な良さはわかる人にはわかるもんよぉ」

 

「なんかキャラ変わってね?」

 

「僕もすごくかっこいいと思うよ。プロにも十分通用する “個性” だよ」

 

「くぅー! 嬉しいこと言ってくれるじゃねぇかおめえら!」

 

そう言ってツンツン髪君が感激したように拳を握りしめる。

 

そういや彼の名前ってなんだっけな。

 

ちゃんと親しくしてないとなかなか名前って覚えられんのよな。

 

なんか日本酒みたいな名前してた覚えはあるんだけど。

 

たしか・・・・・・霧島?

 

そこはかとないニアミス感を感じる。

 

「しかしプロなー! やっぱヒーローも人気商売みてえなとこあるぜ!? 男だけじゃなく女性人気も無きゃあな!」

 

「確かにねぇ。熱き漢の戦い! みたいなのは、男性はともかく、女性には理解されにくいからねぇ」

 

俺は男性だった前世の価値観を引き継いでるから理解できるんだけどね。

 

生粋のお嬢様である百ちゃんなんかは「野蛮ですわ!」とか言いそうだ。

 

「紗守名はわかってくれてるみてえだけどな! おめえとはいい酒が飲めそうだ!」

 

「そりゃいいねぇ。今度日本酒でも飲み交わそうやぁ」

 

「君達! 未成年飲酒は立派な犯罪だぞ!」

 

「冗談だよぉ」

 

そう言って小さく手を振ると、メガネ男子は「ヒーローたるものそういった発言は控えたまえ!」と言って眼鏡を直した。

 

さすがメガネ。既に学級委員長が堂に入っている。

 

「でもやっぱ個性が派手で強え方が人気は出そうだよな。轟と爆豪みたいな」

 

「ケッ」

 

話題に持ち上げられた爆豪君は謙遜するでもなく尊大に撥ね付ける。

 

唯我独尊。そんなリアクション。

 

とてもじゃないが人気が出るとは言い難い振る舞いだ。

 

まぁ、俺様系が好きな女子とかになら人気出るんじゃないかな。

 

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」

 

そう言ってバッサリ切り捨てたのは梅雨ちゃん。

 

ほんとに思ったこと何でも言っちゃうじゃん。

 

「んだとコラ! 出すわ!」

 

「ホラ」

 

そして肝が据わっている。

 

つよい。

 

「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」

 

「てめぇのボキャブラリーはなんだコラ! 殺すぞ!」

 

わぁ。

 

この会話の治安の悪さよ。

 

今まで通っていたお嬢様学校ではまず耳にしないような語彙が目白押しだ。

 

前世まで遡れば一周回って懐かしい感覚がしないことも無いが。

 

男子の会話ってこんなだっけ。

 

前世の若い頃だったら喜び勇んでこの会話に乗っかっただろうに、今となってはお嬢様学校で培った価値観が僅かに忌避感さえ感じさせてくる。

 

あてぃくしも立派なおぜうさまになってしまったのね。

 

オヨヨ・・・・・・。

 

「低俗な会話ですこと! 紗守名さんの教育に悪いですわ」

 

「言ってることがほぼ保護者ね」

 

教育ママならぬ教育モモってか。

 

やかましいわ。

 

「でもこういうの好きだ私」

 

そして今日も今日とて麗らかなお茶子ちゃん。

 

「わかる気がするよぉ」

 

こういう賑やかな雰囲気も学校行事で乗るバスの醍醐味だよね。

 

あぁ、前世でもこんなだったなって。

 

遠い昔の記憶が呼び起こされ、再びワクワクした気持ちが湧き上がってくる。

 

なんだかノスタルジックな気分だ。

 

相変わらず騒がしいバス内をぼーっと眺めながらそんな気分に浸る。

 

・・・・・・うん。俺もこのまとまりのない感じは好きだな。

 

そう思うと、自然と顔も綻んでくる。

 

そんな郷愁と喧騒の乗せながらも、バスは目的地へと徐々に進んで行った。

 

 

 

「もう着くぞ。いい加減にしとけよ」

 

「「「はい!!!」」」

 

めっちゃまとまるやん。

 

 

 

------------------------------

 

 

 

「わぁ」

 

右を見れば水難事故を想定した現場が。

 

左を見れば土砂災害を想定した現場が。

 

前正面を見れば火事を想定した現場が。

 

そうこれはまるで。

 

「事故と災害の宝石箱やぁ」

 

「急にどうした」

 

へへ。

 

「すっげー! USJかよ!?」

 

気持ちはわかるが固有名詞を出すな固有名詞を。

 

というか、咄嗟に出てくるのがディ〇ニーランドじゃなくてそっちなのか。

 

確かに夢も希望もない現場ばかりだけども。

 

しかし本当に大規模な演習場だ。

 

テーマパークもかくやという広さに、アトラクションが如くバリエーション豊かな施設の数々。

 

いやはや、雄英の敷地と設備が潤沢なのは知ってはいたが、こうやって目にすると改めてその凄さを実感する。

 

演習場ってレベルじゃねーぞ。

 

「───あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も、ウソの災害や事故ルーム(USJ)!」

 

そんな演習場について、ヒーロー基礎学の講師の一人である “13号” 先生が紹介を入れる。

 

なんやツッコミ待ちか?

 

ここまで無理矢理寄せに行ってるネーミングもなかなか珍しいのではなかろうか。

 

これもしかしてデ〇ズニーランドもあったりする?

 

「えー、始める前にお小言を一つ二つ・・・三つ・・・四つ・・・」

 

そんな増えるワカメみたいなことを緒言に、13号先生のスピーチが始まった。

 

曰く、我々の持つ “個性” の中には簡単に人を殺せるものがあり、超人社会は微妙なバランスの上で成り立っているということ。

 

各々の個性について、体力テストで秘める可能性を知り、戦闘訓練で危険性を体験したのに対し、この授業では人命のためにどう活用するかを学んでいくということ。

 

そして、我々の力は “人を傷つけるのではなく救けるためにある” ということを粛々と語っていった。

 

「───以上! ご清聴ありがとうございました」

 

「ステキー!」

 

「ブラボー! ブラーボー!!!」

 

お茶子ちゃんとメガネ男子のテンションが異様に高いが、その感想には俺も同意を示したい。

 

俺達ヒーロー科にとって、もっと言えば個性持ち全員にとって、とても大事なことを言っていたように思う。

 

“個性” というものは本当に個人が持つには行き過ぎた力なのだ。

 

それが存在しない前世を生きていた俺にとって、何故社会が正常に機能しているのか分からないくらいには。

 

先生が語ったように、個性というのは悪意が無くともほんの僅かな制御ミスや一時の気の迷いなんかで簡単に人の命を奪えてしまう。

 

ヒーロー科ともなれば皆個性が強力なので、特にその傾向は強いだろう。

 

紅白男子とか、爆豪君とか。

 

あと紅白男子とか紅白男子とか*1

 

当然、俺の個性ないし眷属達の能力も例外では無い。

 

ゆにちゃんなら心臓を一突きで。

 

れむちゃんなら腕の一振りで。

 

今肩に乗って寛いでいるこの小さくて可愛らしいぴこちゃんですらも、人の命を終わらせる手段を数多く持ち合わせている。

 

なんなら俺も我が子達に尊死させられそうな時あるもん。

 

それはちゃうか。

 

とにかく、先生のスピーチには考えさせられることが多く、強く心に響いたのだ。

 

おかげで、これ以上無いくらい気持ちが引き締まった。

 

「よーし、やったるぞぉ・・・・・・!」

 

翔華は来たる人命救助(レスキュー)訓練に向けて、鼻息荒くやる気を滾らせた。

 

「そんじゃあまずは───」

 

そうして、人命救助(レスキュー)訓練が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「フシャァァァアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

 

唐突に、尋常ではない様子でぴこちゃんが威嚇の鳴き声をあげた。

 

 

 

*1
あと紅白男子とか





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