召喚とかいう無から生物が出現する現象を個性の一言で片付けるのやばない?   作:そるしあ

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主人公の初台詞+原作キャラ登場回になります。

また、名無しのオリジナルキャラが二人出てきます。



八百万百・・・・・・恐ろしい子!

 

 

 

前回のあらすじ!

 

かわいくてすごい能力を持った眷属のぴこちゃんと一緒に過ごせるようになったけど、他の眷属の子達とも過ごせるようになるためには現状の問題を何とかしないと!

 

いったいどうしたら・・・・・・はっ! ヒーローになれば問題は全部解決できるのでは!?

 

そうと決まればヒーロー目指して頑張るぞ!

 

あらすじ終わり!

 

 

 

------------------------------

 

 

 

翔華がヒーローになろうと一念発起してから数年経ち、ヒーロー科に進むべく勉学に邁進していたある日。

 

中学三年生となった翔華は、勉強会のために三人の学友を自室に招いていた。

 

ぴこちゃんが皆に撫でられて気持ちよさそうにしている。

 

「きゃー! かわいいぃぃ!」

 

ふふん。

 

「ぴこちゃん、でしたっけ。とても愛らしいですわ」

 

ふふふん。

 

「・・・・・・いい毛並みしてるね」

 

ふふふふーーーん。

 

「えへへぇ。うちの自慢の子さぁ」

 

学友達に愛しの我が子を褒められ、思わず頬が緩んでしまう。

 

そう、そうなんですよ。

 

ぴこちゃんから溢れ出るこのかわいらしさは留まるところを知らないどころか上限などというものは存在せず寧ろかわいらしいという概念そのものがぴこちゃんの為に定義されたのではないかと思われる程に完成されきったこの完璧な容姿は筆舌に尽くし難く───

 

「───さん? 紗守名さん?」

 

はっ。

 

いつの間にか思考の海に沈んでいたようだ。

 

沈むどころか、海底で暴れ回るくらいはしてた気もするが。

 

「んー。どしたぁー?」

 

「もー。相変わらずぼーっとして。百ちゃんが聞きたいことあるって!」

 

なんや相変わらずって。

 

それだとまるでいつもぼーっとしてるみたいじゃないか。

 

俺はぼーっとしてるんじゃなくて、物事を深く考えるようにしているだけだ。

 

人間は考える葦である。

 

かのフランスの哲学者、パスカルだかカルパスだかカルピスだかもそう言ってた。

 

人間は考えるという行為によってその弱さを補い、偉大たり得ているのだ。

 

つまりはそういうことだ (?)。

 

「・・・・・・またぼーっとしてる」

 

「んぅー?」

 

「もう、聞いてますの?」

 

はいはい。なんでござんしょ。

 

ちゃんと耳を傾けてますよーというアピールをすべく、耳に手のひらを添える。

 

そして、後ろから押さえつけるようにして耳をぱたんと畳む。

 

「餃子ぁ〜」

 

なんちて。

 

わはは。

 

パチン

 

「あうっ」

 

デコピンされた。

 

痛い。

 

百ちゃんがぷんすこ怒っている。

 

腰に手をやり、頬を膨らませ、いかにも私怒っていますといった風だ。

 

その膨らんだ頬を指で突いてやると、ぷすーっと息が吹き出され、膨らんでいた頬が萎んだ。

 

おもしろ。

 

わはは。

 

バチンッ

 

「あ痛ぁ!」

 

強めにデコピンされた。

 

二度もデコピンした・・・・・・! 親父にもデコピンされたことないのに!

 

「翔華も懲りないね」

 

「痛いぃ・・・・・・。いつの間にそんな暴力的な子に育っちゃったのさぁ!」

 

「いつもそうやって揶揄うからですわ!」

 

だって百ちゃん揶揄い甲斐あるから。

 

以前、ちょっとしたイタズラを仕掛けてから、百ちゃんは俺にだけ時折こうしてデコピンをかましてくるようになってしまった。

 

軽い冗談のつもりだったんだ。

 

デコピンについて、これは友達同士が親愛を示すための行為だ、と嘘を伝えた上でやり方を伝授した。

 

そしたら、それを本気で信じた百ちゃんが、遅れてやってきた友達に、嬉々として小気味良いデコピンをぶちかました。

 

*.゚+ㅤnice shotㅤ*.゚+

 

その友達は、まさか普段温厚な百ちゃんからデコピンが飛んでくるとは露ほども思わなかったのだろう。

 

呆然と立ち尽くす被害者(友達)

 

何も反応が返ってこないので、徐々に狼狽し始める加害者(百ちゃん)

 

ぷるぷる震えながら必死に笑いを堪える黒幕()

 

そんな一幕があった。

 

嫌な事件だったね。

 

もちろんその後お仕置きされました。

 

「うぅ。それで、聞きたいことって何ぃ」

 

おでこを擦りながら問う。

 

「あぁ、そうでした。聞きたいのは紗守名さんの個性についてですわ」

 

そう言ってぴこちゃんに目を向ける百ちゃんに釣られて、俺もぴこちゃんを見やる。

 

そういや君、俺がデコピンされても無反応だったな。

 

今も尚、デコピン犯であるはずの百ちゃんに大人しく撫でられ続けている。

 

これは、ご主人様が手を出されても怒らない薄情者だと怒ればいいのか、ただのじゃれあいであることを理解していて賢いと褒めればいいのか。

 

むむむ。

 

まぁ、かわいいからいいか。

 

「ぴこちゃんは幼少の頃から個性で喚び出したままにしているとのことでしたが、紗守名さんに掛かる負荷などは大丈夫なのですか?」

 

「そだねぇ。負荷なんかは無いことはないけど、脳のリソースがちょびっと持ってかれるくらいなもんだから、大丈夫っちゃ大丈夫かなぁ」

 

「日常生活に影響は無いのですか?」

 

「ちょっと気が抜けやすくなるくらいさぁ」

 

「じゃあ、その気の抜けた顔と口調も個性の影響なんだね」

 

キレそう。

 

口調に関しては確かに、考え事をしながら話すことが多いから、間延びした喋り方になってしまっている自覚はあるけども。

 

まぁ、子供の頃に女の子らしい口調で話そうと意識し続けた結果、この喋り方が自然と根付いてしまったというのもあるが。

 

それはいいとして、気の抜けた顔ってなんや。

 

ただの悪口やないけ。

 

「・・・・・・個性関係なく翔華は元々どこか抜けてるけどね」

 

「よくぼーっとするのもどうせ元からでしょ」

 

こ、こいつら・・・・・・!

 

言わせておけば調子に乗りくさって。

 

手が出るぞ、おい。

 

怒りで体がぷるぷる震えてくる。

 

俺を煽ってきた二人は、こちらを見てニヤついている。

 

この野郎・・・・・・!

 

いや待て落ち着け。びーくーるだ、俺。

 

相手はせいぜい十四か十五年程度しか生きていない、まだまだ尻の青いガキンチョ。

 

対して俺は、前世を含めればもう立派な大人。

 

こいつらよりも遥か高みに居るのだ。

 

こんなひよっこ共が何を言ったところで、大人な俺に響きはしない。

 

ふっ。せいぜいピーチクパーチク囀っているがいいわ。

 

「でも、翔華さんの舌足らずな喋り方も、おっちょこちょいなところも、()()()()()でかわいらしいと思いますわ!」

 

「ぐはぁ!」

 

「しょ、翔華ーーー!」

 

「・・・・・・無自覚の煽りが一番心にくるよね」

 

翔華は心に深刻なダメージを負った。

 

これが先ほど揶揄いの仕返しだというのか。

 

八百万百という女の力量を見誤り、迂闊にも手を出してしまった間抜けへの報いなのか。

 

それは、翔華の心の最後の防壁を穿つ一撃であった。

 

翔華はもはや立ち上がることはできない。

 

心と言う器はひとたび、ひとたびひびが入れば二度とは、二度とは。

 

ぐふっ。

 

「紗守名さん!? 一体どうなさいましたの! 返事を、返事をして下さい!」

 

返事がない。ただのしかばねのようだ。

 

 

 

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翔華が言葉の刃に貫かれてからしばらくして。

 

四人は現在、参考書と向き合っていた。

 

ぴこちゃんは部屋の隅で丸くなっている。

 

かわいい。

 

「翔華と百ちゃんは、雄英のヒーロー科を目指してるんだよね?」

 

不意に、問いかけられる。

 

「そだよぉ。ボクは一般、百ちゃんは推薦だけどねぇ」

 

「・・・・・・倍率は例年300倍以上なんだっけ。本当に狭き門だよね」

 

「道は険しいですが、全力を尽くす所存ですわ」

 

そう。俺が目指しているのは、トップクラスの超難関校である雄英高校のヒーロー科だ。

 

理由は単純。我が子達のためだ。

 

最高峰の教育もさることながら、保有する土地の広大さや施設の潤沢さが他とは桁違いなのだ。

 

眷属にも様々な種類の子がいるので、それに対応できるだけの土地と施設があるのは非常に魅力的だ。

 

ついでに、知名度や開催するイベントの規模も桁違いなので、我が子達の布教も行える。

 

俺が立てた計画はこうだ。

 

① 雄英高校に合格する。

 

② 最高峰の教育によって個性の練度を高め、常に多くの我が子達を同時に喚んだまま維持できるようになる。

 

③ 大きなイベントやヒーローインターン等で優秀な実績を上げ、我が子共々有名になる。

 

④ 学校の卒業後、ヒーロー事務所を構え、同時に我が子達のグッズ展開を行う。

 

⑤ トップヒーローとなり、我が子達のグッズの売り上げやヒーロー活動で得た資金を元に、我が子達との素敵な生活環境を整える。

 

⑥ やったぜ。

 

なるほど完璧な作戦っスねーーーっ

 

不可能だという点に目をつぶればよぉ〜〜〜

 

まぁ、②以降は置いとくとして、①の雄英高校合格ですら夢物語なのではないかと思ったことだろう。

 

ところがどっこい・・・・・・夢じゃありません・・・・・・!

 

何故なら、俺は前世でそこそこの大学を出ているからだ。

 

それに、今世でも通っているのは名門のお嬢様学校である掘須磨大付属中学。

 

なんなら小学校もお嬢様学校だった。

 

成績も常に最上位をキープしている。

 

今更、高校受験なんて目じゃありませんわ〜!

 

おーほっほっほ。

 

まぁ、雄英高校の試験には実技試験があるんですけどね。

 

「筆記試験は問題ないと思うけど、実技試験がねぇ」

 

「翔華って、普段ぼーっとしてる割に勉強できるから不思議だよね」

 

「・・・・・・実技試験も大丈夫じゃない? 普段ぼーっとしてる割に運動神経いいし」

 

「ひと言多いなぁ」

 

普通に褒めたら死ぬ病気にでもかかっとるんか。

 

勉強できるのは、前世の知識を引き継いでいるおかげではあるけども。

 

その知識だって俺が努力して身につけたものに違いはない訳なんだから、普通に褒められてもいいはずだ。

 

「紗守名さんならきっと大丈夫ですわ。努力している姿をすぐ側で見てきた私が保証いたしましょう」

 

「百ちゃん・・・・・・!」

 

なんていい子なんだ。

 

こん畜生共とは大違いだ。

 

さっきは揶揄ってごめんよ。

 

今後も揶揄いはするだろうけど。

 

ところで、普通に褒められたら褒められたで、ちょっとむずむずしてくるね。

 

へへ。

 

「普段の飄々とした態度とは裏腹に、誰よりもひたむきに努力を重ねるその姿からは、私も力を与えられてきましたもの」

 

「そ、そっかぁ。な、なんだか恥ずかしいなぁ」

 

すごい褒めてくる。

 

こ、こそばゆい・・・・・!

 

なんか顔も熱くなってきた。

 

「現状に妥協せず、常に上を目指し続けるその姿勢は、私も見習わなければいけません」

 

「ちょ、ちょっとぉ」

 

待ってくれ。

 

もういい、もういいから!

 

顔が上気し、目尻に涙が溜まってくる。

 

「それに、努力を怠らないだけではなく、確かな実力もお持ちですし、時に大人びた冷静さも持ち合わせて───」

 

「うぁ・・・・・・うぅ・・・・・・」

 

「ちょ、百ちゃんストップ!翔華が茹でダコみたいになってるから!」

 

「───え? さ、紗守名さん!? 大丈夫ですか!?」

 

翔華は再び心に深刻なダメージを負った。

 

立て続けに真逆のベクトルの精神攻撃を受けた翔華の心は、その負荷に耐えきれずいよいよショートしてしまった。

 

翔華は精神攻撃に弱かった。

 

「・・・・・・百ちゃん・・・・・・恐ろしい子!」

 

わちゃわちゃしている人間達をよそに、ぴこちゃんは大きな欠伸をしていた。

 

 

 





本作では、八百万百の出身中学である掘須磨大付属中学を、女子校ということにしています。

ヤオモモが羞恥心薄いのって、女子校出身だからなんじゃないかなぁって。
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