召喚とかいう無から生物が出現する現象を個性の一言で片付けるのやばない?   作:そるしあ

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初登校です。



登校日だョ! 全員集合

 

 

 

前回のあらすじ!

 

雄英高校に合格した!

 

宴じゃ!

 

その一方、翔華の知らないところでなんか教師に目をつけられていた!

 

あらすじ終わり!

 

 

 

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ふぅ、と息を吐き、神経を研ぎ澄ます。

 

閉じていた瞼を開き、目の前の標的を見つめる。

 

狙いは定めた。

 

指先に意識を集中させる。

 

もう後戻りはできない。

 

覚悟はとうに決めたはずだ。

 

・・・・・・いくぞ。

 

うおおおお!

 

ぽちっ

 

ピンポーン

 

「───はい。紗守名様ですね。お待ちしておりました。百お嬢様と共にお迎えに上がりますので、もう少々お待ち下さいませ」

 

「わかりましたぁ」

 

 

 

・・・・・・。

 

 

 

ふぅ。

 

任務完了だ。

 

なんで人の家のインターホンを鳴らすのってこんなに緊張するんだろうか。

 

緊張しすぎて新米の殺し屋がスナイパーライフルで初めて人を撃ち抜く時みたいになってしまった。

 

百ちゃんの家は特に緊張する。

 

家でかいし。門でかいし。胸でかいし。

 

なんなら使用人までいるし。

 

ブルジョワか。

 

ブルジョワだったわ。

 

覚悟を決め切るまでに多少の時間を要したので、インターホンを指差しながら呆然と見つめる変な人みたいになってしまった。

 

いやほら、指差し確認って大事だからさ。

 

百ちゃん家のインターホン! ヨシ!

 

何を確認したんだ。

 

しかし、インターホンを鳴らすだけでこうも緊張するとは。

 

ここまで精神力が軟弱だっただろうか。

 

──ざぁこ♡ メンタルよわよわ♡

 

内なるメスガキに煽られた。

 

助かる(?)。

 

とにかく、これからは毎朝鳴らすことになるだろうから、早いとこ慣れなければならない。

 

百ちゃんと一緒に雄英高校まで送迎して貰えることになったからね。

 

なんでも、お抱えの運転手さんがいるらしい。

 

お嬢様か。

 

お嬢様だったわ。

 

百ちゃん曰く、「どうせなら一緒に登校した方が楽しいですわ!」とのこと。

 

ええ子や。

 

飴ちゃんあげちゃう。

 

しばらくぼーっとしていること数分。

 

いかにもという風体の黒塗りの車がこちらに近づいてくる。

 

そして、翔華の目の前で止まった。

 

わぁ、漫画でよく見るお嬢様御用達の黒塗り送迎車だぁ。

 

威圧感がすごいんじゃ。

 

運転手さんがスっと降りてきて、流れるような動作で後部座席のドアを開く。

 

「お待たせいたしました。どうぞお乗りください」

 

恐ろしく洗練された所作。俺でなきゃ見惚れちゃうね。

 

運転手さんにお礼を言って車に乗り込み、百ちゃんの隣に座り込む。

 

「おはようございます。紗守名さん」

 

「百ちゃんおはよぉ。制服似合ってるねぇ」

 

「紗守名さんもよくお似合いですわ」

 

「ちょっとスカートが短いのが気になるけどねぇ」

 

ちょっとどころではない。

 

なんでミニスカートなの???

 

ヒーロー科でこの短さはあかんでしょ。

 

悪をおびき寄せる効果はありそうだけども。

 

前世が男だったこともあり、スカートをあまり好んで穿いていなかったため、いきなりのミニスカートにはかなり抵抗があった。

 

初めて制服に身を包んだ時は、あまりの恥ずかしさから両親に姿を見せることすら躊躇われた程だ。

 

最終的には見せたけど。

 

俺の制服姿を見た母親は静かに涙しながら神に感謝を捧げ、父親は髪を逆立たせながら「もうこれで終わってもいい」などと呟いていた。

 

こえーよ。

 

そして嫌がる俺にお構い無しに、血走った目でめちゃくちゃ写真を撮っていた。

 

こえーって。

 

写真は機を見て絶対削除してやるからな。

 

まぁ、ヒーローにはアイドル的な側面もあるので、こういった見栄えを重視した制服になる理由も理解はできる。

 

だが、理解できても納得するかどうかは別の話だ。

 

こんなすーすーする格好で出かけられるか!

 

それに誰得なんやって感じだし。

 

というわけで今はレギンスを穿いております。

 

ぬくい。

 

これなら恥ずかしさはだいぶ軽減される。

 

ちなみに百ちゃんはハイソックスを履いてた。

 

「そんなに短いでしょうか。私はあまり気になりませんわ」

 

「百ちゃんそゆのあんまり気にしないよねぇ」

 

百ちゃんは羞恥心が薄い。

 

女子校だったからというのもあるだろうが、平気で肌を晒してくるから目のやり場に困る。

 

それで邪な気持ちを抱くことは無いが、男だった時の記憶がある身としてはそういった姿を見ることに罪悪感を感じるのだ。

 

まぁ女子校関係なしに元々の羞恥心が薄い気もするけど。

 

以前一緒に海に遊びに行った時に、やたら布面積が少ない水着を着ていた記憶がある。

 

百ちゃん純粋だから悪い男に捕まらないか心配だ。

 

「お母さん心配だなぁ」

 

「誰がお母さんですか」

 

「こう見えてもたくさん子供いるからねぇ」

 

話を聞いていた運転手がギョッとした。

 

「・・・・・・眷属のことですよね?」

 

「ボクの個性から生まれたんだから、我が子も同然さぁ」

 

運転手は脱力した。

 

「眷属達を我が子のように可愛がるのは結構ですが、ちゃんと線引きはしないといけません。でないと、いざと言う時に戦いに出せなくなってしまいますわ」

 

「わかってるよぉ。その辺は割り切ってるさぁ」

 

百ちゃんは心配性だなぁ。

 

まぁ、我が子達を戦わせることに不安が無いと言えば嘘になるが。

 

眷属達は基本的に死ぬことは無いが、痛みは感じるし傷つきもする。

 

それでも俺のために全力を尽くしてくれるだろうが、俺がその光景を見て冷静でいられる自信があまりないのだ。

 

イメトレしてみようか。

 

ヴィランに果敢に立ち向かう我が子。

 

素敵やね。

 

素早い動きでヴィランを翻弄し、死角からヴィランに攻撃を仕掛ける我が子。

 

かっこいいね。

 

しかし、攻撃を避けられ、ヴィランからカウンターを受けて吹き飛ばされる我が子。

 

絶対に許さない。

 

・・・・・・はっ。

 

いかんいかん。

 

ただのイメージなのに我を失いそうになっていた。

 

これは早いとこ経験を積んで慣れていかなければならないな。

 

「きっと実戦形式の戦闘訓練とかもあるだろうし、そゆとこで慣れてかないとねぇ」

 

「ええ。かくいう私も実戦経験はありませんから、慣れていかなければならないのは私も同じですわ」

 

「一緒に頑張ってこぉ」

 

そんなこんなで他愛も無い話をしながらも二人は目的地へと向かって行く。

 

行き先は雄英高校。

 

今日から翔華の高校生活が始まる。

 

 

 

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教室に到着してしばらく。

 

百ちゃんと「同じクラスで良かったねぇ」とか「クラスメイトが皆いい人達だといいねぇ」とか話してたところ。

 

「机に足をかけるな!」

 

「あァ?」

 

これである。

 

「雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!」

 

「思わねェよ。テメどこ中だよ」

 

これである。

 

ヤンキーかな?

 

まぁ、口は悪くても彼もヒーロー科の人間だ。

 

きっと中身は正義感に溢れたいい人なのだろう。

 

「俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

 

「聡明? くそエリートじゃねェか。ぶっ殺しがいがありそうだなァ」

 

そんなふうにかんがえていたじきがおれにもありました。

 

こわ。

 

ヴィランやん。

 

これで少なくとも一人は個性的*1なクラスメイトが居ることが確定してしまった。

 

「なんて粗暴なんでしょう・・・・・・」

 

百ちゃんもすごい顔しとる。

 

平たいお皿に残ったお米一粒を頑張って取ろうとした結果すり潰して取れなくなってしまった時みたいな顔しとる。

 

俺はヒーロー科らしく皆仲良しな学校生活を送りたかっただけなのに。

 

もうだめだぁ・・・・・・おしまいだぁ・・・・・・。

 

後で学校内でぴこちゃんを連れ歩く許可を貰いに行こうと考えていたが、彼みたいなのが居るとなると考え直した方がいいのかもしれない。

 

面白がって何かしてくるかもしれないし。

 

何よりぴこちゃんの教育上よろしくない。

 

ぴこちゃんには綺麗な言葉だけかけて育てたいのだ。

 

翔華は親バカから教育ママに進化していた。

 

「───担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

・・・・・・ん? 誰か今担任って言った?

 

どうやら俺が悲嘆に暮れている間に担任の先生が来ていたようだ。

 

「早速だが、これ着てグラウンドに出ろ」

 

え、何あの個性的*2な人。

 

え、担任?

 

嘘でしょ?

 

もしかしてヒーロー科って個性的な人しか居ない?

 

不安になって周りを見渡す。

 

尻尾が生えただけの素朴な少年と目が合う。

 

あぁ良かった。杞憂だった。

 

翔華は心底安心した。

 

尻尾少年は「なんか失礼なこと思われた気がする・・・・・・」と落ち込んだ。

 

強く生きて。

 

体操着を配り終えた担任の先生は、一足先にグラウンドへと向かった。

 

入学式はどうするのか、体操着に着替えて何をするのかなど気になることは多々あるが、担任の指示なので大人しく従うことにする。

 

そう考えた翔華は、()()()()着替え始めようとした。

 

「え!?」

 

「んなぁ!?」

 

「うひょーーー!!!」

 

「ちょ、ちょっと紗守名さん!? 何をしてるんですの!?」

 

うおぅ。びっくりした。

 

急にどうしたんだ百ちゃん。

 

「何って、着替えるんじゃなかったっけぇ?」

 

「そうではなく! 何故ここで着替えようとしているのかを聞いてますの!」

 

何故って別に・・・・・・。

 

ん?

 

ふと、周りから視線が送られていることに気付く。

 

女子達は困惑した様子でこちらを見ている。

 

男子達は赤面しながら目をそらす者や、見てない風を装いつつこちらをチラ見する者、ギラついた目でこちらをガン見する者など様々な様子。

 

え、何・・・・・・こわ・・・・・・。

 

・・・・・・ん? 男子?

 

あ。

 

「うわわぁ!」

 

咄嗟に服を直す。

 

そういや共学だから男子いるんだった。

 

あぶねー。

 

「いやぁ、ずっと女子校だったから男子が居ることを失念してたよぉ」

 

「えぇ・・・・・・」

 

「びっくりしたー! ここで急に着替え始めようとしたから何事かと思ったよー!」

 

体が透明なせいで服が浮いてるように見えるという個性的*3な女子が、大袈裟な身振り手振りを交えてこちらに話しかけてきた。

 

気を利かせて、軽い雰囲気で茶化すようにこちらに話かけてきてくれたみたいだ。

 

この子はいい子そうだ。

 

「お騒がせしましたぁ」

 

「もう! 気をつけて下さいまし!」

 

めんご。

 

しかし、前世が男であったことの弊害がこんなところにあるとは。

 

先程、この無意識の行動の要因として、今まで女子校だったことを挙げたが、実際の一番の要因は前世が男だったことだろう。

 

「まぁ、下着は見えてなかったからセーフさぁ」

 

「そういう問題じゃありませんわ!!!」

 

百ちゃんはここ最近で一番大きな声を出した。

 

「てへへぇ」

 

翔華は悪びれた様子もなくへらへらしている。

 

「大丈夫かあの子・・・・・・」

 

「な、なんだか心配になる子やね」

 

「守ってあげないと、という気になってくるわ」

 

周りの女子達は呆れと心配を混ぜ合わせた様子だ。

 

「うおぉーーー!!! 未遂だったとはいえ女子が着替えるとこ見ちゃったーーー!!!」

 

「安心したような、残念なような・・・・・・」

 

「生着替え最後まで見せろやぁあ!!!」

 

周りの男子達は・・・・・・うん。

 

いきなりちょっとした失敗があったものの、翔華の雄英高校初日はまだ始まったばかりである。

 

頑張れ翔華!

 

負けるな翔華!

 

輝かしい日々が君を待っているぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・遅いな」

 

翔華達が教室でわちゃわちゃしている一方、相澤はグラウンドにてなかなか集まってこない生徒にイラつき始めていた。

 

 

 

*1
婉曲的な表現

*2
婉曲的な表現

*3
直接的な表現





翔華は自分に女性としての魅力があるとは思っていないですし、どこかで自分は男性だと思っている節があります。

無自覚で無防備で距離感バグっていてどこか大人びていてぼんやりしていて儚げで庇護欲を誘う美少女が翔華です。

よろしくお願いします(?)。
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