召喚とかいう無から生物が出現する現象を個性の一言で片付けるのやばない? 作:そるしあ
前回のあらすじ!
雄英高校の入学試験だ! 頑張るぞい!
順調にポイントを稼いでいくが、そうは問屋が卸さない! 翔華に魔の手が迫る!
デカアァァァァァいッ説明不要!!! 巨大ロボットだ!!!
逃げるが勝ちだが、怪我人は見捨てられない! 立ち向かうぞ!
その勇気と想いをきっかけにして、“ヒーローになりたい” という前世の少年時代の夢が翔華の中に宿ったのだった・・・・・・!
あらすじ終わり!
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「それじゃあ百ちゃん、乾杯の音頭よろしくねぇ」
「はい!」
こほん、と一息。
「えー、それでは皆さま、乾杯のご唱和をお願いします」
そう言ってグラスを掲げる百ちゃん。
それに合わせて、俺達もグラスを掲げる。
ルネッサ〜ンス。
ネタが古すぎるんだよな。
「ここにいる全員が無事に合格できたことを祝して、乾杯!」
「「「かんぱーい!!!」」」
チーン!
グラスとグラスがぶつかり合う音が部屋に響く。
あぁ〜! 高そうなグラスの音ォ〜!
目の前の長いテーブルの上は、ちょっとしたパーティの様相を呈していた。
部屋の壁には、「祝! 全員合格!」と書かれた手作りの横断幕と、いくつかの色鮮やかな小物が飾り付けられている。
全員合格。
それ即ち、ここにいる四人全員が第一志望の高校に合格することができたということ。
その “全員” には当然俺も含まれる。
つまり、だ。
雄英高校、受かりました!!!
いえーーー!!!
どんどんぱふぱふ!
「いやー、これで翔華も百ちゃんも天下の雄英生かー」
「・・・・・・今のうちに唾つけとこうかな」
なんかこっちに唇を突き出して迫ってきた。
なんだこいつぅ!
お客様! 困ります! あーっ!
「やめれぇ!」
スティック状にカットされたきゅうりを摘み、唇お化けの口に突っ込む。
すると、そのまま無言でポリポリ食べ始めた。
おのれはリスか。
「二人も同時に雄英高校のヒーロー科に合格するなんて歴代初だーって、うちの学校の教師陣も騒いでたね」
「まぁあの雄英高校だからねぇ。著名なプロヒーローも多数輩出してるからネームバリューも物凄いしねぇ」
実際、雄英高校ヒーロー科に合格した俺達の注目度は非常に高かった。
どこから情報が漏れたのか、クラスメイトからは揉みくちゃにされたし、面識のない同窓生からはサインをねだられたりした。
ちょっと気が早くない?
まだ有名にもなっていないというのに。
悪い気はしないが。
子供の頃に理由もなく自分のサインを考えておいてよかった。
こういうの皆通る道だよね。
なお精神年齢。
ちなみに、雄英高校ヒーロー科合格の知らせを聞いた両親は引くくらい狂喜乱舞していた。
「著名なプロヒーローと言えば、合格発表はオールマイトが担当していましたわね。何でも、雄英高校の教師になるとか」
「オールマイトが雄英高校の教師に!?」
「・・・・・・何それ初耳」
「そういやそんな事言ってたねぇ」
あの圧倒的不完全燃焼の極みで終えた実技試験から一週間ほど経った頃、入学試験の結果をあのオールマイトから告げられたのだ。
直接ではなく、ホログラフィーによって投影された状態で、ではあるが。
かがくのちからってすげー!
その時にオールマイトが雄英高校の教師になる旨も話していた。
顔が濃すぎることに気を取られてぼんやりとしか聞くことができなかったが。
やっぱ画風おかしいって。
なんか、なんだ、あの、陰影が深いというか、コントラストが高いというか。
俺は一体何の話をしてるんだ。
「オールマイトのことは気になるけど、とりあえずご飯食べ始めちゃおうか」
「そうですわね! どれも美味しそうな料理ばかりで、早く食べたくてウズウズしていましたの!」
「百ちゃんは相変わらずだねぇ」
何はともあれ、今は皆の合格を祝う食事会だ。
百ちゃんはともかく、他の二人とは別々の高校に進学するので、今後接する機会は今より減ってしまうだろう。
ならば、今だけはぼーっと考え込むより皆との食事を楽しむことに専念しよう。
この間のお礼の品も用意してあることだし。
包みを開いた瞬間の反応が今から楽しみだ。
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時は遡り、雄英高校の入学試験が終了した後。
壁一面にモニターが貼り付けられた部屋にて、雄英高校の教師陣が実技試験の内容について話し合っていた。
「
一人の女性が、総合成績一位である “爆豪勝己” という受験生について触れる。
彼の成績は
彼の素行を見るに、
いかにも戦闘狂らしい言動と風貌の彼を易々と首席で合格にするこの入試システムからは、なるほど雄英らしい自由な校風が伺える。
力こそパワーだ (?)。
「対照的に
続いて、総合成績八位である “緑谷出久” という受験生について触れられる。
彼の成績は
「大型
彼は大型
「大型
その言葉とともに、モニターに実技試験中の翔華の姿が映し出される。
「彼女は思わず飛び出したと言うより、対処の必要性とリスクを天秤にかけ、その上で立ち向かう判断をしたようだ」
「非常に堅実的だね。制限時間の関係で大型
「誰かのために行動でき、個性の汎用性も高い。彼女はきっといいヒーローになる」
実際のところは、割と打算的で衝動的な行動ではあったが、彼らにそれを知る由はない。
彼女がこの会話を聞いていれば、「計画通り」と、それはもう見事なしたり顔をしていたことだろう。
なお、翔華の成績は
ついでに筆記試験も二番目の成績であった。
なんなら中学の成績も八百万百に次ぐ二番目だった。
翔華はシルバーコレクターの宿命を背負っていた。
なおも講評が続いていく中、部屋の片隅で難しい顔をしている男がいた。
その男───相澤消太は、翔華の個性届と掛かり付け医師からの診断書のコピーをその手に持ち、とある一文を読みながら考えを巡らせていた。
曰く、翔華の個性である「召喚」は、使用者自身や周囲に甚大な被害をもたらす危険性を孕んでいるとのこと。
この個性は、眷属を召喚する際のコストとして、自身の血や肉体を代償にする必要がある。
そして、中には非常に強力な能力を有する代わりに、召喚者の身を犠牲にしなければならない程のコストを要求される眷属も居る。
そういった眷属は、その強力な能力故に、主人を守らんと暴れだした時に手が付けられなくなる可能性がある。
相澤は、個性届に貼り付けられた翔華の顔写真に目を移す。
そこには、いっそ気が抜けているのではないかと思われるほど穏やかな顔をした少女の顔があった。
その儚げな雰囲気もあり、先程の映像の中で見た
なるほど、これは確かに危うい人物かもしれない、と相澤は考える。
彼女は、誰かを救うために自分を犠牲にできてしまう人間だ。
大型
このままではいずれ、彼女は誰かを救うために先程の説明にもあった強力な眷属とやらを召喚するだろう。
そうなれば、危惧されていたように手が付けられなくなってしまう可能性があるし、何より彼女自身が犠牲になってしまう。
それだけは防がなければならない。
雄英高校の教師として、プロヒーローとして。
そして、誰かを救わんと己が命を軽んじた友を失った経験がある者として。
彼女を正しく導いてやらねばならない。
相澤消太は、静かにそう決意した。
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