召喚とかいう無から生物が出現する現象を個性の一言で片付けるのやばない?   作:そるしあ

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特殊タグに手を出してみました。

楽しい。



目と目が逢う瞬間“敵”だと気付いた

 

 

 

前回のあらすじ!

 

ぐあーっ!

 

ぐあーっ!(二回目)

 

あらすじ終わり!

 

 

 

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指差しかくにーーーん!

 

受験票! ヨシ!

 

身分証明書! ヨシ!

 

筆記用具! ヨシ!

 

ハンカチ、ティッシュ! ヨシ!

 

百ちゃんから貰ったお守り! ヨシ!

 

あん畜生共に渡されたキッズ用腕時計! ゴミ箱へ投入! ヨシ!!!

 

・・・・・・捨てるのはさすがにアレだから一応仕舞っとくか。

 

絶対持ってかんけど。

 

試験日の朝に開けてね! という指定のもと箱を渡され、開けて出てきたのがこれだ。

 

キレそう。

 

ちょっとワクワクしちゃってた時間を返して欲しい。

 

あいつら、俺が百ちゃんに「子供みたいでかわいらしい」発言されてから、何かにつけて子供扱いして煽ってきやがる。

 

俺のどこが子供だというのか。

 

ガキって言う方がガキなんやぞ!

 

このばか! あほ! うんち!

 

お前のかーちゃんでーべそ!!!

 

・・・・・・まぁ、どうせ緊張を解そうとしてくれたとかなんだろうけどさ。

 

ふん。不器用どもめ。

 

・・・・・・今度、百ちゃんのお守りのお礼を買いに行くついでに、一応あいつらの分も何か見繕っとくか。

 

こんなのとはいえ、貰いっぱなしは癪だし、一応な。一応。

 

だがそれはそれとして、煽ってきたことは許さん。

 

いずれあん畜生共には分からせてやらねばなるまい。

 

俺の溢れんばかりの大人の魅力ってやつを、さ。

 

きりっ。

 

・・・・・・。

 

鏡越しに、気取ったポーズをしている俺と目が合う。

 

何やってんだあいつ*1

 

こわ。

 

ちなみに、こうして鏡で見るとよく分かるが、俺の身体的な特徴はそこまで子供っぽいわけでは無い。

 

むしろ出るとこは出ている。

 

しかし、うーん。

 

なんか、今では女性として生きることにも慣れたものだが、未だに自分が女性だという実感が薄い気がする。

 

やはり、前世で男として過ごした時間の方が長いからだろうか。

 

小学生の頃からずっとお嬢様学校に通っていて、男子と全くと言っていいほど関わってこなかったから、というのもありそうだ。

 

自分は結局、男なのか女なのか。

 

それ以外なのか。

 

どんだけ〜。

 

そういったことすら、未だによく分かっていない。

 

それどころか、考えることすら無くなってしまった。

 

どちらかと言うと、男としての自意識の方が若干強いような気がする。

 

ただただ、体だけが女として成熟していく。

 

男らしさとは、女らしさとは何か。

 

そういった、前世で無意識下に持っていたはずの感覚さえ、もうすっかり無くなってしまったようにも思える。

 

鏡の中の、未だに気取ったポーズを取り続けている俺からは、馬鹿をやっている男子っぽさも感じるし、背伸びしている女子っぽさも感じる。

 

いつまでそのポーズしてるんだあんた*2

 

雄英高校は共学なので、当然男子もいる。

 

そういった環境に身を置けば、また何か変わるのだろうか。

 

そんなことをぼんやり考えていると、母親が俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

柄にもなく、真面目なことを考え込んでしまっていたようだ。

 

やはり、今後の人生を左右する大事な試験を目前にして緊張しているのだろう。

 

手荷物をまとめて、温かい朝食と愛しの我が子が待っているであろうリビングに向かう。

 

試験、頑張ろ。

 

 

 

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「受験生のリスナー! 今日は俺のライヴにようこそー!!!」

 

テンション高。

 

「エヴィバディセイヘイ!!!」

 

シーーーン!

 

Oh・・・

 

プレゼントマイク、あんたの勇姿は忘れない。

 

せめて安らかに眠ってくれ。

 

「こいつぁシヴィ! なら受験生のリスナーに実技試験の内容をサクッとプレゼンするぜ!」

 

メンタル強。

 

「アーユーレディ!? YEAH!!!」

 

シーーーン!

 

わぁ、同じ轍を堂々と踏み抜いてくんだぁ。

 

もはや滑ってるというか、突き進んでるって感じだ。

 

男気や。

 

そして何事も無かったかのように、実技試験の概要説明を始めるプレゼントマイク。

 

メンタルえぐ。

 

これが雄英のレベルだってのか・・・・・・!

 

伊達にトップ張ってるわけじゃないということか。

 

いきなり見せつけてくれるじゃないか。

 

いいだろう、望むところだ!

 

翔華がよく分からないところで奮起しているうちにも、概要説明は続いていく。

 

試験内容をざっくり説明すると、試験場にヴィランを模したロボットが何体も闊歩してるから、いっぱい倒してポイントを稼いでね! ということらしい。

 

つまり、殲滅戦というわけか。

 

ロボットなど、我が軍(眷属達)の敵ではないな!

 

殲滅だ! 一機残らずの殲滅だ!!!

 

成すべきことはただ一つ! 地獄を作れぇ!!!

 

ヒーローのセリフか? これが・・・・・・。

 

「───それでは皆様! 良い受難を」

 

やべ、ぼーっとしてたらいつの間にか説明終わってた。

 

まぁ、やるべき事は分かったからいい。

 

・・・・・・絶対に合格するぞ。

 

決意を新たに、翔華は実技試験の演習会場へと向かった。

 

ちなみに、筆記試験については、特筆すべきことはありませんでした。

 

比較的苦手な教科だった歴史についても、「あ、ここ百ちゃんゼミでやったとこだ!」ってなる問題が多くて助かった。

 

ありがとう百ちゃん。

 

 

 

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演習場でっか。

 

テーマパークに来たみたいだぜ。

 

テンション上がるな〜。

 

この規模の施設が、雄英全体から見るとほんの一部でしかないというのだから驚きだ。

 

さて、どのように実技試験を攻略するかだが、おおまかな作戦は既に決めてある。

 

ひとまず、ぴこちゃんを喚んでおこうか。

 

ポケットから赤いハンカチを取り出し、端っこの方を口に咥える。

 

このハンカチには少量の自身の血を染み込ませてあるので、少し鉄の臭いがする。

 

そして、両手を胸の前で握り合わせ、祈るようなポーズをとる。

 

『ぴこちゃん、おいで』

 

すると、目の前に光の粒がいくつも現れ、ひとつの大きな光の塊となる。

 

それが一際強い輝きを放ったかと思えば、光は掻き消え、そこにはぴこちゃんが佇んでいた。

 

俺を目視した瞬間こちらに飛び込んできたぴこちゃんを抱き留め、そのもふもふを堪能するべく撫で回してやる。

 

さっきまでの緊張が嘘のように解れていくのを感じる。

 

やはりぴこちゃんの癒し効果はすごい。

 

このかわいらしさはDNAに素早く届く。

 

まだガンには効かないが、そのうち効くようになる。

 

・・・・・・むむ。

 

先ほどから、やたら視線を感じる。

 

まぁ、さっきまでめっちゃ光ってたし、注目を集めてしまうのも無理はないか。

 

それにしても、ジロジロ見られてる気がするけど。

 

ははーん。

 

さてはぴこちゃんのあまりのかわいさ故に、君達ももふもふを堪能したくなってしまったんだな。

 

わかる。わかるぞ、その気持ち。

 

だがしかし、一時的にライバルとなる君達に施しはやれんのだ。

 

ライバルとは対等な関係でいなければならんからな。

 

いやー残念だなぁ! こんなにもふもふなのになぁ!

 

わはは。

 

思わず笑みがこぼれる。

 

「急に光ったから何かと思えば、動物を呼び寄せる個性なのかな? にしても、あの子かわいいなぁ」

 

「あの笑顔見てたら、なんだか緊張が解れてきちゃった」

 

「守りたい、この笑顔」

 

翔華は、その微笑ましげな視線が自分に向けられていることに気付いていなかった。

 

さて、ぴこちゃんも喚んだことだし、次は───

 

「はいスタート!」

 

えっ。

 

唐突に聞こえてきた宣言に、一瞬体が硬直する。

 

一拍遅れて、それが試験開始の合図だと認識した瞬間に、演習場に向けて駆け出す。

 

いきなりかい。

 

せっかちさんか。

 

文句を言っても仕方ないので、走りながら次の眷属を喚び出すことにする。

 

先ほどと同様に、ポケットから取りだした赤いハンカチを口に咥え、両手を握り合わせて祈るようにする。

 

走りながらだとやりづらいな。

 

『来て、ゆにちゃん』

 

再び、光が現れて消えるとともに、少し先の位置に新たな眷属が喚び出される。

 

いつぞやの、角と羽の生えた馬のような生物だ。

 

ぴこちゃんを自身の肩に乗せ、ゆにちゃんと呼ばれた眷属の背中に飛び乗る。

 

「ゆにちゃん、頼んだぁ!」

 

ゆにちゃんは応えるように大きく(いなな)くと、爆ぜるような勢いで駆け出した。

 

「今度は馬!?」

 

「早っ!」

 

周りの受験生達が驚愕に包まれる中、翔華達は瞬く間にその全てを置き去りにして先頭に躍り出る。

 

ふふん。うちの子は早かろう。

 

唯一抜きん出て並ぶ者なし。

 

まさにうちの子にぴったりの言葉だ。

 

・・・・・・いやちょっと待って早すぎ。

 

目が、目が乾く!

 

あばばばば。

 

そうこうしているうちに、本試験のターゲットであろうロボットの姿が見えてきた。

 

「ヒョウテキホソク。ブッコロス!」

 

こわ。

 

穏やかじゃないですね。

 

ヴィランっていう設定だからなんだろうけど、それでいいのか、高等教育機関。

 

悪い子にはお仕置きせんとな。

 

「突撃ぃ!」

 

やっちまってくだせェ、旦那ァ(ゆにちゃん)

 

他力本願である。

 

ボガァン!!!

 

ゆにちゃんがその勢いのまま体当たりすると、ヴィランロボットはいっそ哀れな程に粉々に弾け飛んだ。

 

きたねえ花火だ。

 

これで初ポイントゲットか。

 

早速、次のロボットを探しに、といきたいところだが、その前にやることをやっておく。

 

ぴこちゃんに、ロボットのバッテリーに触れてもらい、その性質をコピーしてもらう。

 

すると、ぴこちゃんの体毛が僅かに黄色くなり、ばちばちと放電し始めた。

 

これがホントのぴこちゅうってな。

 

自重。

 

これでより殲滅力が上がった。

 

ついでに、肩が電気刺激でいい感じだ。

 

ん〜〜これは効くねェ。

 

さ、次のターゲットを探しに行こうか。

 

 

 

------------------------------

 

 

 

ズバァン!!!

 

目の前のヴィランロボットが、ぴこちゃんの放った電撃によって撃沈する。

 

うーん。痺れる強さだ。

 

電気だけに。

 

これで何ポイント稼いだのだろう。

 

残り時間もあと僅かだ。

 

初動が早かったこともあり、結構なポイントを稼げているのではないか。

 

ゆにちゃんの機動力と、ぴこちゃんの聴力による索敵と、ゆに・ぴこタッグの殲滅力が組み合わさり、相当効率良くポイントを稼ぐことができた。

 

勝ったな! ガハハ!

 

余程のことが無ければ、このまま無事に試験を終えることができるだろう。

 

人はそれをフラグという。

 

突如としてぴこちゃんが威嚇の鳴き声を上げる。

 

その直後、地響きとともに周囲が影に覆われる。

 

冷や汗が垂れてきた。

 

上を見上げる。

 

でけーロボットと目が合う。

 

あ、どうも。

 

どのくらいでけーかって、ビルくらいでけーでやんの。

 

ど う し て 。

 

でけーロボットが腕を振り上げる。

 

なるほどな。

 

まぁ落ち着け。

 

策はある。

 

よし。

 

逃げるんだよォ! ゆにちゃーーーんッ!!!

 

ゆにちゃんに合図し、素早くその場を離脱する。

 

ドゴォン!!!

 

「ひょえぇ!」

 

先ほどまで居た場所に大きなクレーターができる。

 

こんなん相手してられるかぁ!

 

戦略的撤退!

 

うおおおお!

 

翔華達は、物凄い速度で巨大ロボットから離れていく。

 

その道すがら、ふと、視界の端に倒れている他の受験生の姿が目に入る。

 

え。

 

あれ大丈夫なんか。

 

さすがに試験で死人が出ることは無いよな?

 

そう信じたいが、脳裏を先ほどの殺意モリモリパンチがよぎる。

 

周りには、自分と倒れている受験生以外に人は見当たらない。

 

・・・・・・。

 

はぁ。

 

ゆにちゃんに止まってもらい、倒れている受験生の元に駆け寄る。

 

「大丈夫ですかぁ!」

 

声をかけても反応がない。

 

出血はあるが、呼吸しており、脈もある。

 

だが、何度呼びかけても返事がないことを鑑みるに、治療の緊急性は高いのだろう。

 

これ入学試験だよな???

 

このレベルの怪我は普通に責任問題なのでは。

 

ひとまず、応急手当として綺麗なハンカチで傷口を圧迫して止血し、体の向きを横にしてやる。

 

これで最低限の処置は済んだはずだが、一番の問題である巨大ロボットは今も尚じわじわとこちらに近づいてきている。

 

試験の中止とかはなさそうですね。はい。

 

この受験生の様子を見るに、他にも動けなくなっている受験生が居るかもしれない。

 

それを思えば、あのロボットはどうにかする必要があるだろう。

 

試験監督とか、もはや信用ならんし。

 

さて、あのロボットにどう対処するかだが、試験終了まで足止めを行うという選択がベストだろう。

 

その手立てはある。

 

撃破もできないことは無いが、かなり無理をしなければならないし、そもそも撃破してもポイントにならない。

 

他の受験生に危害が及ばないようにできるなら、無理な挑戦をする必要はないのだ。

 

そもそもなぜ、ポイントにならないのに他の受験生を助けるのかというと、仮にもヒーロー科の入学試験なのに怪我人を見捨てるのもどうかと思ったからだ。

 

もしかしたらこの救命行為も評価されるかもしれんし。

 

見捨てた結果死なれたら寝覚めが悪いし。

 

やるしかないか。

 

そうと決まれば早速行動開始だ。

 

ひとまず、別の眷属を喚び出すために、ゆにちゃんには一度()()してもらうことにする。

 

「ゆにちゃんありがとぉ。またよろしくねぇ」

 

心配そうな瞳でこちらを見つめてくるゆにちゃん。

 

おお、なんだい、心配してくれるのかい。

 

い゙い゙子゙だ゙ね゙ぇ゙!!!

 

俺なら大丈夫だから、安心してお戻り。

 

そう言って撫でてやると、ゆにちゃんは軽く一鳴きしてから、光とともにその姿を消した。

 

本当にうちの子達はいい子ばかりだ。

 

若干の寂しさを感じながらも、巨大ロボットの方向へと向き直る。

 

でけー。

 

絶対やりすぎなんだよな。

 

もう少しこう何というか、手心というか・・・・・・。

 

試験内容に不満を抱きつつも、巨大ロボットに向けて歩を進める。

 

それにしても。

 

まだ年若い少女が、自分の相棒とともに強大な敵に立ち向かうというこの構図。

 

誰かのために強敵に立ち向かうという、ヒーロー的なこの行為。

 

この状況、ちょっとかっこよくない?

 

年甲斐もなく高揚してしまう自分がいる。

 

肉体的には年相応か。

 

元々、我が子達の為にと思い、目指したヒーローという職業。

 

憧れがあったわけでもなければ、高尚な意思のもとで志したわけでもなかった。

 

だが、こうして誰かを守るために戦うということは、とても誇らしいことのように感じる。

 

誰かを守り、救える存在になりたい、なんて気持ちすらもふつふつと湧き上がってくる。

 

いつか見た、テレビの中のヒーローのように。

 

それは今世ではなく、前世の、それも遠い昔の記憶。

 

現実には居ない、物語の中の存在。

 

そんなヒーローに憧れた、一人の幼い少年の夢。

 

それが、世界を、時間を、心すら越えて、翔華の中で胎動し始めたのだ。

 

誰かを守りたいという想いをきっかけにして。

 

ふふ。

 

今朝、俺は男なのか女なのかなんて考え込んでいたが。

 

芯の部分は男のままなんだろうな。

 

それも、()()()()を目指してみたいだなんて思ってしまえるような、青臭くて子供っぽい男だ。

 

職業としてではない、純然たるヒーローに。

 

ならば、男らしく立ち向かってやろうじゃないか。

 

これが新たな夢への第一歩だ。

 

ポケットから模様付きの赤いハンカチを取り出し、口に咥える。

 

両手を握り合わせて祈るようなポーズをとり、静かに機を待つ。

 

巨大ロボットが徐々に近づいてくる。

 

さあ来い。

 

いざ、尋常に───

 

「試験、終了ーーー!!!」

 

ウーーー

 

サイレンの音が響く。

 

ウーーー

 

巨大ロボットは、その動きを停止している。

 

ウーーー

 

・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ・・・・・・」

 

 

 

*1
お前や

*2
お前やて





▼以下、軽い眷属紹介。

名前:ゆに

能力:ユニコーン

・ユニコーンっぽいことならだいたいできる。
・できることの幅は、翔華の個性の練度による。
・現状できることは、高速移動、飛行、突進や角突き等の物理攻撃 (ユニコーンとは)。

外見:角と羽の生えた白い馬

・額の中央に、螺旋状の筋の入ったまっすぐな一本の角がある。
・筋骨隆々で逞しく、白く美しい毛並みを持つグッドルッキングホース。
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